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カスタマイズの処理方法を決定する (SharePoint Foundation 2010)

 

適用先: SharePoint Foundation 2010

Windows SharePoint Services 3.0 に基づいてサイトを幅広くカスタマイズしていた場合は、Microsoft SharePoint Foundation 2010 へのアップグレードの際に、カスタマイズされたサイトをどのように処理するかを決定する必要があります。処理方法は、カスタマイズの程度、カスタマイズの種類、サイトの複雑さ、およびアップグレードの目的によって異なってきます。アップグレード前に、環境内のカスタマイズ内容を識別したうえで評価し、それらをアップグレードするかどうか、またその方法を決定する必要があります。

この記事の内容

  • 環境内のカスタマイズを識別する

  • カスタマイズを評価する

  • 特定のカスタマイズに関する考慮事項

  • 将来のカスタマイズがベスト プラクティスに従うようにする

環境内のカスタマイズを識別する

アップグレード テスト プロセスの一環として、環境内のサーバー側カスタマイズ (ソリューション、機能、Web パーツ、イベント ハンドラー、マスター ページ、ページ レイアウト、CSS ファイルなど) の目録を作成する必要があります。カスタマイズの識別方法の詳細については、「試用版のアップグレードを使用して潜在的な問題を発見する (SharePoint Foundation 2010)」を参照してください。アップグレード計画ワークシートを使用して、具体的なカスタマイズを一覧にし、次のセクションにおける評価の結果を記録できます。このワークシートは、https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=179928&clcid=0x411 (英語) からダウンロードできます。

カスタマイズを評価する

カスタマイズを識別した後、それらへの対処方法を決定できます。カスタマイズを評価するには、次の質問が役に立ちます。

  • そのカスタマイズはまだ有効か。

    • 有益なビジネス ニーズに役立つか。

    • 幅広く展開され、使用されているか。

  • そのカスタマイズは適切に設計されているか。

    • サポートされた定義済みのサイト定義に基づいて構築されているか。

    • カスタマイズのベスト プラクティスに従っているか。

    • サポートされているカスタマイズの種類であるか、それとも環境にリスクをもたらしているか。

個々のカスタマイズを評価すると、カスタマイズの全体的な方法についても検討できます。以下のオプションを選択できます。

  1. カスタマイズの保持   ビジュアル アップグレードを使用して、以前のバージョンのユーザー エクスペリエンスを特定のサイトで使用し続けます。この方法によって同じ機能を維持することはできますが、リボンとも呼ばれる Fluent ユーザー インターフェイス (UI) など、新しいバージョンで利用できる新たなビジュアルや機能は活用できなくなります。

  2. カスタマイズの置換または再実行   新しい機能を使用する場合、サイトの再設計を計画している場合、あるいは情報アーキテクチャを大幅に変更しようとしている場合は、アップグレードによって、新しい機能、外観、または組織でやり直す機会が得られます。カスタマイズを置換または再実行すると、新しい機能を活用したり、必要に応じて設計を若干変更したり、管理が容易な設計に移行したりできます。

    ソリューションの再実行と再展開の詳細については、「Redeploying Customizations and Solutions in SharePoint Foundation 2010 and SharePoint Server 2010 (英語)」(https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=182335&clcid=0x411) を参照してください。

  3. カスタマイズの破棄   既定の機能を使用してカスタマイズを置き換えます。ページを既定のサイト定義にリセットし、サポートが不要になった Web パーツや機能があればそれらを削除できます。カスタマイズの破棄を決定した場合は、そのカスタマイズをサイト内で削除した結果として生じるすべての問題を修正する必要があります。カスタマイズの目録を使用すると、こうした注意がアップグレードの前後にどのサイトで必要になるかを決定できます。

特定のカスタマイズに関する考慮事項

アップグレード時に環境内のカスタマイズをどのように処理するかに関する全体的な決定に加えて、特定の種類のカスタマイズを調査して、アップグレードされた環境でそれらを適切に動作させるために追加作業の実行が必要かどうかも決定する必要があります。

以下の表に、一般的なカスタマイズとそうした種類のカスタマイズの処理に関する推奨事項を示します。

カスタマイズの種類 推奨事項

サイト テンプレート (.stp ファイル)

サイト テンプレート (.stp ファイル) は、SharePoint Foundation 2010 の使用されていない機能です。SharePoint Foundation 2010 の新しいサイト テンプレートは, .wsp ファイル (ソリューション パッケージ) として保存されます。

サイト テンプレートを使用して準備されたサイトはアップグレードされますが、そのテンプレートに基づいて新しいサイトを構築することはできなくなります。新しいサイトを作成する必要がある場合には、代わりにソリューション パッケージを作成して展開できます。詳細については、「アップグレードの問題のトラブルシューティングを実行する (SharePoint Foundation 2010)」を参照してください。

サイト定義

サポートされた定義済みサイト定義にサイトを移行したうえで、ソリューション展開を使用してカスタム機能を適用します。

カスタム サイト定義を使用し続けることもできます。SharePoint Foundation 2010 に基づいて新しいサイト定義を作成する必要はありません。

ただし、カスタム アップグレード アクションをその定義に対して実行する必要がある場合は、サイト定義のアップグレード定義ファイルの作成が必要になる可能性があります。詳細については、MSDN の「アップグレード定義ファイル」(https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=182339&clcid=0x411) を参照してください。

"Fabulous 40" アプリケーション テンプレート

Microsoft は、このテンプレートの新しいバージョンを作成する予定はありません。これらのテンプレートに基づいたサイトはアップグレードできますが、運用環境をアップグレードする前に必ず各サイトをテストしてください。詳細については、「アップグレードの問題のトラブルシューティングを実行する (SharePoint Foundation 2010)」を参照してください。

機能

評価したうえで、必要に応じて再設計または再展開を行います。

ワークフローとサーバー コントロール

ソリューションに依存します。更新されたソリューションの有無については、ベンダーに問い合わせてください。ワークフローに新しいバージョンとの互換性がある場合は、再展開します。

イベント ハンドラー

機能として書き換えて再展開します。

管理パス (管理対象パス/非管理対象パス)

データベース接続アップグレードの管理対象パスを再作成します。非管理対象パスは推測されるので、再作成する必要はありません。

テーマ

UI の幅広い変更によって、Windows SharePoint Services 3.0 に基づいたカスタム テーマは SharePoint Foundation 2010 では適切に動作しなくなります。SharePoint Foundation 2010 に基づいて新しいテーマを作成して適用できるようになるまで旧来のユーザー エクスペリエンスを使用し続けるには、ビジュアル アップグレードを使用します。

ツールバー アクション

リボン (Fluent UI) に移行します。

マスター ページおよび CSS ファイル

再検討して新しいユーザー エクスペリエンスに適合させます。

JavaScript

テストによって、何らかの作業が必要かどうかを決定します。場合によっては、新しいページ モデルで動作させるためにスクリプトの調整が必要になります。アップグレードされたサイトで新しいモデルが動作することを、両方のビジュアル アップグレード モードで確認します。

検索プロバイダーまたはセキュリティ トリマー

テストによって、何らかの作業が必要かどうかを決定します。

Web パーツ

テストによって、何らかの作業が必要かどうかを決定します。厳密な XHMTL モードで動作させるために、Web パーツの調整が必要になることがあります。

ページ上にあっても Web パーツ ゾーン内にない Web パーツ (基本的に、Web パーツがページ内に直接埋め込まれた HTML コードになるようにする場合) は、ページを既定のテンプレートに戻すと動作しなくなります。

サービス

テストによって、何らかの作業が必要かどうかを決定します。必要に応じて、コードを再設計または調整します。

認証プロバイダー

テストによって、何らかの作業が必要かどうかを決定します。プロバイダーをテスト ファームに展開し直し、クレーム認証で正しく動作することを確認します。

次の種類のカスタマイズはサポートされません。環境内にこれらのカスタマイズが存在する場合は、サポートされている種類のカスタマイズを使用して置き換えたうえでアップグレードを実行する必要があります。そうしなければ、修正不可能なアップグレードの問題が発生する可能性があります。

  • 変更された定義済みのファイル、機能、またはサイト定義。

    警告

    定義済みのファイルの種類の一部 (ドキュメント アイコンやドキュメント アクション) は、変更が可能であり、アップグレードされることはありませんが、その変更をサポート可能な形で伝えていくことができます。その他の定義済みファイル (サーバー側 ASPX ページなど) に対する変更は、サイト テンプレートに戻すとアップグレードとともに失われます。変更されたファイルとそうした変更の程度によっては、アップグレードの結果が大きく変わってくる可能性があります。ベスト プラクティスは、ディスク上のすべてのファイルのあらゆる変更を元に戻すことです。

  • データの直接的な変更、またはスキーマの変更 (トリガー、テーブル、ビュー、またはインデックスの追加や削除など) のどちらかによって変更された SharePoint データベース

こうした種類のカスタマイズが存在する場合は、それらを削除し、サポートされているカスタマイズで置き換えたうえでアップグレードを試みます。これは、現在のアップグレードの正しい実行だけでなく、将来のアップグレードの円滑な実行にも役立つベスト プラクティスです。定義済みファイルおよびデータベースの変更は、依然としてサポートされていません。

将来のカスタマイズがベスト プラクティスに従うようにする

環境による優れたパフォーマンスの発揮とベスト プラクティスへの準拠が確実に行われるようにします。以下に示す MSDN または TechNet の記事に記述されたベスト プラクティスに従うカスタマイズだけを展開してください。