予定表修復について

予定表修復アシスタント (CRA) は、メールボックス サーバーの役割がインストールされた Microsoft Exchange Server 2010 を実行しているサーバー上の Exchange メールボックス アシスタント内で実行される、構成可能で、時間ベースのメールボックス アシスタントです。CRA は、メールボックス サーバーをホームにしているメールボックスの 1 回または定期的な予定表アイテムの不整合を自動的に検出して修正し、受信者が会議の案内を見過ごしたり、あるいは信頼性の低い会議の情報を得たりしないようにします。

CRA の構成の詳細については、「予定表修復の管理」を参照してください。

競合の検出と修正

CRA はすべての会議のアイテムに対して、開催者のコピーをマスター コピーとして使用し、開催者の予定表アイテムが正しいコピーであると仮定します。次に CRA は出席者の予定表アイテムを、開催者の予定表アイテムと比較して不整合を検出します。この規則の唯一の例外は、CRA が出席者と開催者の応答状態を比較する時です。その場合は、CRA は出席者の応答状態が正しいと仮定し、開催者の追跡情報を更新します。CRA は、特別な修復更新メッセージを出席者または開催者のいずれかのメールボックスに送信することで、不整合を修正します。

CRA は、自分自身が実行中のサーバー上の不整合を修正します。ただし、 CRA は開催者の予定表アイテムを比較するために、他の Exchange 2010 メールボックス サーバーから読み込むこともあります。CRA は受信者の予定表情報を上書きしません。情報を結合することで、データの損失が発生しないようにします。さらに、修復更新メッセージは受信者の [削除済みアイテム] フォルダーに移動されます。

CRA は次の問題を検出して修正します。

  • 出席者の予定表アイテムの時間が間違っている   開催者と出席者の間で、会議の時刻または日付が異なっています。CRA は、出席者の予定表アイテムの会議時間を、開催者の予定表アイテムの時間に変更します。

  • 出席者の予定表アイテムの場所が間違っている   開催者と出席者の間で、会議の場所が異なっています。CRA は、出席者の予定表アイテムの場所情報を、開催者の予定表アイテムの場所に修正して結合します。

  • 出席者の予定表アイテムが見つからない   CRA は、一部の出席者が開催者の会議要求に対して、[承諾] または [仮承諾] で応答し、アイテムが既に出席者の予定表に存在しないことを検出します。CRA は出席者の予定表に、開催者の予定表のアイテムの応答状態で会議を再作成します。

  • 出席者の予定表アイテムの追跡状態が、開催者の追跡状態と一致しない   CRA は、出席者の会議の応答状態が、開催者の予定表アイテムの状態と一致しないことを検出します。この場合、開催者の追跡状態は、出席者の予定表アイテムの状態で更新されます。

  • 出席者は、開催者の出席者の一覧に載っていない   CRA は出席者が彼らの予定表に会議の予定があることを検出しましたが、開催者の出席者の一覧には、それらの出席者は載っていません。CRA は、出席者を開催者の出席者の一覧に追加します。

    Ee424432.note(ja-jp,EXCHG.140).gif注 :
    CRA は、200 人を超えるメンバーを持つ大きな配布グループに対して送信された会議から、開催者の出席者の一覧に出席者を追加することはしません。
  • 出席者の定期的な会議が、開催者の定期的な会議と一致ない   CRA は、出席者が開催者の定期的な会議のうちいくつかに載っていることを検出しましたが、出席者の定期的パターンは開催者の定期的パターンと一致しません。CRA は、出席者の定期的なパターンを開催者の定期的なパターンで置き換えます。

  • 開催者または出席者の予定表に、同一と思われる複数の会議がある   CRA は、開催者または出席者の予定表に、同じ MAPI プロパティ識別子 LIL_GLOBAL_OBJID を持つ複数の会議があることを検出します。CRA は、すべての重複を比較して不整合を修正するために次の手順を実行します。

    1. CRA は、すべての重複のシーケンス番号を確認します。重複している会議のうちの 1 つのシーケンス番号が最も高い場合、その会議は保持され、その他の会議は削除されます。
    2. CRA が、シーケンス番号を基にしても保持するアイテムを判断できなかった場合、CRA は OwnerCriticalChangeTime プロパティを確認します。重複している会議のうちの 1 つが最新のコピーの場合、CRA はそのアイテムを保持し、その他の会議アイテムは削除されます。
    3. CRA が、最新のコピーを基にしても保持するアイテムを判断できなかった場合、CRA は LastModifiedTime プロパティを確認します。重複している会議のうち 1 つの更新日時が最新の場合、CRA はそのアイテムを保持し、その他の会議アイテムは削除されます。
    4. CRA が、最新更新日時を基にしても保持するアイテムを判断できなかった場合、CRA はデータベースに重複する会議のクエリを実行した際に戻された最初の予定表アイテムを保持し、その他のアイテムは削除されます。
  • 開催者の予定表アイテムが見つからない   CRA は、出席者が自分の予定表に会議の予定があることを検出しますが、開催者の予定表にはすでにその会議アイテムはありません。CRA は出席者の会議に [取り消されました] のマークをつけ、出席者の空き時間状態は [空き時間 ] になります。

予定表の修復ログ

CRA によってユーザーのメールボックスの予定表アイテムが変更されるたびに、それがログ ファイルに書き込まれます。ログ ファイルの出力は、メッセージの本文または添付ファイルなどの、個人データを公開することはありません。ログには、修復された会議およびその会議に対してどのような修復操作が行われたかを識別する最低限の情報だけが含まれます。すべてのメールボックスに対し、CRA が実行されるたびに 1 つの修復ログが作成されます。既定では、予定表修復ログの出力は有効となっています。

予定表の修復ログはサーバーに対して構成可能で、サーバーまたはユーザーに対してオンまたはオフにできます。詳細については、「予定表修復の管理」(英語) を参照してください。

既定の予定表修復ログのパスは、<Exchange インストール パス>\v14\Logging\Calendar Repair Assistant です。

ログ ファイルは、次の名前付け規則で作成されます。

CRAYYYYMMDDHH-X.<エイリアス>.log

  • CRA   CRA プレフィックス
  • YYYY   年
  • MM   月
  • DD   日
  • HH   時
  • X   インスタンス
  • Alias   メールボックスのエイリアス
  • Log   ファイルの拡張子

たとえば、次の修復ログについて考えてみます。

CRA2010041815-3.tony.log

ログの名前は、エイリアス Tony のメールボックスに対して 2010 年の 4 月 18 日の 15:00 (午後 3 時) に修復が行われたことと、その修復はその時間内の 3 番目の修復であることを示しています。