Web サイト展開の簡素化

  • [アーティクル]

発行日 : 2007 年 11 月 23 日 (作業者 : saad(英語))
更新日 : 2008 年 3 月 19 日 (作業者 : saad(英語))

はじめに

以前のバージョンの IIS では、あるサーバーから別のサーバーへ Web サイトを移動する場合、コンピューター レベルのメタベース リポジトリで IIS アプリケーション設定を明示的に構成しなければ、アプリケーションは正しく機能しませんでした。しかし IIS 7.0 では、Web サイトの展開が非常に簡単になりました。

この記事には次のような内容が含まれています。

  • 分散された構成

  • 構成内容 

  • 利点

分散された構成  

IIS 7.0 では、構成データの格納およびアクセス方法が大幅に改善されました。以前のリリースの IIS にあった単一のファイルに集約された構成ストア (メタベースと呼ばれます) は、IIS 7.0 にはありません。

代わりに IIS 7.0 は、階層化された複数の XML 構成ファイルに基づいた新しい分散型の委任構成システムを備えています。この階層は、サーバーレベルの構成の既定値を含むグローバルな ApplicationHost.config ファイルと、アプリケーションのディレクトリ構造に格納される分散 Web.config ファイルで構成されます。これらは、ASP.NET アプリケーション フレームワークが、ポータブルな方法でアプリケーション設定を格納するために使用する Web.config ファイルと同じです。その結果、クリーンで強固に構造化された XML ディレクティブを使用して、IIS 7.0 と ASP.NET 構成設定を並べて共通のファイルに格納できます。  

IIS 7.0 は、ABO API を使用して従来のメタベースに書き込む既存のセットアップのための コード、またはより高いレベルの Active Directory® Service Interfaces (ADSI) と Windows Management Instrumentation (WMI) オブジェクトを使用して IIS を構成するスクリプトを引き続きサポートします。これは、他のすべての従来の構成 API の基になっている ABO API をエミュレートする互換性層を提供することにより実現されます。これにより、このようなスクリプトは、以前の IIS のリリースと同様の方法で構成を読み取って変更できます。IIS 7.0 におけるメタベース互換性機能の詳細については、「How to Use Metabase Compatibility with IIS 7.0」を参照してください。

構成内容   

前述のように、新しい分散構成階層は以下の XML 構成ファイルで構成されています。

ApplicationHost.config    

これは、IIS 7.0 の中心の構成ファイルです。ApplicationHost.config ファイルは、グローバルまたはコンピューター全体にわたる構成設定を格納し、Web サーバーのルート レベルにある %windir%\system32\inetsrv\config ディレクトリに配置されます。このファイルには、主要な 2 つの構成セクションがあります。  

  • system.applicationHost - サイト、アプリケーション、仮想ディレクトリ、およびアプリケーション プールの構成設定を含みます。これらは集中型の設定で、web.config に分散できません。
  • system.webServer - グローバル既定値など、他のすべての設定の構成を含みます。これらの設定は委任および web.config に分散できます。

Web.config   

URL 固有の構成設定は、コード内に直接格納するか、Web.config ファイルを使用して Web サイトのコンテンツ ディレクトリに格納することができます。これらは、設定するセクションが異なるだけで ASP.NET アプリケーション フレームワークがアプリケーション設定を格納するために使用する Web.config ファイルと同じです。  

注 : <location> タグを使用して、ApplicationHost.config ファイルに URL 固有の構成設定を格納することもできます。

Redirection.config   

別のコンピューターに格納された構成ファイルとスキーマに Web サーバーをリダイレクトするために使用する設定を含みます。

利点 

分散構成により、次のような多くの優れた新機能が IIS 7.0 で実現されます。

  • 開発者は、コードまたはコンテンツと同じディレクトリに Web サイトまたはアプリケーションの構成を指定できます。

  • Web サイトとアプリケーションを、開発環境からテスト環境、またはテスト環境から運用環境へ、単に構成ファイルをコードおよびコンテンツと共に新しいコンピューターにコピーするだけで移動できます。Web サイトは、必要な設定で直ちに稼働します。

  • 管理者は、複数のフロントエンド Web サーバーと Web ファーム (Web サイトの稼働後) で構成情報を簡単に共有でき、コストがかかりエラーが発生しやすい複製処理と手動同期の問題を回避できます。これは、構成ファイルをバックエンドのファイル サーバーに格納し、それらを複数のフロントエンドの Web サーバーから参照することにより実現できます。