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Outlook 2007 展開の概要

更新日: 2009年4月

適用対象: Office Resource Kit

 

トピックの最終更新日: 2009-04-02

組織のメッセージング要件を綿密に確認することで、Microsoft Office Outlook 2007 の最適な展開を計画できます。ここでは、Office Outlook 2007 を展開するときに考慮する必要のある問題の概要を示します。Office Resource Kit のその他のトピックでは、ほとんどの分野について詳細に説明しています。トピックの一覧は「参照」にまとめてあります。

組織のニーズを判断する

組織のメッセージング環境により、Office Outlook 2007 の展開の方針が決まります。考慮する要素として、Outlook をアップグレードするのか、初めてインストールするのか、移動ユーザーまたはリモート ユーザーについて計画するのか、これらの要素とその他の要素を組み合わせて選択するのか、などがあります。

アップグレードまたは初めてのインストール

以前のバージョンの Outlook から Office Outlook 2007 にアップグレードする場合は、以前の設定を移行するかどうか、ユーザー プロファイルを変更するかどうか、および新しいカスタマイズ オプションを使用するかどうかを考慮します。Office カスタマイズ ツール (OCT) には、ユーザーの現在の設定を移行したり、新しい Microsoft Exchange サーバーの定義または新しい機能のカスタマイズなど、その他のカスタマイズを行ったりするためのオプションがあります。ユーザーの設定は、セキュリティの設定を除き、既定で自動的に移行されます。

クライアント コンピュータに Outlook を初めて展開する場合、各ユーザーには、電子メール メッセージング サーバーの接続やその他の重要な Outlook 設定に関する情報を保存するための Outlook プロファイルが必要です。ユーザーのプロファイル設定を定義するには、Office カスタマイズ ツールを使用するか、Outlook プロファイル (PRF) ファイルを展開します。

データを移行する

組織で Outlook 以外のメール クライアントを使用している場合、そのメール クライアントから Office Outlook 2007 にデータを移行する必要がある可能性があります。Outlook で用意されているインポータ (Eudora Light 用など) を利用すると便利です。インポータは自動的に実行されるように構成できません。システム管理者がインポータを使用して、各ユーザーのデータを個別に移行します。

リモート ユーザーと移動ユーザー

リモート ユーザーと移動ユーザーに Outlook を展開したり、同じコンピュータを共有している複数のユーザーに対して Outlook を設定したりするには、特別なカスタマイズが必要です。

リモート ユーザーには、Outlook Anywhere (RPC over HTTP) 機能や Exchange キャッシュ モード機能を構成できます。通信速度の遅い接続または安定性の低い接続を介して Outlook を使用している場合は、これらの機能により、ユーザーの操作性が向上します。Outlook Anywhere を使用すると、仮想プライベート ネットワーク (VPN) 接続を使用せずに、インターネット (HTTP) から組織内の Exchange サーバーに安全に接続できるように構成できます。Exchange キャッシュ モードは、ユーザーのメールボックスのローカル コピーを使用する Outlook の機能です。この機能を使用すると、ユーザーは、ネットワークに接続しているか、オフラインで作業しているかに関係なく、より信頼性の高い方法で Outlook データにアクセスできます。

移動ユーザーは、移動先の各コンピュータで同じメッセージング環境を持つ必要があります。これには、オペレーティング システムの種類とバージョン、Outlook のバージョン、コンピュータ上の Outlook のインストール場所などが含まれます。

複数のユーザーが同じコンピュータを共有している場合は、Microsoft Windows オペレーティング システムのログオン機能を使用して、ユーザーのログオン検証を管理します。各ユーザーが同じバージョンの Outlook を実行して、共有ファイル間で競合が発生しないようにします。同じコンピュータ上で、あるバージョンの Outlook を使用して、別のバージョンの Outlook によって共有されているファイル フォルダにファイルを書き込もうとすると、競合が発生する可能性があります。同じコンピュータ上で複数の Outlook ユーザーを設定する方法の詳細については、Outlook のヘルプ トピック「他のユーザーと共有しているコンピュータで Outlook を使用する」を参照してください。

多言語の要件

2007 Microsoft Office system には、国際的環境または多言語環境で展開するための幅広いサポートが用意されています。2007 Office system 製品は、特定の言語に依存しないコア パッケージと、1 つ以上の言語固有のパッケージで構成されています。各言語バージョンに含まれている校正ツールに加え、その他の言語の校正ツールをダウンロードして展開すれば、多言語のグループはさまざまな言語でファイルを操作、編集できます。

Office Outlook 2007 は、製品全体で Unicode をサポートしているので、多言語の組織は多言語の環境でメッセージやその他の情報をシームレスに交換できます。

クライアントとメッセージング サーバーのプラットフォーム

Office Outlook 2007 の一部の機能 (Exchange キャッシュ モードなど) を使用するには、メッセージング プラットフォームとして Microsoft Exchange Server が必要です。Office Outlook 2007 は以前のバージョンの Exchange と連携できますが、Office Outlook 2007 の一部の機能は特定バージョンの Exchange が必要です。この理由に加え、Office Outlook 2007 では他の機能についても Exchange との統合が強化されていることから、Office Outlook 2007 を最新バージョンの Exchange と組み合わせることで、最適な効果を上げることができます。

Office Outlook 2007 の展開のカスタマイズに関する決定事項は、使用している Exchange Server のバージョンによって異なります。現在メッセージング サーバーとして Exchange Server を使用しており、Exchange 2003 またはそれ以降にアップグレードしていない場合は、Office Outlook 2007 の展開の時期に合わせて Exchange Server をアップグレードすることを検討してください。Office Outlook 2007 と組み合わせて使用するには、Exchange Server 2000 またはそれ以降が必要です。

Outlook をインストールする時期と方法を選択する

Office Outlook 2007 をインストールする時期と方法には、いくつかの選択肢があります。たとえば、以下に示すどの選択肢が組織にとって最適かを検討してください。

  • 複数のユーザー グループについて Outlook を段階的または一度にインストールあるいはアップグレードする。

  • Outlook をスタンドアロン アプリケーションとしてインストールする。

  • 2007 Office system のインストール前、インストール時、またはインストール後に Outlook をインストールする。

各組織は環境が異なるので、Office Outlook 2007 へのアップグレード時期に関する決定も異なってきます。たとえば、組織内には、Outlook のアップグレードを担当するメッセージング グループと、その他の Office アプリケーションの展開を計画する別のグループがあるとします。この場合、2 つのグループ間で展開を調整するよりも、他の Office アプリケーションとは別に Outlook をアップグレードした方が簡単であることがあります。

[!メモ] Office Outlook 2007 を以前のバージョンの Outlook と共存させることはできません。以前のバージョンを使用する必要がある場合は、Office Outlook 2007 をインストールしないでください。

Outlook の設定とプロファイルをカスタマイズする

Outlook のインストールは、Outlook のユーザー設定とプロファイルを 2 つの方法で処理できるようにカスタマイズできます。以下の処理を実行できます。

  • Outlook のユーザー設定を Office カスタマイズ ツール (OCT) で指定する。

  • 新しいまたは既存の Outlook プロファイルを管理するためのオプションを OCT で指定するか、Outlook プロファイル (PRF) ファイルを使用する。

たとえば、既存の Outlook ユーザーに対しては現在のプロファイルと設定を移行できるようにする一方で、新しい Outlook ユーザーに対しては既定のプロファイルと設定を定義します。既存のプロファイルに変更を加えて、新しい Outlook ユーザー用の新しい既定のプロファイルにすることもできます。

OCT を使用して Outlook をカスタマイズするとき、選択した内容とインストールに関するその他の基本設定は、セットアップ中に適用されるカスタマイズ ファイルに保存します。後で設定とプロファイル情報を更新するときは、OCT でカスタマイズ ファイルを開き、新しいコピーを保存します。

購読およびその他の共有機能を構成する

Office Outlook 2007 には、新しいコンテンツ ソースを簡単に購読できる新しい機能が含まれ、その機能を組織内外のユーザーと共有できます。コンテンツ ソースには、Windows SharePoint Services 3.0 (WSS) の連絡先、タスク、予定表、ローカルの予定表インターネット ベースの予定表 (iCalendar) などがあります。

Really Simple Syndication (RSS) は、もう 1 つの共有機能で、シンジケート コンテンツの内部ソースまたはインターネット ベース ソース (XML ファイル) をユーザーが購読できるようにして、サイトで新しい情報をチェックする手間を解消します。他にも、特定の RSS フィードや予定表購読をユーザーに対して展開したり、購読やコンテンツをユーザー間で共有する方法を管理するための設定を構成したり、ユーザーが所有するデータのコピーをサーバーで更新する頻度を指定したりできます。

Outlook を Terminal Services と組み合わせて使用する

Microsoft Terminal Services を使用すると、Office Outlook 2007 の 1 つのコピーを Terminal Services コンピュータにインストールできます。Outlook をローカルで実行する代わりに、複数のユーザーがサーバーに接続し、そのサーバーで Outlook を実行します。

Outlook を Terminal Services と組み合わせて使用して最適な結果を得るには、Outlook の構成をどのようにカスタマイズするかに細心の注意を払います。たとえば、Exchange キャッシュ モードを Terminal Services と組み合わせて構成することはできません。同じ Terminal Services コンピュータで提供されている他のアプリケーションを含む環境で、Outlook がその構成要素になっている場合があります。

Collaboration Data Object の依存関係

Collaboration Data Object (CDO) は、ローカルでダウンロードしてインストールする必要があります。CDO は、「Collaboration Data Objects Version 1.2.1 (英語)」からダウンロードできます。

セキュリティとプライバシーの考慮事項

Outlook には、セキュリティとプライバシーに関連する機能が多数組み込まれています。

新しい Office セキュリティ センター

新しい 2007 Office system セキュリティ センターは、セキュリティとプライバシーのオプションを管理する主要な場所を提供します。以前のバージョンの Office で使用されていた [最高]、[高]、[中]、および [低] の各セキュリティ レベルは、より合理化されたセキュリティ システムに置き換えられています。

詳細については、「2007 Office system のセキュリティの概要」を参照してください。

ユーザーのためにウイルスや迷惑メールを遮断する

Office Outlook 2007 には、ウイルスの拡散を最小限に抑え、ユーザーが迷惑メールを受け取らないようにするための機能が組み込まれています。

Office Outlook 2007 では、グループ ポリシーを使用してウイルス対策およびその他のセキュリティ設定を構成して、組織のニーズをサポートできます。Outlook セキュリティ テンプレートを使用すれば、以前にリリースした Outlook で提供されていた設定を構成することもできます。どの構成方法でも、電子メール メッセージでブロックするファイルの種類の一覧を変更できます。

ウイルスが Outlook アドレス帳を使用して自己増殖することを防ぐための Object Model (OM) Guard が更新されました。Outlook では、最新のウイルス対策ソフトウェアをチェックして、アドレス帳へのアクセスの警告やその他の Outlook のセキュリティ警告をいつ表示するのかを指定できます。

Office Outlook 2007 には、ユーザーが迷惑メールを受け取らないようにするための機能がいくつかあります。Office Outlook 2007 の迷惑メール フィルタは、以前のバージョンの Outlook でメールのフィルタに使用されていたルールに置き換わるものです。フィルタによって検出されたメッセージは [迷惑メール] フォルダに振り分けられ、後で表示または削除できます。Office Outlook 2007 には、迷惑メール フィルタで有効な電子メール メッセージを判別できるようにするための、新しい消印機能が組み込まれています。

迷惑メールの送信者は、外部コンテンツを含む HTML 電子メール メッセージの中に Web ビーコンを埋め込む可能性があります。そのような電子メールをユーザーが開いたり表示すると、ユーザーの電子メール アドレスは有効であると判断されます。これにより、さらに多くの迷惑メールを受け取る可能性が高くなります。Office Outlook 2007 では、外部サーバーからの画像の自動ダウンロードを既定でブロックすることにより、ユーザーが迷惑メールのターゲットになる可能性を軽減します。

Office Outlook 2007 では、フィッシング メールや虚偽のドメイン名によって引き起こされる問題を防止できます。Outlook では既定でフィッシング メールがスクリーン処理されます。フィッシング メールとは、安全であると思われるものの、実はユーザーの銀行の口座番号、パスワードなどの個人情報を盗むように設計された電子メールです。また、電子メール アドレスに含まれる疑わしいドメイン名に関する警告を表示することにより、虚偽のユーザーからの電子メール メッセージを排除できます。Office Outlook 2007 は、電子メール アドレスの国際化ドメイン名 (IDN) をサポートしています。IDN を使用すると、英語ではなくネイティブ言語でドメイン名を登録および使用できます。IDN のサポートは、フィッシャーによる同形異義語攻撃で利用されてしまいます。この攻撃は、英語だけでなく、さまざまな言語の文字を使用して、正規のドメイン名に類似したドメイン名を作成するものです。ユーザーを騙して安全な Web サイトにアクセスしていると思い込ませることが目的です。

暗号化の機能を構成する

Outlook には、セキュリティが強化された電子メール メッセージをインターネットまたはローカル イントラネット経由で送受信するための暗号化の機能が用意されています。Office Outlook 2007 の展開時にこれらの機能をカスタマイズして、組織にとって適切な暗号化オプションを設定できます。

電子メール メッセージのセキュリティを強化するための追加の機能を実装することもできます。たとえば、組織のセキュリティ ポリシーに合ったセキュリティ ラベルを提供できます。社外に送信または転送してはいけない電子メール メッセージに適用するセキュリティ ラベルとして、"内部使用のみ" などのラベルを実装できます。

電子メール メッセージに対する権限を制限する

Information Rights Management (IRM) を使用すると、機微な情報を含む電子メール メッセージ、およびドキュメント、ワークシートなどの他の 2007 Office system コンテンツが、権限のない人物によって転送、編集、またはコピーされることを禁止できます。Office Outlook 2007 のユーザーは IRM を使用して、電子メール メッセージに "転送不可" のマークを付けることができます。これにより、メッセージの受信者がメッセージを転送、印刷、またはコピーする権限は自動的に制限されます。また、組織のニーズに合わせてカスタマイズされた Office 全体の IRM 権限ポリシーを定義したり、電子メール メッセージや他の Office ドキュメントで使用する新しい権限ポリシーを展開したりできます。

Outlook 2007 の電子メール プロトコルと電子メール サーバー

Office Outlook 2007 は、さまざまな電子メール サーバーおよび電子メール サービスと組み合わせて使用できます。Outlook でサポートしている主な電子メール サーバーおよび電子メール サービスには以下のものが含まれます。

  • 簡易メール転送プロトコル (SMTP)

  • Post Office Protocol 3 (POP3)

  • Internet Mail Access Protocol Version 4 (IMAP4)

  • Microsoft Exchange Server (Version 2000 およびそれ以降) 用のメッセージング アプリケーション プログラミング インターフェイス (MAPI)

  • MSN、Hotmail DAV、HTTP プロトコル

  • Hewlett-Packard OpenMail、Banyan Intelligent Messaging などの他のメッセージング ソースおよび情報ソース。Office Outlook 2007 での MAPI 拡張インターフェイスの使用によって、これらのサービス プロバイダを利用できるようになります。

[!メモ] Microsoft Office Outlook Connector for IBM Lotus Domino は Microsoft Outlook 2002 Connector に置き換わるものです。Outlook のアプリケーション プログラミング インターフェイス (API) が変更されたため、現行バージョンの Outlook Connector は Microsoft Office Outlook 2007 では動作しません。マイクロソフトは、Outlook Connector に対するユーザーからの要求を引き続き調査していきますが、現在のところアップデート版のツールのリリースは予定しておりません。

ユーザーは、電子メール サーバーなしで Office Outlook 2007 を使用すると、連絡先、仕事、および予定表の各機能をスタンドアロン構成で使用できます。

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入手できるすべてのブックの一覧については、「2007 Office リソース キットのダウンロード可能なコンテンツ」を参照してください。