セキュリティと信頼性 : Windows XP Professional と Office XP のカスタマに提供される大きな価値
2002 年 8 月
概要
今日のビジネス環境では、企業の IT インフラストラクチャのセキュリティと信頼性は、競争力アップのための重要な柱となっています。このホワイト ペーパーでは、ビジネス バリュー調査および Microsoft Windows XP Professional と Microsoft Office XP のセキュリティ機能および信頼性機能によってもたらされるその他の財務的価値を示す調査結果についてまとめています。両製品をそれぞれ個別に使用した場合と、デスクトップ プラットフォームとして同時に使用した場合について結果を示しています。
このレポートは、組織の IT 投資について検討中、または意思決定を行う必要のある、業務、金融、および IT のリーダー向けに提供されています。
トピック
要旨
はじめに
IT インフラストラクチャへの投資に対する収益
人材への投資に対する収益
まとめ
詳細情報
付録 A - この報告書について
付録 B - セキュリティのコスト
付録 C - マイクロソフトの価値フレームワーク
要旨
2001 年 9 月から 2002 年 3 月にかけて、Microsoft Consulting Services と Immedient Corporation では、10 社の企業を対象に、Microsoft Windows XP Professional と Microsoft Office XP を基盤とした情報技術 (IT) ソリューションを展開することのビジネスバリューについて分析を行いました。さらに正確を期すため、KPMG Consulting Inc. がその内容を検証しました。
このホワイトペーパーでは、分析の過程で、セキュリティおよび信頼性に起因して得られると考えられた利益について文書化しています。組織で Windows XP Professional および Office XP にアップグレードする際の意思決定に役立つ情報を提供することを目的に作成されました。
行われた調査では、Windows XP Professional と Office XP を導入することで、IT インフラストラクチャのコストがいかに低減され、また人材への投資に対する利益がいかに高められるかが明らかにされました。主な内容は次のとおりです。
Windows XP Professional によって得られる利益のうち 21% がセキュリティと信頼性に関する事柄でした。企業によってその割合は、6 ~ 66% という幅がありました。この中で最大のケースは、Windows 9x および Windows NTョ Workstation からアップグレードした企業の場合でした。 [1]
Windows XP Professional は、セキュリティパッチのインストール時間を短縮し、ウイルス攻撃を防止および管理することによって、最大のセキュリティ関連利益を実現しました。
Windows XP Professional の信頼性に関する利益は、デスクトップの可用性とアプリケーションの互換性が向上し、ユーザーの生産性が高まったことによって得られました。
セキュリティと信頼性の向上による利益の平均額は、ユーザー 1 人あたり年間 93 ドルでした。うち、31 ドルは IT 関連利益、62 ドルは事業利益でした。 [1][2]
収益の増加やデスクトップおよびモバイルエンドユーザーの生産性向上といった事業関連利益は、測定されたセキュリティおよび信頼性関連利益の 67% を占めました。
ヘルプデスクの負担の軽減や、デスクトップのダウンタイムへの対応に要する IT サポートスタッフの時間の短縮といった IT 関連利益は、セキュリティおよび信頼性関連利益の 33% を占めました。 [1]
Office XP による総合的な利益のうち 6% が、ドキュメントの回復によって得られる信頼性の向上に関係していました。
Office XP によって実現されるエンドユーザーの生産性向上は、ユーザー1人あたり年間 23 ドルで、そのほぼすべてがドキュメントの回復能力によるものでした。23 ドルのうち、15 ドルが事業利益、8 ドルが IT 関連利益でした。 [3]
サードパーティのテスト会社である eTestingLabs によって行われた Windows XP Professional と Office XP のセキュリティおよび信頼性テストにより、このビジネスバリュー調査の結果が裏付けられました。
はじめに
このレポートは、エンタープライズで Microsoft Windows XP Professional と Microsoft Office XP をデスクトップ生産性向上プラットフォームとして使用することで、以前のバージョンの Windows クライアントおよび Office ソフトウェアと比較して、大幅な財務的価値が得られることを示しています。
業界標準のセキュリティ、強固な信頼性、自動ドキュメント回復といった、Windows XP Professional と Office XP の新機能および改良された機能は、あらゆる企業にとって、Windows XP Professional と Office XP にアップグレードするための説得力のある理由となるでしょう。
Microsoft Consulting Services と Immedient Corporation (Microsoft Gold Certified Partner の 1 社) は、これら 2 製品の展開結果について文書化するため、2001 年 9 月から 2002 年3 月にかけて、10 社の企業を対象にビジネスバリュー調査を行いました。この文書で取り上げた企業の業種は、テクノロジ、運輸、エネルギー、および銀行・金融サービスです。この文書の内容については、正確を期すため、KPMG Consulting によってデータの検証と再分析が行われました。
この報告書では、クライアント側オペレーティングシステムおよび個人用生産性向上ソフトウェアへの投資に関連して 2 種類の利益に重点を置いています。「IT インフラストラクチャへの投資に対する収益」セクションでは、セキュリティと信頼性の向上によって、IT の効率性とコスト低減という面で得られるビジネスバリューについて報告しています。「人材への投資に対する収益」セクションでは、デスクトップに関連するユーザーのダウンタイム短縮と、Office XP で進化した回復テクノロジによって向上したシステムの信頼性とエンドユーザーの生産性について報告しています。
この報告書で使用されている評価手法の詳細については、付録 A「この報告書について」を参照してください。IT への投資に対する収益と、人材への投資に対する収益の区別については、付録 C 「Microsoft の価値フレームワーク」 を参照してください。
Windows XP Professional および Office XP が、今回の評価対象となった企業にもたらしたセキュリティおよび信頼性について、表 1 にまとめます。
ビジネス要件 |
Office XP および Windows XP Professional の機能 |
事業利益および IT 関連利益 |
---|---|---|
ミッションクリティカルなセキュリティ |
高度なウイルス保護 暗号化ファイルシステム 公開キーインフラストラクチャ (PKI) Kerberos セキュリティ統合 |
業界標準のセキュリティ デスクトップサービス中断の減少 簡易なセキュリティパッチの実装による、展開コストの削減 |
管理された、信頼性の高いデスクトップ環境 |
実績ある Windows 2000 コードベース ドキュメントの回復 システムの復元 / 自動システム回復 デバイスドライバのロールバック / デバイスドライバのブロック Windows Update Windows ファイル保護 |
エンドユーザーダウンタイムの減少 収益の増加と保護 ヘルプデスクと IT サポートのコスト削減 ネットワーク管理コストの削減 |
表 1 セキュリティおよび信頼性に関する利益の概要
特筆すべきは、企業にとってセキュリティの重要度が増したことです。Computer Security Institute が年 1 回発行する IT セキュリティ関連報告書 『*Computer Security:*Issues and Trends』 の 2002 年版によれば、セキュリティ問題によって生じる経費は上昇し続けており、調査対象となった 503 企業のうち 80% が影響を受けています。この報告書の結果は、付録 B 「セキュリティのコスト」 にまとめられています。
IT インフラストラクチャへの投資に対する収益
Windows XP Professional で進化したセキュリティおよび信頼性機能と Office XP の信頼性機能は、IT インフラストラクチャへの投資に対する大きな収益をもたらします。IT への投資に対する収益で重要なのは、競争力の強化に影響する次の 4 つの分野です。
セキュリティの向上 - 知的所有権と IT 資産の価値は、これまでになく重要なものとなっています。そしてこのような大切なリソースを、盗難、不法侵入、不正使用などから守ることもまた重要になってきました。この報告書に記載された企業各社は、セキュリティの脅威を検出し対応する能力を高めながら、セキュリティ関連コストを低く抑えることに強い関心を持っていました。
システムの信頼性の向上 - ビジネスは世界に広がっており、ネットワークが中断なく動作し続けることが、多くの企業にとって生命線となっています。これは、旧型のデスクトッププラットフォームを使用しているデスクトップ環境では非常に難しくなっており、サポートやメンテナンスにも余分な費用がかかります。信頼性に関する懸念事項には、サービスの中断を防止すること、中断が発生してしまった場合にすばやく回復すること、そしてシステムダウンタイムにかかる費用を削減することなどが挙げられます。
IT スタッフの生産性の向上 - 企業では、IT スタッフの効率性をアップし、少ない人数で必要なサービスレベルを維持することを求めています。
アプリケーションの互換性 - アプリケーションの互換性は厳密には信頼性の問題とは異なりますが、そのように考えるカスタマも数多くいます。企業では、大規模で複雑なデスクトップ環境を構築した際、市販のアプリケーションとカスタムアプリケーションが、いずれも中断することなく、低い運用コストで継続的に稼動することを求めています。
今回のビジネスバリュー調査に参加した企業におけるセキュリティおよび信頼性の利益のうち、34% が IT 関連の利益でした。
Windows XP Professional および Office XP は、次のような利点により、IT 関連利益に貢献していました。
デスクトップの稼働時間が増加したことで、ヘルプデスクコールが減り、ヘルプデスクにかかる費用が削減されます。
セキュリティパッチの展開が短時間で済みます。
ウイルス攻撃の防止と管理にかかる時間が短縮されます。
デスクトップ環境の計画、展開、およびメンテナンスのコストを削減できます。
この報告書に記載された組織における IT 関連利益を、表 2 にまとめます。
価値 |
機能 |
利益シナリオ |
利益 |
---|---|---|---|
セキュリティ - Windows XP Professional |
動的更新 Windows Update、自動更新 |
最新のセキュリティパッチを使用してプラットフォームの完全性を維持し、ウイルスやハッカーからの攻撃によるダウンタイムを防止します。 |
1 つの企業で、ホットフィックスの適用にかかる時間が 86% 減少しました。 予期しないダウンタイムが減少しました。 [4] ウイルス関連の問題が減少しました。 |
Web ベースの自動更新サービスを使用して、生産性関連の IT コストを削減します。 |
1 つの企業で、1 年間にセキュリティパッチを適用するのに要する時間が 75% 削減されました。 1 つの企業で、アプリケーションパッチの展開の効率性が 50% 向上しました。 |
- |
- |
インターネット接続ファイアウォール(ICF) |
所在地認識 ICF を使用することで、企業ネットワーク外からの攻撃を防止し、クライアントのセキュリティを守ります。 |
1 つの企業から、ウイルス攻撃の防止と管理に要する時間が 20% 削減されたとの報告がありました。 |
- |
セキュリティと信頼性 -Windows XP Professional |
業界標準のセキュリティおよび展開機能により、全体的な信頼性とセキュリティが向上 |
内部および外部からのウイルスおよびハッカー攻撃からデスクトップ環境を保護します。 |
1 つの企業で、セキュリティサービスの設計、テスト、パッケージ化、およびメンテナンスに関する FTE が 50% 削減されました。 1 つの企業で、アクセス制御とセキュリティポリシーの適用にかかる FTE が 70% 削減されました。 |
信頼性-Windows XP Professional および Office XP |
卓越したデザイン |
エラーが発生したアプリケーションがほかのソフトウェアに影響を及ぼすことを防止します。 |
1 つの企業から、システムの信頼性が 94% 向上したとの報告がありました。 |
システムの復元 |
ドライバ、アプリケーション、またはシステムにエラーが発生した際、コンピュータを以前の安定した状態に復元します。 |
- |
- |
デバイスドライバロールバック |
以前インストールしたドライバのコピーを保持し、問題が発生したときに再インストールします。 |
- |
- |
アプリケーション互換性モード |
すでにインストールされている、市販およびカスタマイズされた業務ソフトウェアの互換性を向上させます。 |
1 つの企業で、既存の業務アプリケーションを修正またはカスタマイズせずに使用できる互換率が 97% でした。 |
- |
ドキュメントの回復 |
自動的にデスクトップ OS を再起動することで、ダウンタイムを防止し、失われた作業をやり直す必要性を排除します。 |
3 つの企業で、Office XP 関連のヘルプデスクコールが平均して 27% 減少しました。 |
- |
表 2 IT 関連利益
ビジネスバリューの調査結果により、組織では、ヘルプデスクコールと展開にかかる時間を削減でき、デスクトップのダウンタイムが減少することで IT スタッフの生産性が向上することが明らかになりました。この報告書の次のセクションで示すように、サードパーティによる調査でも、この結論が支持されました。
サード パーティによるセキュリティおよび信頼性テストの結果
サードパーティのテスト会社である eTesting Labs Inc. の調査により、Windows XP Professional および Office XP のセキュリティおよび信頼性が向上したことで得られる利益が証明されました。
セキュリティ テストの結果
eTesting Labs Inc. [5] が行ったテストでは、以下の Windows オペレーティングシステムおよび Office 製品の組み合わせについて、セキュリティ関連の性能が比較されました。
Windows XP Professional/Office XP SP-1
Windows 98 Second Edition/Office 2000 SP-2
Windows 98 Second Edition/Office 97 SR2B
Windows 95 OSR2.5/Office 97 SR2B
表3 に、eTesting Labs が Windows XP Professional および Office XP の信頼性とセキュリティが向上したことを検証するために行ったテストの結果をまとめます。
テスト |
シナリオ |
テスト結果 |
---|---|---|
暗号化 |
盗難コンピュータ |
Windows XP Professional を実行しているテストシステムは、盗難コンピュータをシミュレートしたシナリオで、Windows 95 および Windows 98 テストシステムと比較して格段に高い保護性能を持つという結果が示されました。Windows XP テストシステムでは、ユーザーログイン画面を迂回することができませんでした。「盗難」コンピュータからハードドライブを取り外し、管理者権限で Windows 2000 Server システムに取り付けても、EFS を使用して NTFS ドライブで暗号化されたファイルを読むことはできませんでした。 |
パスワード破り |
パスワード破りのテストでは、テストシステム構成のそれぞれのバージョンの Office に関連付けられたパスワード機能を使用し、いくつかの Office ドキュメントについて、パスワード保護された機能を侵害しようと試みました。 |
- |
ウイルス攻撃 |
5 つのウイルスでターゲットシステムを攻撃 |
15 種類すべての構成について、一連の感染メカニズムを使用して 5 つのウイルスを感染させようとしました。各ウイルスについて、フロッピー ディスク、電子メール、およびネットワークコピーの感染メカニズムによってウイルスを感染させようとしました。その結果、Windows XP Professional および Office XP を実行しているシステムは、最もウイルスに感染しにくいことが分かりました。 |
ドキュメントの回復 |
主要な 3 タイプのシステムエラーを起こした後でデータを取得 |
Windows XP Professional および Office XP のテストシステムでは、3 つのエラータイプから 31 分以内にデータを回復できました。これは、次に速く回復できたシステムの半分以下の時間です。次に速く回復できたのは Windows 98/Office 97 のテストシステムで、最後の文書からの回復に 66 分を要しました。 |
表 3 サードパーティによる Windows XP Professional および Office XP のセキュリティテスト結果
これらのテスト結果は、Windows XP Professional と Office XP のセキュリティに関する新機能と拡張機能の効果の高さを示しています。
信頼性テストの結果
2001 年 10 月、マイクロソフトは、Windows XP Professional、Windows 2000 Professional、および Windows 98 [5] の信頼性の計測および比較テストを実行することを eTesting Labs に委託しました。同社では、典型的なホーム PC 利用 1 か月分をシミュレートするため、これらのオペレーティングシステム上で 7 日間にわたってアプリケーションユーザースクリプトを実行し、信頼性を計測しました。異なるアプリケーションでテストを行った場合は異なる結果が出る可能性がありますが、eTestingLabs の信頼性テストでは、次のような結果になりました。
問題発生までの時間 - 調査用に設計されたテストシステムでは、Windows XP Professional を実行しているシステムは、Windows 98 Second Edition (SE) を実行しているシステムと比較して、問題が発生せずに稼動し続ける時間が 30 倍以上の長さでした。
エラーの平均時 - Windows XP Professional でのエラー発生までの平均時は
31.0 日でした (1 か月のテスト期間中はエラーなし)。この値は、Windows 98 SE で記録された 15.7 日と比較して 97% の性能向上を示しています。
テスト中のエラー件数ゼロ - Windows XP Professional および Windows 2000 Professional の両方のシステムについて、テスト期間中、アプリケーションエラーおよびオペレーティングシステムエラーともにゼロ件でした。
これらの信頼性テストの詳細および結果については、eTestingLabs Web サイト (http://www.etestinglabs.com/) を参照してください。
eTestingLabs が行ったセキュリティおよび信頼性のテスト結果は、この報告書に記載された企業でのビジネスバリュー調査のデータを支持するものです。それぞれのデータは、ラボテスト、および参加企業における実際の業務環境と、非常に異なる状況から収集されたものですが、どちらも、Windows XP Professional および Office XP のセキュリティと信頼性が非常に高いものであることを示しています。
人材への投資に対する収益
ほとんどの企業では、事業費を削減し、人材への投資に対する収益を増加させる (エンドユーザーと IT サポートスタッフの効率性と生産性アップさせる) ことで利益率を向上させたいと考えています。Windows XP Professional と Office XP は、ユーザーが、より価値の高い活動に多くの時間を投入できるよう、常に業務を行えるような環境を提供します。
この報告書に記載された企業で行われたビジネスバリュー調査では、デスクトップ PC とノートパソコンに Office XP および Windows XP Professional を導入することで、人材への投資に対する収益が大幅に増加することが明らかになりました。人材への投資に対する収益で重要なのは、次の 2 つの分野です。
エンドユーザーの生産性向上 - どの企業でも、既存のリソースを使用して従業員がより多くの業務を行うことを望んでいます。たとえば、このビジネスバリュー調査に参加したすべての企業において、エンドユーザーがセキュリティおよび信頼性関連のサポートコールに費やす時間を短縮し、生産性を向上させることが求められていました。
利益の増加と保護 - ビジネスバリュー調査に参加した企業の多くが、社内の IT 資産によって、セキュリティの高い継続的な事業が実現し、利益の増加および保護に役立つことを期待していました。特に、情報のセキュリティ保護と、セキュリティの高いモバイルコンピューティングという問題に高い関心が集められていました。
この報告書に記載した企業では、Windows XP Professional が提供する高い信頼性とアプリケーション互換性、および Office XP が提供するドキュメントの回復機能により、従業員の生産性が向上していました。次のような結果が出ました。
Windows XP Professional の高いセキュリティと信頼性によって得られた、人材への投資に対する収益は、ユーザーごとのセキュリティおよび信頼性の利益のうち 67% を占めました。 [1] 金額にして、ユーザー 1 人あたり年間平均 62 ドルでした。
Office XP のドキュメントの回復機能によって得られた、人材への投資に対する収益は、ユーザーごとのドキュメント回復の利益のうち 63% を占めました。金額にすると、ユーザー 1 人あたり年間平均 14 ドルでした。 [6]
Office XP は、従業員の生産性と効率性を向上させることで、人材への投資に対する収益アップに貢献しています。これらは、次のような利点によって得られます。
ドキュメントの回復能力の向上。
デスクトップの稼働時間の増加。
Windows XP Professional は、次のような利点により、人材への投資に対する収益アップに貢献しています。
信頼性の向上による、エンドユーザーの生産性の向上。
信頼性の向上による、収益の増加および保護。
セキュリティの高いモバイルコンピューティングによる、収益の増加および保護。
このビジネスバリュー調査に参加した企業内で、信頼性の向上によって利益がもたらされた機能について、表 4 にまとめます。
価値 |
機能 |
利益シナリオ |
利益 |
---|---|---|---|
セキュリティ - Windows XP Professional |
動的更新、Windows Update、自動更新 |
最新のセキュリティパッチを使用してプラットフォームの完全性を維持し、ウイルスやハッカーからの攻撃によるダウンタイムを防止します。 |
1 つの企業から、ユーザーのうち 25% が、ウイルスによるダウンタイムの影響を受けているとの報告がありました。 1 つの企業から、収益のうち 16% が、ウイルスによるネットワークのダウンタイムに影響を受けるとの報告がありました。 従業員の生産性の向上。 |
信頼性 - Office XP |
ドキュメントの回復 |
自動的にデスクトップ OS を再起動することで、ダウンタイムを防止し、失われた作業をやり直す必要性を排除します。 |
1 つの企業から、Office XP ドキュメントの 68% が、エンドユーザーによる再作業なしに回復できたとの報告がありました。 エンドユーザーの効率性と生産性が向上しました。 |
信頼性 -Windows XP Professional |
デバイスドライバロールバック、 システムファイル保護、 システムの復元 |
自動化ツールと Web サービスを使用することで、システムの復元にかかる時間を短縮し、全体の信頼性を向上させます。 |
1 つの企業では、ユーザー 1 人あたりの年間ダウンタイムに関する利益が 92 ドルになりました。 システムのロックアップに関するユーザーのダウンタイムは 67% 減少しました。 ヘルプデスクコールが 40% 削減されました。 [7] |
表 4 人材関連利益
このビジネスバリュー調査の結果により、企業では、Office XP のドキュメントの回復機能と Windows XP Professional の展開および管理ツールを活用することで、エンドユーザーおよび IT スタッフの生産性を向上できることが明らかになりました。
顧客の証言
ほかの Windows XP Professional ビジネスバリュー調査に参加した企業顧客から寄せられた証言も、この報告書の結果を支持する内容になっています。
たとえば、米国のある運輸会社の Windows 技術マネージャは、こう語っています。「Windows XP Professional で、アプリケーションの互換性、周辺機器のサポート、そして全体の信頼性が向上したことで、ユーザーはより快適に働いて生産性を上げることができ、サポートの負担も軽減されるでしょう。アップグレードすることで、エンドユーザーが経験する問題の数を減らせるだけでなく、問題が発生したときにもすばやく仕事に戻れるようになるでしょう。」
アジアのある運輸会社の情報システム部長はこう語っています。「このプラットフォーム [Windows XP Professional] で実現される費用効果と生産性によって、IS グループにも、企業全体にも、大きな利益がもたらされることになるでしょう。」
また、ヨーロッパのある製造業の技術開発マネージャはこう語っています。「Windows XP Professional の柔軟性の高さが、信頼性、セキュリティ、管理性、そしてわたしたちのグローバルなビジョンを実現するためのパフォーマンスを実現してくれます。」
まとめ
マイクロソフトの会長兼チーフソフトウェアアーキテクトである Bill Gates は、2002 年7 月に従業員に送ったメモの中で、マイクロソフトのカスタマに影響するセキュリティ問題に触れてこう言っています。「この 1 年間、個人消費者から大企業までさまざまなカスタマと対話をしてきました。その中で、すべてのユーザーの生活においてコンピュータがますます重要な役割を果たしており、有益な存在となっていることが明らかになりました。同時に、ユーザーが、自分達が依存しているテクノロジのセキュリティにも高い関心を抱いていることがわかりました。ユーザーは、自分のデータが保護されているかどうかを心配しています。コンピュータが非常に高い能力を持っていることは理解していても、テクノロジがいつも一貫した働きをしないことにフラストレーションも感じています。そして、ハイテク業界がそのような心配を真剣に考え、コンピューティングエクスペリエンスをより優れたものにしてくれることを望んでいるのです。」 [8]
有用性、セキュリティ、一貫した動作、そして品質の保証。これらは、マイクロソフトが「信頼できるコンピューティング」と呼ぶものの本質的な性質です。信頼に足る技術への投資が、組織の戦略的かつ戦術的ニーズを満たすべく適切に行われたとき、エンドユーザーの生産性は向上し、IT コストは削減され、収益も大幅にアップします。
Windows XP Professional と Office XP の拡張機能によって実現されたセキュリティと信頼性のビジネスバリューは、これを示す優れた例です。この報告書のデータでは、次のことが明らかになっています。
クライアント環境を Windows XP Professional オペレーティングシステムにアップグレードすることで、従業員の生産性が向上し、デスクトップの稼働時間が増加し、プラットフォームセキュリティが拡張され、安全で信頼できるプラットフォームを維持するための IT オペレーティングコストが削減されます。特に、Windows 9x といった以前のオペレーティングシステムからアップグレードする企業の場合、Windows 2000 Professional からアップグレードする場合と比較してより大きな価値が見出されるでしょう。
Office XP のドキュメントの回復機能により、エンドユーザーの生産性が向上し、収益や事業の利益幅の増加につながります。
セキュリティおよび信頼性の向上は、Windows XP Professional と Office XP にアップグレードすることのビジネスバリューの大きな部分を占めます。特に、Windows 9x、Office 97、Office 2000 といった古いプラットフォームからアップグレードする企業にとっては、大きな価値となります。
Windows XP Professional と Office XP をエンタープライズデスクトッププラットフォームのスタンダードとすることで、両製品を最大限に生かすことができます。これら 2 つのオペレーティングシステムと生産性向上製品のスイートは、お互いを補完し、エンドユーザーの効率性を向上させて IT の運用費を削減することに役立ちます。そしてこれらの利点が、ひいては収益や利益幅の増加につながるのです。
詳細情報
Windows XP Professional の詳細については、https://www.microsoft.com/japan/windowsxp/pro/ を参照してください。
Office XP Professional の詳細については、https://www.microsoft.com/japan/office/ を参照してください。
エンタープライズにおける Windows XP Professional と Office XP のセキュリティと信頼性の利点については、次の Web サイトを参照してください。
Security and Trustworthy Computing (英語)
Windows XP Professional と Office XP のカスタマケーススタディについては、Windows XP Professional Case Studies (英語) およびOffice XP Case Studies (英語) を参照してください。
KPMG Consulting および Immedient Corporation については、次の Web サイトを参照してください。
http://www.kpmgconsulting.com/
付録 A - この報告書について
この報告書には、Microsoft Consulting Services および Immedient Corporation (Microsoft Gold Certified Partner の 1 社) が 10 社の企業を対象に、2001 年 9 月から2002 年3 月にかけて行った、Rapid Economic Justification (REJ) 分析を含めたビジネスバリュー調査の結果がまとめてあります。この文書の内容については、正確を期すため、KPMG Consulting によって再調査データおよび結論の検証と再分析が行われました。
Rapid Economic Justification を使用した IT 投資のビジネス バリューの評価
Rapid Economic Justification (REJ) は、組織における IT 投資の財務的影響を評価するためのフレームワークです。マイクロソフトは、マイクロソフトのテクノロジを導入することによって得られる財務的価値をカスタマが評価しやすいように、REJ フレームワークを開発しました。REJ 調査では、コストを重視した総所有コスト (TCO) よりも、事業上の利点に重点が置かれます。
REJ フレームワークでは、伝統的な計算方法と、標準的な市販の分析ツールを使用して、ビジネスバリューを測定します。REJ 調査では、IT コストコンポーネントの評価に Gartner TCO モデルがよく使用されます。IT コストコンポーネントは、REJ キャッシュフロー分析の要素として組み込まれます。REJ プロセスを完了させるには、およそ 6 ~ 8 週間かかります。REJ 測定基準はすべて、各社の環境と特定の状況に応じて適切なリスクに調整されます。
REJ 方式によって得られるビジネスバリューデータは、Windows XP Professional および Office XP を展開することで、IT および人材への投資に対する収益として財務的価値が得られるとするマイクロソフトの保証に関連し、それを支持するような点が重視されています。
REJ プロセスの詳細と、CFO および業務のリーダーが REJ の結果を用いて IT 投資を評価する方法については、Business Value of Microsoft Solutions (英語) を参照してください。
参加企業
ビジネスバリューおよび費用便益分析は、銀行・金融サービス、テクノロジ、エネルギーといったさまざまな業種にわたる企業を対象に行われました。規模も 2,000 ユーザーから 100,000 ユーザーと多岐にわたるこれらの企業で、Windows XP Professional のセキュリティと信頼性機能の向上、および Office XP の信頼性の向上による、事業利益と IT 関連利益の増加が確認されました。
この報告書で使用されているデータはこの調査に参加した企業が所有する財産であり、機密情報です。セキュリティという問題の性質上、参加企業についての情報は公開いたしません。
その他の Windows XP Professional および Office XP ホワイト ペーパー
このドキュメント以外にも、Windows XP Professional と Office XP についてマイクロソフトのカスタマから報告されたビジネス上の利点に関するホワイトペーパーが用意されています。以前発行された「Higher Yields: The Financial Benefits of Windows XP Professional」というホワイトペーパーでは、Windows XP Professional が企業にもたらす財務的利益について総合的に書かれています。
今後も、Windows XP Professional および Office XP の組み合わせを統合プラットフォームとして使用した場合に、モバイルコンピューティング、コミュニケーションとコラボレーション、展開、ライセンシングといった面で得られる事業利益および IT 関連利益に関するホワイトペーパーが発行される予定です。
データの確実性
マイクロソフトおよび Immedient Corporation が、Windows XP Professional および Office XP のセキュリティおよび信頼性機能の価値について行ったビジネスバリュー調査結果をまとめて Microsoft Corporation が作成したこのホワイトペーパーは、KPMG Consulting によって検証されました。
検証の目的は次のとおりです。
手続および分析が、マイクロソフトの Rapid Economic Justification の手法に従っているかどうか確認すること (手続と分析については、Microsoft Rapid Economic Justification Framework に記載されています)。
価値の測定基準を収集および報告するために、適切なデータ収集方法および財務分析方法が使用されたかどうか確認すること。
調査の仮説を基に、結論が適切であるかどうか確認すること。
KPMG Consulting はホワイトペーパーおよび補足文書を検証し、Windows XP Professional および Office XP のセキュリティおよび信頼性における潜在的価値の可能性を記述するために使用された手法、手続、仮説について、マイクロソフトとの間で協議を行いました。
この検証に基づき、KPMG Consulting は、ホワイトペーパーで使用された手法および手続が適切であったと結論しました。また、使用された仮定に基づいて、調査の結果も適切であると判断されました。
バージニア州マックリーンに本拠地を置く KPMG Consulting, Inc. (NASDAQ:KCIN) は、年間収益 20 億ドル以上という、世界最大の独立コンサルティング企業のひとつです。KPMG Consulting のクライアントは 2,500 以上にのぼり、うち 60 社がフォーチュン 100 社に数えられる企業です。
KPMG Valuation Services Practice では、事業利益、有形資産、無形資産、派生証券、および金融証書の評価分析を行っています。分析は、全米の 100 名を超える専任のコンサルタントによって行われ、コンサルタントは、各自の専門分野の業界に特化しています。
付録 B - セキュリティのコスト
世界的なウイルス攻撃はだれもが注目するセキュリティ問題ですが、ほかにも企業のマネージャを悩ませるセキュリティ関連の課題が多くあります。セキュリティ保護されていない PC を使って非承認ユーザーがネットワークにアクセスしたり、外部のハッカーがファイアウォールを通り抜けたりといった、さまざまなネットワークセキュリティ侵害によって、対処のための費用がかさんでいきます。Computer Security Institute の年刊 IT セキュリティレポート 『Computer Security: Issues and Trends』 の 2002 年版には、次のようにかかれています。 [9]
503 のアンケートの回答者の 90% が、前の 1 年間にコンピュータシステムの侵害を検出していました。
回答者の 80% が、コンピュータの侵害による財務的損失が発生したことを認めていました。
インターネット接続が攻撃ポイントとなることが多いと答えた回答者 (74%) は、5 年連続で、社内システムが攻撃ポイントとなることが多いと答えた回答者 (33%) を上回りました。
最新 (2002 年) の調査からのコスト関連統計結果を表 5 にまとめます。
犯罪およびセキュリティ侵害 |
回答者数 |
1 件の最高損失額 (単位 : 100 万ドル) |
1 件の平均損失額 (単位 : 100 万ドル) |
年間合計損失額 (単位 : 100 万ドル) |
---|---|---|---|---|
機密情報の盗難 |
26 |
50.0 |
6.6 |
170.8 |
財務的な不正行為 |
25 |
50.0 |
4.6 |
115.7 |
内部者によるネットアクセスの侵害 |
89 |
10.0 |
0.5 |
50.1 |
ウイルス攻撃 |
178 |
9.0 |
0.3 |
50.0 |
外部者によるシステム侵入 |
59 |
5.0 |
0.2 |
13.1 |
ラップトップの盗難 |
134 |
5.0 |
<0.1 |
11.8 |
内部者による不正アクセス |
15 |
1.5 |
0.3 |
4.5 |
表 5 Computer Security: Issues and Trends 2002
QuientiQ Trusted Information Management, Inc. のシニアセキュリティアーキテクトである Rebecca Hold は、組織がセキュリティ向上対策を先延ばしにしがちな傾向についてこう語っています。「新しいアプリケーションやシステム、ネットワークなどを導入する際、プロジェクト費用を削減しなければならない場合には、悲しいことに、セキュリティのコントロールやツールが予算カットの犠牲になることが多々あります。組織の多くが、計画された日までに導入を完了させるため、『セキュリティは後日追加するf』と言います。しかし『後日』は来たためしがありません。その結果、セキュリティも手順化された制御もなく、財務的な不正行為が始まる前に検知できるような監査証跡を残すことができなくなります。」
Windows XP Professional および Office XP を基盤としたソリューションを展開することで、企業は、この問題に効率的に対処することができます。Windows XP Professional と Office XP はどちらも、既定の状態で高度なセキュリティ保護が設定されており、また企業のニーズに応じて、組み込みの展開および管理ツールを使用して簡単にカスタマイズできます。このホワイトペーパーに記載された企業では、必要なレベルのセキュリティを確保したことで、不適切なセキュリティによる人材コストや財務コストの発生を防ぐことができました。
付録 C - マイクロソフトの価値フレームワーク
マイクロソフトでは、価値におけるコストおよび利益の両面を考慮してテクノロジのビジネスバリューを評価するためのフレームワークを使用しています。
ビジネスおよび IT のリーダーが検討している事項に、価値に対する利益のフレームワークを適用することで、Windows XP Professional および Office XP が組織にもたらす価値について明らかにすることができます。このフレームワークによって、価値提案が個々のビジネス上の利点ごとに体系付けられます。マイクロソフトの価値フレームワークを図表 6 にまとめます。
IT インフラストラクチャ |
人材 |
ビジネス プロセス |
カスタマ中心性 |
---|---|---|---|
柔軟性 |
生産性と効率 |
時間とコストの利益 |
カスタマとのつながり |
完全性 |
コミュニケーションとコラボレーション |
統合 |
新しい機会 |
迅速な資本回収 |
従業員の満足感 |
プロセスの効率性 |
カスタマのニーズへの迅速な対応 |
表 6 マイクロソフトの価値フレームワーク
この報告書では、クライアント側オペレーティングシステムおよび個人用生産性向上ソフトウェアへの投資に関連して、IT インフラストラクチャへの投資に対する収益、および人材への投資に対する収益の 2 つの利益に重点を置いています。
[1] この利益は、Windows XP Professional のみによって生じたものです。
[2] これらの利益は、カスタマの計算による3 年間の合計額で確認されました (ユーザー 1 人あたり 279 ドル、うち 93 ドルが IT 関連利益、186 ドルが事業利益)。
[3] 計算では、ユーザー 1 人あたり 3 年間の利益が 69 ドル、うち事業利益が 45 ドル、IT 関連利益が 24 ドルでした。
[4] 情報提供 : 『Higher Yields: The Financial Benefits of Windows XP Professional』 ゥ 2002 Microsoft Corporation。2002 年 3 月発行ホワイトペーパー。
[5] eTesting Labs の許可により使用。詳細は http://www.etestinglabs.com/ を参照してください。
[6] この利益は、Office XP のみによって生じたものです。
[7] この利益は、Windows XP Professional および Office XP によって生じたものです。
[8] メモの全文は https://www.microsoft.com/mscorp/execmail を参照してください。
[9] 情報提供 : 『Computer Security: Issues and Trends』 Richard Power 著。Computer Security Institute, ゥ 2002, volume VIII, number 1, Spring 2002。許可により使用。詳細については、http://www.gocsi.com/ を参照のこと。
ダウンロード
セキュリティと信頼性 : Windows XP Professional と Office XP のカスタマに提供される大きな価値
443 KB
Microsoft Word ファイル