プロセッサーの構成と Exchange のパフォーマンスについて

 

適用先: Exchange Server 2010 SP2, Exchange Server 2010 SP3

トピックの最終更新日: 2016-11-28

Microsoft Exchange Server 2010 で使用するハードウェアを選択する際、検討する必要がある最も重要な要素として、プロセッサの選択、メモリの容量、および記憶域の選択の 3 つが挙げられます。ここでは、Exchange に最適なパフォーマンスと強力なプラットフォームをもたらすプロセッサの構成について、ガイドラインを示します。

メモリの詳細なガイドラインおよび推奨される構成については、「メモリの構成と Exchange のパフォーマンスについて」を参照してください。記憶域の選択の詳細については、「格納域の構成について」を参照してください。

目次

適切なプロセッサの選択

ハイパースレッディング

推奨のプロセッサ構成

仮想展開

適切なプロセッサの選択

運用環境では、64 ビット版の Windows Server オペレーティング システムで動作するプロセッサを選択する必要があります。

RTM (Release to Manufacturing) 版の Exchange 2010 が運用環境でサポートされるのは、Windows Server 2008 または Windows Server 2008 R2 の 64 ビット版を実行している、x64 互換プロセッサが搭載されたコンピューターに、x64 バージョンの Exchange 2010 がインストールされている場合のみです。

プロセッサは、Intel Extended Memory 64 Technology をサポートする Intel プロセッサ、または AMD64 をサポートする AMD プロセッサのいずれかを選択できます。これらのプロセッサの詳細については、Intel 64 アーキテクチャ Web サイトを参照するか、AMD Opteron プロセッサ ファミリ Web サイト https://www.amd.com/us-en/Processors/ProductInformation/0,,30_118_8825,00.htm を参照してください (これらのサイトは英語の場合があります)。

Exchange 2010 は、前に示したような x64 対応プロセッサでのみ実行できるように設計されており、Itanium ベースのシステムでは動作しません。

選択するプロセッサにかかわらず、サポートを受けるサーバー製品は、Designed for Windows のロゴを取得している必要があります。詳細については、「Windows ロゴ プログラム:概要」を参照してください。確実にサポートを受けるためには、Windows Server カタログの一覧に記載されているサーバーを選択する必要があります (このサイトは英語の場合があります)。ご利用のサーバーが一覧にない場合は、テストが進行中かどうかをハードウェア ベンダーに確認する必要があります。

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ハイパースレッディング

ハイパースレッディングにより、ディスク領域の計画および監視の課題が発生し、結果として、CPU オーバーヘッドのメリットが期待どおりに得られない可能性があります。運用環境の Exchange サーバーでは、ハイパースレッディングを既定で無効にし、追加のハードウェアが入手できるまでの CPU 容量を増やすための一時的な措置として、どうしても必要な場合のみ有効にするようにしてください。

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推奨のプロセッサ構成

次の表は、Exchange 2010 のサーバー ハードウェアを購入する際の参考として利用できます。この表は、以下の定義に基づいて、Exchange 2010 の最小要件、および推奨される最大構成を示しています。

  • 最小   これは、特定のサーバーの役割に適した最小のプロセッサおよびメモリ構成です。Microsoft カスタマー サービスおよびサポートからサポートを受けるには、最小ハードウェア要件を満たす必要があります。

  • 推奨される最大搭載プロセッサ ソケット数   これは、価格と期待されるパフォーマンスに基づく、推奨されるマザーボードのプロセッサ ソケットの最大数です。推奨される最大構成はガイドラインであり、価格の変動やテクノロジの進歩により、時間が経つにつれて変わる可能性があります。これは、サポート条件ではありません。

  • 推奨される最大プロセッサ コア数の例 (6 コア プロセッサを想定)   これは、特定のサーバーの役割に適した、推奨される最大のプロセッサおよびメモリ構成の例です。最大値とは、価格とパフォーマンスに基づく、可能なメモリ構成の上限と定義されます。推奨される最大構成はガイドラインです。このガイドラインはサポート条件ではありません。このガイドラインでは、サーバーにアクセスする、またはサーバーにインストールされる可能性のあるサード パーティのアプリケーションのリソース要件については考慮していません。推奨される最大構成は、価格の変動やテクノロジの進歩により、時間がたつにつれて変わる可能性があります。

注意

以下の説明では、平均的な同時実行ユーザー数を想定しています。同時実行とは、サーバーに接続している合計ユーザー数に対する、特定のピーク時間にサーバーを使用している合計ユーザー数の割合として定義されます。完全に利用されているサーバーでは、同時実行は一般的に 75 ~ 80% の範囲になります。

Exchange 2010 のサーバーの役割に対するプロセッサ構成

Exchange 2010 サーバーの役割 最小値 推奨される最大搭載プロセッサ ソケット数 推奨される最大プロセッサ コア数の例 (6 コア プロセッサを想定)

エッジ トランスポート

1 つのプロセッサ コア

2

12 のプロセッサ コア

ハブ トランスポート

1 つのプロセッサ コア

2

12 のプロセッサ コア

クライアント アクセス

2 つのプロセッサ コア

2

12 のプロセッサ コア

ユニファイド メッセージング

注意

ボイス メール プレビューの設定の有効化を含めて既定の構成で展開されるユニファイド メッセージングに基づく推奨環境

2 つのプロセッサ コア

2

12 のプロセッサ コア

メールボックス

2 つのプロセッサ コア

2

12 のプロセッサ コア

クライアント アクセスとハブ トランスポートの組み合わせ (同じ物理サーバー上で実行しているクライアント アクセスとハブ トランスポートの役割)

2 つのプロセッサ コア

2

12 のプロセッサ コア

複数 (同じ物理サーバー上で実行されているクライアント アクセス、ハブ トランスポート、メールボックスの各サーバーの役割)

2 個のプロセッサ コア

4

24 個のプロセッサ コア

重要

一部のサーバー仮想化プラットフォームでは、上記の表で特定されているプロセッサの最大数がサポートされない可能性があります。Exchange サーバーの役割を仮想化プラットフォームに展開する場合は、そのプラットフォームのマニュアルをチェックして、サポートされている仮想プロセッサの最大数を確認してください。

注意

Standard Performance Evaluation Corporation Web サイトで評価を参照すると、なるプロセッサおよびサーバーの構成を合理化できる可能性があります。

ハブ トランスポート サーバーの役割

ハブ トランスポート サーバーが複数のメールボックス サーバーおよび数千のメールボックスと共に展開されている組織では、ハブ トランスポート サーバーの役割には、8 つのプロセッサ コアの構成を推奨します。ハブ トランスポート サーバーがウイルス対策ツールおよびスパム対策ツールを使用するように構成されている場合は、より多くのプロセッサ コアを搭載したサーバーを効果的に使用できます。プロセッサの使用率は、メッセージ レート、平均メッセージ サイズ、有効なトランスポート エージェントの数、ウイルス対策の構成、サード パーティのアプリケーションなどの要素に基づいています。

クライアント アクセス サーバーの役割

Exchange 2010 のアーキテクチャでは、クライアント固有の機能のほとんどが、メールボックス サーバーからクライアント アクセス サーバーに移動されています。Exchange 2010 では、メッセージは MAPI 以外のクライアント (たとえば、POP3 や IMAP4 クライアント) によってアクセスされるときに、クライアント アクセス サーバーに変換されます。さらに、Microsoft Office Outlook Web App に対する変換は、以前のバージョンの Exchange での Microsoft Exchange Information Store サービスとは異なり、クライアント アクセス サーバーで実行されます。

これらのアーキテクチャの変更により、クライアント アクセス サーバーはメールボックス サーバーから多くの処理を軽減し、効果的に 8 つのプロセッサ コアを使用できるようになりました。4 つのプロセッサ コアを搭載したサーバーの使用が必要なほどの数のメールボックスまたは MAPI 以外のクライアント トラフィックがない組織では、2 つのプロセッサ コアを搭載したサーバーをクライアント アクセス サーバーに利用できます。

ユニファイド メッセージング サーバーの役割

ユニファイド メッセージング サーバーの役割には、8 つのプロセッサ コアの構成を推奨します。ユニファイド メッセージング サーバーでは、複数のコアがいくつかのアーキテクチャの目的に使用されます。たとえば、ボイス メール メッセージでの .wav の Microsoft Windows Media オーディオ (WMA) への変換です。4 つのプロセッサ コアを搭載したサーバーの使用が必要なほどの数のメールボックスまたはユニファイド メッセージング サーバーでの処理がない組織では、2 つのプロセッサ コアを搭載したサーバーをユニファイド メッセージング サーバーに使用できます。

メールボックス サーバーの役割

メールボックス サーバーの役割には、主にメールボックス数およびユーザー プロファイルに基づく構成を推奨します。4 つのプロセッサ コアを搭載したサーバーは、価格とパフォーマンスのバランスが適切であり、数千のメールボックスをホストできます。メールボックス サーバーのサイジングでは、平均的なクライアント ユーザー プロファイルについて理解する必要があります。このプロファイルは、Exchange システム内全体のメッセージ スループットを示すトランスポート パフォーマンス カウンターを使用して収集されます。サード パーティ製のツールを使用することもできます。

特定のユーザー プロファイルのプロセッサ要件 (メッセージ スループットに基づく) については、「メールボックス サーバーのプロセッサ容量計画」を参照してください。

複数の役割のサーバー

一般的なガイドラインとして、複数の役割のサーバーは、使用可能なプロセッサの半分をメールボックス サーバーの役割に使用し、残りの半分をクライアント アクセス サーバーの役割とハブ トランスポート サーバーの役割に使用するように、処理能力を決定する必要があります。推奨される最大のプロセッサ コア構成は、複数のサーバーの役割を構成する場合で 24 プロセッサ コアです。これは、複数の役割のサーバーにホストされる最大ユーザー数に関する間接的な目安となります。この構成では 24 を超えるプロセッサ コアを使用できますが、お勧めできません。詳細については、「容量計画での複数のサーバーの役割の構成について」を参照してください。クライアント アクセスとハブ トランスポートのサーバーの役割を組み合わせた構成については、「容量計画におけるクライアント アクセスおよびハブ トランスポートの役割を組み合わせた構成について」を参照してください。

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仮想展開

仮想マシンでのゲスト オペレーティング システムの実行に割り当てられる CPU オーバーヘッドは、9 ~ 12 % の範囲であることがテストで判明しました。たとえば、仮想マシン上で実行されるゲスト オペレーティング システムでは、物理ハードウェア上で実行される同等のオペレーティング システムが使用できる CPU リソースの 88 ~ 91% が使用可能でした。ハイパーバイザー プロセッサ オーバーヘッドを考慮して、メールボックス サーバーのユーザー容量を 10% 削減することをお勧めします。

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