ファイル、プリント、および Web の各サービスのアップグレードと展開

シナリオ ベースの展開ガイド

概要
このホワイト ペーパーでは、Microsoft® Windows® 2000 Server (以下 Windows 2000 Server) のアップグレードの概要、およびファイル サーバー、プリント サーバー、および Web メンバ サーバーを配置する方法について説明します。このホワイトペーパーは、Windows NT 3.51 および 4.0 のメンバ サーバー (ファイル、プリント、Web、ネットワーク、通信、およびアプリケーションなどのサーバー) を、Active Directory の展開前に Windows 2000 Server にアップグレードする方法を段階的に記述した文書です。

トピック

はじめに はじめに
アップグレード方針 アップグレード方針
アップグレードの概要 アップグレードの概要
アップグレードの準備 アップグレードの準備
Windows 2000 Server アップグレードの実施 Windows 2000 Server アップグレードの実施
アップグレード後の作業 アップグレード後の作業
サポートの継続 サポートの継続
障害回復 障害回復
展開方針 展開方針
まとめ まとめ

はじめに

今では、インターネットから情報をすばやくダウンロードできるようになり、世界中の顧客、取引先、およびビジネス パートナーとネットワークを介して情報を共有できるようになりました。デジタル化されたビジネス情報が増えてきた今、企業はより安全な方法でその情報にアクセスする手段を提供する必要があります。

Windows 2000 Server は、情報の公開および共有に関する次の要件を満たすように設計されており、集中管理される、包括的で使いやすい統合プラットフォームです。

  • 包括的なファイル サービスおよびプリント サービス

  • Web サービスの統合

企業内で共有するファイルやプリンタに速くアクセスできることは、ネットワーク利用者のほとんどすべてが要求するネットワークの基本的なサービスです。しかし、デジタル化が進むビジネスを支える今のソフトウェアには Web 機能も求められています。Web 機能があれば、現在のコンピュータ システムを、最初から作り直すことなく、インターネット技術を利用したシステムへと拡張できるからです。つまり、従来のファイルやネットワーク リソースを単に共有するのではなく、HTML や XML のような標準的な Web 形式でも共有できる必要があります。これにより、取引先との情報の共有方法を根本から変えることができます。

このホワイト ペーパーでは、Active Directory を展開する前に、既存の Windows NT 3.51 または 4.0 のメンバ サーバー上のファイル、プリント、および Web の各サービスをアップグレードして社内に展開する方法を中心に説明します。

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アップグレード方針

Windows NT の技術を元に開発した Windows 2000 Server は、新機能や拡張機能を多く提供しています。Windows 2000 Server では、アプリケーション、管理、ファイルとプリント、Web コミュニケーション、ネットワーク、分散セキュリティなどのサービスを包括的に提供し、また Active Directory を使用したディレクトリ サービスも利用できます。

この規模のネットワーク オペレーティング システムを導入する場合、どこから着手したらよいのかが課題となります。

この課題に対応するために、既存の Windows NT Server 3.51 および 4.0 のドメイン環境と完全に相互運用可能な Windows 2000 Server を開発しました。Windows 2000 Server は相互運用を目的に開発されていますので、次の柔軟性をお客様に提供いたします。

  • サーバーのアップグレードを段階的に実施できます。また、稼働環境の変更に伴うリスクを低減します。

  • Windows 2000 サービスを指定して実装し、また安定して使用することができます。

  • 自分のペースで Windows 2000 Server にアップグレードできます。短期間で一気にアップグレードを行う必要も、計画を何度も練り直す必要もなくなりますが、Windows 2000 Server の新機能と向上したパフォーマンスはすぐにでも実現できます。

中でも、Active Directory は、Windows 2000 Server の最大のニュースです。Active Direcotry を導入すると、分散環境にあるユーザーとクライアントが情報を特定、格納、および検索できます。

Active Directory は確かに大きな利益をもたらしますが、それを稼働環境で利用できるようにするには、計画段階で相当の準備が必要です。Windows 2000 Server にアップグレードする場合、Windows NT ドメインを既にお持ちのお客様は、必ずしも Active Directory の導入から開始する必要はありません

実際、Active Directory は、Windows NT メンバ サーバー (ファイルとプリント、Web、ネットワークと通信、およびアプリケーションなどの各サーバー) から Windows 2000 Server へのアップグレードと同時に導入する方がよいでしょう。Windows 2000 メンバ サーバーは、Active Directory を導入する前でも、Windows NT ドメインの環境と完全に相互運用可能であり共存可能だからです。

メンバ サーバーを Windows NT から Windows 2000 Server にアップグレードする場合、どのメンバ サーバーからでもアップグレードできますし、どのような順番でもアップグレードできます。さらに、Active Directory の導入計画を実施する前にメンバ サーバーをアップグレードしても、Active Directory の導入プロセスに影響を与えることはありません。また、Active Directory を導入することにより、既に Windows 2000 にアップグレードされたメンバ サーバーが影響を受けることもありません。

アップグレードは、既存の Windows NT のファイル、プリント、および Web の各サーバーから行います。Windows 2000 にアップグレードたサーバーは、パフォーマンスが向上し機能が強化されます。

Windows 2000 Server によるパフォーマンス向上効果をいくつか次に示します。

  • ファイル サーバーのファイル アクセス速度が最大 30% 向上

  • プリント サーバーのパフォーマンスが最大 200% 改善

  • HTTP 圧縮を使用する Web サーバーのパフォーマンスが最大 400% 改善

Windows 2000 Server には、NTFS ファイル システムの拡張バージョンが含まれています。これには、パフォーマンスの向上だけでなく、ファイルの暗号化、再起動を必要としない NTFS ボリュームのディスク容量追加、分散リンク トラッキング、およびディスクの使用容量を監視して制限するためのユーザーごとのディスク クォータのサポートが含まれています。Windows 2000 Server にアップグレードすると、既存のすべての NTFS ボリュームは、新しい NTFS ファイル システム Version 5 に自動的に変換されます。

Windows 2000 Server セットアップ プログラムを使用すると、FAT16 または FAT32 から簡単に NTFS Version 5 に変換できます。セットアップは、現在のファイル システムの確認から開始されます。セットアップ プログラムが NTFS を検出すると、変換処理が自動的に開始されます。セットアップ プログラムが FAT16 または FAT32 を検出した場合、 NTFS 5.0 に変換するかどうかを確認するメッセージを表示します。ファイル システムは、セットアップ後でも convert.exe ユーティリティで変換することができます。ファイルの内容については、セットアップ中に変換を行ってもセットアップ後に行っても変わることはありません (ディスクをフォーマットするのとは異なります)。convert.exe の詳細については、『Windows 2000 ヘルプ』の「ディスクの管理」を参照してください。ヘルプを表示するには、セットアップ実施後、[スタート] ボタンをクリックし、[ヘルプ] をクリックします。

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アップグレードの概要

このホワイト ペーパーでは、次の前提条件を基に、ファイル サーバー、プリント サーバー、および Web メンバ サーバーを Windows 2000 Server にアップグレードする方法について説明します。

  • ここでは、プライマリ ドメイン コントローラ (PDC) および バックアップ ドメイン コントローラ (BDC) の Windows 2000 Server へのアップグレードについては取り扱いません。PDC および BDC の Windows 2000 Server および Active Directory へのアップグレード方法については、今後公開する予定です。

  • Windows NT 3.51 または 4.0 メンバ サーバーは、ファイル、プリント、および Web の各サービスについてのみ構成されています。そのほかの WINS、DNS、DHCP などのサービスについては、アップグレード対象のメンバ サーバーには構成されていません。

次の 3 段階に分けて、ファイル、プリント、および Web の各サーバーのアップグレード詳細について説明します。

アップグレードの準備
Windows 2000 セットアップ プログラムを実行する前に、アップグレードするシステムに導入されているハードウェアとソフトウェアの一覧表を作成することが重要です。

この一覧表を使用して、現行のサーバーで使用しているハードウェアとソフトウェアが、Windows 2000 Server との互換性があるかどうかを確認します。

一覧表の作成時に収集した情報は、各サーバーのアップグレード計画を策定する際にも使用します。アップグレード計画を作成すると、Windows 2000 Server にアップグレードする際の作業項目が明確になります。

Windows 2000 Server アップグレードの実施
Windows 2000 Server へのアップグレードを実施する詳細な手順です。アップグレード時のトラブルシューティングについても説明します。

アップグレード後の作業
サーバーを Windows 2000 にアップグレードした後に、実施しなければならない作業の一覧を示します。アップグレードしたサーバーを稼働環境に戻す前に、ネットワークの接続性や、ファイル サーバー、プリント サーバー、Web サーバーの各サービスが正常に動作しているかどうかなどを確認する必要があります。

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アップグレードの準備

Windows 2000 のアップグレードを計画する際には、まず『Windows 2000 Server 導入ガイド』の「第 3 章 Windows 2000 Server のインストール計画の作成」をお読みください。この章には、Windows NT Server から Windows 2000 Server へのアップグレードに関して、重要な情報が記載されています。アップグレードの前に読む必要のある特に重要な節は次のとおりです。

  • システム要件およびハードウェアの互換性

  • 確認すべき重要なファイル

  • アップグレードまたは新規インストールを選択する

  • ファイル システムを選択する

Windows NT のメンバ サーバーをアップグレードする前に、導入されているハードウェアとソフトウェアの一覧表を、アップグレード対象のサーバーごとに作成することが重要です。この一覧表は、これらのハードウェアとソフトウェアのシステム構成が、Windows 2000 Server と互換性があるかどうかを確認するのに使用します。

一覧表は、次の項目を参考にながら作成してください。

  • ベンダ名と、サーバーの筐体に貼付されているメーカー名とモデル

  • 物理メモリ サイズ

  • ネットワーク インターフェイス カード (NIC) の種類

  • プラグ アンド プレイ非対応の ISA デバイスの有無

  • 無停電電源 (UPS) の有無

  • システムに接続されているディスク サブシステムの種類

  • ハード ディスクのパーティションの状況と空きディスク容量

  • ハードウェア RAID またはソフトウェア RAID の使用の有無

  • 使用しているファイル システム (FAT または NTFS)

  • CD-ROM ドライブの有無


一覧表を作成するのに、Windows NT 診断プログラムが使用できます。このプログラムは、[スタート] メニューの [管理ツール] フォルダにあります。このプログラムを使用すると、システムの現在の構成に関する役立つ情報が記載されている構成情報レポートを印刷できます。このレポートの主な項目は、OS のバージョン、システム情報、ビデオ ディスプレイ、ドライブ構成、メモリ構成、サービス、デバイスとドライバです。

一覧表を作成したら、『Windows 2000 Server 導入ガイド』および「Windows Server ハードウェア互換性リスト (HCL)」を参照してください。これらのドキュメントは、Windows 2000 Server を稼働させるための基本的なシステム構成を判断したり、Windows 2000 で使用するのにどのようなハードウェアがテスト済みで認証されているかを知る有用な情報を提供しています。

『Windows 2000 Server 導入ガイド』および HCL は、印刷物および電子媒体として製品に同梱されています。HCL は、Windows 2000 Server の CD-ROM の \SUPPORT ディレクトリにも修められています。最新の HCL については、次の Web サイトでご確認ください。

https://www.microsoft.com/japan/whdc/hcl/default.mspx

『Windows 2000 Server 導入ガイド』と HCL をご覧になっても、ご使用の装置が Windows 2000 で稼働するかどうか確認できない場合は、Windows 2000 での互換性がテストされているかどうかを、製品のベンダに直接問い合わせてください。


アップグレード前に、ディスク サブシステムのパーティション状況と、Windows 2000 Server にアップグレードするのに十分な空き容量がディスクにあるかどうかを確認することが重要です。これまで、パーティション サイズを計算する決まった方法はなく、基本的には、オペレーティング システム、アプリケーション、およびそのたのファイルをまとめて格納するのに十分な容量を、インストールするパーティションに確保します。Windows 2000 Server をセットアップするには、850 MB から 1250 MB のディスク空き容量が必要です。この点の詳細については、『Windows 2000 Server 導入ガイド』の「第 3 章 Windows 2000 Server のインストール計画の作成」を参照してください。

Windows 2000 を導入するサーバーごとに、アップグレード時の作業項目を明確に記述した計画書を作成することを強くお勧めします。計画書を作成する際に、考慮する必要のある重要な項目がいくつかあります。

現行システム構成の記録
[ディスク アドミニストレータ] を開いて、ディスク サブシステムの構成状況を記録します。ドライブのパーティションの数はいくつか。基本なのか拡張なのか。パーティションごとのファイル システムは何か (FAT または NTFS)。

[スタート] メニューの [管理ツール] フォルダにある [Windows NT 診断プログラム] を実行して、Windows 2000 にアップグレードするメンバ サーバーの詳細な構成情報を印刷します (このプログラムの詳細については、一覧表の作成について説明してある節を参照してください)。

静的 IP アドレスを使用している場合は、[コマンド プロンプト] ウィンドウを開いて、[IPCONFIG /ALL] コマンドを実行し、コマンドの実行結果を記録します。

[コントロール パネル] ウィンドウの [ネットワーク] をダブルクリックして、[識別]、[サービス]、[プロトコル]、[アダプタ]、および [バインド] タブの内容を記録します。

ハードウェアの一覧表を作成しているときに無停電電源 (UPS) の存在が分かった場合は、[コントロール パネル] ウィンドウの [無停電電源] をダブルクリックして、UPS の構成を記録します。

ファイル サーバーについては、ファイル共有とアクセス権を記録します。『Windows NT リソース キット』には、サーバーの共有状況とアクセス権の一覧を作成する SRVCHECK.EXE と呼ばれるユーティリティがあります。

プリント サーバーについては、プリンタ共有とアクセス権を記録します。

IIS (Internet Information Server) を実行している Web サーバーについては、Inetpub サブディレクトリの内容を記録します。

緊急事態対策
アップグレードの失敗やデータの消失に備えて、そのサーバーをアップグレード前の状態に戻すことができるよう、マニュアルを作成し直すことが必要な場合があります。万が一このような事態が発生した場合は、次のメディアを用意してください。

  • ベンダ固有のユーティリティ (Compaq Proliant サーバーのSmartStart CD-ROM など)

  • システム修復ディスク

  • Fault Tolerant Boot Disk (Windows NT でソフトウェア RAID を使用している場合のみ必要)

  • Windows NT Server 4.0 (Service Pack 1 ビルド 1381 )

  • Windows NT Option Pack (Service Pack 3、IE 4.01、および IIS 4.0)

  • Service Pack 4 もしくは、それ以降の Service Pack

  • 重要なファイルのテープ バックアップ。Windows NT のレジストリや事業継続に必須のファイルなど

セットアップのテスト環境
Windows NT Server 4.0 で実行しているメンバ サーバーの模擬環境をテスト用に用意します。この環境で、アップグレード手順と緊急事態対策をテストし、Windows NT Server 4.0 のアップグレード前に使用していた機能が、Windows 2000 Server でも使用できるかどうか確認します。

アップグレードを実施する時期については、ユーザー グループと話し合いながら調整してください。通常は、週末、夜間、あるいは早朝が最適です。アップグレード作業に必要な時間を見積もる際には、万が一の場合に備えて、緊急対策を実施する時間を考慮することも忘れないようにしてください。

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Windows 2000 Server アップグレードの実施

メンバ サーバーで Windows 2000 Server のセットアップ ウィザードを起動する場合は、事前に次の操作を行っておきます。

  1. Windows NT Server 4.0 で、[イベント ビューア] を使用して、[システム]、[アプリケーション]、[セキュリティ] のイベント ログ表示して、最近のエラーが記録されていないことを確認します。エラーがある場合は、エラーを修正してから、Windows 2000 Server にアップグレードします。

  2. テープ ドライブやシステム バックアップ デバイスなどを使用している場合は、システムのドライブすべてに対して完全バックアップを実施します。[スタート] メニューの [管理ツール] フォルダにある Windows NT の [バックアップ] を使用する場合は、バックアップ終了後にエラーがないことを次のバックアップ ログで確認します。

    C:\WINNT\BACKUP.LOG
    Windows NT の [バックアップ] ユーティリティを使用して、メンバ サーバーのレジストリをバックアップします。このプログラムは、[スタート] メニューの [管理ツール] フォルダにあります。また、レジストリは、『Windows NT Server リソース キット』にある REGBACK.EXE プログラムを使用してもバックアップできます。このコマンド ライン ユーティリティは、テープではなくファイルにレジストリ ハイブをバックアップします。レジストリは、REGREST.EXE を使用して回復できます。これも『Windows NT Server リソース キット』にあります。

  3. コマンド プロンプトから RDISK.EXE を実行して、システム修復ディスクを更新します。

  4. ウイルス スキャナ、サードパーティのネットワーク サービス、またはクライアント ソフトウェアを使用している場合はそれを削除します。リリース ノート (Windows 2000 Server の CD-ROM に収められている relnotes.doc) を読んで、アプリケーション固有の既知の問題について把握しておきます。

  5. 無停電電源 (UPS) デバイスに接続しているシリアル ケーブルを外します。Windows 2000 Server は、シリアル ポートに接続されているデバイスを自動検出しますが、そのデバイスが UPS 装置の場合は障害が発生する可能性があります。

  6. ご使用のシステムにプラグ アンド プレイ非対応の ISA デバイスがある場合、システムの BIOS を設定して、プラグ アンド プレイ非対応の ISA デバイスが使用している IRQ をすべて予約します。この設定に失敗すると、エラー メッセージ INACCESSESSIBLE_BOOT_DEVICE が発生することがあります。プラグ アンド プレイ非対応の ISA デバイスの中には、こうした設定によっても機能しないものがあります。

Windows 2000 Server にアップグレードする前の、Windows NT Server 4.0 の準備の詳細については、次の文書を参照してください。

  • 『Microsoft Windows NT Server リソース ガイド』の「第 5 章 回復の準備と実施」

  • 『Microsoft Windows NT Server Concepts and Planning Guide』の「第 6 章 Backing Up and Restoring Network Files」

Windows 2000 Server セットアップの実行
Windows 2000 Server セットアップ プログラムの実行方法については、『Windows 2000 Server 導入ガイド』を参照してください。

アップグレード中に、障害が発生することがあります。インストール時の障害のほとんどは、簡単に解決することができます。

次の表は、インストール時によく発生する障害とその解決方法を一覧にしたものです。

障害内容

解決方法

メディアのエラー

ほかの CD-ROM を使用します。サーバー ベースのインストールの場合は、共有インストール ファイルの別のセットを使用してみてください。交換用の CD-ROM をご希望の方は、弊社またはベンダまでお問い合わせください。

ディスク領域不足

次のいずれかを行ってください。パーティションが拡張できる場合は、セットアップ プログラムを使用してフォーマットする。ファイルやフォルダを削除したり移動したりする。NTFS パーティションを圧縮する。インストールに必要なパーティションを確保するために、必要に応じてパーティションの削除や作成を行う。

"Inaccessible boot device error" メッセージ

アップグレード中、Sound Blaster SCSI カードや PCI SCSI カードが原因で INACCESSIBLE_BOOT_DEVICE メッセージが表示され、画面が青色になる場合があります。これは、BIOS が、既に使用されている割り込みを SCSI カードに割り当てたことを意味します。この場合は、問題になったカードを物理的に外してから、再インストールします。または、テキスト モードのセットアップのときにドライバを削除してからインストールまたはアップグレードを行い、その後にそのドライバをインストールし直します。

Windows 2000 インストレーション アップグレードの場所が見つからない。

Intel ベースのコンピュータでは、セットアップ プログラムは、アップグレード可能な Windows NT のインストール先を見つけるのに、まず C:\Boot.ini を調べます。次に、Windows NT がそのパーティションに実際にインストールされているかどうかを調べます。
セットアップを開始する前に、Windows NT をインストールしているディスクに対してパーティションの追加や削除を行っていて、Boot.ini を更新していない場合、セットアップ プログラムは、Windows NT のインストール先を見つけることができず、アップデートを実行できません。

この場合、F3 キーを押してセットアップを終了します。MS-DOS の起動ディスクを使用して起動し、テキスト エディタで Boot.ini の情報を正しく更新します。

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アップグレード後の作業

Windows 2000 Server へのアップグレードが成功していることをテストして確認することは非常に重要です。これにより、改善されたサービスや新機能を確実に利用できるようにしてから、アップグレードしたサーバーを稼働環境に戻すことができます。

ネットワーク接続状況のテスト
IPCONFIG ユーティリティを使用して、新しくアップグレードした Windows 2000 Server の TCP/IP 構成パラメータを確認します。これには、IP アドレス、サブネット マスク、およびデフォルト ゲートウェイが含まれます。このユーティリティは、TCP/IP の構成が初期化されているかどうかを判断するのにも有効です。

IPCONFIG ユーティリティで構成を確認したら、PING ユーティリティを使用してネットワークの接続状況を確認します。PING ユーティリティは、 TCP/IP 構成をテストして、接続が確立しているかどうかを診断するツールです。コマンド プロンプト ウィンドウを開いて、次のように ping を発行します。

  • ping 127.0.0.1 (ループ バック アドレス) - これで、TCP/IP が正しくインストールされ、ロードされていることが確認できます。

  • ping ローカル ホストの IP アドレス - ローカル ホストが正しく追加されていることを確認します。

  • ping デフォルト ゲートウェイの IP アドレス - デフォルト ゲートウェイが正しく機能していることを確認します。

  • ping リモート ホストの IP アドレス - ルーター経由で通信できることを確認します。

ファイル共有のテスト
サーバーでエクスプローラを起動して、共有するファイルをいくつか右クリックします。そのファイルの共有プロパティを確認します。

ワークステーション数台から、共有指定されているドライブにログオンして、そのドライブをマップします。これにより、Windows 2000 Server で正しく共有できていることを確認します。

プリンタ共有のテスト
サーバーで、[コントロール パネル] ウィンドウの [プリンタ] をダブルクリックします。次に、各プリンタのアイコンを右クリックして、[プロパティ] をクリックします。[プリンタのプロパティ] ダイアログ ボックスの [全般] タブで [テスト ページの印刷] をクリックしてテスト ページを印刷し、Windows 2000 Server ですべてのプリンタ共有が正しく機能していることを確認します。

サーバーの各プリンタのテスト ページの印刷が終了したら、各クライアント ワークステーションでテスト ページを印刷し、共有プリンタがマップ可能で、かつ印刷ジョブを実行できることを確認します。

Web サーバーのテスト
サーバーで、[インターネット サービス マネージャ] を開いて、アップグレード対象の Web サイトすべてが、Windows 2000 メンバ サーバー上で IIS 5.0 にアップグレードされていることを確認します。

クライアントで、ブラウザを起動し、Windows 2000 メンバ サーバー上の Web サイトへ接続できることを確認します。

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サポートの継続

Windows 2000 Server のシステム管理作業のほとんどを、Microsoft 管理コンソール (MMC) から行えるようになりました。

次の表は、ファイル、プリント、および Web の各サービスに共通した管理タスク、および MMC を使用した操作方法を一覧にしています。

タスク

Windows 2000 Server で行う操作

ファイル共有の管理

[コンピュータの管理] MMC スナップイン エクスプローラ

プリンタ共有の管理

プリンタ フォルダ ([コントロール パネル]、または [スタート] メニューの [設定] で選択できます)

Web サイトの管理

[インターネット サービス マネージャ] MMC スナップイン

Windows 2000 管理ツールは、Windows 2000 Server および Advanced Server の CD-ROM に収められています。このツールを使用すると、Windows 2000 を実行しているどのコンピュータからでも、リモートでサーバー コンピュータを管理することができます。Windows 2000 管理ツールには、Microsoft 管理コンソール (MMC) スナップインと、Windows 2000 Server コンピュータの管理に使用するその他の管理ツールがあります。これは Windows 2000 Professional には含まれていません。

ローカル コンピュータに Windows 2000 管理ツールをインストールするには、Windows 2000 Server の CD-ROM の I386 フォルダを開いて、Adminpak.msi ファイルをダブルクリックします。Windows 2000 管理ツール セットアップ ウィザード画面に表示される指示に従ってください。Windows 2000 管理ツールをイントールすると、ほとんどのサーバー管理ツールは、[スタート] ボタンをクリックして、[プログラム] をポイントし、[管理ツール] をポイントすることで使用できるようになります。

リモート管理の実施方法については、Windows 2000 Server のオンライン ヘルプを参照してください。

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障害回復

Windows 2000 バックアップを使用すると、テープ ドライブだけでなく、さまざまな記憶装置にファイルをバックアップすることができます。バックアップ メディアとしては、論理ドライブ、リムーバブル ディスク、CD-R、またはディスクのライブラリ、あるいはロボット チェンジャ付きのテープ メディア プールを指定することができます。このような記憶装置がない場合は、ほかのハード ディスク、またはフロッピー ディスクにバックアップすることができます。

自動システム回復は、Windows 2000 を起動、またはロードしていないシステムの回復支援をする Windows 2000 の機能です。これは、ハード ディスクに障害が発生した場合、またはシステム ファイルが削除されたか壊れた場合に実行されます。障害回復を行うには、次の 2 つのステップが必要です。

[バックアップ] ウィザードを使用して、システム ファイルとデータ ファイルのバックアップ コピー を作成します。[バックアップ] ウィザードは、Windows 2000 Backup の機能の一部です。

[自動システム回復] (ASR) 機能は、システムを回復し復元します。ASR は、Windows 2000 セットアップ時に選択できるオプションです。

Windows 2000 Server へアップグレードして、アップグレードが成功していることを確認したら、すぐにコンピュータのファイルと構成をバックアップします。次に、自動システム回復 (ASR) ディスクを作成します。


必要なときにシステム ファイルおよびデータ ファイルの両方の現在のコピーを利用できるように、システム ファイルのバックアップ コピーは定期的に作成して保管します。ASR 機能は、コンピュータを開始できない場合に使用します。

ASR ディスクは、今まで Windows NT で使用していたシステム修復ディスクに代わるものです。このディスクは、アプリケーション、データ、およびオペレーティング システムのファイルの修復および回復に使用します。このディスクには、次の情報が含まれます。

  • 次の構成情報を格納しているシステム情報ファイル (SIF)

    • コンピュータに接続しているディスクの物理構成情報

    • タイプ、ボリューム ラベル、ドライブ文字、および開始セクタなどのパーティション属性

    • コンピュータ構成情報 (コンピュータ名、および Windows NT ディレクトリのパスなど)

    • 必要なデバイス ドライバのファイル名と場所

    • バックアップを開始するコマンド

  • systemroot\repair の Setup.log、Autoexec.nt、および Config.nt ファイル

  • Windows 2000 でインストールされる標準のデバイス ドライバ セットには含まれないデバイス ドライバ ファイル

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展開方針

メンバ サーバーを Windows 2000 と新しい NTFS ファイル システムにアップグレードしたら、機能が強化された Windows 2000 Server のファイル、プリント、および Web の各サービスは、今までの Windows NT 3.51 あるいは 4.0 のドメイン環境でも使用することができます。

ファイル、プリント、および Web の各サービスを強化する Windows 2000 の主要な機能は、次のとおりです。

ファイル サービス

  • ディスク **クォータ管理。**使用するディスク スペースの監視、およびそれを制限するのにクォータを使用します。警告を発するしきい値や使用制限値は、ユーザーごとあるいはボリュームごとに指定でき、ファイルの所有権に基づいて制限されます。

  • コンテンツ **インデックス。**高度なインデックス サービスにより、ユーザーはネットワーク上の情報をすばやく簡単に検索できます。コンテンツの保存先が共有 Web または共有ファイルのどちらでも、さまざまな形式と言語で格納されているファイルをフル テキスト検索できます。

  • 分散リンク **トラッキング。**これは、移動したリンク先をクライアント アプリケーションが追跡できるようにします。すなわち、名前またはパスが変更された NTFS ボリューム上のファイルへのショートカットや OLE リンクの解決を支援します。この機能により、ユーザーのフラストレーションを抑え、その生産性を高めることができます。

プリント サービス

  • インターネット印刷プロトコル (IPP) **。**IPP を使用すると、イントラネットまたはインターネットを経由して、URL に直接印刷できます。さらに、Windows 2000 Server は、プリンタとそのジョブに関係した情報を HTML 形式で自動生成し、ブラウザで表示することができます。

Web サービス
Web サービス機能を内蔵している Windows 2000 Server は、IIS 5.0 で Web を経由して情報を公開および共有する統合環境を提供します。Windows 2000 Server に新たに搭載された Web 公開機能は、イントラネット上の単純な Web サイトをサポートするには最適です。Windows 2000 Server の Web 公開機能により次のことが可能になりました。

  • Web 経由での情報の共有と公開がより簡単になりました。

  • 単一サーバー上で、複数の Web サイトを管理するための包括的なプラットフォームを提供します。

  • 最新のインターネット標準を統合して、高度なセキュリティ、パフォーマンスの向上、および標準の公開プロトコルを提供します。

このパフォーマンスと Windows 2000 のファイル、プリント、および Web の各サーバーの拡張機能とサービスは、Active Directory を導入する前でも利用可能な点に注意してください。Active Directory の導入後は、次の機能も利用可能となります。

ファイル サービス
分散ファイル システムとともに使用する場合、ディレクトリの管理ツールを使用すると、共有項目をボリューム オブジェクトとして Active Directory に公開できます。これにより、ユーザーは、利用可能なリソースと共有項目をすばやく簡単に照会できます。

プリント サービス
Windows 2000 Server では、Active Directory の標準のプリンタ オブジェクトを利用できます。このオブジェクトを使用すると、Active Directory にプリンタを公開できます。公開されたプリンタはネットワーク経由で共有できます。これにより、ユーザーは、ネットワーク経由で簡単にプリンタを検索できるようになります。また、プリンタの機能 (PostScript、色、用紙サイズなど) や Active Directory 内での位置などのプリンタに関する属性を検索することもできます。

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まとめ

Windows 2000 Server は、段階的に展開できるように設計されています。Windows 2000 の相互運用性により、メンバ サーバーは Windows NT 3.51 および 4.0 サーバーの環境と共存可能となりました。また、柔軟性についても次のように向上しています。

  • サーバーのアップグレードを段階的に実施できます。また、稼働環境の変更に伴うリスクを低減します。

  • Windows 2000 のサービスを指定して実装し、また安定して使用することができます。ネットワーク オペレーティング システムの正常な動作にはなんら影響を与えることはありません。

  • Windows 2000 Server へのアップグレードを自分のペースで実施できます。短期間で一気にアップグレードを行う必要も、計画を何度も練り直す必要もなくなりますが、Windows 2000 Server の新機能と向上したパフォーマンスはすぐにでも実現できます。

ファイル、プリント、および Web の各サービスをアップグレードすると、次の利点がすぐに提供されます。

  • ファイル サーバーのファイル アクセス速度が最大 30% 向上

  • プリント サーバーのパフォーマンスが最大 200% 改善

  • HTTP 圧縮を使用する Web サーバーのパフォーマンスが最大 400% 改善

ファイル、プリント、および Web についての新機能を展開することもできます。この新機能には、ファイル サービスのディスク クォータ、プリント サービスのインターネット印刷、および Windows 2000 Server の Web サービスを使用した Web 経由での情報の公開と共有などが含まれます。

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