共有アドレス スペースに対してメッセージをルーティングするように Exchange 2007 を構成する方法

 

適用先: Exchange Server 2007 SP3, Exchange Server 2007 SP2, Exchange Server 2007 SP1, Exchange Server 2007

トピックの最終更新日: 2007-07-24

ここでは、Exchange 管理コンソールまたは Exchange 管理シェルを使用して、共有アドレス スペースに対してメッセージをルーティングするように Microsoft Exchange Server 2007 ハブ トランスポート サーバーを構成する方法について説明します。

組織では、複数の異なる電子メール システム間で同じ SMTP (簡易メール転送プロトコル) アドレス スペースを共有することが必要な場合があります。たとえば、Microsoft Exchange とサードパーティの電子メール システムとの間で、または異なる複数の Active Directory フォレストに構成された Exchange 環境の間で SMTP アドレス スペースを共有することが必要な場合があります。このようなシナリオでは、各電子メール システムのユーザーは電子メール アドレスの一部として同じドメイン サフィックスを持ちます。

このようなシナリオをサポートするには、内部の中継ドメインとして構成された承認済みドメインを作成する必要があります。また、ハブ トランスポート サーバー上に送信元があり、共有アドレス スペースに電子メールを送信するように構成された送信コネクタを追加する必要があります。承認済みドメインが権限を持つドメインとして構成されていて、Active Directory ディレクトリ サービスに受信者が見つからない場合は、配信不能レポート (NDR) が送信者に返されます。内部の中継ドメインとして構成されている承認済みドメインでは、最初に Exchange 組織内の受信者への配信が試みられます。受信者が見つからない場合は、メッセージは、最も近いアドレス スペースに一致する送信コネクタにルーティングされます。受信側の電子メール システムは、アドレス スペースに対する権限があると見なされます。ディレクトリ内のすべての受信者にメッセージを配信し、無効な受信者に対して NDR を生成します。

正しいルーティング動作を実現するには、ハブ トランスポート サーバーを送信コネクタの送信元サーバーとして指定する必要があります。エッジ トランスポート サーバーを送信コネクタの送信元サーバーとして指定すると、ルーティング ループが発生します。

note注 :
Exchange Server 2003 または Exchange 2000 Server を実行している組織に Exchange 2007 が共存している場合は、従来の受信者ポリシー設定を承認済みドメイン構成オブジェクトとは独立して構成する必要があります。Exchange 2003 または Exchange 2000 を実行しているサーバーで共有するようにアドレス スペースを構成するには、Exchange システム マネージャで、[SMTP アドレスのプロパティ] ダイアログ ボックスの [このアドレスへのメール配信すべてに、この Exchange 組織を使用する] チェック ボックスをオフにします。

開始する前に

以下の手順を実行するには、使用するアカウントに次の役割が委任されている必要があります。

  • Exchange 組織管理者の役割

アクセス許可、役割の委任、および Exchange 2007 を管理するために必要な権限の詳細については、「アクセス許可に関する考慮事項」を参照してください。

次の手順では、内部の中継ドメインとして構成された承認済みドメインを作成する方法と、Exchange 2007 からの電子メールを、アドレス スペースを共有する電子メール システムに中継するように送信コネクタを構成する方法を説明しています。送信コネクタは、スマート ホストを使用するように構成されます。スマート ホストは、システム内でアドレス スペースを共有している電子メール サーバーの、または SMTP バックボーンの IP アドレスまたは完全修飾のドメイン名 (FQDN) とすることができます。SMTP バックボーンは、2 つの電子メール システム間のネットワーク接続です。

note注 :
エッジ サブスクリプションを構成した場合、承認済みドメイン構成は Exchange 組織からエッジ トランスポート サーバーに自動的にレプリケートされます。エッジ サブスクリプションを構成していない場合は、ハブ トランスポート サーバーとエッジ トランスポート サーバーの両方に、内部中継用の承認済みドメインを構成する必要があります。詳細については、「Exchange 組織でのエッジ トランスポート サーバーの購読」を参照してください。

手順

Exchange 管理コンソールを使用して内部の中継ドメインを作成するには、次の操作を行います。

  1. Exchange 管理コンソールを開きます。コンソール ツリーで [組織の構成] を展開し、[ハブ トランスポート] を選択します。次に、作業ウィンドウで [承認済みドメイン] タブをクリックします。

  2. 操作ウィンドウで、[承認済みドメインの新規作成] をクリックします。[承認済みドメインの新規作成] ウィザードが表示されます。

  3. [承認済みドメインの新規作成] ページで、以下のフィールドに入力します。

    [名前]   このフィールドを使用して、ユーザー インターフェイスで承認済みドメインを識別します。任意の名前を入力できます。この承認済みドメインの用途を簡単に識別できるように、意味のある名前を選択することをお勧めします。たとえば、ドメインが関連会社のドメインであることや、ホストされているドメインであることを容易に識別できる名前を使用します。承認済みドメインごとに一意の名前を使用する必要があります。

    [承認済みドメイン]   このフィールドを使用して、Exchange 組織が電子メール メッセージを受け付ける SMTP 名前空間を識別します。ワイルドカード文字を使用すると、あるドメインとそのすべてのサブドメインのメッセージを受け付けることができます。たとえば、「*.contoso.com」と入力すると、Contoso.com およびそのすべてのサブドメインを承認済みドメインとして設定できます。

  4. [承認済みドメインの新規作成] ページでこれらのフィールドに入力した後、以下のオプションを選択します。[内部の中継ドメイン。電子メールは組織内の別の Active Directory フォレストに配置されている電子メール サーバーに中継されます。]

  5. [新規] をクリックします。

  6. [完了] ページで、[終了] をクリックします。

Exchange 管理シェルを使用して内部の中継ドメインを作成するには、次の操作を行います。

  • 次のコマンドを実行します。

    New-AcceptedDomain -Name "Contoso" -DomainName Contoso.com -DomainType InternalRelay
    

構文およびパラメータの詳細については、「New-AcceptedDomain」を参照してください。

Exchange 管理コンソールを使用して、電子メールを共有ドメインにルーティングする送信コネクタを作成するには、次の操作を行います。

  1. Exchange 管理コンソールを開きます。コンソール ツリーで [組織の構成] を展開し、[ハブ トランスポート] を選択します。次に、作業ウィンドウで [送信コネクタ] タブをクリックします。

  2. 操作ウィンドウで、[送信コネクタの新規作成] をクリックします。SMTP 送信コネクタの新規作成ウィザードが起動します。

  3. [概要] ページで、次の手順を実行します。

    • [名前] ボックスに、このコネクタの意味のある名前を入力します。この名前は、コネクタを識別するために使用されます。
    • "このコネクタの使用目的の選択" フィールドで、コネクタの使用法の種類として次のいずれかを選択します。使用法の種類は、コネクタに割り当てる既定のアクセス許可セットを決定します。そのアクセス許可は、信頼されるセキュリティ プリンシパルに与えられます。
      [内部]   Exchange 2007 とアドレス スペースを共有する電子メール システムが別の Exchange 2007 組織である場合は、この使用法の種類を選択します。
      [インターネット]   Exchange 2007 とアドレス スペースを共有する電子メール システムがサードパーティの電子メール システムである場合は、この使用法の種類を選択します。
      送信コネクタの使用法の種類の詳細については、「送信コネクタ」を参照してください。
  4. [次へ] をクリックします。

  5. [アドレス スペース] ページで、[追加] をクリックします。[アドレス スペースの追加] ダイアログ ボックスで、このコネクタからのメールの送信先とするドメインを入力します (たとえば contoso.com や *.contoso.com)。[すべてのサブドメインを含む] チェック ボックスをオンにすれば、このコネクタをそのアドレス スペースのすべてのサブドメインへの電子メールの送信に使用できます。完了したら、[OK] をクリックします。[次へ] をクリックします。

  6. [ネットワーク設定] ページで、[すべてのメールを次のスマート ホストを経由してルーティングする] を選択します。[追加] をクリックします。

  7. [スマート ホストの追加] ダイアログ ボックスで、[IP アドレス] または [完全修飾ドメイン名 (FQDN)] を選択してスマート ホストを検索する方法を指定します。[IP アドレス] を選択した場合は、スマート ホストの IP アドレスを入力します。[完全修飾ドメイン名 (FQDN)] を選択した場合は、スマート ホストの FQDN を入力します。送信側サーバーは FQDN を解決できる必要があります。完了したら、[OK] をクリックします。スマート ホストをさらに追加するには、[追加] をクリックし、上記手順を繰り返します。完了したら、[次へ] をクリックします。

  8. [スマート ホストのセキュリティ設定] ページで、スマート ホストへの認証に使用される方法を選択します。使用できるスマート ホスト認証方法は次のとおりです。

    • なし
    • 基本認証
    • TLS 経由の基本認証
    • Exchange Server 認証
    • [外部的にセキュリティで保護]
      セキュリティ設定の詳細については、「送信コネクタ」を参照してください。
  9. [次へ] をクリックします。

  10. [送信元サーバー] ページで、[追加] をクリックして送信元サーバーを追加します。既定では、現在作業に使用しているハブ トランスポート サーバーが送信元サーバーとして一覧に表示されます。[ハブ トランスポートおよびエッジ サブスクリプションの選択] ダイアログ ボックスで、共有アドレス スペースにメッセージを送信するための送信元サーバーとして使用されるハブ トランスポート サーバーを選択します。送信元サーバーの追加が完了したら、[OK] をクリックします。[次へ] をクリックします。

  11. [新しいコネクタ] ページで、コネクタの構成の概要を確認します。設定を変更する場合は、[戻る] をクリックします。構成の概要の設定を使用して送信コネクタを作成するには、[新規作成] をクリックします。

  12. [完了] ページで、[終了] をクリックします。

Exchange 2007 RTM

ここでは、RTM (Release To Manufacturing) 版の Exchange 2007 に適用される Exchange 管理シェルでの手順について説明します。

Exchange 管理シェルを使用して、電子メールを共有ドメインにルーティングする送信コネクタを作成するには、次の操作を行います。

  • 次のコマンドを実行して、スマート ホストを IP アドレスで指定し、認証方法として [外部的にセキュリティで保護] を使用し、最大メッセージ サイズ制限を 20 MB に設定した、スマート ホストへのルーティングを行う送信コネクタを作成します。別の Exchange 組織とアドレス スペースを共有する場合は、使用法の種類として [内部] を使用します。サードパーティの電子メール システムとアドレス スペースを共有する場合は、使用法の種類として [インターネット] を使用します。

    New-SendConnector -Name "Contoso.com Send Connector" -Usage <Internal | Internet> -AddressSpace Contoso.com -DnsRoutingEnabled $false -SmartHosts smarthost.domain.com -SmartHostAuthMechanism ExternalAuthoritative -MaxMessageSize 20MB
    

構文およびパラメータの詳細については、「New-SendConnector (RTM)」を参照してください。

Exchange 2007 SP1

ここでは、Exchange 2007 Service Pack 1 (SP1) に適用する Exchange 管理シェルでの手順について説明します。

Exchange 管理シェルを使用して、電子メールを共有ドメインにルーティングする送信コネクタを作成するには、次の操作を行います。

  • 次のコマンドを実行して、スマート ホストを IP アドレスで指定し、認証方法として [外部的にセキュリティで保護] を使用し、最大メッセージ サイズ制限を 20 MB に設定した、スマート ホストへのルーティングを行う送信コネクタを作成します。別の Exchange 組織とアドレス スペースを共有する場合は、使用法の種類として [内部] を使用します。サードパーティの電子メール システムとアドレス スペースを共有する場合は、使用法の種類として [インターネット] を使用します。

    New-SendConnector -Name "Contoso.com Send Connector" -<Internal | Internet> -AddressSpace Contoso.com -DnsRoutingEnabled $false -SmartHosts smarthost.domain.com -SmartHostAuthMechanism ExternalAuthoritative -MaxMessageSize 20MB
    

構文およびパラメータの詳細については、「New-SendConnector」を参照してください。

詳細情報

詳細については、以下のトピックを参照してください。

参照している情報が最新であることを確認したり、他の Exchange Server 2007 ドキュメントを見つけたりするには、Exchange Server TechCenter を参照してください。