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Microsoft Exchange Server 2010: 単独でのセットアップ

お使いの環境で無人セットアップを行う必要がある場合は、無人セットアップを実行できるように Microsoft Exchange 2010 を構成できます。

出典: 『Exchange 2010 - A Practical Approach』(Red Gate Books、2009 年)

Jaap Wesselius

Microsoft Exchange Server 2010 では、必要に応じて、完全な無人インストールを実行することができます。実際、無人セットアップの方がエラーが発生しにくいので、複数のサーバーにインストールするときには無人インストールが有効です。ここで紹介する手順では、スキーマを準備する前提要件の IIS および LDIFDE プログラム (bit.ly/8lpuq4) を含むソフトウェアがすべてインストールされていることを前提とします。

無人セットアップを実行するには、まず、スキーマを準備する必要があります。つまり、スキーマを Microsoft Exchange Server 2010 レベルにアップグレードします。Active Directory スキーマには、複数の Exchange Server 関連のオブジェクトや属性を追加する必要があるため、この手順にはかなり時間がかかる場合があります。

スキーマを準備するには、管理者特権のあるアカウントでサーバーにログオンします。また、このアカウントは、Schema Admins セキュリティ グループと Enterprise Admins セキュリティ グループの両方のメンバーになっている必要があります。コマンド プロンプトを起動し、Microsoft Exchange Server 2010 のインストール メディアのパスに移動して、次のコマンドを入力します。

Setup.com /PrepareSchema

コマンドライン バージョンのセットアップ プログラムが起動し、Active Directory スキーマが Microsoft Exchange Server 2010 レベルにアップグレードされます。複数のドメイン コントローラーを使用している場合は、スキーマの変更がフォレスト内のすべてのドメイン コントローラーに複製されてから、次の手順に移ります。

スキーマの準備が完了したら、次に Microsoft Exchange Server 2010 に対応するように Active Directory を準備する必要があります。Active Directory の構成パーティションには、Exchange Server 2010 組織がインストールされています。インストール アカウントが Enterprise Admins セキュリティ グループのメンバーでなければならないのは、このためです (Domain Administrators グループのメンバーは、構成パーティションに書き込むことができません)。

サーバーにログオンしてコマンド プロンプトを起動し、Microsoft Exchange Server 2010 のインストール メディアのパスに移動して、次のコマンドを入力します。

Setup.com /PrepareAD /OrganizationName:E14

このコマンドにより、Exchange Server 2010 によって、E14 という組織名を使用して、Active Directory の構成パーティションが準備されます。セットアップ時には、Microsoft Exchange Server 2010 組織を作成する場合は、Exchange Server 2007 サーバーの役割を追加できないことに注意してください。

Exchange Server 2010 組織の作成の進捗状況を確認する場合は、ADSIEdit を使用して [構成] コンテナーに移動し、[CN=Configuration]、[CN=Services]、および [CN=Microsoft Exchange] の順に展開します。ここで、Exchange Server 2010 構成が格納されている新しいエントリ [CN=E14] が表示されます。複数のドメイン コントローラーを使用している場合は、スキーマの変更がフォレスト内のすべてのドメイン コントローラーに複製されてから、次の手順に移ります。

Active Directory 環境を準備する次の手順は、Exchange Server 2010 をホストするドメインの準備です。管理者アカウントを使用してサーバーにログオンし、コマンド プロンプトを起動して Microsoft Exchange Server 2010 のインストール メディアのパスに移動します。移動したら、次のコマンドを入力します。

Setup.com /PrepareDomain

このコマンドを実行すると、Exchange Server 2010 を導入できるように現在のドメインが準備されます。フォレストの全ドメインに Exchange Server 2010 を導入できるように準備する場合は、/PrepareAllDomains スイッチを使用することもできます。

ドメインの準備中に、ドメインのルートに Microsoft Exchange Security Groups というコンテナーが 1 つ作成されます。このコンテナーには、次のセキュリティ グループが格納されています。

  • Exchange All Hosted Organizations
  • Organization Management
  • Public Folder Management
  • Recipient Management
  • Exchange Self-Service users
  • Exchange Servers
  • Exchange Trusted Subsystem
  • View-Only Organization Management
  • Exchange Windows Permissions
  • ExchangeLegacyInterop

ドメインの準備が完了したら、すべてのドメイン コントローラーに複製し終わるまで待機します。

最後の手順は、実際のサーバーの役割をインストールすることです。これは、setup.com プログラムを使用して、/mode スイッチと /roles スイッチを指定することで行えます。/mode スイッチで install オプションを選択し、/roles スイッチでインストールするサーバーの役割を選択します。

一般的なサーバーの無人セットアップを行うには、サーバーにログオンして、コマンド プロンプトを起動します。Exchange Server 2010 のインストール メディアのパスに移動し (これで最後です)、次のコマンドを入力します。

Setup.com /mode:install /roles:ht,ca,mb

このコマンドを実行すると、Exchange Server 2010 のハブ トランスポート サーバー、クライアント アクセス サーバー、メールボックス サーバーの役割が既定の場所 (C:\Program Files\Microsoft\Exchange\v14) にインストールされます。

Exchange Server のインストールを確認する

Exchange Server 2010 をインストールしたら、インストールが正常に実行されたことを確認します。インストール時に問題が発生した場合は、エラー メッセージが表示されてセットアップ プログラムが中断するので、問題が発生していることに気付いているでしょう。問題が発生していなければ、インストール プログラムは正常に完了しています。

Web ブラウザーのアドレス バーに「https://localhost/owa」と入力し、Microsoft Outlook Web App を使用してログオンできるかどうかを確認します。Exchange Server 2010 が問題なく実行されている場合は、最初に証明書に関するエラー メッセージが表示されます。これは、初回ログオン時の正常な動作です。

クライアント アクセス サーバーをインストールした場合は、自己署名証明書が一緒にインストールされています。このセキュリティ証明書は、信頼された証明機関から発行されたものではないためエラーが表示されますが、この場合は閲覧を続行しても安全です。次に、ログオン ページが表示されます。管理者の資格情報を入力すると、管理者用メールボックスにアクセスできるようになります。

また、新しくインストールした Exchange Server のサービス MMC スナップインで状況を確認することもできます。サービス MMC スナップインには、すべての Exchange サービスが表示されます。最後に、Exchange Server のイベント ログを確認し、インストール時に問題が発生した形跡がないことを確認する必要があります。

以上の手順をすべて実行し、インストールが計画どおりに実行されたことを確認したら、作業は完了です。無人インストールがお使いの環境に最適なオプションであれば、無人インストール用に Microsoft Exchange Server 2010 を準備することは有益なオプションになります。

Jaap Wesselius

Jaap Wesselius は、メッセージングとコラボレーションのソリューションを専門とした DM Consultants の創設者です。マイクロソフトで 8 年間働いた後、オランダの Exchange コミュニティに貢献する時間を増やすことを決意し、2007 年に Exchange Server の MVP を受賞しました。彼は、Dutch Unified Communications User Group に定期的に投稿し、Simple-Talk で定期的に記事を執筆しています。

『Exchange 2010 - A Practical Approach』の詳細については、red-gate.com (英語) を参照してください。

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