Windows 2000 Server の準備

公開日: 2004年11月30日

Microsoft Press 刊 『Introducing Microsoft Windows 2000 Server』 第 12 章から抜粋した文書です。

トピック

概要 概要
1 台のコンピュータへのインストール 1 台のコンピュータへのインストール
アップグレードについて アップグレードについて
セットアップ前の準備 セットアップ前の準備
Windows 2000 Server への移行 Windows 2000 Server への移行
まとめ まとめ

概要

Microsoft® Windows® 2000 Server (以下 Windows 2000 Server) の機能およびテクノロジについては、既にご理解いただいていることでしょう。いよいよ、この機能をネットワーク上に実装します。セットアップにかかる時間と労力は、慎重に計画を立てることにより大幅に節約できます。この章では、セットアップ手順について順を追って説明していきます。

また、セットアップ ルーチンの詳しい使用方法についても説明し、Windows 2000 をネットワーク上に効率的に展開する上で、参考になる文献も紹介します。

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1 台のコンピュータへのインストール

Windows 2000 を 1 台のコンピュータにインストールする場合は、Windows 2000 Server の CD-ROM を、そのコンピュータの CD-ROM ドライブに挿入するのが最も簡単です。Windows オペレーティング システムがインストールされているコンピュータに CD-ROM を挿入すると、アップグレード画面が表示されるので、後は画面の表示に従います。Windows 95、Windows 98、または Windows NT 4.0 で手動でセットアップを行う場合は、winnt32.exe を実行します。それ以外のオペレーティング システムの場合は、winnt.exe を実行します。

コンピュータにまだオペレーティング システムがインストールされていない場合は、CD-ROM またはフロッピー ディスクからシステムをブートする必要があります。たいていの場合、新しいコンピュータであれば、CD-ROM から直接ブートできるため、すばやくセットアップを行うことができます。それ以外の場合は、4 枚のセットアップ フロッピー ディスクのうちの最初の 1 枚を挿入してシステムをブートします。後は、表示される指示に従ってオペレーティング システムをインストールします。

winnt のコマンド シンタックス

MS-DOS、Windows 3.1、または Windows for Workgroups 3.11 システムから Windows 2000 セットアップ ルーチンを起動するには、コマンド プロンプトで winnt.exe を実行します。winnt.exe では、さまざまなコマンド ライン パラメータを指定して、セットアップ動作を変更したり、オプションとして処理を自動化できます。使用できるパラメータは以下のとおりです。

  • /u:answer_file - 応答ファイルを使用して無人インストールを行います。応答ファイルを使うと、ユーザーはセットアップ時の対話的な質問事項に答えずに済み、セットアップを完全に自動化できます。

  • /e - セットアップ完了後に実行するコマンドを指定します。アプリケーションの自動セットアップ ルーチンを起動して、インストールを完了させます。

  • /s:sourcepath - Windows 2000 セットアップ ファイルへのパスを指定します。このオプションは、セットアップ ファイルがカレント フォルダにない場合にのみ指定します。

  • /t:tempdrive - 一時ファイルを保存するのにどのパーティションをセットアップが使用するかを指定します。このオプションの使用はお勧めしません。

  • /rx:folder - 作成したフォルダをシステム フォルダにコピーします。通常このオプションは、標準の Windows 2000 ではサポートされないドライバをコピーするのに使用します。複数のフォルダをコピーするには、このオプションを複数回指定します。

  • /r:folder - セットアップ中に作成するフォルダを指定します。複数のフォルダを作成するには、このオプションを複数回指定します。

  • /a - ユーザー補助オプションを選択します。ほとんどの場合、このオプションは必要ありません。

  • /i:inffile - セットアップ情報ファイルのファイル名を指定します。既定では、Dosnet.inf に設定されています。このオプションの使用はお勧めしません。

メモ この winnt.exe のコマンド ライン オプションは、この文書が作成された時点で利用可能なものを示しています。

winnt32 のコマンド シンタックス

Windows 95、Windows 98、Windows NT 3.51、または Windows NT 4.0 システム から Windows 2000 セットアップ ルーチンを起動するには、コマンド プロンプトで winnt32.exe を実行します。winnt32.exe では、さまざまなコマンド ライン パラメータを指定して、セットアップの動作を変更したり、オプションとして処理を自動化できます。使用できるパラメータは以下のとおりです。

  • /debug[level]:[filename] - 情報が含まれるデバッグ ログ ファイルを指定したレベルで作成します。level パラメータにレベルを指定しないと、レベル 2 の警告情報が含まれるログ ファイルが作成されます。また、falename パラメータにファイル名を指定しないと、このログ ファイルは C:\winnt32.log に書き込まれます。このログ ファイルは、セットアップで問題が発生した場合の診断に利用できます。したがって、このオプションは使用することをお勧めします。

  • /s:sourcepath - Windows 2000 セットアップ ファイルへのパスを指定します。このオプションは、セットアップ ファイルがカレント フォルダにない場合にのみ必要です。

  • /tempdrive:drive_letter - 一時ファイルを保存するのにどのパーティション セットアップを使用するかを指定します。このオプションの使用はお勧めしません。

  • /unattend - アップグレードの場合にのみ有効です。現在のオペレーティング システムの情報に基づいて、すべての応答が決定されます。したがって、応答ファイルは必要ありません。

  • /unattend[num]:[answer_file] - 応答ファイル名を指定します。応答ファイルを使うと、ユーザーはセットアップ時の対話的な質問事項に答えずに済み、セットアップを完全に自動化できます。オプションの num パラメータには、セットアップ ファイルのコピーが終了してから、セットアップを再起動するまでの秒数を指定します。

  • /udf:id[,UDF_file] - 一意データベース ファイル (UDF) の ID を指定します。UDF ファイルは、コンピュータごとに異なる応答ファイルに変更を加えます。たとえば、UDF には、コンピュータ名を指定することができます。すると、1 つの応答ファイルをネットワーク上のすべてのシステムで使用できるようになります。

  • /cmd:command_line - セットアップ完了後に実行するコマンドを指定します。アプリケーションの自動セットアップ ルーチンを起動して、インストールを完了させます。

  • /copydir:folder_name - 作成したフォルダをシステム フォルダにコピーします。通常このオプションは、標準の Windows 2000 ではサポートされないドライバをコピーするのに使用します。複数のフォルダをコピーするには、このオプションを複数回指定します。

  • /copysource:folder_name - /copydir オプションとほとんど同じ働きをしますが、コピーされたフォルダはセットアップ完了後に削除されます。このオプションは、追加のセットアップ ファイルをシステムに転送するのに使用します。

  • /syspart:drive_letter - セットアップ ファイルをハード ディスクのパーティションにコピーし、そのパーティションをアクティブにします。すると、このハード ディスクをほかのコンピュータにインストールできるようになります。そのコンピュータを起動すると、セットアップ プログラムの次のフェーズが自動的に起動します。このオプションは、/tempdrive:drive_letter オプションとあわせて使用します。

大規模な環境への展開

インストール対象のコンピュータの数が 20 に満たない場合は、手動でインストールするのが効率的です。しかし、大規模なネットワークの場合は、可能な限りセットアップを自動化して管理者の手間を減らします。応答ファイルを使えばインストールを自動化できますが、この方法はかなり込み入っています。これについては、『Microsoft Windows 2000 Server Resource Kit』 (Microsoft Press 刊) で詳しく解説されています。

また、リモート インストールでもセットアップを自動化することができます。これについては、第 3 章で取り上げています。Windows 2000 Server を大規模な環境に展開する場合、リモート インストールを利用すると、最も効率よく作業を行うことができます。

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アップグレードについて

次のオペレーティング システムは、Windows 2000 に直接アップグレードできます。

  • Windows 95

  • Windows 98

  • Windows NT 3.51 SP5

  • Windows NT 4.0

Windows NT 3.1、Windows NT 3.51、および Windows for Workgroups などの古いオペレーティング システムについては、一度上記のシステムのいずれかにアップグレードしてから行うか、あるいは Windows 2000 を新規にインストールする必要があります。

メモ 新規にインストールする場合は、アプリケーションで問題が発生したときに以前のオペレーティング システムを使用できるように、1 週間はシステムをデュアル ブートにすることをお勧めします。

新規にインストールを行うとしても、既存のシステムをアップグレードするとしても、インストール オプションは同じです。ソフトウェアをネットワークのファイル サーバーからロードするか、ローカルの CD-ROM からロードするか、または第 3 章で説明したリモート インストール機能を使用するかのいずれかを選択します。

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セットアップ前の準備

手動セットアップでは、ウィザードに似た形式で一連のセットアップ作業が行われます。セットアップを始める前に、必要な情報が揃っていることを確認してください。必要な情報は以下のとおりです。

  • 使用許諾契約書 インストールするすべての Windows 2000 のインスタンスについて、ライセンスが購入済みであるかどうかを確認します。

  • 地域の設定 通常は、既定の設定を選択します。それ以外の場合は、国に応じて言語とロケール ID を選択します。

  • コンピュータ名と管理者パスワード いずれもセットアップ完了後に変更できます。管理者パスワードは必ず設定するようにしてください。設定しないと、ネットワークの起動後に不正な第三者からの攻撃を受ける可能性があります。

  • 日付と時刻の設定 タイム ゾーンを選択します。コンピュータに初めてオペレーティング システムをインストールする場合は、時刻も設定する必要があります。

  • ネットワークの設定 動的ホスト構成プロトコル (DHCP) を使用している場合、既定の設定を選択すると、自動的にネットワークが設定されます。手動で設定しなければならない場合は、インターネット プロトコル (IP) アドレス、サブネット マスク、およびデフォルト ゲートウェイは必ず指定してください。DNS (ドメイン ネーム システム) または WINS (Windows インターネット ネーム サービス) を使用している場合は、これらのサーバーも指定します。

  • ドメインの設定 ドメインに参加している場合は、ドメインにコンピュータ アカウントを作成できるユーザー アカウントが必要です。

  • NTFS へのアップグレード 古いオペレーティング システムとのデュアル ブートが必要ない場合は、パーティションを NTFS ファイル システムにアップグレードします。この作業は後で行うこともできます。

  • 名前と組織名

  • アップグレードパックの提供 アップグレード パックは、アプリケーションを修正して Windows 2000 上で動作するようにします。お使いのソフトウェアの販売元に問い合わせて、アップグレード パックを入手してください。ただし、ほとんどのソフトウェアは、アップグレード パックを使用しなくても Windows 2000 上で動作します。

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Windows 2000 Server への移行

ほとんどの場合、Windows 2000 は、以前の Windows オペレーティング システムからアップグレードする形で展開されます。ここでは、移行のプロセス全体を 6 つのフェーズに分けて説明します。"フェーズ 1 環境整備" では、リソースを整理することによりネットワークの複雑さを減らします。"フェーズ 2 更新" では、移行が成功するように、現在のオペレーティング システムとアプリケーションを最新のパッチ バージョンにアップグレードします。"フェーズ 3 計画" では、後続のフェーズの基になる計画を細かく立てます。"フェーズ 4 テスト" では、システム アーキテクチャを検証して問題を見つけ出し、それが原因でダウンタイムが生じないようにします。"フェーズ 5 展開" では、実際に Windows 2000 を導入します。最後に "フェーズ 6 成功 (または失敗) の判定" では、作業を評価して成功したかどうかを判断します。

フェーズ 1: 環境整備

できるだけ簡単に移行できるようにするには、既存のネットワークとサーバーを整備します。この作業は常に行うに越したことはないのですが、特にアップグレードの準備をするときは欠かせません。ユーザー アカウントのデータベースを調べ、重複したアカウントや未使用のアカウントがないようにします。また、すべてのサーバーおよびデスクトップ システムから不要なファイルを削除し、各システムに十分な空き領域を確保してください。

既存の環境をサポートしているハードウェアのアップグレードが必要な場合は、この時点で実行します。Windows 2000 Server には Windows NT Server 4.0 よりも多くのハードウェア要件があります。

フェーズ 2: 更新

Windows 2000 Server は Windows NT Server 4.0 のメジャー アップデートですが、新機能の多くはアドオンとしてリリースされています。Windows 2000 Server を導入する数週間前に、更新されたコンポーネントをすべてのサーバーに実装しておくと、円滑に移行することができます。特に Windows NT Server 4.0 Option Pack (Microsoft Internet Information Server 4.0 と Microsoft Transaction Server を含む) および Windows NT 4.0 Service Pack 4 以降の Service Pack については、必ずインストールされていることを確認してください。

メモ Windows NT Server 4.0 Option Pack および Windows NT 4.0 Service Pack は こちらの Web サイトを確認してください。

使用しているシステムの構造を変更しなければならないことがあります。まず、TCP/IP 以外のネットワーク プロトコルをすべて削除します。ほかの主なネットワーク オペレーティング システムはすべて TCP/IP をサポートしています。したがって、互換性については問題ありません。

次に、Windows NT Server 4.0 の TCP/IP サービスを十分に活用していることを確認してください。ネットワークに WINS サーバーがあり、すべてのクライアントが WINS サーバーを使用するように構成されていることを確認します。また、DHCP の使用も考慮してください。この DHCP は、すべての環境に適用できるわけではありませんが、適用できる場合は使用してください。

DNS 構造を実装し、すべてのクライアント コンピュータが DNS を使用するように構成します。DNS サービスに UNIX を使用している場合は、より緊密に Active Directory と統合できるようにサーバーを Windows NT に移行します。DNS サーバーの中に移行できないものがある場合は、Windows NT サーバーしか処理できないサブドメインを別途作成します。これにより、Active Directory アーキテクチャに十分適応できるようになり、移行中に問題が発生した場合のダメージを最小限にとどめることができます。

Windows 2000 ネットワークには NetBIOS ネットワークは必要ありません。NetBIOS から簡単に移行できるようにするには、すべてのシステムで、コンピュータ名とプライマリ ホスト名を一致させます。たとえば、コンピュータ名が KURT で、完全修飾ドメイン名 (FQDN) が www.company.com であるサーバーの場合、DNS データベースのエイリアスは kurt.company.com としてください。ネットワークに対してこれらの更新を実行したら、次に移行の計画を立てます。

フェーズ 3: 計画

システムを更新するにあたり、次の作業を事前に行うことが重要です。

  • システム アーキテクチャを作成する

  • 予算を決定する

  • 詳細な作業リストを作成する

  • スケジュールを作成する

  • 人材に関する計画を立てる

システムアーキテクチャを作成する

Windows 2000 には、Windows NT 4.0 とは異なるアーキテクチャ要件があります。たとえば、新しいアーキテクチャでは、ドメインを複数使用する必要がなくなり、ドメイン コントローラの数が減る可能性があります。あるいは、DNS インフラストラクチャを追加しなければならない可能性もあります。この場合、追加のハードウェアの購入が必要になります。

新しいアーキテクチャの図を作成し、追加する必要のあるハードウェアおよびソフトウェアのリストを作成します。このリストは、予算の策定および作業リストの作成に使用します。

Windows 2000 を導入する各システムが、次の条件を満たすようにします。

  • 166 MHz 以上を搭載した Pentium 互換のマイクロプロセッサ

  • Windows 2000 Professional でご使用の場合は 32 MB、Windows 2000 Server でご使用の場合は 64 MB の RAM

  • 2 GB のハードディスク (*****500 MB 以上の空き容量が必要)

  • VGA モニタとビデオ カード

  • キーボードとマウス

  • セットアップ ファイルを取得するために使うネットワーク カードまたは CD-ROM

予算を決定する

ネットワーク上のすべてのシステムを移行することは重要な作業です。プロジェクトの途中で予算を使い果たしてしまわないように、事前に予算を決定するようにしてください。つまり、コストを見積もる機会を設け、充分な予算が確保されていることを確認します。次の作業に伴うコストが、全体の予算に反映されます。

  • ハードウェアのアップグレード 新しいオペレーティング システムのハードウェア要件に合致しないシステムはアップグレードする必要があります。人件費も見積もりに入れるようにしてください。

  • 新しいハードウェア 新しいシステム アーキテクチャを採用するにあたり、追加システムを購入する必要がある場合、ハードウェアおよびセットアップに要するコストを予算に含めます。

  • ソフトウェアのアップグレード これは組織のライセンス取得方法によって異なります。

  • 残業 どの組織でも、従業員のスケジュールは普段の仕事を行うだけでいっぱいです。このような組織で大幅なアップグレードを行う場合、従業員は残業を余儀なくされます。残業手当を支払うシステムを採用している企業については、この残業に対するコストが発生します。

作業リストを作成する

移行に必要な作業の詳細なリストを作成します。たとえば、次のようなシナリオを考えてみます。Windows NT 4.0 ドメインを Windows 2000 Server および Active Directory にアップグレードするとします。まず最初に行うのは、ドメインのプライマリ ドメイン コントローラ SERVER-PDC のアップグレードです。このシステムで Windows 2000 Server を効率的に稼動させるには、プロセッサのアップグレードが必要です。この場合は、次のような作業リストを作成します。

  1. プロセッサのアップグレード キットと Windows 2000 Server ソフトウェアが入手可能かどうかを確認する。

  2. SERVER-PDC のフル バックアップを行う。

  3. SERVER-PDC がオフラインになることをユーザーに通知する。

  4. すべてのドメイン コントローラを同期化する。

  5. SERVER-PDC をプライマリ ドメイン コントローラに昇格する。

  6. SERVER-PDC にプロセッサを追加する。

  7. すべてのドメイン コントローラを同期化する。

  8. SERVER-PDC をプライマリ ドメイン コントローラに昇格する。

  9. SERVER-PDC を Windows 2000 Server にアップグレードする。

  10. すべてが正常に機能していることを確認する。SERVER-PDC が正常に動作していない場合は、追加したプロセッサを削除してバックアップから復元します。

  11. SERVER-PDC がオンラインになったことをユーザーに通知する。

必要な手順をリストアップすることにより、忘れている作業がないようにします。システムのアップグレードの前にバックアップを取る作業は忘れがちですので注意してください。この手順を行わないと、アップグレードがうまくいかなかった場合に元に戻すことができなくなる可能性があります。組織内の担当者数人で作業リストのレビューを行い、忘れている作業がないことを確認してください。大規模なネットワークの場合は、上位レベルの作業リストから作成し、そのリストを複数の管理者に振り分けます。

メモ 移行の途中で問題が発生した場合に備えて、元の状態に戻すための計画は必ず用意しておいてください。

スケジュールを作成する

作成された作業リストに対して、スケジュールを作成するのは簡単です。作業ごとにどのくらいの時間が必要なのかを決めていけばいいのです。人為的なエラーや予期せぬ作業の遅れなどを考慮し、余裕を持たせた現実的な計画を立てるようにしてください。並行して行える作業と、ほかの作業の完了後でなければ実行できない作業を特定します。人材を確保することができれば、異なる作業を並行して進めることもできます。

人材に関する計画を立てる

ネットワークの規模によっては、Windows 2000 Server への移行に数か月かかることもあります。移行中は、社員は労働時間の一部またはすべてをアップグレードの作業に費やす必要があります。作業リストの各作業を担当の管理者に割り当ててください。人材不足のために所定のスケジュール内で作業を完了できない場合は、コンサルタントの採用やスケジュール変更を検討してください。

移行を行うにはそれなりのスキルが必要です。移行の担当者を決めたら、それらの担当者が適切なスキルを身に付けていることを確認してください。Windows 2000 は誰にとっても新しいシステムなので、トレーニングを受けたり、各自で学習する必要があります。

フェーズ 4: テスト

すべてのソフトウェアが期待どおりに動作すれば理想的ですが、実際のネットワークの世界ではそううまくはいきません。したがって、問題を早い段階で見つけるための方法を講じます。計画の段階で、ソフトウェアをテストする期間を設けるようにしてください。まず、システムはそのままにして、Windows 2000 Server をインストールします。次に、使用しているアプリケーションをネットワーク上で階層化し、各アプリケーションが Windows NT 4.0 の場合と同じように適切に機能していることを確認します。さらに、さまざまなクライアントからサーバーに接続し、クライアントとアプリケーションが正常に機能していることを確認します。

これで、いくつかの問題を見つけることができます。テスト期間内であれば、これらの問題がダウンタイムを引き起こすことはありません。したがって、できるだけこの期間内に問題を見つけるようにしてください。見つかった問題についてはその都度解決していきます。また、一人で解決するのが困難な場合は、ソフトウェアの販売元のサポート グループと協力するようにします。

デスクトップ システムをアップグレードしている場合、使用するハードウェア プラットフォームは必ずすべてテストするようにします。使用しているすべてのシステムが Windows 2000 のハードウェア互換性リストに載っているのであれば、このテスト方法は便利です。しかし、最も信頼できるのは、予備のハードウェアでテスト インストールを実行した上で互換性の問題を発見するという方法です。計画にユーザーガイド付きの自動インストールが含まれている場合は、配布した文書が明確かつ正確であることを確認するために、ユーザーにインストール作業をひととおり行ってもらいます。

メモ 最新のハードウェア互換性リストは Web サイト https://www.microsoft.com/japan/hwdq/hcl/ で入手できます。

計画に少しでも不備があれば、ダウンタイムの可能性が生じます。テストは極めて重要なフェーズであり、テストによって組織が大損害を被るのを防ぐことができます。スケジュールを短縮することになっても、このフェーズは決して省略しないでください。ただし、テストに時間をかけすぎることは人材の浪費にもなります。大規模な移行の場合を除き、ソフトウェアとハードウェア、クライアントとサーバーの組み合わせの一部だけをテストすれば十分です。

テスト中に明らかになった問題を解決したら、実装を始める準備をします。

フェーズ 5: 展開

計画およびテストでの作業は、Windows 2000 へのアップグレード段階においてその効果が発揮されます。クライアントおよびサーバー数が 50 に満たない小規模な組織では、すべてのシステムを一度に移行する必要があります。ユーザーへのダウンタイムを最小にとどめるために、作業は業務時間外に行うようにします。

中規模から大規模の組織で、アップグレードを一度に行うのは現実的ではありません。この場合は、まずプライマリ ドメイン コントローラを Windows 2000 Server に移行します。最初のシステムをアップグレードしてから 1 週間様子を見ます。1 週間何も問題が起こらなければ、バックアップ ドメイン コントローラを移行します。

テストの最終段階として、サーバーを少しずつ移行しながら、そのサーバーが実際のシステムで正常に稼動するように設定していきます。すべてのサーバーがアップグレードされたら、ユーザーのシステムを部署ごとに移行します。手順を細かく分けることで、最悪の事態が発生しても、ダウンタイムの発生が組織全体ではなく一部に抑えることができます。

フェーズ 6: 成功 (または失敗) の判定

移行の各フェーズが完了したら、一連のテストを行い動作を確認します。すべてが正常に機能している場合でも、ユーザーから寄せられそうな問題に備えます。大幅なアップグレードを実施する際には、たいてい予期しない事態が発生します。問題が発生したらその都度対処し、最悪の事態に備えて、常に元の状態に戻せるようにしておきます。移行後の問題が深刻で簡単には解決できない場合、最新のバックアップからシステムを復元し、テスト フェーズに戻ります。

計画通りに移行することができたら、ユーザーや企業は Windows 2000 の恩恵を受けられます。

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まとめ

この章では、Windows 2000 Server のセットアップに関する一連の作業と、ネットワークを正常に移行するために必要な手順について説明しました。実行しているインストールの種類に基づいて、ネットワークや CD-ROM から直接セットアップを実行するか、プロセスを自動化するか、あるいはリモート インストール機能を使用するかどうかを選択する必要があります。また、システムをアップグレードするのか、それとも新しいオペレーティング システムを新規にインストールするのかを決定する必要もあります。

移行を成功させるには、慎重に計画を立てる必要があります。大規模なネットワークについては、選任のプロジェクト マネージャが必要です。小規模なネットワークの場合でも、生産性の低下を最小にとどめながら、スケジュール通りに予算内で行うには細かな計画が必要です。

上記の記事は マイクロソフト プレス にて刊行された書籍より転載されたものです。

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