高可用性のサポートを得るための計画

トピックの最終更新日: 2009-09-28

高可用性とは、システムのダウン タイムを最小化すると共に、ハードウェア、ソフトウェア、またはサービスに障害が発生しても通常の処理を続行できるようにするシステムの機能のことです。フォールト トレランスとは、システムまたはコンポーネントに障害が発生したときにサービスが停止するリスクを軽減することです。メッセージング インフラのフォールト トレランスを設計することは、展開した Office Communications Server 2007 R2 の可用性を高めるうえで不可欠です。

高可用性を計画することは、Office Communications Server 2007 R2 Enterprise Edition を展開するうえできわめて重要です。このセクションでは、高可用性に関連する Office Communications Server 2007 R2 の機能、および、1 つ目のサーバーをインストールする前に検討する必要のある多様なオプションと手法について説明します。

組織で Office Communications Server 2007 R2 トポロジの高可用性が求められている場合は、内部トポロジで 1 つ以上のエンタープライズ プールを展開する必要があります。高可用性より単純さと経済性の方を重要視する場合は、Standard Edition が適切な選択となります。また、必要に応じて、境界ネットワーク内で高可用性をサポートすることもできます。

Standard Edition

Standard Edition では、データ記憶域を含む、IM、プレゼンス、および会議のあらゆるコンポーネントが 1 台のコンピューターに配置されます。これは、1 か所を拠点とし、IM やオンライン会議の要件がそれほど重要ではない、比較的小規模なユーザー数から構成される組織向けの、効率的かつ経済的なソリューションです。Standard Edition サーバーは、自身の状態を監視し、障害が発生した場合は、ファイル、会議コンテンツ、および会議スケジュールを失うことなく、自動的に再起動します。ただし、進行中の会議および会話は中断され、障害の理由によっては、その状態が長時間にわたる場合があります。

Standard Edition サーバーは、単一障害点となるため、高可用性が不可欠であるミッションクリティカルな展開にはお勧めしません。そのような展開には、Enterprise Edition を選択する必要があります。

Enterprise Edition

Office Communications Server 2007 R2 Enterprise Edition のアーキテクチャでは、複数の Enterprise Edition サーバーと専用のバックエンド データベース サーバーを使用することによって、単一障害点を最小限に抑えています。冗長性を高めるために、データベースを複数ノードのアクティブ/パッシブ構成でクラスター化できます。Office Communications Server 2007 R2 には、クライアントを自動的に再接続するしくみも用意されています。一時的な中断やセッションの終了が発生することもありますが、システムの全面停止はほぼ回避できます。

Dd425308.important(ja-jp,office.13).gif重要:
バックエンド データベースは、Enterprise Edition サーバーとは物理的に別のコンピューターにインストールする必要があります。Enterprise Edition の場合、バックエンド データベースを Office Communications Server の役割と共存させることはできません。さらに、Office Communications Server には、他のサーバー アプリケーションと共有されていない別の SQL Server インスタンスが必要です。複数ノードのクラスターの場合、パフォーマンス上の理由から、Office Communications Server SQL のインスタンスは他の SQL インスタンスによって共有されないパッシブ ノードにフェールオーバーできる必要があります。

エンタープライズ プールを構成する複数のフロントエンド サーバーは、高可用性ソリューションを提供します。そのため、1 つのフロントエンド サーバーに障害が発生しても、クライアントはその障害を検出し、別の使用可能なフロントエンド サーバーのいずれかに自動的に再接続します。会議は 1 つのサーバーではなく、プールによってホストされているため、会議の状態は維持されます。複数のフロントエンド サーバーでは、指定したサーバーをオフラインにして、最小限のサービス中断でハードウェアまたはソフトウェアを更新することもできます。ハードウェアまたはネットワークの障害が原因でサーバーが停止すると、IM、プレゼンス、および会議用にそのサーバーを使用しているクライアントの操作が中断されます。そうしたクライアントは、再接続してサービスを再開します。

プールの SQL Server データベースを、フロントエンド サーバーから分離された 1 つのバックエンド サーバーまたはバックエンド サーバーのクラスターに配置すると、フロントエンドの障害からデータベースを分離できるだけでなく、全体的なスループットやフロントエンドのパフォーマンスも向上します。

境界ネットワーク

可用性の高いトポロジで外部アクセスを有効にする場合は、ロード バランサー機器 (統合エッジ サーバーの配列と呼ばれる) に接続された複数の統合エッジ サーバーを境界ネットワーク内に展開する必要があります。逆に、境界ネットワーク内での高可用性を求められていない場合は、1 台の統合エッジ サーバーを展開できます。詳細については「外部ユーザー アクセスの計画」を参照してください。

グループ チャット

グループ チャットの展開を計画する場合は、高可用性を提供するトポロジを展開できます。詳細については、「外部ユーザー アクセスの計画」を参照してください。

グループ チャット インストールのスケーラビリティを向上し、可用性を高めるためには、展開するグループ チャット サーバーの数を 5 つまでにします。処理能力の計画の推奨事項に従うと、サーバーごとに 2,000 のユーザー、つまり合計で 10,000 のユーザーがサポートされます。

グループ チャット サーバーでは、単純なラウンドロビン負荷分散アルゴリズムを使用して新しいユーザー接続を処理します。インストール内のいずれかのサーバーで障害が発生すると、グループ チャット クライアントは自動的に再接続して、残りのサーバーのいずれかにリダイレクトされます。

アーカイブとコンプライアンス

組織で IM メッセージのアーカイブに対するコンプライアンス規定を遵守する必要がある場合は、高可用性を提供するトポロジでアーカイブ サーバーを展開できます。詳細については、「アーカイブのサポート」を参照してください。