Exchange Server 2007 Beta 2 の機能

公開日: 2006年6月11日

Exchange Server 2007 Beta 2 で使用できる機能を確認してください。

組み込み保護機能

Exchange Server 2007 には、エッジ トランスポート、Hosted Filtering 統合、およびスパム対策フィルタとウイルス対策保護の拡張機能などの保護機能が組み込まれています。詳細については、下の表を参照してください。

スパム対策およびウイルス対策

機能 種類 説明

エッジ トランスポート サーバーの役割

 

このサーバーの役割は、境界ネットワークの展開に対するものです。これは簡易メール転送プロトコル (SMTP) ルーティングをサポートし、スパム対策フィルタ テクノロジを提供し、ウイルス対策の拡張機能をサポートします。エッジ トランスポート サーバーは Active Directory ディレクトリ サービスから切り離す必要がありますが、Active Directory アプリケーション モード (ADAM) を使用すると Active Directory を受信者のフィルタに活用できます。Exchange Server 2007 の EdgeSync は、関連組織の (暗号化された) 情報を強力な受信者フィルタで使用できるようにエッジ トランスポート サーバーに公開し、エッジ上の Microsoft Outlook の差出人セーフ リストに従って処理します。エッジ トランスポート サーバーと Exchange Server 2007 の内部ネットワーク間の通信は、既定で暗号化されています。

エッジ トランスポートには、多くの層で保護を行うスパム対策テクノロジが備わっています。

スパム対策

接続フィルタ

Exchange Server 2007 には、送信者の評価に基づいた IP ベースのブロック/許可に関する統合リストが用意されています。リストは、新しいバージョンが使用可能になると、自動的に更新されます。管理者は、必要に応じて追加の IP 許可/拒否リストを作成できます。

スパム対策

送信者および受信者フィルタ

送信者の評価は、動的に分析されて更新されます。エッジ トランスポート サーバーが所定のドメインで特定の傾向を見つけた場合、一定の操作を強制して、受信メッセージを検疫または拒否できます。また、送信者 ID を使用して、各電子メールメッセージが、送信者の SMTP サーバー IP アドレスに基づいて発信したとするインターネット ドメインから送信されていることを確認します。送信者 ID レコードが確認されると、その結果を過去のトラフィック パターンおよび送信者の評価と相互参照して、ドメインの評価に対する関連重みを作成できます。最後に、受信者が検証され、管理者は存在しないユーザー アカウントや内部専用配布リストに送信されたメッセージをブロックできます。

スパム対策

差出人セーフ リストの集計

エッジ トランスポート サーバーは、EdgeSync を介して、Outlook 2003 および Outlook 2007 の差出人セーフ リストに従い、誤検知を減らすことができます。

スパム対策

送信者 ID

Exchange Server 2007 には、送信者 ID のサポート機能が埋め込まれています。これは、電子メール業界主導で考案されたもので、これにより各電子メール メッセージが送信者の SMTP サーバー IP アドレスに基づいて発信されたとするインターネット ドメインから送信されていることを確認できます。送信者 ID により、ドメイン スプーフィングを防ぎ、正当な送信者のドメイン名および評価を保護し、迷惑メールやフィッシング詐欺をより効率的に識別してフィルタ処理して受信者を守ることができます。

スパム対策

コンテンツ フィルタ

コンテンツを分析する際には、Microsoft SmartScreen コンテンツ フィルタ テクノロジを Exchange Server に実装した、インテリジェント メッセージ フィルタ (IMF) を使用します。SmartScreen は、Microsoft Research が特許を取得したマシン ラーニング テクノロジに基づいています。フィッシング対策機能も IMF に組み込まれており、不正リンクやスプーフィングされたドメインを検出し、ユーザーをこの手のオンライン詐欺から保護するのに役立ちます。Outlook 2007 を使用すると、ユーザー インターフェイスにフィッシングの警告やブロックが表示されます。ユーザーは、頻繁に公開される Exchange Server 2007 の自動フィルタ更新プログラムにより、新たに発生しているスパム攻撃から保護されます。管理者がさらに制御を必要とする場合には、エッジ トランスポート サーバーで、単語や語句をフィルタに追加する機能などのカスタマイズを行うことが可能です。

スパム対策

Outlook 電子メールの消印

Exchange 2007 は、Outlook 2007 から送信されたメッセージに添付された Outlook 電子メールを確認します。Outlook 電子メールの消印は、評価のない正当な送信者からのメッセージに対する誤検知を削減できます。

スパム対策

スパム評価

メッセージ コンテンツのスキャンの他に、IMF により、接続、送信者/受信者、送信者の評価、送信者 ID の確認、および Outlook 電子メールの消印の検証からガイダンスがまとめられ、特定のメッセージに対して Spam Confidence Level (SCL) 評価が適用されます。管理者は、この SCL 評価に基づいてメッセージに関する操作を事前構成できます。操作には、受信トレイや迷惑メール フォルダに配信する、スパム検疫に配信する、完全に排除して配信しないなどが含まれます。

スパム対策

サービスの回復 (Service Resilience)

エッジ トランスポート サーバーの役割により、着信 SMTP メッセージの受信を制御し、可用性を向上させることができます。この制御は、オープン プロキシのコンピュータを検出する機能と組み合わされて、サービス拒否攻撃の回避に役立てることができます。タール ピット機能 (tar pitting) がサポートされているので、特定の SMTP 通信パターンに対してサーバーの応答を遅くし、ディレクトリ獲得攻撃を最小限に食い止めることができます。

スパム対策

スパム対策スタンプ

エッジ トランスポート サーバーの役割でフィルタ処理されたメッセージは、そのメッセージがスパムと考えられる理由、フィルタと評価サービス (IP、ドメイン、送信者、受信者、コンテンツ) のどの組み合わせによりそのスパム評価が決定したかなどの情報でスタンプを付けられます。管理者は、この情報を総合的に使用し、多層的なアプローチを介した効果的なフィルタについて理解して適切に調整できます。

スパム対策

2 層構造のスパム検疫

Exchange Server 2007 環境では、2 層構造のスパム検疫が可能です。まず、管理者は境界ネットワークにあるスパム検疫にアクセスできます。Outlook を使用してスパム検疫にアクセスし、メッセージを検索したり、受信者に配信したり、拒否または削除したりできます。"ボーダーライン" の SCL 評価を持つメッセージ (ボーダーラインの定義は管理者が構成します) は、エンド ユーザーの Outlook の迷惑メール フォルダに配信され、安全のためにテキスト形式に変換されます。

スパム対策

統合管理

エッジ トランスポート サーバーの役割と対応するルールの管理は、他の Exchange 環境と整合性が取れており、Exchange 管理コンソール グラフィカル インターフェイスまたは自動化用の Exchange 管理シェルを使用して実行できます。最終的に、管理者は Microsoft Operations Manager (MOM) による通知または Exchange 内のレポートを活用して、スパム対策フィルタの効果を分析できます。

ウイルス対策拡張機能

添付ファイル フィルタ

電子メールを介して配信されたワームから効果的に保護するために、管理者は、添付ファイルのサイズ、コンテンツまたはファイル形式に応じて添付ファイルを削除できます。圧縮ファイルのマニフェストを検証して、ファイル形式が違反していないか調べることもできます。

ウイルス対策拡張機能

エッジ プロトコル ルール

反応型防御機構として、ウイルス対策署名の更新プログラムが使用できるようになる前に、プロトコル ルールにより保護層が提供されます。管理者は、マルウェアが含まれた既知のテキスト パターンをフィルタ処理し、接続を切断できます。

ウイルス対策拡張機能

ウイルス対策スタンプ

Exchange 環境でスキャンされたメッセージには、ウイルス対策スタンプを割り当てることができます。このスタンプにより、スキャンを実行したエンジン、使用された署名、メッセージが最後にスキャンされた時期が特定されます。

ウイルス対策拡張機能

ウイルス対策スキャンへの緊密な統合

ウイルス対策ソリューションを Exchange Server 2007 環境内でさらに密接に統合できます。ウイルス対策ソリューションは、多目的インターネット メール拡張 (MIME) 解析ツールにアクセスでき、転送中のメッセージ ストリーム (エッジ トランスポート サーバーまたはハブ トランスポート サーバー上) をスキャンできます。転送中にウイルスが検出されると、Exchange のメールボックスへの配信と格納を防ぐことができます。

Hosted Filtering 統合

 

Exchange Server 2007 は、Exchange Hosted Services と統合され、スパムおよびウイルスに対してオフサイトの保護を提供します。

機密情報のメッセージング

機能 種類 説明

組織内の暗号化

 

Exchange Server 2007 組織内でやり取りされるすべてのメールは、既定で暗号化されます。サーバー間のトラフィックにはトランスポート層セキュリティ (TLS) が使用され、Outlook 接続にはリモート プロシージャ コール (RPC) が使用され、クライアント アクセス トラフィック (Outlook Web Access、Exchange ActiveSync、および Web Services) には Secure Socket Layers (SSL) が使用されます。これにより、スプーフィングを防ぎ、転送中のメッセージの機密性を確保することができます。

Information Rights Management (IRM)

 

管理者は、ハフ トランスポート サーバーの役割のトランスポート ルールを使用して、件名、コンテンツ、または送信者/受信者に基づいてメッセージの IRM 保護を実行できます※。さらに、Exchange Server 2007 では IRM で保護されたメッセージに事前にライセンスが供与されているので、ユーザーが迅速にクライアントを取得できます。
※Exchange Server 2007 SP1 以降にて対応予定

コンプライアンス

機能 種類 説明

トランスポート ルール

 

Exchange Server 2007 には、ハブ トランスポート サーバーで実行されるルールに基づくポリシー エンジンが備わっています。トランスポート ルールを使用すると、管理者とコンプライアンス担当者は、内部または送信方向の電子メール、ボイス メール、または FAX に関する規制や企業ポリシーを作成して強制できます。たとえば、Exchange 管理コンソールのウィザードや Exchange 管理シェルのコマンド ラインを使用して、ルールを作成し、特定の配布リストのメンバ間の通信を禁止したり、テキスト パターン マッチングにより識別される機密情報を含んだメッセージの配布に暗号化を要求したり、外部に送信されるメッセージに免責条項を付記したり、コンプライアンス担当者がメッセージの件名や内容に使用される特定の語句を必要に応じて確認できるよう BCC で担当者にメールを送信したりできます。

メッセージング レコード管理

 

電子メール、ボイス メール、および FAX 通信には、企業のさまざまな保存ポリシーが存在します。管理された電子メール フォルダを使用すると、ユーザーはメッセージを、管理者が管理する Outlook フォルダにまとめることができます。自動化されたプロセスにより受信トレイとこれらのフォルダがスキャンされ、通信は、コンプライアンスの要件に基づいて保存、失効、またはジャーナル管理されます。

柔軟なジャーナル

 

Exchange Server 2007 のジャーナルには柔軟性があります。ジャーナルは、データベースごと、配布リストごと、またはユーザーごとにトリガできます。すべてのメッセージにジャーナルを使用したり、内部または外部に送信されるものだけにジャーナルを使用したりできます。トランスポート ルールでは、メッセージの送信者、受信者、またはコンテンツに基づいてジャーナルを使用するタイミングについても指定できます。

複数メールボックスの検索

 

マイクロソフトの標準検索テクノロジを使用して、Exchange Server 2007 メールボックスのコンテンツを完全にインデックス化し、さまざまな条件により検索できるようにします。コンプライアンスまたは法的要件により情報の開示が要求された場合、管理者は単一のクエリを使用して組織内の複数のメールボックスにわたって検索できます。その結果は、Microsoft Windows SharePoint Services サイト、または Outlook を介して HR やコンプライアンス担当者が使用できるメールボックスに送られます。

アーカイブの統合

 

ジャーナルが使用されたメッセージは、Exchange メールボックスや Windows SharePoint Services サイトなどの SMTP アドレスのアーカイブに保管できます。

ビジネスの継続性

機能 種類 説明

ローカルの連続レプリケーション

 

単独サーバー上のアクティブ/パッシブ ディスク間でデータの連続レプリケーションを使用すると、可用性を向上させることができます。これにより、運用データベースのコピーであり、自動的に最新の状態に更新されるローカル サーバー上に 2 つ目のレプリカ データベースが作成されます。ディスク エラーやデータ破損などの場合、コピーのデータベースに切り替えることにより、管理者による回復ソリューションのコストが削減され、複雑さが緩和されます。

クラスタ化された連続レプリケーション

 

アクティブ/パッシブ クラスタでレプリケーションを使用すると、可用性を向上させることができます。アクティブ サーバー ノード上に記録されたデータは、パッシブ サーバー ノードにコピーされ、サーバーとデータの構成および設定をコピーできるようになります。共有ストレージを必要としないため、アクティブ ノードとパッシブ ノードを、同期レプリケーション ソリューションによるパフォーマンス上の影響を受けない別々の地理的な場所に配置できます。パッシブ サーバー ノードに対する自動フェールオーバーは、エンド ユーザーに対して透過的であり、ログとクエリを使用することでデータ消失のリスクを大幅に軽減し、管理者による回復ソリューションのコストと複雑さを緩和します。

頻度が少なくなった、高速なバックアップ

 

ローカル サーバーまたはパッシブ サーバー ノードのいずれかでデータベース レプリカに対してバックアップを実行できます。それにより、運用に対するパフォーマンス上の影響が軽減されます。連続レプリケーションも、現在障害回復に使用されているコストのかかる、フル ディスクまたはテープ バックアップの頻度を減らします。

データベースの移植性

 

完全なサーバー エラーの場合、空のダイヤルトーン メールボックス データベースが新規サーバー上に作成され、ユーザーは回復中に電子メールを送受信することが可能になります。その場合、メールボックス データベースのバックアップは、バックアップ内の元のデータベースが別のサーバーに作成されていても、ダイヤルトーン データベース内に復元されます。

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運用の効率性

Exchange Server 2007 は、管理、自動化、およびより効率的な展開の面で IT プロフェッショナルを支援します。運用の効率性に関して Exchange Server 2007 にはどのような機能が含まれているかは、下の表を参照してください。

管理および自動化

機能 種類 説明

Exchange 管理コンソール

 

管理のためのグラフィカル ユーザー インターフェイスが強化されます。管理操作は操作ウィンドウで容易に確認でき、ナビゲーション構成は 3 つのレベルに簡素化されています。Exchange の管理とトラブルシューティングのツールは、ツールボックス内にまとめられています。Exchange 管理コンソールは Exchange 管理シェル上に構築されています。また、コンソール内の操作は、コマンド ライン シェルを介しても使用可能です。

Exchange 管理シェル

 

Exchange 管理シェルは、Microsoft Windows PowerShell に基づき、高度に拡張可能になっています。その柔軟性に富んだ管理環境は、Exchange 管理コンソールを介して使用できるグラフィカル インターフェイスを補完します。これは、自動化、バッチ処理、およびレポート機能に対してスクリプトで管理できるコマンド ラインを介して迅速な管理を可能にし、Active Directory と統合します。管理者が Exchange 管理シェルの構文をすばやく学び、カスタム スクリプトを構築できるよう、グラフィカル Exchange 管理コンソールのウィザードでは、ウィザードにより管理者が指定した各操作についてコマンド ラインの構文が表示されます。このテキストを切り取って Exchange 管理シェルやスクリプト ファイルに直接貼り付けることができます。

Active Directory との拡張統合

 

Active Directory サイトの使用により、組織内の新しいサーバー探索と構成が自動化されます。Exchange Server 2007 環境のトポロジは、インフラストラクチャの他のサーバーと一緒に、Active Directory によって定義および管理されます。

Microsoft Operations Manager 用の Exchange Management Pack

 

生成トランザクションの手動構成は、大幅に削減、またはほとんど不要になりました。すべての生成トランザクションには、現在は Exchange 管理シェルからアクセスできます。ルールは Exchange Server 2007 サーバーの役割と一致します。新しいレポートが Exchange ActiveSync、ユニファイド メッセージング サービスの可用性、メッセージのウイルス予防機能、およびサーバーのパフォーマンスに対して導入されています。Exchange ベスト プラクティス アナライザ (ExBPA) 統合機能も含まれています。

Exchange トラブルシューティング ツール

 

Exchange ベスト プラクティス アナライザとの緊密な統合に加えて、Exchange Server 2007 には、Exchange 管理コンソールのツールボックス内に複数のトラブルシューティング ツールが備わっています。これらのツールは、Microsoft Update との統合により常に最新の状態に維持されます。ツールボックスには、Exchange メール フロー トラブルシューター、Exchange データベース トラブルシューター、および Exchange パフォーマンス トラブルシューターが含まれています。Exchange メール フロー トラブルシューターは、送受信電子メールのエラーを診断し、修正できます。Exchange データベース トラブルシューターは、データベースのマウント エラーを分離します。このツールは、回復用ストレージ グループの管理に使用され、ダイヤルトーンの回復を通じて管理者を支援します。Exchange パフォーマンス トラブルシューターは、Outlook または Exchange のパフォーマンス トラブルの原因を特定し、修正方法を提示します。

柔軟性のあるアクセス許可モデル

 

アクセス許可をよりきめ細かくかつ簡単に設定できるようになり、Exchange Server 2007 環境における管理が容易になりました。アクセス許可モデルでは、一連の新しい、事前設定された管理者の "役割" が有効になります。

自動サーバー更新

 

Exchange Server の更新および修正を自動化します。それには、Web 上の Microsoft Update、オンサイトの Windows Update サーバー、または間もなく System Center Configuration Manager としてリリースされる Microsoft Systems Management Server のいずれかを使用します。

展開

機能 種類 説明

サーバーの役割

 

Exchange Server 2007 は、5 つのサーバーの役割 (エッジ トランスポート、ハブ トランスポート、メールボックス、クライアント アクセス、およびユニファイド メッセージング) から成るモジュラー システムで、インストールに必要な時間を短縮し、管理者が手動で行うインストール後の構成を最小限に抑え、攻撃にさらされる領域を制限してセキュリティを向上します。また、柔軟性に富んでいるので、管理者は特定のサーバーに必要な機能とサービスのみを展開し、それに応じて管理できます。すべてのサーバーの役割は、エッジ トランスポートを除いて、単一のサーバーに展開できます。Exchange Server 2007 のインストールに必要なサーバーの役割は、ハブ トランスポートおよびメールボックスのみです。

セットアップ

 

新しいセットアップ プロセスは、インストールから構成までをカバーし、モジュール式の Exchange Server 2007 のサーバーの役割アーキテクチャをそのプロセスに組み込むことで複雑さが緩和されます。Microsoft Windows インストーラ テクノロジにより、独自のインストール パッケージと適切な既定の設定が用意されています。Exchange ベスト プラクティス アナライザ (ExBPA) は、セットアップ プロセスと統合されて、前提条件のチェックを実行し展開時に起こりうるエラーを特定します。大規模環境での展開を容易にするため、Exchange 管理シェル スクリプトを使用してサーバーのインストールとプロビジョニングを自動化できます。

Exchange ベスト プラクティス アナライザ

 

Exchange Server 2007 セットアップ プロセスに埋め込まれており、Exchange 管理コンソール ツールボックスから使用できるようになります。Exchange ベスト プラクティス アナライザを使用して、トポロジと個々のサーバーで構成の不一致を積極的に調べることができます。構成の不一致があると、将来、サービスの停止や信頼性を問われる問題につながることがあります。このアナライザは、警告やエラー メッセージを管理者に伝え、その警告やエラーに対処する方法について知らせます。Exchange ベスト プラクティス アナライザを Exchange 環境に対して定期的に実行し、最適な構成を確認することをお勧めします。

自動検出

 

Outlook 2007 を Exchange に接続するための構成は、以前より容易になりました。ネットワークにログ オンすると、Exchange Server 2007 は、ユーザーが接続を開始するのに必要なすべての入力を自動的に完了します。ネットワークにログ オンしていない場合でも、Outlook Anywhere (以前は RPC over HTTP または RPC/HTTP と呼ばれていました) を使用して Outlook 2007 を Exchange Server 2007 に接続する際に必要なのは、ユーザー名、電子メール アドレス、およびパスワードのみです。Exchange サーバー名は必要ではありません。メールボックスの移動、移行、または障害の際には、自動検出で、自動的に新しいサーバーを検出して接続を再構成することにより、ユーザーは設定を変更する必要がなくなります。

単一の移行エンジン

 

Exchange Server 2007 には、単一で包括的なツールが用意されているので、管理者が組織内または組織間の移行を実行する際には、移行の複雑性が最小限に抑えられます。

スケーラビリティおよびパフォーマンス

機能 種類 説明

ネイティブ x64

 

Exchange はネイティブ 64 ビット アプリケーションとして、より多くのメモリにアクセスでます。そのため、サーバーごとのメールボックスのサイズとユーザー アカウントの数が増加するので、高いパフォーマンスと信頼性が確保されます。

ストレージの最適化

 

x64 システムで使用できる大規模メモリ キャッシュでは、入力/出力 (I/O) 要件を低く抑えることができる (1 秒あたりの I/O を最大 75% 削減) ので、Exchange Server 2007 は、既存ストレージ システムをより有効に活用し、要求の厳しい企業環境においてもダイレクト アタッチド ストレージ (Direct Attached Storage) のような低コストのオプションも使用できるようになります。

ブラウザ アクセスの最適化

 

Outlook Web Access (OWA) 2007 では、パフォーマンスが向上し、待機時間が短縮されました。増加したクライアント キャッシュによりサーバーとのやり取りが減少し、その結果、帯域幅の使用が減り、低速の接続を介したアクセスでも最適のユーザー エクスペリエンスが提供されます。

簡素化されたルーティングと最適化された帯域幅

 

メッセージ ルーティングが自動的に決定され、既定では、メールは最短のルートで配信されます。管理者は、スケジュールと優先順位を構成して、帯域幅の使用を最適化することもできます。

拡張性とプログラミング機能

機能 種類 説明

Web サービス アプリケーション プログラミング インターフェイス (API)

 

開発者は、簡単な方法で Exchange Server 2007 メールボックスや予定表からの情報を基幹業務アプリケーションまたはその他のカスタム アプリケーションに埋め込むことができるようになりました。Exchange Web サービス API には、単一の文書化された標準ベースの API が用意されています。この API は任意のクライアント、言語、またはプラットフォームから呼び出せます。

OWA Web パーツ

 

開発者は、OWA Web パーツを使用して、Outlook Web Access 機能を自分のカスタム ポータルやポータル アプリケーションに容易に埋め込むことができます。

Free/Busy Web サービス

 

Free/Busy Web サービスを使用すると、柔軟で拡張性のある方法で Exchange Server 2007 の空き時間情報にアクセスできます。Free/Busy Web サービスを Outlook、Outlook Web Access、および Exchange ActiveSync に基づいたモバイル デバイスなどのクライアントに使用すると、空き時間情報を基幹業務アプリケーションまたはカスタム アプリケーションに埋め込むことができます。

.NET 統合

 

Exchange 管理シェルで使用されるコマンドやスクリプトを C# または VB.NET などのマネージ コードから呼び出すことができます。これによって、組織のメッセージング環境で一般的な管理タスクを実行する際に使用するカスタム アプリケーションを構築できます。

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任意の場所からのアクセス

Exchange Server 2007 には、企業の従業員がどこからでも電子メールや予定表などにアクセスできる機能が備わっています。任意の場所からのアクセスに関して Exchange Server 2007 にはどのような機能が含まれているかは、下の表を参照してください。

予定表管理

機能 種類 説明

カレンダー アテンダント

 

カレンダー アテンダントでは、受信トレイの予定表項目 (要求、拒否、承認) を最新バージョンに制限することで、スケジュールの競合が削減されます。また、カレンダー アテンダントは、ユーザーが会議の要求に決定を下すまで、受信者の予定表でその要求に仮承諾のマークを付け、Exchange Server 2007 free/busy Web サービスを利用して常に最新の空き時間情報を維持します。

リソース予約アテンダント

 

リソース予約アテンダントにより、会議室またはその他の機器などのリソースを自動的に管理できるようになります。リソースは、利用可能の場合は要求を自動的に承認でき、拒否の場合はその詳細を表示します。管理者は、使用できる時間やスケジュールのアクセス許可などについて、リソースに関する詳細なポリシーを設定できます。

スケジュール アシスタント

 

スケジュール アシスタントを使用すると、会議の出席予定者および必要なリソースに基づいて、最も都合の良い日時と最も都合の悪い日時に関するビジュアル ガイダンスが表示され、効率的に会議の予定を作成できます。

不在メッセージのスケジュールが可能

 

不在 (OOF) メッセージのスケジュールを、特定の日時に開始および終了するように作成できるので、ユーザーの不在メッセージが設定されていない可能性が低くなります。個別の不在メッセージを外部の受信者に送信できます。この機能は管理者が有効または無効にすることができます。不在メッセージをモバイル デバイスから設定したり、解除することも可能です。

モバイル メッセージング

機能 種類 説明

検索

 

Exchange ActiveSync の検索機能を使用して、モバイル デバイスからすばやく情報を検索できます。モバイル デバイスから検索を実行する場合は、ローカル デバイス ストアとユーザーの Exchange メールボックス全体が照会されます。Exchange メールボックスの OTA (over-the-air) 検索による検索結果は、デバイスに迅速に取得できます。この機能により、モバイル デバイスのストレージ制限に関係なく、数日前、数週間前、または数か月前に送受信された情報にアクセスできます。

ダイレクト プッシュ

 

Exchange ActiveSync を組み込んだモバイル デバイスは、Exchange Server 2007 とのセキュリティで保護された接続を保持し、新規または更新された電子メール、予定表、連絡先、および仕事を、サーバーに届きしだい受信します。このプッシュ方式により、帯域幅の使用を最適化しながら、ユーザーは最新情報を入手できるようになります。

幅広いデバイスでの豊富なエクスペリエンス

 

ユーザーは、組織に高価なサード パーティ製のソフトウェアやサービスの展開を要求しなくても、さまざまなモバイル デバイスを使いこなすことができます。Exchange Server 2007 ActiveSync プロトコルは、Windows Mobile、Nokia、Symbian、Motorola、Sony Ericsson、Palm、および DataViz により使用ライセンスを供与されています。幅広いパートナーにより、デバイスの選択肢はさらに拡大しています。

デバイスのセキュリティと管理

 

管理者は、組織内で使用されるデバイスにさまざまな長さや強度の暗証番号を要求したり、データおよびアプリケーションをデバイスから消去するなどのポリシーを強制したりするように選択して、デバイスが紛失したり盗まれたりした場合に備えることができます。このような制御は、Exchange Server 2007 を使用して、ユーザーごとのポリシーを作成するなど、きめ細かく設定できます。デバイスの使用について Exchange Server 環境内で集中的に追跡して管理することができます。

LinkAccess

 

ユーザーがモバイル デバイスを使用するしているときに Windows SharePoint Services サイトやファイル共有へのリンクを受信した場合、Exchange Server 2007 は LinkAccess を使用してドキュメントを取得して表示します。VPN またはトンネルは必要ありません。

予定表管理と不在メッセージ

 

Exchange Server 2007 では、モバイル デバイスで Exchange ActiveSync を使用すると、Free/Busy Web サービスを介して同僚の空き時間情報にアクセスし、会議のスケジュールを設定または更新できます。不在メッセージをモバイル デバイスから設定することも可能です。

Web ベースのメッセージング

機能 種類 説明

Outlook 2007 のエクスペリエンス

 

Outlook Web Access は、Exchange Server 5.5 での最初のリリース以来 AJAX アプリケーションであり、Outlook に似た豊富なエクスペリエンスをブラウザで実現します。Outlook Web Access 2007 の新機能により、ユーザーは次のようなことが可能になります。

• 不在を知らせるメッセージのスケジュールを設定し、内部および外部の受信者に送信します。
• スケジュール アシスタントを使用して、会議を効率的に予約します。
• SharePoint ドキュメントに、VPN または LinkAccess によるトンネルを使用せずにアクセスします。
• WebReady ドキュメント表示を使用して、ドキュメントを作成したアプリケーションがローカルにインストールされていない場合でも、HTML で添付ファイルを読み取ります。
• RSS 購読機能にアクセスします。
• 管理された電子メール フォルダの内容を表示します。
• ユニファイド メッセージングの統合により、ボイス メールまたは FAX メッセージを取得します。
• グローバル アドレス一覧を検索します。

Access のセキュリティ

 

Outlook Web Access 2007 のセキュリティは向上しました。2 つのファクタによる認証がサポートされています。また、HTML のみのドキュメントを表示して、公共の場所にあるコンピュータに情報を残さないようにできます。

セルフサービス サポート

 

Outlook Web Access 2007 の [オプション] メニューを使用すると、ヘルプデスクの呼び出しで最も一般的な問題の原因の多くを迅速かつ簡単に自分で解決できます。OWA ユーザーは、ユニファイド メッセージング ボイス メールの暗証番号のリセットを要求したり、モバイル デバイスが盗まれた場合にリモート ワイプ要求を発行したり、Outlook Web Access 内の各自のセーフ リストまたはブロック リストに送信者を追加したりできます。

Outlook Web Access Light

 

Outlook Web Access Light は、低速の接続でも高機能な Outlook Web Access エクスペリエンスを提供します。スケジュール可能な不在メッセージ (内部および外部)、Really Simple Syndication (RSS) 購読、管理された電子メール フォルダへのアクセスなどの、Outlook Web Access 2007 の新機能の多くが有効です。

検索

 

Exchange Server 2007 のメールボックスは、既定で完全にインデックス化されており、Outlook Web Access から情報をすばやく検索できます。再インデックス化は Exchange Server 2003 より大幅に速く、検索は電子メールそのものと添付ファイルに含まれるデータ内の両コンテンツに及びます。

リモート ドキュメント アクセス

LinkAccess

ユーザーが Outlook Web Access を使用してリモートで作業しているときに Windows SharePoint Services サイトやファイル共有へのリンクを受信した場合、Exchange Server 2007 は LinkAccess を使用してドキュメントを取得して表示します。仮想プライベート ネットワーク (VPN) またはトンネルは必要ありません。

リモート ドキュメント アクセス

WebReady ドキュメントの表示

Outlook Web Access 2007 は、Microsoft Word ファイル、Microsoft Excel ファイル、Microsoft PowerPoint ファイルおよび PDF ファイルなどのさまざまなドキュメントの種類を元の形式から HTML にコード変換できます。したがって、ドキュメントを作成したアプリケーションがクライアントにインストールされていなくても、クライアントのブラウザでそれらのファイルを表示できます。これにより、どのコンピュータでもドキュメントを作成し、キオスクなどの公共の場所にあるコンピュータ上でも安全に表示することができます。HTML ドキュメントは、ログオフ時またはセッション タイムアウト時に Outlook Web Access により消去されるからです。

Information Rights Management (IRM) コンテンツの事前ライセンス供与

 

Exchange Server 2007 は、クライアントが迅速に取得できるよう Information Rights Management (IRM) で保護されたコンテンツに事前にライセンスを供与します。

ユニファイド メッセージング

機能 種類 説明

ボイス メッセージング システム

 

ボイス メールをメールボックスに格納できるようになり、Outlook、Outlook Web Access、モバイル デバイスの統合受信トレイから、または通常の電話からアクセスできるようになりました。この統合により、最も一般的な種類の通信へのアクセスが簡易化され、従業員の生産性が向上します。また、スタンドアロンのボイス メール システムは必要なくなり、Active Directory 内の既存の投資を活用できるので、コストは大幅に削減されます。Exchange Server 2007 ユニファイド メッセージングは、IP ゲートウェイを介して従来の構内交換機 (PBX) のインフラストラクチャと接続したり、特定の IP PBX 装置に直接接続できます。

FAX メッセージング システム

 

FAX をメールボックスに格納できるようになり、Outlook、Outlook Web Access、またはモバイル デバイスのユーザーの統合受信トレイからアクセスできるようになりました。ユニファイド メッセージングでは、Exchange インフラストラクチャ内の受信 FAX サービスの管理を中央で集中的に行います。

音声認識対応の自動応答

 

この応答機能は、カスタマイズ可能なメニュー (たとえば、「販売部門の場合は 1 を押す」) で自動オペレータを使用し、グローバル アドレス一覧のディレクトリ参照 (たとえば、「だれに接続しますか」) を使用して、呼び出しに応答します。呼び出し側は、プッシュホンのメニューを介して、または自分の声を介して (音声認識機能を使用) 自動応答機能と交信します。

セルフサービス ボイス メールのサポート

 

Outlook Web Access を使用すると、ユーザーは、ボイス メールの暗証番号のリセットを要求したり、ボイス メールでのあいさつ文を設定したり、不在を知らせるボイス メールを記録したり、電話で呼び出すときにアクセスするメールボックスのフォルダを指定して、テキストから音声への変換機能を使用して電子メールのメッセージを聞いたりすることができます。

Outlook Voice Access

 

ユーザーは、どこからでも使用できる通常の電話を使用して、各自の Exchange メールボックスにアクセスできます。プッシュホンのメニューまたは音声認識対応メニューを使用して、予定表を音声で聞いてそれに基づいて行動したり、テキストから音声に変換された電子メールのメッセージを聞いたり、ボイス メール メッセージを聞いたり、連絡先を呼び出したり、ディレクトリに載っているユーザーを呼び出したりすることができます。

電話で再生

 

Exchange ユニファイド メッセージングにより、Exchange 受信トレイで受信したボイス メッセージを、指定した電話で再生することができます。この機能は、ユーザーが公共の場所にいて、コンピュータのスピーカーでボイス メールを再生したくないときに便利です。電話で再生する機能は、ボイス メールを携帯電話、電話機、またはユーザー指定のその他の番号に接続できます。

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