トランスポート サーバーの記憶域の設計
適用先: Exchange Server 2007 SP3, Exchange Server 2007 SP2, Exchange Server 2007 SP1, Exchange Server 2007
トピックの最終更新日: 2009-01-26
エッジ トランスポート サーバーとハブ トランスポート サーバーは、以下のものを配信するサーバーの役割です。
- 組織に対して送受信されるメール
- メールボックス サーバーに対して送受信されるメール
- ユニファイド メッセージング サーバーによって送信されるボイス メール メッセージ
Exchange 組織全体で効率的なメール フローと配信を確実なものにするため、エッジ トランスポート サーバーとハブ トランスポート サーバーのストレージ ソリューションは正しく設計する必要があります。
ここでは、エッジ トランスポート サーバーとハブ トランスポート サーバーの容量と入出力 (I/O) の要件を判断するために役立つ情報と例を紹介します。
エッジ トランスポート サーバーの容量と I/O の要件
エッジ トランスポート サーバーは、各組織の容量とトランザクション I/O の要件を満たすように設計する必要があります。キューの拡張を適切に保守し、メールをできるだけ速くルーティングして、サービス レベル契約 (SLA) に悪影響を及ぼさないようにすることが重要です。以下に、エッジ トランスポート サーバーの全体の容量に影響を与えるいくつかの要因を示します。
- メッセージ追跡ログ
- プロトコル ログ
- メール データベース
- 接続ログ
- エージェント ログ
メッセージ キュー データベースを含むドライブには、少なくとも 500 MB の空き容量とデータベースの空き容量が必要です。空き容量が足りない場合、トランスポート システムは Microsoft Exchange Server 2007 トランスポート サービスのシステム リソース監視機能であるバック プレッシャをアクティブにします。
注 : |
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RTM (Release To Manufacturing) 版の Exchange Server 2007 では、空き容量が 4 GB を下回ると、トランスポート システムはバック プレッシャをアクティブにします。Exchange 2007 Service Pack 1 では、このしきい値が 500 MB に減りました。 |
バック プレッシャの既定値は PercentageDatabaseDiskSpaceUsedHighThreshold パラメータによって制御されます。この値は必要に応じて変更できます。バック プレッシャの詳細と、バック プレッシャの構成オプションについては、「バック プレッシャについて」を参照してください。
メッセージ追跡ログが有効な場合は、さらに容量が必要です。メッセージ追跡の容量の要件は、トランスポート サーバーが受信するメッセージ数によって異なります。組織が現在 Microsoft Exchange Server 2003 を使用している場合、現在のログ生成率を判断して、データを保存する日数のハード制限を設定します。たとえば 10 日などに設定できます。Microsoft では、平日には毎日 220 MB (メガバイト) のメッセージ追跡ログが生成されます (週末にはこれより少なくなります)。この値から、1 週間分のログに十分な容量 (約 1.3 GB) を確保しています。プロトコル ログ、接続ログ、およびエージェント ログのサイズは、処理によって異なります。参考として、Microsoft の運用環境のトランスポート サーバーで生成されるログを以下に示します。
- エッジ トランスポート サーバーで、1 日あたり 5 ~ 15 GB のプロトコル ログ。プロトコル ログのクォータとして十分な容量 (15 GB) が確保されています。
- エッジ トランスポート サーバーで、1 日あたり 100 MB の接続ログ。1 週間分のログに十分な容量 (約 600 MB) が確保されています。
- エッジ トランスポート サーバーで、1 日あたり 250 MB のエージェント ログ。1 週間分のログに十分な容量 (約 1.5 GB) が確保されています。
トランザクション ログはそれほど多くのディスク容量を必要としません。これは、通常のログの生成は循環ログの使用によって制限されているためです。このため、トランザクション ログは、オペレーティング システムが格納されている論理ユニット番号 (LUN) 上に置くことができます。Microsoft では、この LUN 用に、2 台のディスクによるミラーを使用しています。
データベース (mail.que) はアイテムを無期限に格納するわけではなく、予約する容量は平均メッセージ サイズとキューの最大サイズを掛けた値にする必要があります。この場合、キューが最大サイズに到達すると、サーバーはシャットダウンされます。500,000 アイテムのキューで、平均メッセージ サイズが 50 KB (キロバイト) とすると、データベースのデータは約 25 GB です。
エッジ トランスポート サーバーで、受信メールに対してウイルス対策のためのスキャンを実行する場合、ウイルス対策の検疫用に十分な容量が必要です。ディスク I/O リソースの要件は、ウイルスに感染している受信メールの割合によって異なりますが、これは一般的に小さいものです。感染しているメッセージや添付ファイルの数量、およびそれらがどれだけの期間検疫されるかによって、検疫に必要な容量が決定されます。実際に必要な容量は組織によって異なりますが、最初は 1 GB のディスク容量が適切です。
ほとんどのエッジ トランスポート サーバーの展開では、他のすべての要素を考慮した後で、データベースのサイズに 20% のオーバーヘッド要素を追加することをお勧めします。この値は、データベースの内部構造への考慮と、メール フローの突発的な増大や変化によってデータベースのサイズが増大しても十分な容量が確保されることを保証するためのものです。
エッジ トランスポート サーバーの容量の例
この例では、トランザクション ログはオペレーティング システムのパーティション (C:) に格納されます。このパーティションは、バッテリ バックアップおよびキャッシュを備えた RAID (Redundant Array of Independent Disks) コントローラによってホストされます。この容量の要件は小さくて済みます (数 MB の範囲)。
エッジ トランスポート サーバーの容量は、2 つの手順からなるプロセスで決定されます。最初にデータベースのサイズを計算し、次にトランザクション ログのサイズを決定します。
手順 1: データベースのサイズ
24 時間に毎秒平均 5 つのメッセージ (平均サイズ 50 KB) を受信するエッジ トランスポート サーバーで、キューの最大サイズが 500,000 アイテムの場合を考えます。他のすべての要素を加えた後で 20% のオーバーヘッドを追加すると、次の図に示すようにディスクの合計サイズは 58 GB になります。
データベースのサイズ
キューの最大サイズ | キューの容量 | プロトコル ログ | メッセージ追跡ログ | ウイルス対策の検疫 | 接続ログ | エージェント ログ | 空き容量 | ディスク上の合計サイズ |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
500,000 |
約 25 GB (500,000 × 50 KB) |
15 GB |
1.3 GB |
1 GB |
600 MB |
1.5 GB |
4 GB |
58 GB (48 GB + 20%) |
手順 2: トランザクション ログのサイズ
トランザクション ログのサイズを決定するには、メッセージごとのトランザクション I/O、他のディスク I/O、およびデータベースの 1 秒あたりの I/O (IOPS) を考慮する必要があります。
トランザクション I/O
サーバーで十分な量のメモリが利用可能であれば、受信メールは RAM とトランザクション ログに格納され、ディスクへの影響は最小となります。メモリ リソースが少ない場合、メッセージの最初の 128 KB のみがメモリとトランザクション ログに格納されます。メッセージの残りの部分はデータベースに格納されます。コンテンツ変換時に、データは処理のために一時的な場所に送られます。この一時的な場所は、EdgeTransport.exe.config ファイル内の TemporaryStoragePath 設定で指定します。既定では、TemporaryStoragePath 値は "C:\Program Files\Microsoft\Exchange Server\TransportRoles\data\Temp" に設定されます。
注 : |
---|
既定では、EdgeTransport.exe.config ファイルは %ProgramFiles%\Microsoft\Exchange Server\Bin フォルダにあります。 |
一時ディレクトリはデータベースと同じ LUN に置くことが重要です。また、記憶域コントローラのキャッシュは、50% を読み取りに、50% を書き込みに設定することが重要です。拡張している大規模なキューがない場合、ディスク I/O は少なく、それらは読み取りの動作です。キューが存在している場合、メッセージはデータベースのキャッシュに存在しない可能性があり、結果としてより多くのディスク I/O が必要になります。
他のディスク I/O
トランザクション I/O に加えて、システムに他のディスク I/O が発生する場合があります。以下に例を示します。
- メッセージ追跡ログを有効にすると、追加で 2 ~ 5% のディスク I/O のオーバーヘッドが必要になります。
- プロトコル ログと接続ログを有効にすると、受信メールの量にもよりますが、ディスク I/O に少量のオーバーヘッドが発生します。
- 既定のエージェント ログを有効にすると、ディスク I/O に少量のオーバーヘッドが発生します。ただし、カスタム エージェントが使用されている場合、より多くのディスク リソースが必要な可能性があります。
- スパム対策とウイルス対策の動作はメモリ内で実行され、より多くの CPU リソースを必要とします。
テスト時には、運用環境で使用する予定のエッジ トランスポート サーバーのすべてのサービスを必ずテストするようにしてください。
メッセージあたりのデータベース IOPS
Microsoft での内部テスト時には、メッセージの平均サイズとして 60 KB が使用されました。ほとんどの組織では、毎秒 20 メッセージなど、特定のメッセージ率を想定してトランスポート サーバーのサイズを決定します。このメッセージ率では、140 回 (20 × (4.5 + 2.5)) のデータベース I/O と、220 回 (20 × 11) のログ I/O が必要です。
キューが形成されるときは、特に RAID-1/0 の場合に、より多くの読み取りが必要となります。これは、次の表に示すように、すべての物理ディスクが読み取り要求に応答するためです。
メッセージあたりのデータベース IOPS
エッジ トランスポート データベース I/O (安定状態) | エッジ I/O のおおよその回数 |
---|---|
メッセージあたりの合計 IOPS (メッセージは約 60 KB) |
18 |
メッセージあたりのログ書き込み I/O (シーケンシャル) |
11 |
メッセージあたりのデータベース書き込み I/O (ランダム) |
4.5 |
メッセージあたりのデータベース読み取り I/O (ランダム) |
2.5 |
注 : |
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この表の数値は、運用環境にある多くのサーバーの平均値であり、最大で上下 30% の幅で変動があります。ジャーナリングやトランスポート ルールなどの追加機能を使用することによっても、メッセージあたりの I/O の予測値に影響を与えます。よって、それらの機能はこのトピックに示されている運用環境での数値の例にも影響を与えます。 |
エッジ トランスポート サーバーのハードウェア設計に対するサイズのガイドラインの適用
エッジ トランスポート サーバーの容量とトランザクション I/O の要件を決定したら、提案されているハードウェア設計にそれらの要件を適用できます。プロセッサとメモリの構成については、「プロセッサ構成の計画」および「メモリの構成の計画」を参照してください。エッジ トランスポート サーバーを設計するときは、キューに入れられたメッセージの本文がディスクに一時的にキャッシュされることを防止するため、システムに十分な RAM を搭載することが重要です (メッセージあたり 8 ~ 9 KB のメモリが必要です)。
エッジ トランスポート サーバーは Extensible Storage Engine (ESE) データベースを使用します。大きなキューが存在する環境で回復性および最良のパフォーマンスを確保するためには、ログとデータベース ファイルをそれぞれ別の物理ディスクに分離することが重要です。より小規模な展開でディスク I/O の要件が低い場合は、トランザクション ログとデータベースの両方を同じ LUN に置くこともできます。エッジ トランスポート サーバーでは、メールボックス サーバーと同様に、I/O 応答時間が 20 ミリ秒未満である必要があります。
バッテリ バックアップおよびキャッシュを備えた RAID コントローラを使用し、データベースの保守を夜間に実行することが重要です。また、容量とパフォーマンスの適切なバランスがとれている種類のディスクを選択するようにしてください。
エッジ トランスポート サーバーのハードウェア設計におけるサイズ決定の例
この例では、予測される 1 秒あたりのメッセージ数に基づいて記憶域を設計する方法を示しています。この例では、エッジ トランスポート サーバーが毎秒 20 メッセージを処理し、データベースの LUN で 140 IOPS、ログの LUN で 220 IOPS を必要とします。通常より負荷の大きい日に対応できるようにするため、ディスク I/O パフォーマンスには必ず 20% の付加要素を加えるようにます。ディスクのレイアウトは RAID10 です。ハードウェアのサイズ決定の結果については、次の表を参照してください。
ハードウェアのサイズ決定
ディスク (1) および (2)、RAID1 レイアウト | ディスク (3)、(4)、(5)、および (6)、RAID10 レイアウト |
---|---|
オペレーティング システムとトランザクション ログ 220 + 20% = 264 IOPS |
データベース ログ、プロトコル ログ、メッセージ追跡ログ、およびウイルス対策の検疫 140 + 20% = 168 IOPS |
この例では、データベースの LUN の容量の要件は、1 週間分のデータで約 70 GB としています。2 週間分のデータが必要な場合は、容量の要件を倍の 140 GB にする必要があります。146 GB の物理ディスクを使用した RAID10 構成では、292 GB の LUN が利用できます。
ハブ トランスポート サーバーの容量と I/O の要件
ハブ トランスポート サーバーも同様に、組織の容量とトランザクション I/O の要件を満たすように設計する必要があります。エッジ トランスポート サーバーの場合と同様に、メッセージ キュー データベースを含むドライブには、少なくとも 500 MB の空きディスク容量とデータベース容量の空きが必要です。空き容量が足りない場合、トランスポート システムはバック プレッシャをアクティブにします。ハブ トランスポート サーバーの PercentageDatabaseDiskSpaceUsedHighThreshold パラメータの既定値は変更できます。
注 : |
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RTM 版の Exchange Server 2007 では、空き容量が 4 GB を下回ると、トランスポート システムはバック プレッシャをアクティブにします。Microsoft Exchange 2007 Service Pack 1 (SP1) では、このしきい値が 500 MB に減りました。 |
メッセージ追跡ログの容量は、トランスポート サーバーが受信するメッセージ数によって異なります。組織が現在 Exchange 2003 を使用している場合、現在のログ生成率を判断して、データを保存する日数のハード制限を設定します。たとえば 10 日などに設定できます。Microsoft では、平日にはハブ トランスポート サーバー上で 700 MB のメッセージ追跡ログが生成されます (週末にはこれより少なくなります)。この値から、1 週間分のログに十分な容量 (約 4.5 GB) を確保しています。
プロトコル ログのサイズは、処理によって異なります。Microsoft では、平日にはハブ トランスポート サーバー上で 1 日あたり 2.7 GB のプロトコル ログが生成されます。この値から、1 週間分のログに十分な容量 (約 16 GB) を確保しています。
トランザクション ログはそれほど多くのディスク容量を必要としません。これは、通常のログの生成は循環ログの使用によって制限されているためです。このため、トランザクション ログは、オペレーティング システムが格納されている LUN 上に置くことができます。Microsoft では、この LUN 用に、2 台のディスクによるミラーを使用しています。
データベース (mail.que) はアイテムを無期限に格納するわけではなく、予約する容量は平均メッセージ サイズとキューの最大サイズを掛けた値にする必要があります。この場合、キューが最大サイズに到達すると、サーバーはシャットダウンされます。500,000 アイテムのキューで、平均メッセージ サイズが 50 KB とすると、データベースのデータは約 25 GB です。
ほとんどのハブ トランスポート サーバーの展開では、他のすべての要素を考慮した後で、データベースのサイズに 20% のオーバーヘッドを追加することをお勧めします。
トランスポート収集
次の要素が含まれるサイトのハブ トランスポート サーバーでは、特別な考慮が必要になります。
- Exchange Server 2007 RTM または Exchange 2007 SP1 を使用して、クラスタ連続レプリケーション (CCR) 環境に展開されているクラスタ化メールボックス サーバー
- ローカル連続レプリケーション (LCR) が有効な 1 つ以上のストレージ グループを持つ、Exchange 2007 (SP1) を実行しているメールボックス サーバー
これらのいずれかの環境を展開する場合、アクティブ ノードで予期しない停止が発生した場合でもメッセージを回復できるようにするため、サイト内のすべてのストレージ グループでメールを十分な期間格納できるための容量を持つようにハブ トランスポート サーバーを設計します。この機能は、トランスポート収集と呼ばれます。
トランスポート収集の I/O オーバーヘッドは、キューの拡張と似ています。メッセージがどれだけの期間トランスポート収集に保持されるかを制御するために、MaxDumpsterSizePerStorageGroup および MaxDumpsterTime の 2 つのパラメータを使用できます。MaxDumpsterSizePerStorageGroup の既定値は 18 MB です。環境に合わせて適切なトランスポート収集のサイズを決定するには、許容される最大のメッセージ サイズに 50% を加えます。たとえば、メッセージ クォータが 10 MB であれば、MaxDumpsterSizePerStorageGroup を 15 MB に設定します。Exchange 2007 SP1 を実行している CCR 環境または LCR 環境において、クラスタ化メールボックス サーバーと同じ Active Directory ディレクトリ サービス サイト内に複数のハブ トランスポート サーバーが存在する場合、そのクラスタ化メールボックス サーバーのストレージ グループの全体の記憶域は、すべてのハブ トランスポート サーバー間で分散されます。たとえば、15 MB のトランスポート収集を持つ 4 つのハブ トランスポート サーバーがある場合、そのストレージ グループのトランスポート収集は 60 MB になります。
メッセージ サイズの制限がない組織では、MaxDumpsterSizePerStorageGroup の値を、組織内で送信されるメッセージの平均サイズの 1.5 倍に設定することをお勧めします。また、最大メッセージ サイズが設定されていない場合、CCR 環境で予期しないフェールオーバーが発生した後、または Exchange 2007 SP1 を実行している LCR 環境でパッシブ コピーがアクティブ化された後で、メッセージが復元されることは保証できません。
MaxDumpsterTime の値は、既定値である 7 日に設定することをお勧めします。
トランスポート収集によって消費される容量は、ストレージ グループの数とトランスポート収集の最大サイズを掛けた値になります。LCR (Exchange 2007 SP1) または CCR (Exchange 2007 RTM) 環境において、トランスポート収集の最大サイズが 15 MB であり、ハブ トランスポート サーバーが 100 個のストレージ グループにサービスを提供している場合、トランスポート収集に 1.5 GB を割り当てる必要があります。
トランスポート収集のサイズ決定の例
この例では、トランザクション ログはオペレーティング システムのパーティション (C:) が格納されているディスク上にあります。このパーティションは、バッテリ バックアップおよびキャッシュを備えた RAID コントローラによってホストされます。この容量の要件は小さくて済みます (数 MB の範囲)。サイズ決定の結果については、次の表を参照してください。
トランスポート収集機能に必要な容量は、2 つの手順からなるプロセスで決定されます。最初にデータベースのサイズを計算し、次にトランザクション ログのサイズを決定します。
手順 1: データベースのサイズ
24 時間に毎秒平均 5 つのメッセージを受信するハブ トランスポート サーバーで、キューの最大サイズが 500,000 アイテムの場合を考えます。
トランスポート収集のサイズ決定
キューの最大サイズ | キューの容量 | プロトコル ログ | メッセージ追跡ログ | トランスポート収集 | ディスク上の合計サイズ |
---|---|---|---|---|---|
500,000 |
25 GB (500,000 × 50 KB) |
15 GB |
4.5 GB |
1.5 GB |
55 GB (46 GB + 20%) |
手順 2: トランザクション ログのサイズ
トランザクション ログのサイズを決定するには、メッセージごとのトランザクション I/O、他のディスク I/O、およびデータベースの IOPS を考慮する必要があります。
トランザクション I/O
前に説明したエッジ トランスポート サーバーのトランザクション I/O についてのガイダンスは、ハブ トランスポート サーバーにも同様に適用されます。前に説明したように、ストレージ コントローラのキャッシュ設定は、50% を読み取りに、50% を書き込みに設定することが特に重要です。
トランスポート収集の I/O
トランスポート収集が有効な場合、ディスク I/O は増加します。データベースへの書き込みが増加し、またデータベースの読み取りも発生します。Microsoft の運用環境のサーバーでは、メッセージごとに平均約 3 回の読み取りが発生します。
他のディスク I/O
前に説明したエッジ トランスポート サーバーの他のディスク I/O についてのガイダンスは、ハブ トランスポート サーバーにも同様に適用されます。テスト時には、運用環境で使用する予定のハブ トランスポート サーバーのすべてのサービスを必ずテストすることが特に重要です。
メッセージあたりのデータベース IOPS
Microsoft の内部テストでは、平均メッセージ サイズを 40 KB としており、トランスポート収集を有効にすることによってハブ トランスポート サーバーでより多くのディスク リソースを必要としています。ほとんどの企業では、毎秒 20 メッセージなど、特定のメッセージ率を想定してトランスポート サーバーのサイズを決定します。トランスポート収集が有効な場合、毎秒 20 メッセージの受信メッセージ率でサービスを提供するには、200 回のデータベース I/O (20 × (7 + 3)) と 140 回のログ I/O (20 × 7) が必要になります。トランスポート収集が無効な場合、毎秒 20 メッセージの受信メッセージ率でサービスを提供するには、40 回のデータベース I/O (20 × 2) と 40 回のログ I/O (20 × 2) が必要になります。
キューが形成されるときは、特に RAID10 の場合に、より多くの読み取りが必要となります。これは、すべての物理ディスクが読み取り要求に応答するためです。詳細については、次の表を参照してください。
トランザクション ログのサイズ決定
ハブ トランスポート サーバーのデータベース I/O (安定状態) | トランスポート収集が有効な場合 | トランスポート収集が無効な場合 |
---|---|---|
メッセージあたりの合計 IOPS (メッセージは約 40 KB) |
17 |
4 |
メッセージあたりのログ書き込み I/O (シーケンシャル) |
7 |
2 |
メッセージあたりのデータベース書き込み I/O (ランダム) |
7 |
2 |
メッセージあたりのデータベース読み取り I/O (ランダム) |
3 |
0 |
注 : |
---|
この表の数値は、運用環境にある多くのサーバーの平均値であり、最大で上下 30% の幅で変動があります。ジャーナリングやトランスポート ルールなどの追加機能を使用することによって、メッセージあたりの I/O の予測値に影響を与えます。よって、これらの機能はこの例の値にも影響を与えます。 |
ハブ トランスポート サーバーのハードウェア設計に対するサイズのガイドラインの適用
ハブ トランスポート サーバーの容量とトランザクション I/O の要件を決定したら、提案されているハードウェア設計にそれらの要件を適用できます。ハブ トランスポート サーバーのプロセッサとメモリの構成については、「プロセッサ構成の計画」および「メモリの構成の計画」を参照してください。ハブ トランスポート サーバーを設計するときは、キューに入れられたメッセージの本文がディスクに一時的にキャッシュされることを防止するため、システムに十分な RAM を搭載することが重要です (メッセージあたり 8 ~ 9 KB のメモリが必要です)。
ハブ トランスポート サーバーは ESE データベースを使用します。大きなキューが存在する環境、またはトランスポート収集を使用する環境で最良のパフォーマンスを確保するためには、ログとデータベース ファイルをそれぞれ別の物理ディスクに分離することが重要です。より小規模な展開でディスク I/O の要件が低い場合は、トランザクション ログとデータベースの両方を同じ LUN に置くこともできます。ハブ トランスポート サーバーでは、エッジ トランスポート サーバーと同様に、I/O 応答時間が 20 ミリ秒未満である必要があります。
ハブ トランスポート サーバーのハードウェア設計におけるサイズ決定の例
予測される 1 秒あたりのメッセージ数に基づいて記憶域を設計することが重要です。この例では、ハブ トランスポート サーバーはトランスポート収集が無効な状態で毎秒 20 メッセージを処理し、データベースの LUN で 40 IOPS、ログの LUN で 40 IOPS を必要とします。通常より負荷の大きい日に対応できるようにするため、ディスク I/O パフォーマンスには必ず 20% の付加要素を加えるようにます。ディスクのレイアウトは RAID1 です。この例では、データベースの LUN の容量の要件は、1 週間分のデータで約 55 GB としています。2 週間分のデータが必要な場合は、容量の要件を倍の 110 GB にする必要があります。140 GB の物理ディスクを使用し、データベースの LUN に RAID1 構成の 140 GB、ログの LUN に RAID1 構成の 140 GB を使用しています。結果については、次の表を参照してください。
トランスポート収集が無効な状態で毎秒 20 メッセージを処理するハブ トランスポート サーバーのハードウェアのサイズ決定
ディスク (1) および (2)、RAID1 レイアウト | ディスク (3) および (4)、RAID1 レイアウト |
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オペレーティング システムとトランザクション ログ 40 + 20% = 48 IOPS |
データベース ログ、プロトコル ログ、メッセージ追跡ログ、およびウイルス対策の検疫 40 + 20% = 48 IOPS |
次の例では、ハブ トランスポート サーバーはトランスポート収集が有効な状態で毎秒 20 メッセージを処理します。この構成では、データベースの LUN に 200 IOPS、ログの LUN に 140 IOPS を必要とし、さらに付加要素として 20% を追加する必要があります。ディスクのレイアウトは RAID10 です。この例では、データベースの LUN の容量の要件は、1 週間分のデータで約 55 GB としています。2 週間分のデータが必要な場合は 110 GB です。140 GB の物理ディスクを使用し、データベースの LUN に RAID10 構成の 280 GB、ログの LUN に RAID1 構成の 140 GB を使用しています。
トランスポート収集が有効な状態で毎秒 20 メッセージを処理するハブ トランスポート サーバーのハードウェアのサイズ決定
ディスク (1) および (2)、RAID1 レイアウト | ディスク (3)、(4)、(5)、および (6)、RAID10 レイアウト |
---|---|
オペレーティング システムとトランザクション ログ 140 + 20% = 168 IOPS |
データベース ログ、プロトコル ログ、メッセージ追跡ログ、およびウイルス対策の検疫 200 + 20% = 240 IOPS |
参照している情報が最新であることを確認したり、他の Exchange Server 2007 ドキュメントを見つけたりするには、Exchange Server TechCenter を参照してください。