ファームを復元する (SharePoint Foundation 2010)

 

適用先: SharePoint Foundation 2010

ここでは、Microsoft SharePoint Foundation 2010 ファームを復元する方法について説明します。ファーム レベルの復元は、通常、ファーム全体に影響のある問題が発生した場合、またはファームの一部の部分的な復旧ができない場合にのみ行います。ファームの一部、特定のデータベース、サービス アプリケーション、リスト、ドキュメント ライブラリ、または特定のドキュメントのみ復元すればよい場合は、別の復元方法を使用してください。別の復元方法の詳細については、「関連するコンテンツ」を参照してください。

ファームの復旧は、通常、次のいずれかの理由で実行されます。

  • 火災、災害、機器の故障、またはその他の原因によるデータ消失の後にファームを復元する。

  • ファームの構成設定およびデータを、特定の日時の状態に復元する。

  • SharePoint Foundation 2010 の展開をファーム間で移動する。

この記事の内容

  • ファームを復元するときの考慮事項

  • Windows PowerShell を使用してファームを復元するには

  • サーバーの全体管理を使用してファームを復元するには

  • SQL Server ツールを使用してファームを復元するには

ファームを復元するときの考慮事項

ファームを復元する準備をするときは、次の点に注意してください。

  • 複数サーバーのファームを単一サーバーのファームに復元することや、単一サーバーのファームを複数サーバーのファームに復元することはできません。

  • あるバージョンの Microsoft SharePoint Foundation をバックアップし、別のバージョンの SharePoint Foundation として復元することはできません。

  • ファームをバックアップすると、構成とサーバーの全体管理のコンテンツ データベースがバックアップされますが、これらは Microsoft SharePoint Foundation 2010 ツールを使用して復元できません。すべてのファーム データベースのバックアップおよび復元の詳細については、「すべてのデータベースを移動する (SharePoint Foundation 2010)」を参照してください。

  • Microsoft SharePoint Foundation 2010 を使用してファームを復元したときに、復元プロセスでは一部のサービス アプリケーションが自動的に起動されません。サーバーの全体管理または Windows PowerShell を使用して、手動で起動する必要があります。SharePoint 製品構成ウィザードを使用してサービスを起動しないでください。これを使用してサービスを起動すると、サービスおよびサービス プロキシが再準備されてしまいます。

  • 組み込みツールを使用してデータベースを復元または再接続するときに、各コンテンツ データベースの識別子 (ID) が保持されます。組み込みツールを使用すると、既定で次のように変更ログが保持されます。

    1. ファームを復元するときに、すべてのデータベースの変更ログが保持されます。

    2. データベースを再接続または復元するときに、コンテンツ データベースの変更ログが保持されます。

      データベース ID と変更ログが保持される場合、検索システムではクロール ルールで定義された定期的なスケジュールに基づいてクロールが続行されます。

      既存のデータベースを復元した場合に、overwrite オプションを指定しないと、復元されたデータベースに新しい ID が割り当てられ、データベースの変更ログは保存されません。データベースの次回のクロールでは、コンテンツ データベースからインデックスにデータが追加されます。

      復元が実行され、バックアップ パッケージの ID が既にファームで使用されている場合、復元されたデータベースに新しい ID が割り当てられ、復元ログに警告が追加されます。フル クロールではなく増分クロールを実行できるかどうかは、コンテンツ データベース ID が以前と同じかどうか、および検索システムで使用される変更ログのトークンがコンテンツ データベースの現在の変更ログに対して有効であるかどうかによって決まります。変更ログが保存されていない場合、トークンは無効となり、検索システムではフル クロールが実行される必要があります。

  • SharePoint Foundation 2010 をバックアップすると、Business Data Connectivity Service 外部コンテンツ タイプ定義はバックアップされますが、データ ソース自体はバックアップされません。データを保護するには、Business Data Connectivity Service またはファームをバックアップするときに、データ ソースもバックアップしてください。

    Business Data Connectivity Service またはファームを復元した後でデータ ソースを別の場所に復元する場合は、外部コンテンツ タイプ定義内の場所に関する情報を変更する必要があります。これを行わないと、Business Data Connectivity Service はデータ ソースの場所を認識できません。

  • FILESTREAM リモート バイナリ ラージ オブジェクト (BLOB) ストア プロバイダーを使用してデータをリモート BLOB ストアに保存している場合にのみ、SharePoint Foundation 2010 はリモート (BLOB) ストアを復元できます。

    別のプロバイダーを使用している場合は、リモート BLOB ストアを手動で復元する必要があります。

  • あるユーザーが Microsoft SharePoint Workspace 2010 でのオフライン編集用のためにコンテンツのコピーを持っていて、そのコンテンツがバックアップからサーバーに復元されている場合に、そのユーザーが再接続すると、サーバーはオフラインのコンテンツと復元されたコンテンツを自動的に同期します。その際、ユーザーのコンテンツのコピーからデータが失われることがあります。

  • 複数のファームでサービス アプリケーションを共有する場合は、交換されている信頼証明書がファーム バックアップに含まれないように注意してください。証明書ストアを個別にバックアップするか、または別の場所で証明書を保持する必要があります。サービス アプリケーションを共有するファームを復元するとき、証明書をインポートおよび再展開し、ファーム間の信頼を再確立する必要があります。

    詳細については、「ファーム間で信頼証明書を交換する (SharePoint Foundation 2010)」を参照してください。

  • クレーム ベース認証を使用するように構成された Web アプリケーションを復元すると、重複した (追加の) クレーム プロバイダーが表示されることがよくあります。重複したプロバイダーが表示された場合は、各 Web アプリケーション領域を手動で保存して削除する必要があります。詳細については、「Web アプリケーションを復元する (SharePoint Foundation 2010)」を参照してください。

  • フォーム ベース認証を使用するように構成された Web アプリケーションが含まれるファームを復元する場合は、追加の手順を実行する必要があります。詳細については、「Web アプリケーションを復元する (SharePoint Foundation 2010)」を参照してください。

ファームの復元に Windows PowerShell を使用する

Windows PowerShell を使用してファームを復元できます。

Windows PowerShell を使用してファームを復元するには

  1. 次の最小要件を満たしていることを確認します。Add-SPShellAdmin を参照してください。

  2. [スタート] メニューの [すべてのプログラム] をクリックします。

  3. [Microsoft SharePoint 2010 Products] をクリックします。

  4. [SharePoint 2010 管理シェル] をクリックします。

  5. Windows PowerShell コマンド プロンプトで、次のコマンドを入力します。

    Restore-SPFarm -Directory <BackupFolder> -RestoreMethod Overwrite [-BackupId <GUID>]
    

    ここで、

    • <BackupFolder> は、バックアップ ファイルを格納するときに使用するフォルダーのパスです。

    • <GUID> は、復元元のバックアップの識別子です。

    注意

    ファーム アカウントを使用してログオンしていない場合は、ファーム アカウントの資格情報の入力を求めるメッセージが表示されます。

    BackupId を指定しない場合は、最新のバックアップが使用されます。ファームのバックアップを表示するには、次のコマンドを入力します。

    Get-SPBackupHistory -Directory <BackupFolder> -ShowBackup [-Verbose]
    

    ここで、

    • <BackupFolder> は、バックアップ ファイルを格納するときに使用するフォルダーのパスです。

    構成専用のバックアップを使用して、コンテンツ データベースを構成と一緒に復元することはできません。

  6. サービス アプリケーションを再起動するには、以下のコマンドを入力します。

    Start-SPServiceInstance -Identity <ServiceApplicationID>
    

    ここで、

    • <ServiceApplicationID> は、サービス アプリケーションの GUID です。

    Start-SPServiceInstance Windows PowerShell を使用してサービス アプリケーションを再起動する方法の詳細については、「Start-SPServiceInstance」を参照してください。

Windows PowerShell を使用してファームを復元する方法の詳細については、「Restore-SPFarm」を参照してください。

注意

コマンドライン管理タスクを実行するときには Windows PowerShell を使用することが推奨されています。Stsadm コマンドライン ツールは推奨されていませんが、製品の以前のバージョンとの互換性をサポートするために含まれています。

ファームの復元にサーバーの全体管理を使用する

サーバーの全体管理 Web サイトを使用してファームを復元できます。

サーバーの全体管理を使用してファームを復元するには

  1. この処理を実行しているユーザー アカウントが Farm Administrators SharePoint グループのメンバーであることを確認します。

  2. サーバーの全体管理のホーム ページの [バックアップと復元] セクションで、[バックアップからの復元] をクリックします。

  3. [バックアップからの復元 - ステップ 1/3: 復元するバックアップの選択] ページで、バックアップの一覧からファームのバックアップを含むバックアップ ジョブを選択し、[次へ] をクリックします。それぞれのバックアップの詳細な情報は、横にあるプラス記号 (+) をクリックすることで確認できます。

    注意

    正しいバックアップ ジョブが表示されない場合は、[バックアップ ディレクトリの場所] ボックスに正しいバックアップ フォルダーの汎用名前付け規則 (UNC) パスを入力してから、[更新] をクリックします。
    構成専用のバックアップを使用してファームを復元することはできません。

  4. [バックアップからの復元 - ステップ 2/3: 復元するコンポーネントの選択] ページで、ファームの横にあるチェック ボックスをオンにして、[次へ] をクリックします。

  5. [バックアップからの復元 - ステップ 3/3: 復元オプションの選択] ページの [復元するコンポーネント] セクションで、[復元対象のコンポーネント] の一覧に [ファーム] が表示されていることを確認します。

    [構成設定のみを復元] セクションで、[コンテンツと構成設定を復元] オプションが選択されていることを確認します。

    [復元オプション] セクションの [復元の種類] で、[同じ構成] オプションを選択します。操作の確認を求めるダイアログ ボックスが表示されます。[OK] をクリックします。

    注意

    [構成設定のみを復元] セクションが表示されない場合、選択したバックアップは構成専用のバックアップです。この場合は、別のバックアップを選択する必要があります。

    [復元の開始] をクリックします。

  6. [バックアップと復元のジョブ状態] ページの上部にある [準備] セクションで、すべての復元ジョブの全体的な状態を確認できます。現在の復元ジョブの状態は、このページの下部にある [復元] セクションで確認できます。この状態ページは 30 秒ごとに自動的に更新されます。また、[更新] をクリックすることで、手動で状態の詳細を更新できます。バックアップと復元はタイマー サービスを使用したジョブです。したがって、復元が開始されるまで数秒かかる場合があります。

    エラーが表示された場合は、[バックアップと復元のジョブ状態] ページの [エラー メッセージ] 列を確認します。手順 3. で指定した UNC パスにある Sprestore.log を表示すると、より詳細な情報を確認できます。

  7. 復元プロセスが完了した後で、1 つまたは複数のサービス アプリケーションを再起動しなければならない場合があります。サーバーの全体管理のホーム ページで、[アプリケーション構成の管理] セクションの [サーバーのサービスの管理] をクリックします。

  8. [サーバーのサービスの管理] ページで、実行するサービス アプリケーションに関連するサービスを起動します。それには、[操作] 列で、そのサービス アプリケーションの横にある [開始] をクリックします。

  9. 信頼関係を再確立します。詳細については、「ファーム間で信頼証明書を交換する (SharePoint Foundation 2010)」を参照してください。

ファームの復元に SQL Server ツールを使用する

SQL Server ツールを使用してファーム全体を復元することはできませんが、ファーム データベースのほとんどは復元できます。SQL Server ツールを使用してデータベースを復元する場合は、サーバーの全体管理または Windows PowerShell を使用してファームの構成を復元する必要があります。ファームの構成設定を復元する方法の詳細については、「ファームの構成を復元する (SharePoint Foundation 2010)」を参照してください。

注意

検索インデックスは、SQL Server には保存されません。SQL Server ツールを使用して検索をバックアップおよび復元する場合は、コンテンツ データベースを復元後にフル クロールを実行する必要があります。

SharePoint Foundation 2010 を復元する前に、サイトおよびアイテムの復旧用に回復ファームを構成しておくことをお勧めします。

以下の手順に従って、データベースを復元します。

  1. 可能な場合は、現在のデータベースの使用中のトランザクション ログをバックアップして、前回の完全バックアップ後に行われた変更が失われないようにします。

  2. 前回の完全データベース バックアップを復元します。

  3. 最新の完全データベース バックアップ以降の最新の差分データベース バックアップを復元します。

  4. 最新の完全データベース バックアップまたは差分データベース バックアップ以降のすべてのトランザクション ログ バックアップを復元します。

SQL Server ツールを使用してファームを復元するには

  1. この手順を実行しているユーザー アカウントが、sysadmin 固定サーバー ロールのメンバーであることを確認します。

  2. Windows SharePoint Services Timer Service が実行中の場合は、サービスを停止し、現在実行中のストアド プロシージャが終了するまで数分間待ちます。復元する必要があるすべてのデータベースを復元し終わるまで、サービスを再起動しないでください。

  3. SQL Server Management Studio を起動し、データベース サーバーに接続します。

  4. オブジェクト エクスプローラーで、[データベース] を展開します。

  5. 復元するデータベースを右クリックして、[タスク] をポイントします。次に、[復元] をポイントし、[データベース] をクリックします。

    復旧処理時はデータベースが自動的にオフラインになり、他のプロセスからアクセスできなくなります。

  6. [データベースの復元] ダイアログ ボックスで、復元先と復元元を指定し、復元するバックアップ セット (複数可) を選択します。

    復元先と復元元の既定値は、通常、ほとんどの復旧シナリオに適しています。

  7. [ページの選択] ペインで、[オプション] をクリックします。

  8. [復元オプション] セクションで、[既存のデータベースを上書きする] のみを選択します。使用する環境またはポリシーが他のオプションを必要とする場合を除いて、このセクションで他のオプションを選択しないでください。

  9. [復旧状態] セクションでは、次のように操作します。

    • 復元する必要があるすべてのトランザクション ログを含めた場合は、[RECOVER WITH RECOVERY] を選択します。

    • 追加のトランザクション ログを復元する必要がある場合は、[RECOVER WITH NORECOVERY] を選択します。

    • 3 つ目のオプションである [RECOVER WITH STANDBY] は、このシナリオでは使用しません。

      注意

      これらの復旧オプションの詳細については、「[データベースの復元] ([オプション] ページ)」(https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=114420&clcid=0x411) を参照してください。

  10. [OK] をクリックして、復旧操作を完了します。

  11. 構成データベースを除き、復元するデータベースごとに、手順 4. ~ 9. を繰り返します。

  12. 構成設定を復元するには、既存の構成データベースを使用するか、新しいデータベースを手動で作成し、そのデータベースに構成を復元する必要があります。ファーム構成の復元の詳細については、「ファームの構成を復元する (SharePoint Foundation 2010)」を参照してください。

  13. Windows SharePoint Services Timer Service を開始します。

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リソース センター

Business Continuity Management for SharePoint Foundation 2010 (英語) (https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=201997&clcid=0x411) (英語)

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