ドキュメント ライブラリを計画する (Windows SharePoint Services)

この記事の内容 :

  • ライブラリを計画する

  • バージョン管理、コンテンツの承認、チェックアウトを計画する

  • Information Rights Management を計画する

ライブラリを計画する

ドキュメント ライブラリは、他のサイト ユーザーと共有する Windows SharePoint Services 3.0 上のファイルのコレクションです。Windows SharePoint Services 3.0 のドキュメント管理機能の大部分は、ドキュメント ライブラリを介して提供されます。ドキュメント管理計画の一部として、組織のニーズに最も適したドキュメント ライブラリを決定する必要があります。

Windows SharePoint Services 3.0 のドキュメント ライブラリには、次の種類があります。

  • ドキュメント ライブラリ ドキュメント ライブラリは、汎用目的のドキュメント ストレージとして、また、ドキュメントのグループ作業やコンテンツの共有を簡単に行うために使用します。

  • 画像ライブラリ 画像ライブラリは、デジタル画像を共有、管理、再使用するために使用します。

ドキュメント ライブラリを使用して、ワークグループで共同作業を行っているコンテンツを保存したり、共有のナレッジベースを作成したりします。たとえば、製品を設計するワークグループでは、ドキュメント ライブラリを使用して、設計提案、仕様、関連情報など、進行中の作業を保存できます。情報欄に表示されるメタデータを使用することによって、それぞれの設計ドキュメントの状態を管理、公開したり、ドキュメントに作者またはプロジェクト名などの情報を付加することができます。完成したドキュメントは、検索可能なナレッジ ベース ドキュメント ライブラリに個別に保存することができます。このライブラリは新規プロジェクトを調査研究するときに情報源として使用されます。

Windows SharePoint Services 3.0 のドキュメント ライブラリには、複数の種類のドキュメントを格納することができます。この機能を実装するには、1 つ以上のコンテンツ タイプをドキュメント ライブラリに関連付けます。複数のコンテンツ タイプがライブラリに関連付けられている場合、このライブラリの [新規作成] コマンドを使用して、ライブラリに関連付けられている任意のコンテンツ タイプの新規ドキュメントを作成することができます。ライブラリに格納可能なすべてのコンテンツ タイプのメタデータは、ドキュメント ライブラリのビューに表示されます。コンテンツ タイプの計画の詳細については、「コンテンツ タイプを計画する (Windows SharePoint Services)」を参照してください。

グループ作業をサポートするドキュメント ライブラリのその他の機能には次のものがあります。

  • テンプレート テンプレートを設計してドキュメント ライブラリに関連付けることにより、ライブラリに作成されるドキュメントを標準化することができます。

  • ワークフロー カスタム ワークフロー (「ワークフローを計画する (Windows SharePoint Services)」を参照) を使用すると、ドキュメントに関するビジネス プロセスを実行できます。たとえば、ワークフローによって、レビューのためにドキュメントを送信することができます。

  • チェックインとチェックアウト ドキュメントを編集する際にはドキュメント ライブラリのドキュメントをチェックインおよびチェックアウトするよう、ユーザーに要求できます。

  • バージョン管理 3 種類のバージョン管理オプションから選択できます。

Microsoft® Windows® SharePoint® Services 3 ドキュメント ライブラリを計画する」を使用して、作成する各ドキュメント ライブラリと、そのライブラリを作成するサイトの一覧を記述することができます。たとえば上記の製品設計の例を使用すると、"アクティブな設計ドキュメントのライブラリ" および "アーカイブ済みの設計ドキュメントのライブラリ" という 2 つのエントリを作成することが考えられます。各ライブラリについて、"製品仕様"、"製品設計ドキュメント" など、ライブラリに保存するすべてのコンテンツの種類を記入します。

バージョン管理、コンテンツの承認、チェックアウトを計画する

バージョン管理を計画する

バージョン管理は、1 つのドキュメントの連続する反復に番号を付けて保存するための方法です。

Windows SharePoint Services 3.0 には 3 種類のバージョン管理オプションがあります。

  • なし   ドキュメントの以前のバージョンを保存しないことを指定します。バージョン管理を使用しないと、以前のバージョンのドキュメントを取得することはできず、ドキュメントの各反復に付随するコメントが保存されないので、ドキュメントの履歴も失われます。このオプションは、重要ではないコンテンツまたは変化しないコンテンツを含むドキュメント ライブラリに対して使用します。

  • メジャー バージョンのみ 単純なバージョン管理方法 (1、2、3 など) を使用して、ドキュメントの番号付きのバージョンを維持することを指定します。記憶域に対する影響を制御するため、保持する以前のバージョンの数を、現在のバージョンから遡って数えて指定できます。メジャー バージョン管理の場合は、ドキュメントの新しいバージョンが保存されるたびに、そのドキュメント ライブラリに対する権限を持っているすべてのユーザーが、そのコンテンツを見ることができます。このオプションは、ドキュメントの下書きバージョンと公開バージョンを区別する必要がない場合に使用します。たとえば、組織内のワークグループが使用するドキュメント ライブラリでは、各ドキュメントのすべての反復をチームの全員が見ることができる必要がある場合は、メジャー バージョン管理が適しています。

    メジャー バージョンとマイナー バージョン メジャーとマイナーのバージョン管理方法 (1.0、1.1、1.2、2.0、2.1 など) を使用して、ドキュメントの番号付きのバージョンを維持することを指定します。最後が .0 のバージョンはメジャー バージョンで、最後が 0 以外のバージョンはマイナー バージョンです。現在のバージョンと共に、ドキュメントの以前のマイナー バージョンとメジャー バージョンが保存されます。記憶域に対する影響を制御するため、保持する以前のメジャー バージョンの数を、現在のバージョンからさかのぼって数えて指定できます。また、いくつのメジャー バージョンでマイナー バージョンを保持する必要があるかを指定することもできます。たとえば、2 つのメジャー バージョンに対してマイナー バージョンを保持する必要があると指定した場合、現在のメジャー バージョンが 4.0 であるとすると、3.1 以降のすべてのマイナー バージョンが保持されます。メジャーとマイナーのバージョン管理では、読み取り権限を持つすべてのユーザーが、ドキュメントのメジャー バージョンを見ることができます。マイナー バージョンを見ることができるユーザーは指定できます。通常は、要素を編集できるユーザーにはマイナー バージョンを表示および操作するための権限を許可し、読み取り権限を持つユーザーはメジャー バージョンだけの表示に制限します。メジャーとマイナーのバージョン管理は、対象ユーザーが見ることのできる公開コンテンツと、まだ公開できる状態ではない下書きコンテンツを区別したい場合に使用します。たとえば、組織の各種手当について説明する人事 Web サイトでは、説明を改訂している間は、メジャーとマイナーのバージョン管理を使用して、各種手当の説明に対する従業員のアクセスを制限します。

Microsoft® Windows® SharePoint® Services 3 ドキュメント ライブラリを計画する」 では、記入するドキュメント ライブラリごとに、使用するバージョン管理方法 (なし、メジャー、メジャーとマイナー) を指定します。

コンテンツ承認を計画する

コンテンツの承認は、承認者権限を持つサイト メンバがコンテンツの公開を制御する方法です。コンテンツ承認を待っているドキュメントの下書きは、承認待ちの状態になっています。承認者がドキュメントをレビューしてコンテンツを承認すると、読み取り権限を持つサイト ユーザーはそのドキュメントを見ることができるようになります。ドキュメント ライブラリの所有者は、ドキュメント ライブラリに対してコンテンツ承認を有効にすることができ、必要に応じて、承認プロセスを実行するためのワークフローを、ライブラリと関連付けることができます。対象ユーザーがコンテンツを利用できるようにするプロセスを形式化して制御するには、コンテンツ承認を使用します。たとえば、製品またはサービスの 1 つとしてコンテンツを公開する企業は、コンテンツを公開する前に、法律に関するレビューと承認が必要になる場合があります。

ドキュメントが承認のために提出される方法は、ドキュメント ライブラリでのバージョン管理の設定によって異なります。

  • なし バージョン管理が使用されていない場合は、ドキュメントに対する変更が保存されると、ドキュメントの状態は承認待ちになります。Windows SharePoint Services 3.0 は前のバージョンのドキュメントを保持しているので、読み取り権限を持つユーザーはまだドキュメントを見ることができます。承認待ちの変更が承認されると、読み取り権限を持つユーザーは新しいバージョンのドキュメントを見ることができるようになり、前のバージョンは破棄されます。バージョン管理が使用されていない場合は、新しいドキュメントがドキュメント ライブラリにアップロードされると、そのドキュメントは承認待ち状態のライブラリに追加されて、承認されるまで、読み取り権限を持つユーザーがそのドキュメントを見ることはできません。

  • メジャー バージョンのみ   メジャー バージョン管理が使用されている場合は、ドキュメントに対する変更が保存されると、ドキュメントの状態は承認待ちになり、読み取り権限を持つユーザーは、前のメジャー バージョンのドキュメントを見ることができます。ドキュメントに対する変更が承認されると、ドキュメントの新しいメジャー バージョンが作成され、読み取り権限を持つサイト ユーザーは新しいメジャー バージョンを見ることができるようになり、前のバージョンはドキュメントの履歴リストに保存されます。メジャー バージョン管理が使用されている場合は、新しいドキュメントがドキュメント ライブラリにアップロードされると、そのドキュメントは承認待ち状態のライブラリに追加され、バージョン 1 として承認されるまで、読み取り権限を持つユーザーがそのドキュメントを見ることはできません。

  • メジャーとマイナー バージョン メジャーとマイナーのバージョン管理が使用されている場合は、ドキュメントに対する変更を保存するときに、作成者は、下書きとしてドキュメントの新しいマイナー バージョンを保存するか、または新しいメジャー バージョンを作成するかを選択でき、後者を選択するとドキュメントの状態が承認待ちに変わります。ドキュメントに対する変更が承認されると、ドキュメントの新しいメジャー バージョンが作成され、読み取り権限を持つサイト ユーザーは新しいメジャー バージョンを見ることができるようになります。メジャーとマイナーのバージョン管理では、ドキュメントのメジャー バージョンとマイナー バージョンの両方が、ドキュメントの履歴リストで保持されます。メジャーとマイナーのバージョン管理が使用されている場合は、新しいドキュメントをドキュメント ライブラリにアップロードするときに、作成者は、ドキュメントをバージョン 0.1 として下書き状態でライブラリに追加することも、直ちに承認を要求することもできます。後者の場合は、ドキュメントの状態が承認待ちになります。

Microsoft® Windows® SharePoint® Services 3 ドキュメント ライブラリを計画する」 では、記入するドキュメント ライブラリごとに、コンテンツの承認が必要かどうかを指定します。

チェックインとチェックアウトを計画する

ドキュメントを編集する際にはドキュメント ライブラリのドキュメントをチェックアウトおよびチェックインするよう、ユーザーに要求できます。このようにすることが常に推奨されます。チェックインとチェックアウトを必要にすると、以下のような利点があります。

  • ドキュメントのバージョンが作成されるタイミングを、より適切に制御できます。ドキュメントがチェックアウトされているとき、作成者はチェックインしなくてもドキュメントを保存できます。ドキュメント ライブラリの他のユーザーはこの変更を見ることはできず、新しいバージョンは作成されません。新しいバージョン (他のユーザーも見ることができる) は、作成者がドキュメントをチェックインしたときにのみ作成されます。これにより、作成者は、いっそう柔軟に、適切な制御を行うことができます。

  • メタデータをいっそう取得しやすくなります。ドキュメントをチェックインするとき、作成者はドキュメントに対して行った変更を説明するコメントを書くことができます。これにより、ドキュメントに対して行われた変更の最新状態がわかる履歴レコードが作成されるようになります。

Microsoft® Windows® SharePoint® Services 3 ドキュメント ライブラリを計画する」 では、記入するドキュメント ライブラリごとに、チェックインとチェックアウトが必要かどうかを指定します。

Information Rights Management を計画する

Information Rights Management (IRM) を使用すると、コンテンツ作成者はドキュメントを制御したり、保護したりすることができます。権限が管理されたドキュメントの内容は暗号化され、ユーザーに対して制限を適用する発行ライセンスが提供されます。これらの制限は、ユーザーのアクセス許可レベルに応じて異なります。一般的な制限としては、ドキュメントを読み取り専用にすること、テキストをコピーできないようにすること、ユーザーがドキュメントのコピーを保存できないようにすること、ユーザーがドキュメントを印刷できないようにすることなどが挙げられます。IRM がサポートされているファイルの種類を読み取るクライアント アプリケーションは、IRM で管理されているドキュメント内の発行ライセンスを使用して、そのドキュメントにアクセスするユーザーに制限を適用します。

Windows SharePoint Services 3.0 は、ドキュメント ライブラリに保存されているドキュメントに対する Information Rights Management の使用をサポートしています。あるファイルの種類に対して Information Rights Management を実装するには、管理者はそのファイルの種類用のプロテクタをインストールする必要があります。プロテクタとは、権限が管理されているドキュメントの暗号化および解読を制御するプログラムです。

Windows SharePoint Services 3.0 で Information Rights Management を使用することによって、ユーザーが Windows SharePoint Services 3.0 のライブラリからドキュメントを開いたときに、ドキュメントに対して実行できる操作を制御することができます。これは、クライアント コンピュータに保存されているドキュメントに適用される IRM とは対照的で、クライアント コンピュータに保存されているドキュメントの場合は、ドキュメントの所有者がドキュメントの各ユーザーに割り当てる権限を選択できます。ドキュメント ライブラリに IRM を使用して、サーバーに保存されている機密性の高いコンテンツを制御します。たとえば、社内の別のチームがドキュメント ライブラリを使用して次期製品をプレビューできるようにする場合は、IRM を使用して、それらのチームが社外の対象ユーザーにコンテンツを公開できないようにすることができます。

ドキュメント ライブラリに対して IRM が有効になっていて、権限を管理することができる種類のドキュメントがサーバーからクライアント アプリケーションにダウンロードされた場合、Windows SharePoint Services 3.0 はそのドキュメントを暗号化し、発行ライセンスを追加します。ドキュメントがアップロードされてサーバーに戻されると、Windows SharePoint Services 3.0 はファイルを解読し、ライブラリに暗号化されていない形式で保存します。

ユーザーがドキュメント ライブラリからのドキュメントをアップロードするときに、ドキュメントに適用される IRM 権限は、Windows SharePoint Services 3.0 のセキュリティ設定で、そのコンテンツに対する各ユーザーの権限に基づいて決定されます。以下の表は、Windows SharePoint Services 3.0 の権限と IRM 権限の対応を示したものです。

Windows SharePoint Services の権限 IRM 権限

権限の管理、Web の管理

クライアントで定義されているように、フル コントロールです。この場合、ユーザーは、通常、権限が管理されているコンテンツの読み取り、編集、コピー、保存、およびその権限の変更を行うことができます。

リスト アイテムの編集、リストの管理、ページの追加とカスタマイズ

編集、コピー、および保存の権限。必要に応じて、これらの権限を持つユーザーが、ドキュメント ライブラリからのドキュメントを印刷できるように設定することもできます。

リスト アイテムの表示

読み取り権限。ユーザーはドキュメントを表示できますが、そのコンテンツをコピーまたは更新することはできません。必要に応じて、リスト アイテムの表示権限を持つユーザーが、ドキュメント ライブラリからのドキュメントを印刷できるように設定することもできます。

その他

IRM 権限に対応する他の権限はありません。

Windows SharePoint Services 3.0 で IRM を使用するには、サーバー ファーム内のすべてのフロントエンド Web サーバーに、Microsoft Windows Rights Management Services Client Version 1 をインストールする必要があります。さらに、ネットワーク上で、Microsoft Windows Rights Management Services (RMS) for Windows Server 2003, Service Pack 1.0 以降も利用できるようにしておく必要があります。Windows Rights Management Services クライアントをインストールする方法、および Microsoft Windows Rights Management Services の詳細については、Windows Rights Management Services (https://www.microsoft.com/japan/windowsserver2003/technologies/rightsmgmt/default.mspx) を参照してください。Windows SharePoint Services 3.0 が権限が管理されたコンテンツを作成できるように Microsoft Windows Rights Management Services を構成するために必要な手順の詳細については、「Windows SharePoint Services 3.0 導入ガイド」を参照してください。

Microsoft® Windows® SharePoint® Services 3 ドキュメント ライブラリを計画する」内の各ドキュメント ライブラリに対して、Information Rights Management が必要かどうかを指定し、追加のドキュメントの種類用のプロテクタが必要な場合は、その情報を [IRM が必要] 列に入力します。