試用版のアップグレードを使用して潜在的な問題を発見する (Windows SharePoint Services)

アップグレード プロセスを開始する前に、アップグレードに要するだいたいの時間、再実行または再適用する必要があるカスタマイズの数、および予期したとおりにアップグレードされないサイトを把握しておく必要があります。以下に示す方法は、アップグレード プロセスで発生する可能性のある問題を把握し、アップグレード前またはアップグレード後に適切に対処するのに役立ちます。

  1. アップグレード前のスキャン ツールを実行して、任意のカスタム サイトまたはホストされていないページを検索します (必須)。

    注意

    アップグレード前のスキャン ツールは、アップグレード プロセスを開始する前に実行する必要があります。このツールは、各サイト コレクションをスキャンし、各サイトの状態に関するレポートを生成します。また、各リストのリスト定義情報も保存します。レポートを確認して問題を見つけ、アップグレード プロセスを開始する前にそれらに対処することができます。このスキャンはアップグレードの前に実行する必要があります。このスキャンが実行されていない場合、SharePoint 製品とテクノロジ構成ウィザードは実行されません。このツールとスキャンを実行する手順の詳細については、「アップグレード前のスキャン ツールを実行する (Windows SharePoint Services)」を参照してください。

  2. 一般的な問題を確認して、どの問題が自分の環境に当てはまる可能性があるのかを調べます。

    このリストで、発生する可能性がある一般的な問題をすばやく確認し、アップグレードの実行前または実行後にそれらの問題に対処する方法を確認することができます。

  3. バックアップ サイトまたはミラー サイト (読み取り専用) を使用して、試用版アップグレードを実行するします (推奨。省略可能)。

    これは、問題を検出するための最適な方法です。アップグレード プロセス全体を調べて問題を見つけ、アップグレードを開始する前に対処できます (または、少なくとも予期される結果を把握できます)。この方法では、より多くの時間およびハードウェアが必要です。ただし、試用版を実行して調べておけば、実際のアップグレード プロセスはより容易になります。

  4. カスタム Web パーツをテストするを行います。Windows SharePoint Services 2.0 ベースの Web パーツをテストすることにより、それらがアップグレードしても正常に動作し続けるかどうかを確認できます。

一般的な問題を確認する

アップグレード前のスキャン ツールまたはテスト アップグレード パスを実行すると、サイト内に以下の一般的な問題が 1 つ以上見つかることがあります。これらの問題を抱えるサイトが複数ある場合は、段階的なアップグレードを実行することをお勧めします。段階的なアップグレードでは、影響を受ける任意のサイトの古いバージョンと新しいバージョンの両方を持つことになり、古いサイトに戻ったり、新しいバージョンを稼働させ始める前に新しいサイトに更新を加えたりすることができます。一括アップグレードを行う必要がある場合は、サイトのバックアップを行ってからアップグレードを実行してください。

問題 説明と対処

カスタマイズされた内容を把握していません。

アップグレード プロセスで最も時間がかかるのは、既存のカスタマイズを確認し、アップグレード、移行、および破棄するカスタマイズを決定して、Office SharePoint Server 2007 にこれらのカスタマイズを適用する作業です。カスタマイズを確認するには、Microsoft のほとんどのオペレーティング システムに付属しているツールである WinDiff を使用して、元の (既定の) サイト定義ファイルと現在の (カスタム) サイト定義ファイルを比較します。

詳細については、「Areas, Bucketwebs, Upgrade and Redirects (英語)」(https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=139912&clcid=0x411) を参照してください。

ローカル サーバーおよびサーバー ファームの管理者がサイトを参照することができません。

新しいリリースでは、ローカル サーバーおよびサーバー ファームの管理者に対して、サイト コンテンツへのアクセス権は自動的に付与されません。これらのユーザーがすべてのサイト コンテンツにアクセスできるようにする必要がある場合は、Web アプリケーション ポリシーを使用してこれらのユーザーにすべてのサイトへのアクセスを許可してください。ポリシーの詳細については、「論理アーキテクチャ コンポーネント (Windows SharePoint Services)」の「Web アプリケーションのポリシー」を参照してください。

アップグレードにより商標表示のカスタマイズが失われます。

サイトのブランド化に使用する方法は、新しいバージョンで変更されました。たとえば、マスタ ページを使用して、ページのレイアウトおよび構成を制御できるようになりました。新しい方法を使用して、商標表示を再適用してください。

アップグレードによりテーマが失われます。

テーマは、新しいバージョン用に改訂され、設計し直されています。新しいテーマを適用してください。

Windows SharePoint Services と互換性のある Web ページ エディタ (Microsoft® Office FrontPage® 2003 など) で行ったカスタマイズは保持されますが (マイ ページはゴースト解除されたままです)、サイトに新しい機能が表示されません。

ページをテンプレートに戻して最新の機能を取得した後、Microsoft Office SharePoint Designer 2007 などの Windows SharePoint Services 3.0 と互換性のある Web ページ エディタでカスタマイズを再適用します。

Web パーツおよびページ内でハードコードされた、サイト内の特定の場所をポイントする URL が機能しなくなる。

特定のページの URL がアップグレード中に変更された可能性があります (たとえば、/C2/ または /C16/ パスを含むエリアがあった場合、それらのパスは代わりに /sites/ に更新される可能性があります)。適切な場所に移動して、新しい場所をポイントする URL を作成し直してください。

サイトがカスタマイズしたサイト定義に大きく依存しています。

サイトをアップグレードする前に、新しいサイト定義を作成してから、アップグレード プロセスが古いサイト定義要素を新しいサイト定義にマッピングできるようにアップグレード定義ファイルを作成します。

フォーム ライブラリを拡張していましたが、それが機能しなくなりました。

フォームのサポートは、フォーム ライブラリからドキュメント ライブラリに変更されています。フォームを新しいドキュメント ライブラリに再展開および再適用してください。

段階的なアップグレード プロセスを開始しましたが、使用していたフォームが機能しません。

一部の InfoPath フォームには、データの場所 (特定の SharePoint リスト、Web サービス、XML ファイルなど) へのハードコードされたリンクが含まれています。リンクはハードコードされているため、段階的なアップグレードの実行中にまだアップグレードされていないサイトで使用される一時 URL をポイントするための修正は、自動的には行われません。フォームを修正するには、リンクが切断されたフォームが含まれているサイトを即座にアップグレードします (こうして元の URL を復元します)。サイトをすぐにアップグレードできない場合は (たとえば、そのサイトがアップグレードする前に調査する必要のあるその他の問題を抱えている場合など)、フォームを発行し直して、一時的な URL ドメインを指すようにします。ただし、フォームの再発行を選択する場合は、サイトのアップグレード後にフォームを再発行して元の URL をポイントする必要があるので、このオプションは慎重に使用してください。段階的なアップグレードを行っている間に使用する一時的な URL の詳細については、「アップグレード プロセスのしくみ (Windows SharePoint Services)」を参照してください。

通知にカスタム メッセージ テキストを使用していましたが、それが表示されなくなりました。

カスタム メッセージは保持されますが、メッセージ ファイルを新しいパスに手動で転送する必要があります。

環境に合わせて構成したカスタム イベント ハンドラがありました。

イベント ハンドラを再適用するか、または代わりに新しい機能を使用してそのタスクを実行する必要があります。

使用していたコントロールのいくつかが、新しいバージョンでは推奨されていません。

そのコントロールへの参照を新しいサイト定義から削除します。廃止されたコントロールと、代わりに使用するコントロールおよび機能の詳細については、Windows SharePoint Services 3.0 ソフトウェア開発キット (SDK) を参照してください。

古いバージョンでわかりにくかった Web パーツが、新しいバージョンでは動作しなくなりました。

その Web パーツは ASP.NET 2.0 で再構築しなければならない可能性があります。

ハードコードされた URL または変更された機能に依存するカスタム Web サービスがあります。

新しい URL スキーマと新しい機能を使用するように Web サービスを改訂しなければならない可能性があります。詳細については、Windows SharePoint Services 3.0 ソフトウェア開発キット (SDK) を参照してください。

アップグレード後に見えなくなった、または開けなくなったファイルがあります (拡張子が .asmx, .rem, .resx, .soap, .ashx などのファイル)。

これらのファイル拡張子は、新しいバージョンではブロックされるファイル拡張子のリストに追加されています。これらの拡張子が付いたファイルをユーザーがアップロードまたはダウンロードできるようにする場合は、これらの拡張子のエントリをリストから削除します。ブロックされるファイル拡張子の管理の詳細については、Windows SharePoint Services 3.0 サーバーの全体管理のヘルプ システムの「ブロックするファイルの種類の管理」を参照してください。

ビュー ページに [Outlook へのリンク] ボタンが表示されなくなりました。

ページをテンプレート バージョンに戻して、このコントロールのような新しいユーザー インターフェイス コントロールをビュー ページ上に取り込む必要があります。

カスタム ページをテンプレートに戻すことができません。

完全なカスタム ページをサイトに追加した場合 (たとえば、既存の default.aspx ファイルを変更する代わりに、既定の default.aspx をまったく異なるファイルに置き換えた場合)、そのページはサイト定義に関連付けられていないため、テンプレートに戻すことはできません。カスタム ページをサイト内の他のページと同じ外観にしたい場合は、サイト定義に基づいた新しいページを作成し、その新しいページにカスタマイズ内容を移すことを検討してください。

試用版アップグレードを実行する

リソースを使用できる場合は、実際にアップグレードを実行する前に、試用版アップグレードを実行して問題を検出することをお勧めします。この試用版アップグレードは、バックアップ バージョンまたはミラー バージョンのサイトで実行できます。

環境のバックアップ バージョンで試用版アップグレードを実行するには、以下の操作を行います。

  1. サーバーまたはサーバー ファームの完全バックアップを行います。

  2. 別のハードウェアでバックアップを復元し、その環境を動作環境と同様に構成します (たとえば、カスタム Web パーツ、カスタム バイナリ、サイト定義などをインストールします)。

  3. 稼働環境で使用するアップグレード パスに対して、アップグレード前、アップグレード中、およびアップグレード後の手順を実行します。

  4. 結果を調べ、稼働環境でアップグレードを実行する前に対処できる問題を探します。

環境のミラー バージョン (読み取り専用) で試用版アップグレードを実行するには、以下の操作を行います。

  1. ミラー環境で、稼働環境で使用するアップグレード パスに対して、アップグレード前、アップグレード中、およびアップグレード後の手順を実行します。

  2. 結果を調べ、稼働環境でアップグレードを実行する前に対処できる問題を探します。

カスタム Web パーツをテストする

Windows SharePoint Services 2.0、Service Pack 2 (SP2) は、同じインターネット インフォメーション サービス (IIS) Web サイト上での ASP.NET 2.0 の実行をサポートしているため (新しい用語では、仮想サーバーまたは Web アプリケーションとも呼ばれる)、Windows SharePoint Services 2.0 を実行する仮想サーバー上で ASP.NET 2.0 をインストールおよび有効化して、今まで使用していた Web パーツが新しい環境でも動作するかどうかを検証することができます。

Web パーツをテストするには、次のどちらかの操作を行います。

  • ASP.NET 2.0 および .NET Framework 2.0 をスタンドアロン サーバーまたはファーム内のフロントエンド Web サーバーにダウンロードし、インストールします。次に、IIS で、SharePoint サイトをホストしているすべての IIS Web サイトに対して ASP.NET 2.0 を有効にし、サイト内の Web パーツを確認します。

  • 開発環境で ASP.NET 2.0 および .NET Framework 2.0 をダウンロード、インストール、および有効化し、そこへ Web パーツをコピーして、うまく動作するかどうかを確認します。

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このトピックは、簡単に読んだり印刷したりできるように、次のダウンロード可能なブックに収められています。

使用できるすべてのブックの一覧については、「Windows SharePoint Services のダウンロード可能なブック」を参照してください。