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レコード管理とは

この記事の内容 :

  • レコード管理システムの要素

  • レコード管理計画の概要

レコード管理システムの要素

レコードは、組織が実行した活動またはトランザクションの証拠となる、一定期間保持する必要がある、組織内のドキュメントあるいはその他の電子的または物理的エンティティです。レコード管理は、組織が以下を行うためのプロセスです。

  • レコードと見なす情報の種類を決定します。

  • レコードとなるアクティブ ドキュメントが使用中の場合、そのドキュメントをどのように処理するかを決定します。また、レコードであることが宣言された後で、それらをどのように収集するかを決定します。

  • 法律上、ビジネス上、または規制上の要件を満たすために、各レコードの種類を保持する方法および期間を決定します。

  • 技術ソリューションおよびビジネス プロセスを調査および実装して、組織が費用効果の高い非侵害的な方法で、レコード管理の義務を遵守していることを確認します。

  • 有効期限が切れたレコードの破棄、訴訟などの外部イベントに関連したレコードの検索、保護など、レコード関連のタスクを実行します。

組織内のどのドキュメントおよびその他の物理的または電子的アイテムがレコードなのかを決定することは、企業の法令遵守責任者、レコード管理者、および弁護士の責任です。組織内のすべてのエンタープライズ コンテンツを慎重に分類することにより、ドキュメントが適切な期間保持されます。レコード管理システムを適切に設計すると、組織を法的に保護し、組織における規制上の義務への遵守を示し、レコードではない期限切れアイテムの破棄を促すことにより組織の効率を向上させることができます。

レコード管理システムの要素

レコード管理システムには、以下の要素が含まれます。

  • コンテンツ分析。レコードになる可能性があるエンタープライズ内のコンテンツを記述および分類し、ソースの場所を示し、コンテンツをレコード管理アプリケーションに移動する方法を記述したものです。

  • ファイル計画。エンタープライズ内のレコードの種類ごとに、レコードとして保存する場所、それらに適用するポリシー、それらを保存する方法、それらを破棄する方法、およびそれらを管理する責任を負うユーザーを記述したものです。

  • 遵守要件ドキュメント。法令遵守を確実にするために組織の IT システムが従う必要があるルールと、エンタープライズ チーム メンバの参加を確実にするために使用する方法を定義したものです。

  • アクティブではなくなったレコードの収集方法。グループ作業サーバー、ファイル サーバー、電子メール システムなど、すべてのレコード ソースからの収集方法です。

  • レコードの監査方法 (レコードがアクティブな場合)。

  • レコードのメタデータを取得する方法。また、履歴を監査し、保存する方法。

  • レコードの破棄を保留して保持するプロセス** (訴訟などのイベントが発生した場合)。

  • レコードの処理を監視およびレポートするシステム。従業員が、定義されているポリシーおよびアクセスに従って、レコードを入力、アクセス、および管理していることを確認します。

Microsoft Office SharePoint Server 2007 には、組織の統合されたレコード管理システムおよびプロセスの実装を支援する機能が用意されています。インフォメーション ワーカーがエンタープライズのレコード管理システムにより簡単に参加できるように、2007 Microsoft Office system アプリケーション (Microsoft Office Outlook 2007、Microsoft Office Word 2007 など) にも、レコード管理慣行をサポートする機能が用意されています。

レコード管理計画の概要

ここでは、Office SharePoint Server 2007 に基づいて実装するレコード管理システムで組織のレコード管理目標を達成するために、実行する必要がある計画の手順について説明します。以下に、レコード管理計画プロセスのプレビューを示します。

  1. レコード管理ロールの特定   レコード管理を成功させるには、以下の特別なロールが必要です。

    • レコード管理者および法令遵守責任者。組織内のレコードを分類し、レコード管理プロセスを実行します。

    • IT 担当者。レコード管理を効率的にサポートするシステムを実装します。

    • コンテンツ管理者。組織情報の保存場所を指定し、チームをレコード管理慣行に準拠させます。

  2. 組織のコンテンツの分析   ファイル計画を作成する前に、レコード管理者およびコンテンツ管理者は、組織内におけるドキュメントの使用状況を調査して、どのドキュメントおよびその他のアイテムをレコードにするかを決定します。

  3. ファイル計画の作成   組織のコンテンツを分析し、保存スケジュールを決定した後で、残りのファイル計画を記入します。ファイル計画は組織ごとに異なりますが、通常は、エンタープライズでレコードであると見なすアイテムの種類を記述し、それらの保存場所を指定し、その保存期間を記述し、その他の情報 (それらを管理する責任を負うユーザー、それらが属するより幅広いレコードの分類など) を指定します。

  4. 保存スケジュールの作成   レコードの種類ごとに、アクティブ (使用中) ではなくなったと見なすタイミングと、その後の保存する方法、最終的に破棄する方法を決定します。

  5. ドキュメント管理慣行の評価と改善   ドキュメント リポジトリで適切なポリシーが適用されていることを確認します。たとえば、適切な監査がレコードと共に保存されるように、コンテンツの監査が適切に行われていることを確認します。

  6. レコード管理アプリケーションの設計   Office SharePoint Server 2007 には、レコード管理用に設計されている、レコード リポジトリという特殊なサイト テンプレートが用意されています。ファイル計画に基づいて、サイトのライブラリ、コンテンツ タイプ、ポリシー、およびそのレコード シリーズ (サイト レコード内でその種類を保存する場所を定義します) を設計します。

  7. レコード センター サイトへのコンテンツの移動方法の計画   アクティブ ドキュメントの管理とレコード管理アプリケーションの両方に Office SharePoint Server 2007 をお使いの場合は、カスタム ワークフローを作成して、ドキュメントを適切なタイミングでレコード リポジトリに移動することができます。Office SharePoint Server 2007 または外部ドキュメント管理システムをお使いの場合は、レコード リポジトリのプログラミング可能なインターフェイスに基づいて、それらのシステムからレコード リポジトリにコンテンツを移動するインターフェイスを計画および開発することができます。

  8. Microsoft Exchange の統合の計画   Microsoft Exchange Server 2007 と Office Outlook 2007 には、特別なフォルダおよびコマンドを使用して、電子メールをレコード リポジトリに移動するように設計された機能が用意されています。電子メール サーバーとして Exchange Server 2007 をお使いの場合は、電子メールを分類してレコード リポジトリに移動する方法を計画することができます。

  9. 遵守要件のレポートおよびドキュメント化の計画   組織が必要なレコード管理慣行を実施していることを確認し、これらの慣行を伝達するには、レコード管理の計画およびプロセスをドキュメント化する必要があります。エンタープライズがレコード関連の訴訟に巻き込まれた場合は、これらのレコード管理ガイドライン、実装計画、および有効性に関する基準を作成する必要があります。

このブックのダウンロード

このトピックは、簡単に読んだり印刷したりできるように、次のダウンロード可能なブックに収められています。

入手できるすべてのブックの一覧については、「Office SharePoint Server 2007 のダウンロード可能なブック」を参照してください。

関連項目

概念

レコード管理の役割を識別する (Office SharePoint Server)
ファイル計画を作成する (Office SharePoint Server)
レコード センター サイトをデザインする (Office SharePoint Server 2007)
レコードの収集方法を計画する (Office SharePoint Server)