ホスト名付きサイト コレクションを計画する (Windows SharePoint Services)

この記事の内容 :

  • ホスト名付きサイト コレクションについて

  • ホスト名付きサイト コレクションを作成する

  • ホスト ヘッダーを適用する

  • ホスト名付きサイト コレクションを構成する

  • HTTP および HTTPS を使用してホスト名付きサイトを公開する

Windows SharePoint Services 3.0 では、ホスト名付きサイト コレクションおよびパス ベースのサイトのコレクションの両方をサポートしています。ホスト名付きサイト コレクションでは、サイト コレクションごとに異なるホスト名を持つスケーラブルなホスト ソリューションを提供します。これは、ホスト名付きサイト コレクションが、単一のホスト名 URL を持つことを意味しています。ホスト名付きサイト コレクションを展開することにより、WINS エントリまたは DNS エントリを Web アプリケーションのサイト コレクションにマップすることができます。

パス ベースのサイト コレクションは、Web アプリケーションごとに異なるホスト名を持つ企業ホスト ソリューションを提供します。パス ベースの展開では、サイト コレクションは、Web アプリケーションに従属する管理対象パスにマッピングされます。パス ベースのサイト コレクションとホスト名付きサイト コレクションが同一の Web アプリケーション内に存在することができます。また、Web アプリケーションは数千のサイト コレクションを含むことができます。

パス ベースのサイト コレクションでは、複数の異なる領域 (それぞれが WINS にマップされた URL または DNS にマップされた異なる URL を持ちます) への代替アクセス マッピングをサポートしています。

ホスト名付きサイト コレクションについて

ホスト名付きサイト コレクションを使用すると、Windows SharePoint Services 3.0 では、パスの代わりにホスト ヘッダー名を使用して、ユーザーがアクセスするサイト コレクションおよびユーザー要求への応答として返されるコンテンツを決定できます。ホスト名付きサイト コレクションを作成すると、ユーザーに関連付けられるバニティ URL を持つ複数のサイト コレクションをホストすることができます。Windows SharePoint Services 3.0 は、Windows SharePoint Services 3.0 コンテンツ データベースが Windows SharePoint Services 3.0 検索インスタンスに関連付けられている場合、新しく作成されたホスト名付きサイト コレクションのクロールを自動的に試行します。

フォーム認証を使用するホスト名付きサイト コレクションの構成の詳細については、「フォーム認証を使用するホスト名付きサイトをクロールする準備をする」を参照してください。

基本認証を使用するホスト名付きサイト コレクションの構成の詳細については、「基本認証を使用するホスト名付きサイトをクロールする準備をする」を参照してください。

ホスト名付きサイト コレクションを使用すると、Web アプリケーション内に複数のルート レベルのサイト コレクションを作成することができます。たとえば、ホストしている組織の管理者が、ホスト名付きサイト コレクションを使用して、複数のドメイン名付きサイトを作成します。Windows SharePoint Services 3.0 では、単一の Web アプリケーション内に複数のドメインを持つことができます。Windows SharePoint Services 2.0 では、これはスケーラブル ホスト モードと呼ばれていました。スケーラブル ホスト モードでは、http://www.adatum.com、https://www.contoso.com など、複数のドメインを同じ Web アプリケーション内に個別のサイト コレクションとして配置できます。Windows SharePoint Services 3.0 では、ホスト名付きサイト コレクションに同じスケーラブル ホスト機能が用意されています。

複数のホスト名 URL に対応するパス ベースのサイト コレクションをサポートする必要がある場合は、ホスト名付きサイト コレクションではなく、代替アクセス マッピングの使用を検討してください。代替アクセス マッピングの詳細については、「代替アクセス マッピングを計画する (Windows SharePoint Services)」を参照してください。

複数の Web アプリケーションでホスト名付きサイト コレクションを使用できます。Windows SharePoint Services 3.0 を使用して複数の IIS Web サイトを拡張できます。ホスト名付きサイト コレクションは、ポータル サイトをサポートしています。

ホスト名付きサイト コレクションを作成する

stsadm.exe コマンドライン ツールを使用して新しいサイトを作成できます。Windows SharePoint Services 3.0 サーバーの全体管理 Web アプリケーションを使用してホスト名付きサイト コレクションを作成することはできません。

サイト コレクションを作成するには、stsadm.exe createsite コマンドを使用します。その操作に以下のパラメータを追加して、パス ベースではなくホスト名付きのサイト コレクションを作成することを指定できます。

-hhurl <Web application URL>

たとえば、www.contoso.com という名前のアプリケーションがあり、http://hoster.contoso.com という URL でホスト名付きサイト コレクションを追加する場合は、次のコマンドを使用します。

stsadm.exe -o createsite
-url http://hoster.contoso.com
-ownerlogin contoso\siteowner
-owneremail siteowner@contoso.com
-hhurl https://www.contoso.com

インターネット サービス プロバイダ (ISP) は適切な IP アドレスに http://hoster.contoso.com を関連付けるように DNS サーバーを構成します。テストを行う場合は、\system32\drivers\etc\hosts ファイルを編集して、Windows SharePoint Services 3.0 を実行するサーバーの IP アドレスにホスト名付きサイト コレクションを関連付けることができます。このように構成したら、http://hoster.example.com を指定してサイトにアクセスできます。

作成したホスト名付きサイト コレクションの URL を変更する場合は、次のコマンドを使用します。

stsadm.exe -o renamesite

このコマンドは、Windows SharePoint Services 3.0 の修正プログラムで利用できます。stsadm.exe -o renamesite コマンドの使用方法の詳細については、「Renamesite : Stsadm 操作 (Windows SharePoint Services)」を参照してください。

構成データベースの作成時に、ホスト名付きサイト コレクションを使用するかどうかを指定する必要はありません。サイト コレクションを作成するときに、サイト コレクションがホスト名付きであるか、パス ベースであるかを指定できます。

ホスト名付きサイトを作成する方法として、コマンドライン ツールを使用する以外に、Windows SharePoint Services 3.0 オブジェクト モデルを使用することもできます。次のサンプル コードでは、http://hoster.contoso.com という同じサイトを作成しています。

SPWebApplication webApp = SPWebApplication.Lookup(new
Uri("https://www.contoso.com"));
SPSiteCollection sites = webApp.Sites;
SPSite Site = null;
Site = sites.Add("http://hoster.contoso.com", "Site_Title",
"Site_Description", 1033, "STS#0", "contoso\owner",
"Owner_Display_Name", "Owner_Email", "contoso\secondaryowner,
"Secondary_Owner_Display_Name", "Secondary_Owner_Email", true);

ホスト ヘッダーを適用する

次の 2 つの異なるレベルでホスト ヘッダーを適用できます。

  • Web アプリケーション (IIS Web サイト) レベル

  • サイト コレクション レベル

ほとんどの場合、Web アプリケーション レベルでホスト ヘッダーを適用すると、ホスト名付きサイト コレクションにアクセスできなくなります。これは、IIS での設定とは異なるホスト名を持つ要求に IIS が対応しないためです。ただし、ホスト ヘッダーを指定しないで既定領域の IIS Web サイトを構成し、他の領域にある IIS Web サイトだけにホスト ヘッダーを適用すれば、ホスト名付きサイト コレクションへのアクセスを実現できます。このようにすると、既定領域内にあると見なされるホスト名付きサイト コレクションには既定領域を使用する一方、他の領域にあるパス ベースのサイト コレクションには別のアクセス マッピング機能を使用できます。

Web アプリケーション (IIS Web サイト) レベルでホスト ヘッダーを適用するには

  1. サーバーの全体管理のホーム ページで、[アプリケーション構成の管理] をクリックします。

  2. [アプリケーション構成の管理] ページで、[SharePoint Web アプリケーション構成の管理] セクションの [Web アプリケーションの作成または拡張] をクリックします。

  3. [Web アプリケーションの作成または拡張] ページの [SharePoint Web アプリケーションの追加] セクションで、[新しい Web アプリケーションの作成] をクリックします。

  4. [新しい Web アプリケーションの作成] ページの [IIS Web サイト] セクションで、Web アプリケーションへのアクセスに使用する URL を [ホスト ヘッダー] ボックスに入力して、新しい Web アプリケーションのホスト ヘッダーを構成します。

IIS サイトに対して作成するバインドをホスト ヘッダーの値によって指定すると、IIS は指定したホスト ヘッダーに送信された要求だけに対応するようになります。IIS マネージャから手動で IIS バインドを変更できますが、この方法は推奨されません。IIS マネージャを使用して行った変更は、Windows SharePoint Services 3.0 に反映されません。Windows SharePoint Services 3.0 では、同じ Web アプリケーションの同じ領域に対して、ファーム内の別のコンピュータ上に IIS Web サイトを準備しようとすると、[新しい Web アプリケーションの作成] ページで指定したバインドが使用されます。IIS Web サイトの既存のバインドを変更する場合は、領域から Web アプリケーションを削除し、使用するバインドを指定して Web アプリケーションを領域に再拡張します。

ホスト名付きサイト コレクションを構成する

Windows SharePoint Services 3.0 には、さまざまなユーザー作業および管理作業のための Web サービスのセットが付属しています。これらの管理作業の 1 つが新しいサイトの作成です。CreateSite Web メソッドは、ホスト名付きサイト コレクションの作成をサポートしていません。この問題に対する対応策は、API サンプル コードをラップする Web サービスを作成することです。

新しい Windows SharePoint Services 3.0 サイトを準備する場合に検討する追加の構成オプションがいくつかあります。サイトの作成時に適切なサイト テンプレートを指定することによって、新しいサイトで使用できる事前構成 Web パーツおよびその他のユーザー インターフェイス要素が決定します。ホスティングのシナリオでは、チーム サイト テンプレート (サイト作成時の値が "STS#0") と、Web パーツ リストまたは構成済みのリストを含まない空のサイト (値が "STS#1") のどちらかを選択します。

ホスト環境では、新しく準備する Windows SharePoint Services 3.0 Web サイトごとにサイトのクォータを指定することを検討してください。サンプルの Web サービスではサイトのクォータ テンプレートはサポートされていませんが、サイトのクォータを追加し、追加したクォータを使用して、あらかじめ決められている制限に基づいたサイトのクォータ テンプレートを作成できます。

SQL 認証を使用するホスト名付きサイト コレクションを作成する

ホスティング シナリオで SQL メンバシップ プロバイダを使用する場合、ホスト名付きサイト コレクションを適切に設定し、管理するために、いくつかの追加手順を実行する必要があります。サイトを作成する場合は、サイトの所有者になるユーザーを指定する必要があります。このことは、所有者がメンバシップ ディレクトリにユーザーとして既に存在していることを意味します。この作業および SQL メンバシップ プロバイダに関するその他の作業を簡略化するには、MembershipSiteAdmin.exe ツールを使用します。

注意

MembershipSiteAdmin.exe ツールのダウンロードについては、「SharePoint SQL site provider Sample Source Code (英語)」(https://www.codeplex.com/SharePointHosters/Release/ProjectReleases.aspx?ReleaseId=5097) を参照してください。

MembershipSiteAdmin.exe は、サイトとユーザーがどのように作成および削除され、アプリケーションにマッピングされるかを管理するコマンドライン ツールであり、以下の作業に役立ちます。

  • SQL メンバシップ データベースにユーザーを作成する。

  • SQL メンバシップ データベースのユーザーを削除する。

  • Windows SharePoint Services 3.0 サイトを作成する。

  • Windows SharePoint Services 3.0 サイトを削除する。

  • 指定したユーザーに関連付けられたアプリケーションを列挙します。または、システムまたはその他のアプリケーションにユーザーが既に存在しているかどうかを確認します。

Windows SharePoint Services 3.0 サイトの作成または削除のプロセスは、stsadm.exe によって実行されます。そのためには、stsadm.exe の構成ファイルが必要です。MembershipSiteAdmin.exe はカスタム ストアド プロシージャおよびメンバシップ プロバイダ API を呼び出し、stsadm.exe ツールをラップします。MembershipSiteAdmin.exe は、次のカスタム ストアド プロシージャのどちらかを呼び出すことによって、アプリケーション名を Windows SharePoint Services 3.0 サイトの完全修飾ドメイン名 (FQDN) にマップします。

  • aspnet_Sitemaps_CreateMapping は、入力としてアプリケーション名と FQDN を使用します。

  • aspnet_Sitemaps_DeleteMapping は、入力として FQDN を使用します。

ASP.NET メンバシップ サービス API (System.Web.Security.Membership) を使用すると、SQL メンバシップ リポジトリのユーザーを作成したり削除したりできます。MembershipSiteAdmin.exe では、このプロセスを実行するために Membership.CreateUser メソッドまたは Membership.DeleteUser メソッドを呼び出します。メンバシップ サービスで使用されるプロバイダは、MembershipSiteAdmin.exe の App.config ファイル (MembershipSiteAdmin.exe.config) で指定されます。MembershipSiteAdmin.exe は、付属の SQL メンバシップ プロバイダを使用してこれらの作業を実行し、アプリケーション名を指定してユーザーに接続します。MembershipSiteAdmin.exe.config ファイルは、stsadm.exe ファイルの既定の場所を指定しています。Windows SharePoint Services 3.0 を別の場所にインストールした場合は、このアプリケーション設定を更新する必要があります。MembershipSiteAdmin.exe.config ファイルの次のセクションを参照してください。

<appSettings>
<add key="stsadmPath"
      value="C:\Program Files\Common Files\Microsoft Shared\Web server
extensions\12\BIN\" />
</appSettings>

HTTP および HTTPS を使用してホスト名付きサイトを公開する

既定のポート上にサイト コレクションを作成すると、HTTP および HTTPS の両方のプロトコルを使用してホスト名付きサイト コレクションを公開できます。その他のポート上にサイト コレクションを作成した場合は、個々のホスト名付きサイト コレクションは、createsite コマンドの -url パラメータで入力した URL に従って、HTTP または HTTPS のどちらか一方で公開できます。SSL ターミネーションなどの代替アクセス マッピングで提供される拡張エクストラネット シナリオでは、ホスト名付きサイト コレクションを使用できません。

HTTP に対応した Web アプリケーションと HTTPS に対応した Web アプリケーションを 1 つずつ作成することによって、両方のプロトコルを使用して検索結果を取得できます。検索では、Web アプリケーションの既定領域に割り当てられたパブリック URL のプロトコル スキーマを使用して、ホスト名付きサイト コレクションが使用するプロトコル スキーマのタイプを決定します。HTTP を使用してホスト名付きサイト コレクションを検索できるようにするには、ホスト名付きサイト コレクションを HTTP Web アプリケーションに配置します。HTTPS を使用してホスト名付きサイト コレクションを検索できるようにするには、ホスト名付きサイト コレクションを HTTPS Web アプリケーションに配置します。

ホスト名付きサイト コレクションを構成する

HTTPS を構成する前に、IIS Web サイトに証明書を適用する必要があります。したがって、HTTPS は Windows SharePoint Services 3.0 の Web アプリケーション レベルでのみ構成できます。ホスティング シナリオでは、ホスト側は HTTPS を使用して単一の Web アプリケーションを構成して、Web アプリケーション内に複数のホスト名付きサイト コレクションを作成できます。各 Web サイトは技術的に単一の証明書を共有します。ホスト側では、ワイルドカード証明書を取得して、そのワイルドカード証明書に一致するホスト名付きサイト コレクション URL ポリシーを使用する必要があります。たとえば、ホスト側が *.contoso.com というワイルドカード証明書を取得した場合は、ホスト側は https://site1.contoso.com、https://site2.contoso.com などのホスト名付きサイト コレクションの URL を生成して、これらのサイトがブラウザの SSL 検証にパスできるようにする必要があります。ただし、各サイトに特定の証明書を適用するという要件がある場合、ホスト側は複数の Web アプリケーションを作成する必要があります。Web アプリケーションは、Windows SharePoint Services 3.0 のサイト コレクションほどスケーラブルではありません。

ホスト名付きサイト コレクション用に HTTPS を構成するには、サーバーの全体管理の [新しい Web アプリケーションの作成] ページで SSL を使用可能にする必要があります。Windows SharePoint Services 3.0 では、Web アプリケーションにポート番号が自動的に割り当てられますが、手動で別のポート番号を指定できます。

アカウント作成モード、Active Directory のドメイン アカウント モード、および Active Directory のフォーム認証用の HTTPS サイトを作成できます。

Web アプリケーションの作成後、IIS マネージャを開いて証明書を割り当てます。次にサイト コレクションを作成します。既定以外のポートを使用している場合は、次のサンプルに示すように、stsadm.exe –o createsite コマンドの –url パラメータおよび –hhurl パラメータの両方にポート番号を指定します。

stsadm.exe –o createsite
–ownerlogin contoso\administrator
–owneremail administrator@contoso.com
–url https://www.hoster.contoso.com:443
–hhurl https://www.contoso.com:443

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入手可能なドキュメントの詳細な一覧については、「Windows SharePoint Services 3.0 テクニカル ライブラリ」を参照してください。