仮想化

仮想インフラストラクチャを計画するための必携ツール

Jay Sauls、Baldwin Ng

 

概要 :

  • コストを抑える
  • コンピュータのインベントリを実行する
  • CPU、ディスク I/O、およびネットワーク使用率を確認する

目次

ツールの概要
環境の現状を把握する
現在の使用率を確認する
サーバーの推奨配置構成
仮想マシンの構成
配置に関する制約
オプションを検討する
要件
まとめ

仮想化は新しいテクノロジではありませんが、1960 年代に IBM が開発した最初のプラットフォーム仮想化をはるかに越えて、さまざまな新しい領域へと急速な広がりを見せています。この急速な成長の理由は、仮想化テクノロジが、データセンターのコストと IT の運用全体にかかるコストを抑えるうえで役立つ可能性があるからです。エネルギー コストが上昇し、組織内のさまざまな部分で IT サービスを求める声が高まる中で、運用コストを抑えながら、必要なサーバーの拡張を進めることに悪戦苦闘している管理者もいるでしょう。そのような場合に、仮想化が役立ちます。マイクロソフトをはじめとするソフトウェア ベンダは、サーバー、デスクトップ、アプリケーションの仮想化など、仮想リソースのより広範な利用を可能にする新しいテクノロジの開発を進めています。

この記事では、仮想化プロジェクトを支援するツールセットである Microsoft Assessment and Planning Toolkit (MAP) について説明します。MAP は Microsoft Solution Accelerator ファミリ製品の 1 つです。ソリューション アクセラレータとは、簡単に言うと、ほぼすべての IT プロジェクトで必要になる自動化ツールとガイダンスをまとめたものです。ソリューション アクセラレータは、デスクトップからサーバー、および物理環境から仮想環境にいたるまで、IT インフラストラクチャの計画、導入、運用を積極的に進めるのに役立つ、信頼性の高い無償のリソースです。

業界の専門家が共同で設計し、実際の顧客環境でテストされたソリューション アクセラレータでは、管理者がわざわざ頭を悩ますことなく、高いパフォーマンスを実現し、異種製品で構成される IT インフラストラクチャを構築できるよう、規範となる適切なガイダンスと自動化機能が提供されます。これらのリソースは、あらゆる規模の企業で重要な課題となるインフラストラクチャの評価と計画、仮想化、コミュニケーションとコラボレーション、セキュリティと法令遵守などに対応しています。

ツールの概要

新しくリリースされた MAP Toolkit 3.1 (図 1 参照) は、サーバーとデスクトップに関する基本情報をすばやく把握するのに役立つ、ネットワーク全体のインフラストラクチャを評価するためのツールです。このツールを使用して、Hyper-V、Microsoft Application Virtualization、Windows Server 2008、Windows Vista、Office 2007、SQL Server などのテクノロジにサーバーとデスクトップをアップグレードまたは移行する準備ができているかどうかを確認できます。

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図 1 Microsoft Assessment and Planning Toolkit 3.1 (画像をクリックすると拡大表示されます)

MAP によって対応状況に関する評価レポートと提案が自動的に生成されるため、MAP を使用しなかった場合にユーザーが手動で実行しなければならなかった作業の多くを省略できます (図 2 参照)。MAP Toolkit 3.1 は、サーバー シナリオとデスクトップ シナリオの両方をサポートしているため、デスクトップ コンピュータを Windows Vista にアップグレードできるかどうかを評価したり、Microsoft Application Virtualization の展開計画を立てたりする場合などに使用できます。

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図 2 自動生成された移行に関する提案の例 (画像をクリックすると拡大表示されます)

サーバーの仮想化を計画するときに有力な候補となる物理コンピュータを特定するうえで役立つ重要な機能が 3 つ提供されます。これらは、サーバーのインベントリ、パフォーマンス メトリックの収集、および仮想化の推奨配置構成です。次に、これらの機能を使用して現在の環境の状態を詳しく把握し、仮想化への移行を計画する方法について説明します。

環境の現状を把握する

大規模な企業の多くは、System Center Operations Manager など、なんらかのサーバー管理インフラストラクチャを導入しています。ただし、それらの中には、それほど積極的に管理されていない環境もあります。自社の環境にどのようなサーバーが導入されているか、またはそれらのサーバーでどのようなプログラムが実行されているかをあまりよく理解していない場合、サーバー インベントリ機能を使用すると、そのような状況を正確に把握できます。サーバー インベントリは、Active Directory や IP アドレス範囲のスキャンを行うか、単純にフラット ファイルからコンピュータの一覧をインポートすることで、環境内のコンピュータを検出できます。また、複数の検出方法 (Active Directory と IP アドレス スキャンなど) を組み合わせて使用することで、Active Directory に登録される必要があるが、まだ登録されていないコンピュータを検出することもできます (図 3 参照)。

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図 3 コンピュータの検出方法の選択 (画像をクリックすると拡大表示されます)

コンピュータが検出されると、MAP Toolkit 3.1 は各コンピュータに接続し、Windows Management Instrumentation (WMI) を使用して 50 種類を超えるデータの取得を試みます。このデータを基に、数種類のレポートを生成できます。仮想化を使用したサーバー統合に最も役立つレポートは、[Migrate specific roles and services to Windows Server 2008] (特定の役割とサービスを Windows Server 2008 に移行する) を選択したときに作成されるレポートです。

今すぐ Windows Server 2008 への移行を行わない場合でも、このシナリオで作成される 2 種類のレポートは、環境内にあるハードウェアの種類 (プロセッサの種類と速度、ディスクのサイズ、搭載されているメモリなど)、および各サーバーに割り当てられているソフトウェアの役割 (DNS サーバー、ドメイン コントローラ、ターミナル サービス) を確認するうえで非常に役立ちます。

これらのレポートは Microsoft Excel ブック形式で作成されるため、Excel の並べ替え機能やフィルタ機能を使用して、環境内のどのコンピュータが仮想化の候補になるかを簡単かつ正確に特定できます。

サーバー インベントリ レポートでは、仮想化するサーバーを選択するときに検討できるいくつかの属性に関するデータが提供されます。たとえば、Hyper-V 仮想化プラットフォームでサポートされる OS が、仮想化するコンピュータで実行されているかどうかを確認するとします。サーバー インベントリの処理によって作成された WS2008HardwareAssessment Excel ブックの [Server Inventory] (サーバー インベントリ) タブにある [Current Operating System and Service Pack] (現在のオペレーティング システムとサービス パック) 列を確認して、アップグレードが必要な可能性のあるシステムを見つけることができます。

現在の使用率を確認する

仮想化の候補を特定するために行う次の手順は、物理コンピュータがどの程度使用されているかを測定することです。MAP Toolkit 3.1 の Performance Metrics Wizard (パフォーマンス メトリック ウィザード) (図 4 参照) を使用すると、仮想化の候補として識別した一連のコンピュータのパフォーマンス カウンタを記録できます。CPU、ディスク I/O、およびネットワークの使用率がすべて、後で確認できるようにキャプチャされます。

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図 4 Performance Metrics Wizard (画像をクリックすると拡大表示されます)

このウィザードは、かなりの長期間 (最高 1 か月) にわたってコンピュータを監視することを目的としており、使用方法をある程度柔軟に選択できます。環境内で使用率が最も高くなる時間帯 (たとえば、週に 1 回実行するバッチ処理の時間帯) を既に把握している場合は、その時間帯に合わせて、数時間のみこのウィザードを実行するように設定できます。使用率が最も高くなる時間帯を把握していない場合や、使用率がピークを迎える時間帯が異なる多くのコンピュータを監視する場合は、数日間または数週間にわたってコンピュータのデータを記録するようにウィザードを設定できます。これで、より多くのデータから使用率のピークを自動的に特定できます。

以前収集したインベントリ情報を基に、Excel の並べ替え機能とフィルタ機能を使用して、監視するコンピュータの一覧を作成します。Performance Metrics Wizard では、この一覧を、1 行に 1 台のコンピュータ名が入力されたフラット ファイルとして取り込むことができます。コンピュータ名の一覧を、Excel からコピーし、メモ帳で開かれた空白の新しいテキスト ファイルに貼り付け、このファイルを保存します。指示が表示されたら、このファイルをウィザードにインポートし、パフォーマンス メトリックを収集する期間の終了時刻を設定します。ウィザードがデータ収集モードになり、指定したコンピュータから 5 分おきにパフォーマンス カウンタが収集されます。

Performance Metrics Wizard の処理が完了すると、監視されたすべてのコンピュータと、複数のカテゴリ (CPU、物理ディスク、論理ディスク、およびネットワーク) の使用率を示すパフォーマンス メトリックがすべて記載された詳細な Excel レポートが作成されます。この情報を使用し、仮想化の候補として検討するコンピュータをさらに絞り込むことができます。

使用率がきわめて低いコンピュータを特定し、このようなコンピュータを仮想マシン (VM) として 1 台のホストに統合したり、上記の情報とインベントリ データを組み合わせて、高い可用性が要求されるミッション クリティカルなサービスを提供しているコンピュータを特定したりできます。また、仮想化を使用して、高い可用性が要求される環境に高度な障害回復機能を提供することもできます。分析が完了したら、最後の手順に進み、仮想マシンの推奨配置構成を生成します。

サーバーの推奨配置構成

Server Virtualization and Consolidation Wizard (サーバーの仮想化および統合ウィザード) を使用すると、仮想ホスト コンピュータの仮の構成 (CPU、ネットワーク、ディスク サブシステム、およびメモリ) を指定できます。このウィザードでは、Performance Metrics Wizard によって収集されたパフォーマンス データを使用して、VM ゲストと VM ホストの適切なマッピングを算出し、ピーク時の過剰な使用率を回避して、各ホストが適切に使用されるようにします。

Server Virtualization and Consolidation Wizard の処理が完了すると、ゲスト VM と物理ホストのマッピング案が記載された詳細な Excel スプレッドシートが作成されます。このレポートでは、VM とホストごとに、予想されるディスク I/O、ネットワーク I/O、および CPU 使用率が提供されます。この対応付け処理の実行中、ゲスト VM が物理ホスト コンピュータに追加されるときに、使用されるリソースの量が既存のホスト コンピュータの許容量に達した場合、新しいホスト コンピュータが割り当てられます。新しいホストが割り当てられるたびに、その理由を示すメッセージが表示されます。

いくつかのホストで同じメッセージが表示される場合は、別のホスト構成で Placement Wizard (配置ウィザード) を再度実行して、各ホストに割り当てられるゲスト数を増やしてください。たとえば、いくつかのホストでメモリの容量が上限に達したことを示すメッセージが表示される場合は、ウィザードを再度実行して、より多くの RAM を使用するようにホスト構成を指定できます。これにより、各ホストに割り当てることができるゲスト数が増加します。

仮想マシンの構成

Server Virtualization and Consolidation Wizard の各ページでは、VM ホスト コンピュータの容量モデルを作成するときに使用される、仮のコンピュータ構成の主な要素を構成できます。Virtual Server 2005 R2 と Hyper-V の両方のモデルが用意されているため、ウィザードの最初のページで、どちらの仮想化テクノロジを使用するかを指定します (図 5 参照)。

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図 5 推奨配置構成に使用する仮想化テクノロジの選択 (画像をクリックすると拡大表示されます)

CPU の構成ページでは、AMD と Intel から提供されているいくつかの CPU ファミリに対応したモデルが提供されます。使用している CPU に対応したモデルが提供されない場合は、最も近いものを選択します。このページでは、物理プロセッサ数、コア数、およびコアあたりのハイパースレッド数を構成できます。仮想化プラットフォームに Hyper-V を選択した場合は、選択肢として 64 ビット CPU のみが表示されます (図 6 参照)。

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図 6 ホストの CPU の構成 (画像をクリックすると拡大表示されます)

ウィザードの 3 ページ目では、ディスク サブシステム (ディスク ドライブ数と RAID テクノロジ) を構成して、ホスト上で利用可能なディスク領域の合計と、ディスク サブシステムのスループット値を計算できます。スループット値は、インターフェイス テクノロジと、選択されたディスクの信頼性とパフォーマンス モニタ (RPM) の速度に基づいて自動的に提供されます。

MAP Toolkit 3.1 では、記憶域ネットワーク (SAN) とネットワーク接続ストレージ (NAS) ディスク ソリューションのモデリングは直接サポートされません。おおよその構成を推測するには、SCSI ディスク テクノロジを選択し、使用している SAN の構成に近い RAID レベルと、その構成に近い速度のディスクを指定します。計画を開始するときに役立てるために、ここで実際の構成に近い推測値を得る必要があります。

配置に関する制約

仮想化されたゲスト コンピュータを物理ホストにマップするときは、以下の 6 つのことを考慮して、ホスト コンピュータの残りの容量でゲストを割り当てることができるかどうかを評価します。

  • CPU 使用率
  • ネットワーク I/O の使用率
  • ディスク サブシステム I/O の使用率
  • メモリ
  • ディスク容量
  • 指定した仮想テクノロジでのゲスト OS のサポート状況

CPU、ネットワーク、およびディスク サブシステムの使用率に関する制約は、かなり単純です。仮想ゲストの候補である物理コンピュータ上で計測された使用率が、仮想ホスト コンピュータ上でこれに相当する使用率に変換された後、ホストの既存の使用率に追加されます。ホストに割り当てられ、そのホストのリソースを使用するすべてのゲストの最終的な使用率の合計がしきい値の制限に満たない場合は、ゲストがそのホストに割り当てられます。しきい値を超える場合、そのゲストは割り当てられず、代わりに他のゲストを割り当てることができるかどうかが確認されます。

たとえば、CPU 使用率が 32% の 1.2 GHz Pentium 4 CPU が搭載されたコンピュータのパフォーマンス メトリックを収集したとします。クアッドコアの Intel Xeon 5300 シリーズの CPU を搭載した仮想ホストを構成する場合、ゲスト コンピュータの候補で計測された元の CPU 使用率から、ホスト コンピュータ上でこれに相当する予想使用率が推測されます。ホスト CPU のアーキテクチャが新しく、クロック速度も異なり、コア数も多いため、この新しく推測された使用率は、計測された元の値よりも低くなります。

逆に、ゲストの CPU よりも性能の低い CPU が搭載されたホスト コンピュータを構成する場合、このホストの予想使用率は高くなります。いずれの場合も、新しく推測された CPU 使用率を使用して、ゲストがホストに割り当てられた場合のホスト コンピュータ全体の使用率が計算されます。

メモリとディスク領域の使用率がどのように決定されるかについても、簡単に説明しておきましょう。各仮想ゲストの候補に搭載されている物理メモリの合計量が、ホスト コンピュータ上で予約されます。さらに、少量のメモリ (512 MB) がホスト自体のために予約されます。ホストのメモリがすべて、割り当てられたゲストとホストのオーバーヘッドによって消費されている場合、そのホスト コンピュータにそれ以上仮想ゲストを割り当てることはできません。

ディスク領域も同様に処理されます。各仮想ゲストの候補で提供される物理ディスク領域の合計サイズが、ホスト コンピュータ上で予約されます。さらに、50 GB のディスク領域が仮想ホスト用に予約されます。ホストに割り当てられたすべてのゲストによって使用されるディスク領域の合計と、ホスト自体のために予約された領域を加算したサイズが、ホスト構成で指定されているサイズに達すると、それ以上ゲストを割り当てることはできなくなります。

選択した仮想化プラットフォームを基に、ゲスト コンピュータ上で実行される OS が実際にその仮想化プラットフォームによってサポートされるかどうかが確認されます。たとえば、Virtual Server 2005 R2 では 64 ビット OS を実行するゲストがサポートされないため、仮想化テクノロジとして Virtual Server 2005 R2 を選択した場合、64 ビット OS は配置されません。

オプションを検討する

Server Virtualization and Consolidation Wizard を複数回実行することで、仮想ホスト コンピュータ用に異なるハードウェアを選択した場合の結果を簡単に比較できます。ウィザードを実行するたびに、異なる CPU、ディスク、メモリを選択して、各環境に最適であると考えられる組み合わせを見つけることができます。

サーバー統合に関する Excel ブックの [Consolidation Recommendations] (統合に関する推奨事項) タブで [Last Placement Failed Reason] (最後の配置が失敗した理由) 列を確認します。この列に記載されている理由から、特定のホストにこれ以上ゲスト コンピュータを割り当てることができなかった理由に関するヒントをつかむことができます。ゲストのメモリ使用率がホストで利用可能なメモリ量を超えていることなど、複数のホストの理由が一致している場合は、ホスト構成のメモリ量を増やすと、必要なホスト数の合計を減らすことができる可能性があります。

要件

MAP Toolkit 3.1 のメリットの 1 つは、インベントリの実行対象であるコンピュータにソフトウェアをインストールする必要がないことです。すべての操作はリモートで実行されます。ただし、すべての処理が適切に実行されるようにするには、いくつかのことを考慮する必要があります。

Inventory Wizard (インベントリ ウィザード) と Performance Metrics Wizard の処理を完了するには、対象のコンピュータ上でいくつかの TCP ポートを開き、MAP Toolkit がインストールされているコンピュータからこれらのポートにアクセスできる必要があります。入門ガイドに詳細な説明が記載されていますが、簡単に紹介すると、認証用、DCOM 用、および WMI 用のポートが、インベントリの実行対象であるコンピュータ上で開かれている必要があります。MAP Toolkit 3.1 を実行するコンピュータとインベントリの実行対象であるコンピュータとの間のネットワークにファイアウォールがインストールされている場合、このトラフィックを許可するように、これらのファイアウォールを構成する必要があります。

MAP Toolkit 3.1 は、最高で 100,000 台のコンピュータから構成される環境のインベントリを実行し、最高で一度に 3,000 台のコンピュータからパフォーマンス メトリックを収集できるように設計されています。既定では、このツールによって、SQL Server 2005 Express Edition の専用インスタンスがインストールされます。SQL Server Express では、データベース ファイルのサイズが 4 GB に制限されているため、この構成では、SQL Server Express で適用されるファイル サイズの制限内に収まる約 20,000 台のコンピュータのインベントリしか実行できません。より多くのコンピュータを対象としたインベントリを実行するには、いくつかの既定の構成を変更する必要があります。

より規模の大きい環境で作業するには、SQL Server 2005 Standard Edition など、SQL Server の完全なバージョンを使用する必要があります。MAP Toolkit をインストールする前に、SQL Server 2005 の新しいインスタンスをインストールして、このインスタンスに "MAPS" という名前を付けてください。その後、同じコンピュータ上で通常どおり MAP Toolkit インストーラを実行します。MAP Toolkit には、SQL Server のローカル インスタンスが必要です。MAP Toolkit のインストーラは、SQL Server Express Edition をインストールせずに、自動的に SQL Server のローカル "MAPS" インスタンスを検出し、これに MAP Toolkit をインストールします。

さらに規模の大きい環境では、スケールアウト機能を使用できます。この機能を使用すると、MAP Toolkit がインストールされている複数のヘルパ コンピュータが連携して大規模なインベントリを実行し、すべてのデータをまとめて 1 つの一元管理データベースに格納できます。この構成でも、4 GB というファイル サイズの制限を回避するために、SQL Server Standard Edition を使用する必要があります。

この構成で MAP Toolkit をインストールする方法、およびこのモードでデータベース接続文字列を適切に編集する方法の詳細については、入門ガイドを参照してください。スケールアウト機能は、MAP Toolkit がインストールされるコンピュータ以外のコンピュータに SQL Server を配置する場合にも使用できます。

まとめ

Microsoft Assessment and Planning Toolkit のようなソリューション アクセラレータは、IT プロジェクトにおける面倒な作業をユーザーの代わりに担当してくれます。多くのユーザーは MAP Toolkit を使用することで、Hyper-V の展開作業に伴う IT に関する計画に必要とされる膨大な時間を節約できました。皆さんもこのツールを試してみてはいかがでしょうか。

必要に応じて、Microsoft Assessment and Planning Toolkit を microsoft.com/map から無償でダウンロードできます。その他の仮想化ソリューション アクセラレータを microsoft.com/vsa から入手することもできます。また、MAP Toolkit チームのブログ (blogs.technet.com/mapblog) で、その他のヒントを確認したり、デモ ビデオを視聴したりできます。

Jay Sauls は、マイクロソフトのソリューション アクセラレータ グループのシニア プログラム マネージャを務めており、Windows Vista Hardware Assessment や Microsoft Assessment and Planning Toolkit などの設計および導入ツールを担当しています。これまでは、Microsoft Commerce Server、Microsoft BizTalk、System Center Capacity Planner など、他のマイクロソフト製品チームの業務に携わっていました。

Baldwin Ng は、マイクロソフトのソリューション アクセラレータ コア エンジニアリング チームのシニア プログラム マネージャを務めています。現在携わっているプロジェクトは、Microsoft Assessment and Planning Toolkit と仮想化ソリューション アクセラレータです。マイクロソフト、Corbis、Alltel などで、IT、電子商取引、ワイヤレス インターネット サービス分野の製品管理と製品開発を 16 年にわたって経験しています。彼のブログ blogs.technet.com/MAPBLOG には、新しい記事が頻繁に追加されています。