Exchange データベース用の名前付きプロパティまたはレプリカ識別子が消耗したときに受信するイベント 9666、9667、9668、および 9669
トピックの最終更新日: 2012-04-26
ここでは、Exchange サーバーのアプリケーション ログに記録される可能性があるイベント 9666、9667、9668、および 9669 について説明します。これらのイベントは、メールボックス サーバーの役割をインストールした Exchange サーバー上のデータベースで、名前付きプロパティまたはレプリカ識別子が最大制限に近づくか、達するとログに記録されます。名前付きプロパティとレプリカ識別子の詳細については、「Exchange データベースに対する名前付きプロパティとレプリカ識別子の制限値の影響について」を参照してください。
警告イベント 9666 および 9668
新しい名前付きプロパティまたはレプリカ識別子がメールボックスまたはパブリック フォルダ データベース用に作成され、クォータ警告しきい値に達すると、警告イベント 9666 または 9668 がイベント ログに記録されます。しきい値警告は、構成されているクォータよりもエントリが 20 少なくなります。名前付きプロパティまたはレプリカ識別子が正しく作成されます。この場合、アプリケーション ログに次のイベントの一方または両方が示されます。
イベント ID : 9666
種類 : 警告
カテゴリ : 全般
ソース : msgidNamedPropsQuotaWarning
説明 : データベース "<データベース名>" 用に作成された名前付きプロパティの数がクォータ制限値に近づいています。現在の名前付きプロパティの数 : <名前付きプロパティの数>。名前付きプロパティに対するクォータ制限値 : <構成されたクォータ>。名前付きプロパティの作成を試みたユーザー : <ユーザー名>。名前付きプロパティの GUID : <名前付きプロパティの GUID>。名前付きプロパティの名前または ID : <名前付きプロパティの名前>。重要 : 認証されている名前付きプロパティと認証されていない名前付きプロパティでは、制限値が異なります。イベント 9666 では、両方の種類の名前付きプロパティについてログに記録されます。使い果たされる名前付きプロパティのプールを特定するために、サーバーのレジストリ内の構成値をイベントの説明に関連付ける必要があります。 イベント ID : 9668
種類 : 警告
カテゴリ : 全般
ソース : msgidReplidsQuotaWarning
説明 : データベース "<データベース名>" 用に作成されたレプリカ識別子の数がクォータ制限値に近づいています。現在のレプリカ識別子の数 : <レプリカ識別子の数>。レプリカ識別子に対するクォータ制限値 : <構成されたクォータ>。レプリカ識別子の作成を試みたユーザー : <ユーザー名>。
エラー イベント 9667 および 9669
データベースが名前付きプロパティまたはレプリカ識別子のクォータ制限値に達し、新しい名前付きプロパティまたはレプリカ識別子の作成が試行された場合、エラー イベント 9667 または 9669 がイベント ログに記録されます。名前付きプロパティまたはレプリカ識別子が正しく作成されません。この場合、アプリケーション ログに次のイベントの一方または両方が示されます。
イベント ID : 9667
種類 : エラー
カテゴリ : 全般
ソース : msgidNamedPropsQuotaError
説明 : 名前付きプロパティの数がクォータ制限値 (<構成されたクォータ>) に達したため、データベース "<データベース名>" の新しい名前付きプロパティを作成できませんでした。名前付きプロパティの作成を試みたユーザー : <ユーザー名>。名前付きプロパティの GUID : <名前付きプロパティの GUID>。名前付きプロパティの名前または ID : <名前付きプロパティの名前>。重要 : 認証されている名前付きプロパティと認証されていない名前付きプロパティでは、制限値が異なります。イベント 9667 では、両方の種類の名前付きプロパティについてログに記録されます。使い果たされる名前付きプロパティのプールを特定するために、サーバーのレジストリ内の構成値をイベントの説明に関連付ける必要があります。 イベント ID : 9669
種類 : エラー
カテゴリ : 全般
ソース : msgidReplidsQuotaError
説明 : レプリカ識別子の数がクォータ制限値 (<構成されたクォータ>) に達したため、データベース "<データベース名>" の新しいレプリカ識別子を作成できませんでした。レプリカ識別子の作成を試みたユーザー : <ユーザー名>。
また、Microsoft Office Outlook などの MAPI クライアントにより名前付きプロパティの作成が試行された場合、0x80040900 (10 進数では -2147219200) のエラー コードが返されることがあります。このエラー コードは MAPI_E_NAMED_PROP_QUOTA_EXCEEDED に対応します。このエラーは、通常、ユーザーが新しいメッセージを送信する場合や、ユーザーの [下書き] フォルダに新しいメッセージを保存しようとする場合に発生します。
解決方法
データベースが名前付きプロパティまたはレプリカ識別子に対するクォータの構成値に達した状況から回復する方法は比較的簡単です。データベースが 32,766 の絶対最大値に達する場合、回復プロセスはより複雑になり、Exchange 環境により大きな悪影響を及ぼします。
開始する前に
この手順を実行するには、使用するアカウントに以下が委任されている必要があります。
- Exchange サーバー管理者の役割および対象サーバーのローカルの Administrators グループ
Microsoft Exchange Server 2007 を管理するために必要なアクセス許可、役割の委任、および権限の詳細については、「アクセス許可に関する考慮事項」を参照してください。
名前付きプロパティまたはレプリカ識別子の構成されたクォータに達した状況からの回復
警告イベント 9666 または 9668 を受信している場合、Exchange 運用環境の中断を防止するために名前付きプロパティまたはレプリカ識別子の構成されたクォータを増やすことができます。この構成では、データベースのマウントの解除と再マウントが必要になるため、可能な限り早期に変更管理プロセスで保守ウィンドウをスケジュールする必要があります。エラー イベント 9667 または 9669 を受信している場合、ユーザーに既にエラーが発生している可能性が高く、緊急の保守作業を実施して、構成されたクォータを増やす必要があります。名前付きプロパティおよびレプリカ識別子のクォータを増やす方法の詳細については、「Exchange 2007 データベースの名前付きプロパティとレプリカ識別子の制限を構成する方法」を参照してください。
重要 : |
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32,766 エントリのハード制限までクォータを増やさないでください。名前付きプロパティまたはレプリカ識別子のどちらかの既定のクォータを増やす必要がある場合には、この状況の根本的な原因を特定し、名前付きプロパティまたはレプリカ識別子が最大制限値に到達できないようにする必要があります。 |
名前付きプロパティまたはレプリカ識別子の 32,766 エントリのハード制限に達した状況からの回復
データベース用のすべての名前付きプロパティまたはレプリカ識別子を使い果たす場合、回復プロセスを実行する必要があります。これは、Exchange 環境に悪影響を及ぼします。
メールボックス データベースを回復するには、次の操作を行います。
同じサーバー上、またはメールボックス サーバーの役割をインストールした別の Exchange サーバー上に、新しいメールボックス データベースを作成します。
回復する必要のあるデータベースからすべてのメール ボックスを新しいメールボックス データベースに移動します。
回復する必要のあるメールボックス データベースが置かれた Exchange サーバー上で、次の操作を行います。
- 回復する必要のあるメールボックス データベースのマウントを解除します。
- 回復する必要のあるメールボックス データベースに対応するデータベース ファイルを削除します。
- メールボックス データベースをマウントします。これにより、メールボックス データベース用の空のデータベース ファイルが作成されます。
回復した空のメールボックス データベースにすべてのメールボックスを戻します。
パブリック フォルダ データベースを回復するには、次の操作を行います。
メールボックス サーバーの役割をインストールした別の Exchange サーバー上に、新しいパブリック フォルダ データベースを作成します。
回復する必要のあるパブリック フォルダ データベースと、作成した新しいパブリック フォルダ データベースとの間でレプリケーションを構成します。パブリック フォルダ レプリケーションの構成の詳細については、「パブリック フォルダ レプリケーションを構成する方法」を参照してください。
重要 : パブリック フォルダのレプリケーションを既に構成している場合には、名前付きプロパティを使い果たしハード制限に達するアイテムが組織内の他のパブリック フォルダ データベースにも含まれている可能性があります。この状況から回復するには、パブリック フォルダのエージングを構成する必要があります。これにより、アクセスされていない名前付きプロパティを消費している古いコンテンツが削除されます。代わりに、パブリック フォルダ データベースのコンテンツを複数のパブリック フォルダ データベースに分散することもできます。 すべてのコンテンツをレプリケートした後、回復する必要のあるパブリック フォルダ データベースが置かれた Exchange サーバーで、次の操作を行います。
- パブリック フォルダ データベースのマウントを解除します。
- 回復する必要のあるパブリック フォルダ データベースに対応するデータベース ファイルを削除します。
- パブリック フォルダ データベースをマウントします。これにより、パブリック フォルダ データベース用の空のデータベース ファイルが作成されます。
回復したパブリック フォルダ データベースにコンテンツをレプリケートできるようにします。
推奨されるフォローアップの作業
名前付きプロパティまたはレプリカ識別子の消耗から回復した後、名前付きプロパティまたはレプリカ識別子の使用回数が増加した理由を検証する必要があります。まず、パフォーマンス モニタを使用して、お使いの環境で名前付きプロパティとレプリカ識別子の作成速度を詳しく監視する必要があります。
パフォーマンス モニタを使用して、お使いの環境で名前付きプロパティとレプリカ識別子の作成速度を詳しく監視するには、次の操作を行います。
監視する必要のある Exchange サーバーで、追加の Microsoft Exchange Information Store サービスのログ機能を有効にします。追加の Microsoft Exchange Information Store のログ機能を有効にする方法の詳細については、マイクロソフト サポート技術情報の記事 254606「XADM: 有効追加情報へどのようにログを保存しますか。」を参照してください。
パフォーマンス モニタを使用して、パフォーマンス カウンタの値を取得します。パフォーマンス モニタを使用する方法の詳細については、サーバー パフォーマンスの監視についてのページを参照してください (このサイトは英語の場合があります)。次のパフォーマンス カウンタの値を取得します。
- NamedProps テーブルの MSExchangeIS Mailbox\Rows
- ReplidMap テーブルの MSExchangeIS Mailbox\Rows
- NamedProps テーブルの MSExchangeIS Public\Rows
- ReplidMap テーブルの MSExchangeIS Public\Rows
取得したパフォーマンス データを分析して、傾向を特定し、時間の経過に伴うカウンタの増加とネットワーク上の活動との相関関係を見つけます。
根本的な原因を特定できない場合、およびサーバー上で作成される名前付きプロパティとレプリカ識別子が増加し続ける場合は、Microsoft カスタマー サポートに連絡してください。サポートへの連絡方法の詳細については、マイクロソフト サポート オンラインを参照してください。
詳細情報
データベースの管理の詳細については、「ストレージ グループとデータベースの管理」を参照してください。
Exchange 2007 のセキュリティ機能と保護機能の詳細については、「セキュリティと保護」を参照してください。
参照している情報が最新であることを確認したり、他の Exchange Server 2007 ドキュメントを見つけたりするには、Exchange Server TechCenter を参照してください。