Visual Studio 2005 Team System
Microsoft Visual Studio 2005 は、開発プロセス全体にわたりコミュニケーションとコラボレーションを向上させることにより、開発チームを支援する生産性、統合性、および拡張性に優れたソフトウェア ライフサイクル ツールを提供します。
トピック
はじめに
利点
ソリューション
詳細情報
はじめに
Visual Studio チームと Microsoft Information Technology (Microsoft IT) チームが Microsoft 社内ネットワークに Visual Studio 2005 Team System を導入した主な目的は 2 つあります。Microsoft IT 内の開発チームのソース管理と作業項目の追跡を一元管理することと、開発プロジェクトのライフサイクルを標準化することです。
利点
これまで、Microsoft 社内の製品チームは個別にソース管理を行ってきたため、社内に数多くの開発ツールとバグ追跡システムが存在していました。これらのシステムの多くは、特定用途向けのツールと手法の寄せ集めであり、Microsoft の運用チームが標準的な方法で会社をサポートすることは困難でした。
運用チームは Visual Studio 2005 Team System を導入することで、考え得る最善のサービスの提供と Microsoft Business Unit IT 開発チームの支援を行うことができます。Visual Studio 2005 Team System のソリューションと開発手法は、運用上の利点に加え、Business Unit IT の複数のチームにまたがり開発ライフ サイクルを標準化する手段を提供します。
Visual Studio 2005 Team System では、ソフトウェアのビルドが統合されているので、複数のチームにわたるプロジェクトを一貫性のある手法でビルドできるようになりました。ソース管理が統合されているので、ソース コードの保存を一元管理する完全なソリューションが提供され、開発手法をカスタマイズすることにより、Microsoft IT チームは現在のプロセスを、Visual Studio 2005 Team System のロール、作業項目の種類、チェックイン ポリシーに移行できます。作業項目の追跡、ソース管理、およびビルド処理の自動化を統合したことにより、これまでは入手できなかったプロジェクトに関連するレポートを入手できるようになり、それらを深く理解することができます。たとえば、カスタマイズされたビューで、コードの追加や更新の統計からバグ傾向までを日々のビルド レポートで確認できます。
ソリューション
Microsoft IT においてアプリケーション開発グループをサポートする中心的な IT チームが、プレリリース版の Visual Studio 2005 Team System を配置しホストしました。このチームの専門知識が、分散アプリケーションの配置と運用のデザインを検証する際に鍵となりました。
このチームは、3 人のサポート アナリストと 1 人のプログラム マネージャで構成されており、Microsoft データ センターの厳格なセキュリティと稼動時間の基準を忠実に守りながら、データ センターに Visual Studio 2005 Team System の複数のインストールを配置しました。
このチームは、6 つの独立したチームのユーザーに対応するための配置をデザインしました。ユーザー数は、あるチームでは 5 名ですが、規模の大きな Visual Studio 2005 Team System 開発チームでは約 400 名になります。IT によってホストされるサービスは、ソース管理、作業項目の追跡、ビルドの自動化、Office 統合などの Visual Studio 2005 Team System の完全な機能セットを提供しました。
問題、解決方法、およびテストを、対象となるコードと結び付け連携できるので、追跡にかかる時間や開発に関連する時間を節約できます。 Gaylon Blank Microsoft Corporation |
配置アーキテクチャ
ユーザー数が非常に多い環境における Visual Studio 2005 Team System の推奨アーキテクチャは、アプリケーション層とデータ層を物理的に異なるハードウェア上に配置する構成です。開発者は、アプリケーション層とやり取りする Visual Studio クライアントを使用して、ソース管理、自動化されたビルド、Microsoft Windows SharePoint Services、作業項目の追跡などの機能にアクセスします。
アプリケーション層がホストする Visual Studio 2005 Team System 機能セットには、ポート 80 (既定) を使用し、Web サービスによりアクセスします。残りのポートは、セキュリティ上の理由から制限されます。また、Windows SharePoint Services サイトや Microsoft SQL Server Reporting Services サイトにアクセスするには、ポート 80 でのハイパーテキスト転送プロトコル (HTTP) アクセスが必要です。作業項目、添付ファイル、およびソース管理のデータはすべて、データ層の SQL Server 2005 データベースに格納されます。
アプリケーション層とデータ層は、標準的な SQL (構造化照会言語) ポートである 1433 を経由して通信するので、アクセス許可と認証は、個々のユーザー アカウントとセキュリティ グループの組み合わせを使用して、ドメイン認証によって制御されます。
図 1 に示すように、現在の Microsoft の配置では、データ層で SQL Server Reporting Services をホストしています。今後は、製品リリースによってアプリケーション層で SQL Server Reporting Services をホストし、2 つの層の間でアクセス制限と機能分離を進める計画です。
図 1. Visual Studio 2005 Team System の配置アーキテクチャ
Microsoft IT が目指すことの 1 つに、すべてのグループのソース管理を一元管理し、Microsoft IT のすべてのチームにまたがるプロジェクト ライフサイクルの標準的な手法を作成するというものがあります。今回の Team System の導入は、この目標に到達するための第一歩です。 Barbara Yamauchi Microsoft Corporation |
ハードウェア要件
Visual Studio 2005 Team System の大規模な配置はこれが最初であり、ハードウェアのガイドラインが完成していなかったため、配置チームは類似する Microsoft 社内のプロジェクト管理ツールとソース管理ツールについての知識からハードウェア要件を決定しました。予測できないパフォーマンス上の問題 (これはベータ製品には共通することです) および将来のシステムの拡大も考慮に入れました。
配置の際にチームが選択したハードウェアを次の表に示します。
表 1. Business Unit IT のハードウェア
層 |
コンピュータ |
CPU |
ハードディスクドライブ |
メモリ |
アプリケーション層 |
HP DL 580 |
デュアル Xeon HT プロセッサ、3.6 GHz |
ストレージ エリア ネットワーク (SAN) |
3.5 GB |
データ層 |
HP DL 585 |
クワッド プロセッサ、2.2 GHz |
SAN |
16 GB |
最近発表されたハードウェアの推奨事項を表 2 に示します。ハードウェアの選択は、Beta 2 の推奨事項に準拠しています。
表 2. Visual Studio 2005 Team System Beta 2 で推奨されるハードウェア
構成 |
層 |
CPU |
ハードディスクドライブ |
メモリ |
1 サーバー、ユーザー数 20 人未満 |
アプリケーション層とデータ層のサーバー |
シングル プロセッサ、2.2 GHz |
8 GB |
1 GB |
1 サーバー、20 ~ 100 ユーザー |
アプリケーション層とデータ層のサーバー |
デュアル プロセッサ、2.2 GHz |
30 GB |
2 GB |
2 サーバー、100 ~ 250 ユーザー |
アプリケーション層サーバー |
シングル プロセッサ、2.2 GHz |
20 GB |
1 GB |
2 サーバー、100 ~ 250 ユーザー |
データ層サーバー |
デュアル プロセッサ、2.2 GHz |
80 GB |
2 GB |
2 サーバー、250 ~ 500 ユーザー |
アプリケーション層サーバー |
デュアル プロセッサ、2.2 GHz |
40 GB |
2 GB |
2 サーバー、250 ~ 500 ユーザー |
データ層サーバー |
クワッド プロセッサ、2.2 GHz |
150 GB |
4 GB |
表 2 に示すように、複数層に配置する構成でそれぞれの Visual Studio 2005 Team System インストールがサポートするユーザーの最大数は 500 ユーザーです。予測されるユーザー数により、同じ構成の 2 つの Visual Studio 2005 Team System インストールを配置しました。具体的には Team System の 1 つのインストールで Visual Studio 2005 Team System 開発チームの 400 ユーザーを、もう 1 つで Microsoft IT の残りの 5 チームをサポートしました。
作業項目の追跡、ソース管理、およびチームのビルドが統合されたおかげで、チームはチェックインのたびにコード ベースがどれだけ影響を受けるかについて把握できるようになりました。 Diana Kumar Microsoft Corporation |
パフォーマンス
配置後、ユーザー数が増加しても、アーキテクチャまたはハードウェアのアップグレードは必要ありませんでした。図 2 は、2004 年 8 月以降、作業項目が割り当てられたユーザー数とワークスペース数の増加を示しています。
図 2. 作業項目が割り当てられたユーザー数とワークスペース数
図 3 は、対応するファイルと作業項目のアクティビティの増加を示しています。
図 3. ファイルと作業項目のアクティビティ
Visual Studio 2005 Team System の開発チーム メンバーによる利用状況を、7 日間にわたって計測しました。この期間に、照会された作業項目数は 11,758 件、更新された作業項目数は 11,454 件、開かれた作業項目数は 56,337 件でした。さらに、行われたソース管理は 22,190 件、チェックイン 289 件、シェルブ 372 件、ダウンロード 3,600,000 件、アップロード 73,843 件でした。
配置後の期間を通じて、Microsoft の運用基準である 99.9 パーセントの稼動時間を維持しながら、システムの各数値は表 3 で示すように計測されました。
表 3. 作業項目とバージョン管理の統計値
作業項目 |
|
バージョン管理 |
|
作業項目数 |
33,626 |
ファイル数 |
271,766 |
CSS ノード数 |
1,709 |
フォルダ数 |
30,376 |
作業項目のバージョン数 |
242,327 |
ワークスペース数 |
612 |
添付ファイル数 |
8,014 |
圧縮ファイルの合計サイズ |
10.3 GB |
照会回数 |
2,619 |
該当せず |
該当せず |
Team System ではソース管理、作業項目、プロジェクトに関連するその他の情報をすべて、データ層の SQL Server データベースに保持しています。このおかげで、システム全体のバックアップ計画は非常に単純なものになっています。 Dennis Minium Microsoft Corporation |
冗長性とバックアップ
現在のシステムは、障害発生時にオンラインにできるアプリケーション層のウォーム スタンバイに対応していますが、データ層では標準的な SQL Server 2005 冗長性のオプションがサポートされます。
Visual Studio 2005 Team System では、ソース管理、作業項目の追跡、プロセス ガイド、プログラム管理に関連するすべてのデータを SQL Server データベースに格納します。これにより、Microsoft の運用チームは、最初にデータベースの完全バックアップをディスクに作成し、アーカイブのためにテープに移すことによって、複数チームのプロジェクトを同時にバックアップできます。
詳細情報
Visual Studio 2005 Team System の詳細については、次のサイトを参照してください。
Visual Studio 2005 Team System
Microsoft 製品またはサービスの詳細については、Microsoft Sales Information Center、(800) 426-9400 (アメリカ国内)、Microsoft Canada Information Centre、(800) 563-9048 (カナダ国内) にお問い合わせください。米国 50 州とカナダ以外のお客様は、最寄りの Microsoft オフィスまでご連絡ください。World Wide Web 上の情報については、次のアドレスにアクセスしてください。
https://www.microsoft.com/japan/
https://www.microsoft.com/itshowcase (英語)
https://www.microsoft.com/japan/technet/itsolutions/msit/default.mspx
このドキュメントに関するご質問、ご意見、またはご提案をお寄せいただく場合、または Microsoft IT ショウケースに関する詳細については、showcase@microsoft.com まで電子メールをご送信ください。
ドキュメントの位置付け
「Note on IT」は、Microsoft IT に関連する具体的なトピックを技術的な側面から詳しく掘り下げ、簡潔に説明するもので、通常、既存の「IT ショウケース」ドキュメントに関連付けられています。この資料では、Microsoft IT が特定の運用タスクをどのような手順で実行したか、またはハードウェア デバイスやソフトウェア アプリケーションをどのように構成したかについて説明します。また、ベスト プラクティスの詳細情報や Microsoft IT での運用に関して問い合わせの多い情報を紹介することもあります。
対象読者
IT インプリメンタはこの資料を使用して、Microsoft IT が Visual Studio 2005 のプレリリース版に基づいて開発チーム向けに Visual Studio 2005 Team System をセットアップした方法を把握できます。アーキテクチャ、ハードウェア、および構成の詳細では例を挙げ、プレリリース版の問題点とそれに対応する回避策を示します。
製品とテクノロジ
Visual Studio 2005 Team System
SQL Server 2005
SQL Server 2005 Reporting Services
インターネット インフォメーション サービス (IIS) 6.0 と Windows SharePoint Services がインストールされている Microsoft Windows Server 2003