電子メールメッセージレコードの保持を計画する

[アーティクル]
06/12/2012

この記事の内容 :

レコードセンターサイトを使用して電子メールメッセージを保持する
Exchange Server 2007 を Office SharePoint Server と共に使用して電子メールメッセージレコードを管理する
Exchange Server 2007 を使用せずに電子メールメッセージレコードを管理する
電子メールメッセージレコードの保持を計画する
ワークシート

電子メールサーバーに保存される電子メールメッセージをレコード化することができます。インフォメーションワーカーはビジネス情報をやり取りするために、電子メールクライアントアプリケーションを、ますます頻繁に使用しています。そのため企業の法令遵守責任者やレコード管理者は、以下のようにして電子メールメッセージをレコード管理の計画に含める必要があります。

ファイル計画で電子メールメッセージについて説明します。
電子メールメッセージレコードを保持し、法律による開示のために保留し、また破棄する方法を提供します。
インフォメーションワーカーに電子メールメッセージをレコードとして分類する方法を提供します。
インフォメーションワーカーに電子メールメッセージをレコードセンターへ転送する方法を提供します。

ここでは、Microsoft Office SharePoint Server 2007 を使用したメッセージの保持に関連する計画タスクについて説明します。Office SharePoint Server 2007 に加えて Microsoft Exchange 2007 には、レコード管理者や企業の法令遵守責任者の目的をサポートする機能が用意されています。レコード管理をサポートする Exchange 2007 の機能は、Office SharePoint Server 2007 のレコード管理機能と容易に統合できる設計になっているため、2 つの製品を 1 つのもののように使いながら、メッセージの分類、保持、および有効期限を管理できます。そのため、このトピックでは、Office SharePoint Server 2007 と Exchange 2007 を使用した電子メールメッセージレコード管理の計画について重点的に説明します。Windows SharePoint Services 3.0 および Office SharePoint Server 2007 のオブジェクトモデルに基づくカスタムソリューションを使用すると、Exchange 2007 を必要としない電子メールメッセージレコード管理ソリューションが、Office SharePoint Server 2007 に基づいて実装されます。「Exchange Server 2007 を使用せずに電子メールメッセージレコードを管理する」セクションでは、Exchange 2007 を使用しない場合の電子メールレコードの保持計画について説明します。

Office SharePoint Server 2007 のレコード管理機能の概要については、「レコード管理を計画する」を参照してください。Exchange 2007 に基づくメッセージングシステムの計画、展開、運用の詳細については、「Microsoft Exchange Server 2007」(https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=83249&clcid=0x411) を参照してください。

レコードセンターサイトを使用して電子メールメッセージを保持する

「レコードセンターサイトをデザインする (Office SharePoint Server 2007)」の記事で説明されたように、Microsoft Office SharePoint Server 2007 のレコードを管理するには、サイト編集者とレコード管理者がレコードセンターサイトを計画して実装します。レコードセンターサイトの以下の機能はレコード管理のための主要機能であり、他の種類のレコードを保持するのと同じ方法で、電子メールメッセージレコードを保持します。

ドキュメントライブラリ レコードを保存するため、レコードセンターサイトにドキュメントライブラリを作成します。電子メールレコードを保持するための新しいライブラリを作成することも、既存のライブラリに電子メールライブラリを保存することもできます。たとえば、レコードセンターサイトに [契約書] ドキュメントライブラリがある場合、このライブラリに、契約書関連の電子メールメッセージを、他の種類の契約書関連ドキュメントと共に保存できます。
メタデータ レコードセンターサイトで他の種類のメタデータを作成するのと同じ方法で、電子メールメッセージのメタデータを定義し、作成します。電子メールメッセージレコードのメタデータには、通常、宛先、差出人、件名のような一般的な電子メールフィールドが含まれます。これらのフィールドは Office Outlook 2007 や Exchange 2007 から送信される電子メールメッセージレコードと共に、自動的にレコードセンターへ送信されます。詳細については、後述の「Exchange Server 2007 を Office SharePoint Server と共に使用して電子メールメッセージレコードを管理する」を参照してください。

電子メールメッセージレコードのメタデータを保存するためには (どのような種類のレコードのメタデータでも同様)、まず、ドキュメントライブラリかドキュメントライブラリに割り当てられたコンテンツタイプで、メタデータの列を定義する必要があります。レコード管理のためのメタデータの計画については、「レコードセンターサイトをデザインする (Office SharePoint Server 2007)」の記事の「メタデータの計画」セクションを参照してください。
レコードルーティング 電子メールメッセージがレコードセンターサイトに送信されると、そのレコードは、メッセージに関連するコンテンツタイプに基づいて適切なドキュメントライブラリにルーティングされます。電子メールのコンテンツタイプ情報は、Office Outlook 2007 や Exchange 2007 から、Exchange 2007 のラベル付け機能を使用して、自動的に、電子メールメッセージレコードと共に送信されます。詳細については、後述の「Exchange Server 2007 を Office SharePoint Server と共に使用して電子メールメッセージレコードを管理する」を参照してください。Exchange 2007 を使用しない、カスタム電子メールメッセージレコードソリューション用に、コンテンツタイプがそのカスタムソリューションによって決定され、プログラムによってレコードセンターサイトに送信されている必要があります。詳細については、「Microsoft Office SharePoint Server 2007 SDK にようこそ」(https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=71218&clcid=0x411) を参照してください。
ポリシー 他の種類のレコードの場合と同様、電子メールメッセージレコードにも、監査と有効期限ポリシーが必要です。メッセージレコードがレコードセンターサイトに送信され、ドキュメントライブラリにルーティングされた後、ライブラリに保存されたメッセージレコードに、そのドキュメントライブラリで構成された一連の情報管理ポリシーが適用されます。レコード管理ポリシーの計画の詳細については、「レコードセンターサイトをデザインする (Office SharePoint Server 2007)」の記事の「ポリシーを計画する」セクションを参照してください。
**保留 ** Office SharePoint Server 2007 レコードセンターサイトには保留機能が用意されています。レコード管理では、保留とはドキュメントの破棄を保留する行為であり、保留が解除されるまで、ドキュメントはレコードセンターで保護されます。この機能を使用すると、レコード管理者は、指定したレコードの有効期限が切れて破棄されないようにするために、名前付きの保留リストを作成できます。他のレコードを保留にするのと同じ方法で、1 つ以上のメッセージレコードを保留にできます。

Exchange Server 2007 を Office SharePoint Server と共に使用して電子メールメッセージレコードを管理する

Exchange 2007 には、電子メールメッセージレコードの管理を容易にし、Office SharePoint Server 2007 に基づくレコード管理ソリューションとも簡単に統合可能な機能が用意されています。この機能は以下のことに役立ちます。

インフォメーションワーカーは電子メールメッセージを適切に分類できます。
電子メールメッセージは分類された後、Exchange 2007 管理者によって設定された期間アクティブに維持されます。
アクティブ状態での保持期間を過ぎても保持する必要のある電子メールメッセージは、長期間保持のためレコードセンターサイトに送られます。

Exchange 2007 レコード管理機能には、以下のものが用意されています。

管理フォルダ Exchange 2007 管理者によって構成されたフォルダで、フォルダに保存されたメッセージには、情報管理ポリシーが適用されます。管理フォルダに適用されるポリシーの典型的なものが、有効期限ポリシーです。このポリシーは、メッセージを削除するか別の見直し用フォルダに移動するまでの保持期間を指定します。管理フォルダは Office Outlook 2007 のような電子メールクライアントアプリケーションで使用される場合、他のフォルダと同じ機能を持っています。Office Outlook 2007 で管理フォルダが選択されると、そのフォルダに関連付けられたポリシーを説明するステートメントが表示されます。

管理フォルダには、通常、そのフォルダが保存する電子メールメッセージのビジネス上の分類を示す名称がつけられます。たとえば、"研究開発"、"契約書" などの名称を管理フォルダにつけることができます。インフォメーションワーカーは、管理フォルダの名称やポリシーステートメントによってフォルダの目的を理解し、ドラッグアンドドロップのような慣れ親しんだ手段を使用して、適切な電子メールメッセージをフォルダに保存できます。インフォメーションワーカーが電子メールメッセージを管理フォルダにドラッグする際に、その操作はメッセージを分類して、適切なポリシーを適用することに注意してください。
ジャーナリング Exchange 2007 のジャーナリング機能によって、電子メールメッセージのコピーが、メールボックスの外にある対象の保存先に送信されます。ジャーナリングの対象の場所をレコードセンターサイトに構成することによって、Exchange 2007 管理者は、Exchange 2007 と Office SharePoint Server 2007 を使用して電子メールメッセージレコードの保持を実装できます。

ジャーナルの対象の場所 (Office SharePoint Server 2007 レコードセンターサイトなど) や、フォルダに保存される電子メールメッセージの種類を示すラベル ("製品開発" や "業務上重要") を指定することによって、管理フォルダがジャーナリングされるように構成できます。インフォメーションワーカーが、電子メールメッセージをジャーナリングの有効になっている管理フォルダに移動すると、メッセージのコピー、ラベル、メタデータ、添付ファイルが対象の場所に送信されます。

レコードセンターサイトは管理フォルダに関連付けられたラベルを使って、ジャーナルされる電子メールメッセージを長期保存用の適切なドキュメントフォルダにルーティングします。このラベルはレコードルーティングリストのにあるレコードシリーズの名前に対応している必要があります (または、ラベルはレコードシリーズのエイリアスに対応することもできます)。これは、ドキュメントがレコードセンターへ送信されるとき、コンテンツタイプがレコードルーティングリストで適切なドキュメントライブラリを決定するために使用される方法に似ています。レコードルーティングとレコードシリーズの詳細については、「レコードセンターサイトをデザインする (Office SharePoint Server 2007)」の記事の「レコードルーティングテーブルを計画する」セクションを参照してください。
メタデータ 電子メールメッセージが Exchange 2007 のジャーナリング機能によってレコードセンターサイトに送信されるときには、メッセージと共に、以下のメタデータ値が送信されます。
- 宛先
- 差出人
- 件名
- CC
- BCC
電子メールメッセージが保存先ドキュメントライブラリに送信されるときは、関連するメタデータの各列の名前と値が、ライブラリ内に作成される "プロパティ" フォルダの XML ファイルに保存されます。またメタデータの値は保存先ライブラリの対応する列にもコピーされます。電子メールメッセージ保持のために設計するドキュメントライブラリには、必ず、送信されるメッセージのメタデータ値を保存するのに必要なだけの列があるようにします。

ドキュメントライブラリでメタデータを保存するための列が情報を要求するように構成されており、かつライブラリに送信される電子メールメッセージに必要なメタデータが見つからない場合、直ちに確認のメッセージが送信者に対して表示されることはありません (この動作はドキュメントが送信されるときのイベントによって異なります)。代わりに、Office SharePoint Server 2007 は送信されたメッセージを保留ライブラリに保存します。指定の期間 (Exchange 2007 管理者が設定) の後、Office SharePoint Server 2007 は Web ページへのリンクのある電子メールメッセージを送信者に送信します。送信者はその Web ページで、保留中のすべてのメッセージに必要なメタデータ値を指定できます。

Exchange 2007 のレコード管理機能の計画と構成の詳細については、「メッセージングレコード管理の管理」(https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=83452&clcid=0x411) を参照してください。

Exchange Server 2007 を使用せずに電子メールメッセージレコードを管理する

Windows SharePoint Services 3.0 と Office SharePoint Server 2007 オブジェクトモデルに基づくカスタムソリューションを使用すると、電子メールメッセージのレコード管理のために、Exchange 2007 を必要としない Office SharePoint Server 2007 に基づくソリューションを作成できます。この方法でメッセージレコードの保持を実装するときは、Windows SharePoint Services 3.0 オブジェクトモデルに実装されたレコード管理メソッドと通信するプログラムを開発する必要があります。Office SharePoint Server 2007 オブジェクトモデルをプログラムする方法の詳細については、「Microsoft Office SharePoint Server 2007 SDK にようこそ」(https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=71218&clcid=0x411) を参照してください。

Exchange 2007 を使用せずに電子メールメッセージレコードの保持を計画するのは、他の種類のレコードの保持を計画するのと同じ方法によります。電子メールレコード管理ソリューションの計画についての一般的なガイダンスは、「レコード管理を計画する」を参照してください。