Microsoft Exchange 受信者の管理

 

適用先: Exchange Server 2007 SP3, Exchange Server 2007 SP2, Exchange Server 2007 SP1, Exchange Server 2007

トピックの最終更新日: 2007-04-20

ここでは、Microsoft Exchange 受信者の構成および管理について説明します。Microsoft Exchange 受信者は、特別な Microsoft Exchange Server 2007 受信者オブジェクトです。このオブジェクトは、システムによって生成されたメッセージと他のメッセージを区別するために、統一された既知のメッセージ送信者を提供します。この Microsoft Exchange 受信者は、機能的には内部ポストマスタと同じです。以前のバージョンの Microsoft Exchange Server では、システムによって生成されたメッセージで "システム管理者" 送信者が使用されていましたが、Microsoft Exchange 受信者は、この "システム管理者" に取って代わるものです。Microsoft Exchange 受信者からのメッセージには、送信者として "Microsoft Exchange" が表示されます。Microsoft Exchange 受信者により送信されるメッセージの種類をいくつか以下に示します。

  • DSN メッセージ
  • ジャーナル レポート
  • クォータ メッセージ
  • エージェントが生成するメッセージ

Microsoft Exchange 受信者は、メールボックス、メール ユーザー、メール連絡先などの一般的な受信者オブジェクトとは異なります。また、Microsoft 管理コンソールの一般的な受信者ツールまたは Exchange 管理シェルでは管理されません。ただし、Exchange 管理シェルで Set-OrganizationConfig コマンドレットを使用すると、Microsoft Exchange 受信者の特性を定義できます。それには、次の作業を行います。

  • Microsoft Exchange 受信者に対する既定の電子メール アドレス ポリシーの適用を許可または禁止します。既定では、既定のメール アドレス ポリシーが Microsoft Exchange 受信者に適用されます。
  • Microsoft Exchange 受信者に送信されたメッセージを受信するように受信者オブジェクトを構成します。既定では、Microsoft Exchange 受信者に送信されたメッセージを受信するように構成された受信者オブジェクトはありません。
  • Microsoft Exchange 受信者の電子メール アドレスを構成します。これには、プライマリ SMTP (簡易メール転送プロトコル) アドレスを指定する作業も含まれます。

Microsoft Exchange 受信者のパラメータ

次の表に、Set-OrganizationConfig コマンドレットで使用するパラメータを示します。これらのパラメータを使用して、Microsoft Exchange 受信者を構成します。

Set-OrganizationConfig の Microsoft Exchange 受信者パラメータ

パラメータ 既定値 説明

MicrosoftExchangeRecipientRecipientEmailAddresses

MicrosoftExchange329e71ec88ae4615bbc36ab6ce41109e@<Accepted Domain>.<Accepted Domain> プレースホルダは、電子メール アドレス ポリシーで使用される承認済みのドメインを表します。電子メール アドレス ポリシーで使用される承認済みドメインごとに、対応する電子メール アドレスが存在します。

このパラメータには、Microsoft Exchange 受信者の 1 件以上の電子メール アドレスを指定します。有効な Exchange 2007 電子メール アドレスの種類すべてを使用できます。このパラメータに複数の値を指定するには、値をコンマで区切ります。MicrosoftExchangeRecipientEmailAddressPolicyEnabled パラメータを $True に設定した場合、既定の電子メール アドレス ポリシーにより電子メール アドレスが自動的に生成されます。MicrosoftExchangeRecipientEmailAddresses パラメータは使用できません。

MicrosoftExchangeRecipientEmailAddresses パラメータで指定した電子メール アドレスは、既に構成されている既存の電子メール アドレスに取って代わります。

MicrosoftExchangeRecipientEmailAddressPolicyEnabled

$True

このパラメータには、既定の電子メール アドレス ポリシーを Microsoft Exchange 受信者に自動的に適用するかどうかを指定します。既定値は $True です。このパラメータを $True に設定した場合、Exchange 組織内の電子メール アドレス ポリシーが追加または変更されたときに、Exchange 2007 によって Microsoft Exchange 受信者に新しい電子メール アドレスが自動的に追加されます。このパラメータを $False に設定した場合は、電子メール アドレス ポリシーが追加または変更されたときに、Microsoft Exchange 受信者に新しい電子メール アドレスを手動で追加する必要があります。

MicrosoftExchangeRecipientEmailAddressPolicyEnabled パラメータの値を $False から $True に変更した場合は、MicrosoftExchangeRecipientRecipientEmailAddresses パラメータで定義した電子メール アドレスが維持されます。ただし、MicrosoftExchangeRecipientPrimarySmtpAddress パラメータの値は、MicrosoftExchange329e71ec88ae4615bbc36ab6ce41109e@<優先度が高い電子メール アドレス ポリシーの承認済みドメイン> に戻ります。

MicrosoftExchangeRecipientPrimarySmtpAddress

MicrosoftExchange329e71ec88ae4615bbc36ab6ce41109e@<優先度が高い電子メール アドレス ポリシーの承認済みドメイン>

このパラメータには、Microsoft Exchange 受信者の返信用プライマリ SMTP 電子メール アドレスを指定します。MicrosoftExchangeRecipientEmailAddressPolicyEnabled パラメータを $True に設定した場合、MicrosoftExchangeRecipientPrimarySmtpAddress パラメータは使用できません。

MicrosoftExchangeRecipientPrimarySmtpAddress パラメータの値を変更した場合、MicrosoftExchangeRecipientRecipientEmailAddresses パラメータで定義されている電子メール アドレスの一覧にその値が自動的に追加されます。

MicrosoftExchangeRecipientPrimarySmtpAddress パラメータが重要なのは、Microsoft Exchange 受信者に複数の定義済み SMTP 電子メール アドレスがある場合に限られます。定義済み SMTP 電子メール アドレスが MicrosoftExchangeRecipientRecipientEmailAddresses パラメータに 1 つしかない場合、MicrosoftExchangeRecipientPrimarySmtpAddress パラメータと MicrosoftExchangeRecipientRecipientEmailAddresses パラメータの値は同じです。

MicrosoftExchangeRecipientReplyRecipient

$null

このパラメータには、Microsoft Exchange 受信者に送信されたメッセージを受信する受信者を指定します。一般的に、Microsoft Exchange 受信者に送信されたメッセージを受信するためのメールボックスを構成します。このパラメータには、指定された受信者を表す次の値を取得できます。

  • 識別名 (DN)
  • 正規名
  • GUID
  • Name
  • 表示名
  • エイリアス
  • Exchange DN
  • プライマリ SMTP 電子メール アドレス

Microsoft Exchange 受信者に対して受信者を構成しない場合、Microsoft Exchange 受信者に送信されたメッセージは破棄されます。

システム メッセージの内部および外部配信

Microsoft Exchange 受信者は、内部メッセージの送信者に送信されたシステム生成メッセージの送信者として使用されます。内部送信者は、Exchange 組織の内部に存在する受信者オブジェクトです。特に、受信者オブジェクトのプライマリ SMTP 電子メール アドレスのドメイン部分は、Exchange 組織の承認済みドメインの一覧で定義する必要があります。

システムによって生成されたメッセージが外部送信者に送信された場合、Microsoft Exchange 受信者はメッセージの送信者として使用されません。代わりに、Set-TransportServer コマンドレットの ExternalPostmasterAddress パラメータで指定された電子メール アドレスが使用されます。詳細については、「外部ポストマスタのアドレスの管理」を参照してください。

ただし、状況によっては、Microsoft Exchange 受信者を外部の受信者に公開できないことがあります。たとえば、次のような場合が考えられます。

  • 代替受信者
  • 外部に転送される会議出席依頼
  • 外部不在通知
  • ジャーナル レポート

フォレスト間のシナリオでの Microsoft Exchange 受信者

Exchange 組織には、1 つの Microsoft Exchange 受信者のみが存在します。Exchange 2007 は、MicrosoftExchangeRecipientRecipientEmailAddresses パラメータにより定義された電子メール アドレスの一覧とメッセージ送信者の電子メール アドレスを比較することにより、Microsoft Exchange 受信者からメッセージが送信されたかどうかを判断します。送信者が Microsoft Exchange 受信者であると Exchange 2007 が判断すると、その送信者からのすべてのメッセージが Exchange 組織内で構成されたすべてのメッセージ サイズ制限の適用対象から除外されます。

ただし、フォレスト間のシナリオでは、各フォレストに独自の Microsoft Exchange 受信者と独自のメッセージ サイズ制限があります。ソース フォレストの Microsoft Exchange 受信者からメッセージが送信された場合、ターゲット フォレストでは他の未認証の外部受信者であるかのようにその送信者が処理されます。このメッセージがソース フォレストからのシステム生成メッセージである場合でも、依然としてターゲット フォレストで構成されたメッセージ サイズの制限が適用されます。

他のフォレスト内の Microsoft Exchange 受信者から送信されるメッセージを各フォレストで認識できるように、他のフォレスト内の Microsoft Exchange 受信者のプライマリ電子メール アドレスに一致する追加電子メール アドレスにより各フォレスト内の Microsoft Exchange 受信者を構成できます。この構成により、各フォレストが他のフォレストの Microsoft Exchange 受信者から送信されたメッセージを認識できます。この構成により、両フォレスト内の Microsoft Exchange 受信者から送信されたメッセージは、すべてのメッセージ サイズの制限の適用対象から正しく除外されます。

ただしこの構成では、いずれかのフォレストで MicrosoftExchangeRecipientReplyRecipient パラメータを使用することにより、Microsoft Exchange 受信者へのメッセージ送信が許可された場合に問題が生じます。両方のフォレストの Microsoft Exchange 受信者の電子メール アドレスにより各フォレストの Microsoft Exchange 受信者が構成されるので、Microsoft Exchange 受信者に送信されるどのメッセージについても、メッセージの送信元のローカル フォレストから出ることはありません。このメッセージは、ローカル フォレストで MicrosoftExchangeRecipientReplyRecipient パラメータにより指定されている受信者に送信されます。1 人の管理者が両フォレストのメッセージング管理に責任を負う場合、管理者は両フォレストの Microsoft Exchange 受信者に送信されるメッセージを読み取ることができます。ただし、異なる管理者が各フォレストの責任を負う場合、あるフォレストの管理者が他のフォレストの Microsoft Exchange 受信者に誤って送信されたメッセージを管理することはできません。

フォレスト間のシナリオで Exchange 2007 を管理する方法の詳細については、「フォレスト間の管理を構成する方法」を参照してください。

参照している情報が最新であることを確認したり、他の Exchange Server 2007 ドキュメントを見つけたりするには、Exchange Server TechCenter を参照してください。