多国語サイトを計画する

この記事の内容 :

  • 多言語に対するニーズを判別する

  • 多国語サイト展開を計画する

Microsoft Office SharePoint Server 2007 は、異なる地域のユーザーまたは異なる言語を話すユーザーをサポートする機能を備えています。こうした機能を使用すると、異なる言語で Web サイトを作成し、Web サイトに国際化ドメイン名 (IDN) をマップし、いくつかの重複サイト間でのサイトの更新と変更を追跡しやすくするサイト バリエーション設定を構成することができます。

組織でさまざまな地域のユーザーまたはさまざまな言語を話すユーザーをサポートする必要がある場合、サイトの全体的な構造とナビゲーションを計画するときに以下のことを行う必要があります。

多言語に対するニーズを判別する   それには、Web サイトでサポートするすべての言語を特定し、どのようにすれば Office SharePoint Server 2007 がさまざまな地域のユーザーまたはさまざまな言語を話すユーザーのサポートに役立つかを理解し、必要な Office SharePoint Server 2007 の多言語機能を特定します。

多言語サイト展開を計画する   それには、言語パック、オペレーティング システムの言語サポート、ワード ブレーカなど、多言語サイトをサポートするため展開する必要があるコンポーネントを識別します。

多言語に対するニーズを判別する

多言語に対するニーズを判別するには、以下のことを行う必要があります。

  • サポートが必要な言語を特定する。

  • サポートが必要な国際化ドメイン名 (IDN) を特定する。

  • サイト バリエーション機能を使用するかどうかを決定する。

必要な言語を特定する

以下のような場合、通常は複数の言語でサイトを作成する必要があります。

  • さまざまな地域のユーザーに Web サイトのコンテンツを提供する必要がある。

  • 法律または組織のポリシーに従って、複数の言語で Web サイトのコンテンツを提供する必要がある。

必要な言語を決定する場合、対象となる可能性があるすべてのサイト所有者を考慮に入れ、将来サポートが必要となる可能性があるすべての言語の一覧を作成します。サーバーが実稼働環境で実行されているときに言語サポートをインストールするより、最初の展開時に言語サポートをインストールした方が簡単です。

また、ドキュメント ライブラリに複数の言語のドキュメントがあるという理由だけで、複数の言語で Web サイトまたはサイト コレクションを作成する必要があるとは考えないでください。ドキュメント ライブラリに複数の言語のドキュメントがあっても、Web サイトまたはサイト コレクションを複数の言語で作成する必要はありません。たとえば、英語のサイト コレクション用のドキュメント ライブラリにはフランス語で書かれたドキュメントや日本語で書かれたドキュメントが入っていることがあります。

国際化ドメイン名のマッピングを決定する

国際化ドメイン名 (IDN) は ASCII 以外の文字を使用できる特殊なドメイン名です。インターネットの現在のドメイン ネーム システム (DNS) では、ASCII 以外の文字が入ったホスト名を処理できませんが、Punycode という特殊なエンコードを使用して、ASCII 以外の文字をドメイン ネーム システムで処理できる構造化された ASCII 表現に変換できます。Office SharePoint Server 2007 では、Web サイト アドレスに IDN を使用できますが、それには、代替アクセス マッピング (AAM) 機能を使用して、IDN を IDN の Punycode 表現にマップする必要があります。この操作を行うと、ユーザーは URL (Uniform Resource Locator) で ASCII 以外の文字を使用して Web サイトにアクセスできます。IDN の代替アクセス マッピングを正しく構成した場合、Office SharePoint Server 2007 では以下の場所で IDN URL がサポートされます。

  • サイトへの移動に使用されるアドレス バー

  • リンク フィールドとリッチ テキスト ボックス

  • 2007 Microsoft Office system クライアントのリンク

  • リストとドキュメント ライブラリ用に作成されたリンク

Office SharePoint Server 2007 では、デザイン機能または管理機能を備える Web ページの IDN URL をサポートしていません。たとえば、SharePoint サーバーの全体管理の IDN は指定できません。また、Office SharePoint Server 2007 では、System.Uri に文字として定義されていない双方向文字またはコンプレックス スクリプト文字などが含まれたホスト ヘッダーベースのサイト コレクションまたは URL はサポートしていません。System.Uri は、Microsoft .NET Framework 2.0 内のクラスの 1 つです。

ユーザーが IDN URL を使用して Web サイトにアクセスできるようにする場合、内部 URL (つまり、Web サイトの IDN URL) を公開 URL (つまり、インターネット用の Punycode URL) にマップする代替アクセス マッピングを構成する必要があります。代替アクセス マッピングを決定するには、以下の操作を行います。

  • 2 列構成の表を作成し、最初の列名を "内部 (IDN) URL"、2 番目の列名を "公開 (Punycode) URL" とします。

  • 使用する予定の各 IDN を最初の列に記入します。IDN の完全な一覧になるよう、すべてのサイト管理者に問い合わせてください。

  • 各 IDN の Punycode 表現を決定し、IDN の隣の 2 番目の列にその結果を入力します。ほとんどのドメイン名レジストラは、IDN をその Punycode 表現に変換する Web ベースの無料ツールを用意しています。

Office SharePoint Server 2007 を展開するとき、この表を使用して、代替アクセス マッピングを構成できます。

注意

ユーザーが IDN URL を使用して Web サイトにアクセスするには、Windows Internet Explorer 7.0 など、IDN URL をサポートする Web ブラウザを使用する必要があります。

サイト バリエーションを使用するかどうかを決定する

サイト管理者は Office SharePoint Server 2007 のバリエーション機能を使用して、ソース バリエーションのコンテンツのカスタマイズ可能なコピーを各ターゲット バリエーションに保持し、特定の対象ユーザーが異なるサイトで同じ情報を利用できるように設定できます。バリエーションはラベルから構成されます。ラベルは、サイト コレクション内にある名前付きツリーのサブサイトとページの集合です。たとえば、サイトの 4 つの言語のバリエーションが必要な場合、言語ごとに 1 つ、合計 4 つのラベルを作成する必要があります。サイト管理者はソース ラベルとするラベルを 1 つ選択します。ほとんどの新しいコンテンツはこのラベルからシステムに入ります。対応するラベルはターゲット ラベルです。多言語サイトの場合、組織の主要な言語をソース ラベルとして使用する必要があります。ソース ラベルは 1 つしか設定できません。

同期をシームレスに行うため、ソース ラベル内のページが変更されると、更新されたページがターゲット ラベルに手動でまたは自動でコピーされるように設定できます。この変更には、スペル ミスのような小さな変更もコンテンツ全体の書き換えのような大きな変更も含まれます。コピーはターゲット サイトでは新しい下書きアイテムとして表示され、既存のコンテンツとは置き換わりません。ターゲット ラベルのコンテンツ所有者が変更をそのまま受け入れるか、変更を翻訳するか、または変更を無視するかを決定します。ソース ラベルのユーザーが新しいサイトを作成するか新しいページを公開した場合も、同じ規則が適用されます。サイト管理者は、バリエーションの対応するサイトとページを自動で作成するか手動で作成するかを選択できます。

バリエーション機能の詳細については、「バリエーションを計画する」を参照してください。

多国語サイト展開を計画する

多言語サイト展開を計画するには、サーバーにインストールするか構成する必要がある言語機能とコンポーネントを特定する必要があります。たとえば、以下のようなものがあります。

  • 言語パック

  • 追加言語サポート

  • ワード ブレーカのサポート

必要な言語パックを決定する

言語のニーズに基づき、フロントエンド Web サーバーにインストールする必要がある言語パックを特定します。言語パックを使用すると、Office SharePoint Server 2007 を別にインストールすることなく、複数の言語で SharePoint サイトとサイト コレクションを作成できます。言語パックはフロントエンド Web サーバーにインストールされ、言語固有のサイト テンプレートが含まれます。言語固有のサイト テンプレートに基づいてサイトまたはサイト コレクションを作成すると、サイトまたはサイト コレクションに表示されるテキストはサイト テンプレートの言語で表示されます。たとえば、フランス語でサイトを作成すると、サイトのツールバー、ナビゲーション バー、リスト、および列見出しはフランス語で表示されます。同様に、アラビア語でサイトを作成した場合、サイトのツールバー、ナビゲーション バー、リスト、および列見出しはアラビア語で表示されます。また、アラビア語が正しく表示されるように、サイトの既定の文字の向きである左から右が右から左に変更されます。

サイトまたはサイト コレクションの作成に使用できる言語の一覧は、フロントエンド Web サーバーにインストールされた言語パックで生成されます。既定では、サイトとサイト コレクションは Office SharePoint Server 2007 がインストールされた言語で作成されます。たとえば、Office SharePoint Server 2007 のスペイン語版をインストールした場合、サイト、サイト コレクション、および Web ページの既定の言語はスペイン語になります。Office SharePoint Server 2007 の既定の言語以外の言語でサイト、サイト コレクション、または Web ページを作成する必要がある場合、フロントエンド Web サーバーにその言語の言語パックをインストールする必要があります。たとえば、Office SharePoint Server 2007 のフランス語版を実行しており、フランス語、英語、およびスペイン語でサイトを作成する必要がある場合、フロントエンド Web サーバーに英語とスペイン語の言語パックをインストールする必要があります。

注意

既定では、サイト内の新しい Web ページを作成するとき、Web ページではサイトの言語 - 国 ID を使用してテキストを表示します。

Office SharePoint Server 2007 の言語パックは多言語インストール パッケージとしてまとめられてはいません。サポートが必要な言語ごとに特定の言語パックをインストールする必要があります。また、各 Web サーバーで指定した言語でコンテンツが表示されるようにするには、すべてのフロントエンド Web サーバーに言語パックをインストールする必要があります。

以下の表には、Office SharePoint Server 2007 で使用できる言語パックの一覧を示しています。

言語 言語 - 国 ID

ドイツ語

1031

日本語

1041

注意

将来、他の言語パックも使用できるようになる可能性があります。また、言語パックがない言語をサポートする必要がある場合でも、カスタム Web ページを作成することで、その言語で Web サイトまたはサイト コレクションを作成できます。

サイトの言語を指定しても、エラー メッセージ、通知、ダイアログ ボックスなど、一部のユーザー インターフェイス要素は、選択した言語で表示されないことがあります。これは、Office SharePoint Server 2007 では、Microsoft .NET Framework、Microsoft Windows Workflow Foundation、Microsoft ASP.NET、Microsoft SQL Server 2005 など、いくつかのサポート テクノロジに依存しており、これらのサポート テクノロジは一定数の言語にしかローカライズされていないことがあるためです。ユーザー インターフェイス要素がサポート テクノロジの 1 つで生成され、そのサポート テクノロジはサイト管理者がサイトに指定した言語にローカライズされていない場合、ユーザー インターフェイス要素は英語で表示されます。たとえば、サイト管理者がヘブライ語でサイトを作成し、Microsoft .NET Framework コンポーネントによる通知メッセージが表示される場合、Microsoft .NET Framework はヘブライ語にローカライズされていないため、通知メッセージはヘブライ語では表示されません。この問題は、サイトが中国語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、日本語、韓国語、およびスペイン語以外の言語で作成された場合に発生します。

また、一部のテキストは元のインストール言語で作成され、複数の言語が混在することもあります。このような複数言語の混在は、通常はコンテンツ作成者かサイト管理者だけに表示され、サイト ユーザーには表示されません。

言語パックのインストールの詳細については、「言語パックを展開する (Office SharePoint Server)」を参照してください。

必要な追加言語サポートを決定する

言語のニーズに基づき、コンプレックス スクリプト言語または東アジア言語の追加言語サポートをサーバーにインストールすることが必要なことがあります。この種の言語をサポートするコンポーネントはオペレーティング システムの一部であり、Office SharePoint Server 2007 の言語機能またはコンポーネントをインストールする前にインストールする必要があります。

以下のいずれかの言語で Web サイトを作成する場合、コンプレックス スクリプト言語および右から左方向に表記される言語用の追加言語サポートをインストールする必要があります。

  • アラビア語

  • アルメニア語

  • グルジア語

  • ヘブライ語

  • インド諸語

  • タイ語

  • ベトナム語

以下のいずれかの言語で Web サイトを作成する場合、東アジア言語用の追加言語サポートをインストールする必要があります。

  • 中国語

  • 日本語

  • 韓国語

必要に応じて、フロントエンド Web サーバーとアプリケーション サーバーを含め、各サーバーに追加言語サポートをインストールする必要があります。追加言語サポートのインストールの詳細については、オペレーティング システムのマニュアルまたは「言語パックを展開する (Office SharePoint Server)」を参照してください。

必要なワード ブレーカとステマを決定する

ワード ブレーカとステマでは、インデックス付き全文データで単語の境界を見つけ (ワード ブレーキング)、動詞を活用します (ステミング)。ワード ブレーキングとステミングの規則は言語によって異なり、言語ごとに異なる規則を指定できます。各言語用のワード ブレーカを使用すると、その言語の単語をより正確に生成できます。言語ファミリ用のワード ブレーカはあるが特定のサブ言語用のワード ブレーカがない場合、主要言語のものを使用します。たとえば、フランス語 (カナダ) のテキストの処理にはフランス語のワード ブレーカを使用します。特定の言語用のワード ブレーカがない場合、ニュートラル ワード ブレーカを使用します。ニュートラル ワード ブレーカを使用すると、単語はスペース、句読点などのニュートラル文字で分割されます。

サポートが必要な各言語に適したワード ブレーカとステマをインストールしてください。ワード ブレーカとステマは、Office SharePoint Server Search サービスを実行しているすべてのサーバーにインストールする必要があります。

以下の表は、Office SharePoint Server 2007 でワード ブレーカとステマが提供されている言語の一覧を示します。

言語 言語 言語

アラビア語

ヒンディー語

ポルトガル語 (ポルトガル)

ベンガル語

ハンガリー語

パンジャブ語

ブルガリア語

アイスランド語

ルーマニア語

カタロニア語

インドネシア語

ロシア語

簡体字中国語

イタリア語

セルビア語 (キリル)

繁体字中国語

日本語

セルビア語 (ラテン)

クロアチア語

カナラ語

スロバキア語

チェコ語

韓国語

スロベニア語

デンマーク語

ラトビア語

スペイン語

オランダ語

リトアニア語

スウェーデン語

英語

マレー語

タミール語

フィンランド語

マラヤーラム語

テルグ語

フランス語

マラーティー語

タイ語

ドイツ語

ニュートラル

トルコ語

ギリシャ語

ノルウェー語

ウクライナ語

グジャラート語

ポーランド語

ウルドゥー語

ヘブライ語

ポルトガル語 (ブラジル)

ベトナム語

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