64 ビット版の Office 2010

 

適用先: Office 2010

トピックの最終更新日: 2016-11-29

64 ビット プロセッサは、サーバーからデスクトップ コンピューターまでの広範なシステムで標準となりつつあります。64 ビット システムでは、32 ビット システムと比較して、使用できる仮想メモリと物理メモリの容量が増えます。そのため、以前と比べてはるかに大きなデータ セットを使用して大規模演算における問題を分析し、解決できます。Microsoft Office 2010 では、この大きな容量を活用できるように、ネイティブの 64 ビット版 Microsoft Office 製品が導入されました。このような追加の容量を必要とするのは、2 ギガバイト (GB) を超える大きさの Excel スプレッドシートを使用する Microsoft Excel ユーザーなどに限定されます。32 ビット版の Office 2010 は 64 ビット版と同じ機能を提供し、32 ビット版のアドインとも互換性があります。したがって、既定で 32 ビット版の Office 2010 がインストールされます。

また、Office 2010 では、Windows-32-on-Windows-64 (WOW64) を使用して、64 ビット版の Windows オペレーティング システム上で実行される 32 ビット版の Office 2010 アプリケーションをサポートしています。WOW64 は、32 ビット版の Windows ベース アプリケーションが 64 ビット版の Windows システムでシームレスに実行できるようにする x86 エミュレーターです。Office 2010 では、既存の Microsoft ActiveX コントロール、コンポーネント オブジェクト モデル (COM) アドイン、および Visual Basic for Applications (VBA) の使用を続行できます。多くのアドオンにはまだ 64 ビット版がなく、そのほとんどは 32 ビット版です。64 ビット版のオペレーティング システムで動作する 32 ビット版 の Office 2010 アプリケーションをサポートすることにより、コントロール、アドイン、および VBA との互換性が向上します。

インストールする Office 2010 のエディションを選択するときの推奨事項は次のとおりです。

  • 組織内のユーザーが、ActiveX コントロール、サードパーティ製アドイン、以前のバージョンの Office を基に構築された社内製ソリューション、Office との間に直接的なインターフェイスがある 32 ビット バージョンのプログラムなど、Office に対する既存の拡張機能に依存している場合は、32 ビットおよび 64 ビットのサポートされる Windows オペレーティング システムを実行しているコンピューターに 32 ビットの Office 2010 をインストールすることをお勧めします (既定のインストール)。

  • 2 GB より大きい Excel スプレッドシートを使用している Excel の熟練ユーザーが組織内にいる場合は、64 ビット版の Office 2010 をインストールできます。また、社内のソリューション開発者がいる場合は、64 ビット版の Office 2010 で社内ソリューションをテストおよび更新できるように、開発者が 64 ビット版の Office 2010 にアクセスできるようにすることをお勧めします。

この記事の説明は、Office 2010 の現在のリリースに適用されます。図を使用した説明については、「64-bit Client Installation of Microsoft Office 2010 (英語)」(https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=168620\&clcid=0x411) (英語) を参照してください。サポートされるシナリオ、展開に関する考慮事項、セットアップ プロセスの概要などが含まれています。

Office 2010 の 64 ビット版クライアントのインストール - モデル

この記事の内容

  • サポートされる Windows オペレーティング システム

  • アーキテクチャ固有のフォルダーとカスタマイズ ツール

  • サポートされるシナリオ

  • 展開に関する考慮事項

  • セットアップ プロセス

  • アプリケーションの互換性に関する現在の環境の評価

サポートされる Windows オペレーティング システム

以下の Windows オペレーティング システム エディションが、64 ビット版の Office 2010 クライアントをサポートしています。

  • 64 ビット版の Windows Vista SP1

  • 64 ビット版の Windows Server 2008 Service Pack 1

  • Windows 7

  • Windows Server 2008 R2

以下にサポートの詳細について説明します。

  • 64 ビット版の Office クライアントは、64 ビット版の Windows Vista SP1、64 ビット版の Windows Server 2008 Service Pack 1、Windows 7、および Windows Server 2008 R2 のみにインストールできます。

  • 32 ビット版の Office クライアントは、WOW64 インストールとしてサポートされています。WOW64 インストールは、64 ビット版の Windows オペレーティング システムでは既定のインストールです。32 ビット版の Windows ベース アプリケーションは、64 ビット版の Windows で動作します。これにより、32 ビット版の Office アプリケーションおよびアドインとの互換性が提供されます。

  • Office 2010 サーバー製品 (Microsoft SharePoint Server 2010、Microsoft SharePoint Foundation 2010、および Microsoft Project Server 2010) は、64 ビット版の Windows Server 2008 Service Pack 2 と Windows Server 2008 R2 をサポートしています。詳細については、以下を参照してください。

  • クイック実行のシナリオに関しては、サポートされるバージョンは、64 ビット版の Windows オペレーティング システムが実行されるコンピューター上の 32 ビット版 Office 2010 (WOW64) です。

アーキテクチャ固有のフォルダーとカスタマイズ ツール

Office 2010 には、32 ビット用と 64 ビット用の 2 つのアーキテクチャ固有フォルダーがあります。

各フォルダーの内容は、以下のとおりです。

  • 個別の Config.xml ファイルと Updates フォルダー。

  • アーキテクチャ固有の Office カスタマイズ ツール (OCT)。OCT ファイルは、x86 (32 ビット) 用フォルダーと x64 (64 ビット) 用フォルダーのそれぞれの Admin フォルダーに配置されています。

    64 ビット版の OCT は、32 ビット版と同じユーザー インターフェイス、機能、および構成可能な設定を備えています。Office 2010 では、XML 版の OPA ファイルとして、非言語固有リソース用の OPAX ファイル (.opax) と言語固有リソース用の OPAL ファイルが導入されました。

    OCT には、以下のようにセットアップ カスタマイズ ファイル (.msp ファイル) をインポートする機能があります。

    • 64 ビット版のセットアップ カスタマイズ ファイルを 32 ビット版の OCT にインポートし、32 ビット版の Office 製品のカスタマイズに使用できます。

    • 32 ビット版のセットアップ カスタマイズ ファイルを 64 ビット版の OCT にインポートし、64 ビット版の Office 製品のカスタマイズに使用できます。

      64 ビット版の OCT にインポートされた 32 ビット版のセットアップ カスタマイズ ファイルは 64 ビット版に変換され、32 ビット版の OCT にインポートされた 64 ビット版のカスタマイズ ファイルは 32 ビット版に変換されます。インポート機能の使用方法については、「Office 2010 のセットアップ カスタマイズ ファイルをインポートする」を参照してください。

Office 2010 のインストールに Microsoft Outlook 2010 を含めた場合、Outlook によってインストール先のコンピューターでレジストリ キー Bitness (種類 REG_SZ ) が設定されます。Bitness レジストリ キーは、32 ビット版と 64 ビット版のどちらの Outlook 2013 がインストールされたかを示します。組織で使用されている Office 2010 のバージョンを確認するためにコンピューターの監査を検討している場合、この情報は便利です。

  • レジストリ パス: HKEY_LOCAL_MACHINE\Software\Microsoft\Office\14.0\Outlook

  • レジストリ キー : Bitness

  • 値: x86 または x64

サポートされるシナリオ

64 ビット版の Office 2010 クライアントでは、以下のシナリオがサポートされています。

  • 企業   企業環境では、32 ビット版の Office 2010 を、32 ビット版または 64 ビット版の Windows オペレーティング システムが実行されるコンピューターにインストールするのが既定の構成です。このオプションの使用を推奨します。

    企業環境では、以下のシナリオを選択することもできます。

    • 32 ビット版の Office 2010 を 32 ビット版の Windows が実行されているコンピューターにインストールします。

    • 64 ビット版の Office 2010 を 64 ビット版の Windows が実行されているコンピューターにインストールして、64 ビット コンピューターで得られるメモリの増量を活用します。

  • 個人   DVD から Office 2010 を、サポートされる 64 ビット版の Windows オペレーティング システムが実行されるコンピューターにインストールする場合、既定で 32 ビット版の Office 2010 (WOW64) がインストールされます。

    64 ビット版の Windows オペレーティング システムを使用しているときに 32 ビット版の Office 製品がインストールされていない場合は、DVD の x64 フォルダーからネイティブの 64 ビット版の Office 2010 をインストールできます。

  • 並行インストール   Office の 64 ビット版と 32 ビット版の Office の並行インストールは、アプリケーション単体のインストールを含めてサポートされていません。たとえば、32 ビット版の 2007 Microsoft Office system と 64 ビット版の Office 2010 や、64 ビット版の Microsoft SharePoint Workspace 2010 と 32 ビット版の Microsoft Excel 2010 の並行インストールはサポートされていません。

  • アップグレード   Office クライアントのアップグレード シナリオは以下のとおりです。

    • 32 ビット版の Windows オペレーティング システムが実行されるコンピューターにインストールした 32 ビット版の 2007 Office system は、32 ビット版の Office 2010 にアップグレードできます。

    • 64 ビット版の Windows オペレーティング システムが実行されるコンピューターにインストールした 2007 Office system は、32 ビット版の Office 2010 (WOW64) にアップグレードできます。

    • 2007 Office system をネイティブの 64 ビット版の Office 2010 にアップグレードすることはできません。

展開に関する考慮事項

64 ビット版の Office 2010 を展開する前に、そのメリットとデメリットを評価し、環境に適した展開オプションかどうかを判断する必要があります。次のセクションでは、利点と互換性に影響する問題について要点をまとめ、Outlook に関する考慮事項について説明し、Office 2010 (64 ビット版) のインストールをブロックするアプリケーションとブロックしないアプリケーションのリストを示します。

重要な考慮事項は、32 ビット版の Office アプリケーションとサードパーティ製のアドインをインストールしたコンピューターにネイティブの 64 ビット版の Office 2010 をインストールできないことです。64 ビット版の Office 2010 をインストールする前に、32 ビット版の Office アプリケーションとアドインをアンインストールする必要があります。ユーザーが必要とする 32 ビット版の Office アプリケーションとアドインがある場合は、既定のオプションでインストールできます。既定のオプションでは、32 ビット版の Office 2010 (WOW64 インストール) が、サポートされる 64 ビット版の Windows が実行されているコンピューターにインストールされます。64 ビット版の Office 2010 をブロックするアプリケーションとブロックしないアプリケーションのリストについては、後の「Office (64 ビット版) のインストールをブロックするアプリケーションとブロックしないアプリケーション」を参照してください。

このセクションの内容

  • メリット

  • デメリット

  • 全般的な機能後退

  • Outlook アプリケーションに関する考慮事項

  • Office (64 ビット版) のインストールをブロックするアプリケーションとブロックしないアプリケーション

メリット

64 ビット版の Office 2010 には、以下のメリットがあります。

  • 増量されたメモリを使用できます。

  • Excel 2013 は、はるかに大きなワークブックを読み込むことができます。Excel 2013 では、32 ビット アプリケーションの制限となる 2 GB のアドレス可能メモリ境界を超えるために、64 ビット メモリ アドレス指定が使用されます。

  • Microsoft Project 2010 では、特に大規模なプロジェクトを構成する多数のサブプロジェクトを扱う場合に、容量を増やすことができます。

  • ハードウェアによるデータ実行防止 (DEP) により、既定でセキュリティが強化されます。

デメリット

互換性に影響する以下の問題があります。

  • Microsoft Access の MDE/ADE/ACCDE ファイル   ソース コード (.mde, .ade、および .accde) が削除されたデータベースは、Office 2010 の 32 ビット版と 64 ビット版の間で移動できません。32 ビット版の Office (任意のバージョン) を使用して作成したデータベースは 32 ビット版の Office でのみ使用でき、64 ビット版の Office で作成したデータベースは 64 ビット版の Office でのみ使用できます。

  • ActiveX コントロールと COM アドイン   32 ビット版の Office 用に作成された ActiveX コントロールとアドイン (COM) DLL (ダイナミック リンク ライブラリ) は、64 ビット プロセスで動作しません。その結果、32 ビット版の ActiveX コントロールや DLL を読み込もうとする 64 ビット版の Office 2010 ソリューションは動作しません。64 ビット版の Office 2010 のインストールでは、64 ビット版のコントロールのみが実行されます。コンピューターには 64 ビット版と 32 ビット版のコントロールをインストールできますが、64 ビット版の Office 2010 では 64 ビット版のコントロールのみを実行できます。これらの問題を解決するための回避策は、互換性のある 64 ビット版のコントロールとアドインを取得するか、32 ビット版の Office 2010 (WOW) をインストールすることです。

    ActiveX コントロールは、Office アプリケーションに読み込まれるほかに、Microsoft Internet Explorer で動作する Web ベース ソリューションでも使用されます。64 ビット版の Office 2010 では、32 ビット版のブラウザー (現在の 64 ビット版の Windows システムの既定のブラウザー) での Web ソリューションをサポートするために、Office の 32 ビット版クライアント側コントロールがいくつかインストールされます。64 ビット版の Office 2010 をインストールした場合、[データシートで編集] ビュー機能はサポートされません。しかし、32 ビット版の Office 2010 をインストールした場合、この機能を利用できます。

  • 埋め込み先での有効化   Office 2010 のビット数と登録されているアプリケーションが一致していない場合、以下の問題が発生する可能性があります。

    • 登録されているアプリケーションがインストールされている Office のバージョンと同じビット数ではない場合、OLE サーバーが埋め込み先でインスタンス化せず、開くことができない場合があります (たとえば、OLE サーバー アプリケーションが 32 ビットで、インストールされている Office のバージョンが 64 ビットの場合)。

    • ビット数が異なる場合、Office 2010 アプリケーションのドキュメントへのオブジェクトの挿入が失敗する場合があります (たとえば、32 ビット オブジェクトを 64 ビット版の Office 2010 アプリケーションのドキュメントに挿入した場合)。

  • グラフィックスの描画   グラフィカル デバイス インターフェイス (GDI) の 32 ビット版と 64 ビット版には違いがあります。64 ビット版では MMX がサポートされないため、パフォーマンスに影響が生じる可能性があります。Intel の MMX テクノロジは、Intel アーキテクチャ (IA) の拡張命令セットです。MMX では、1 つの命令で複数のデータを同時に処理する SIMD (single-instruction, multiple-data) と呼ばれる技術でデータ要素を並行処理することにより、マルチメディアや通信が高速化されます。

  • Visual Basic for Applications (VBA)   Declare ステートメントを使用して Windows アプリケーション プログラミング インターフェイス (API) またはその他の DLL エントリ ポイントにアクセスする VBA コードは、32 ビット版と 64 ビット版で異なります。API への入力および出力を確認して更新した後で、Declare ステートメントに PtrSafe 属性を追加して更新する必要があります。Declare ステートメントは、PtrSafe 属性がないと 64 ビット版の VBA で動作しません。64 ビット版の Office 2010 VBA には、新しいデータ型 LongLongLongPtr が追加されました。VBA の詳細については、Office アプリケーションの Microsoft Visual Basic for Applications オンライン ヘルプの「64-bit VBA Overview」および「Declare Statement」を参照してください。

  • Windows Mobile デバイス センター (WMDC) の同期   64 ビット版の Outlook 2013 を使用している場合、WMDC は Microsoft Outlook 2010 と同期しません。このような場合は、既定のメール クライアントがない、または現在のメール クライアントがメッセージングを実行できないことを示すエラー メッセージが表示されます。WMDC は、32 ビット版の Outlook 2013 とは正常に同期します。Windows Mobile デバイス センターを使用して Windows Phone を Outlook 2013 と同期するには、64 ビット版の Outlook 2013 をアンインストールしてください。その後、Outlook 2013 64 ビット版を入手するときに使用した元のインストーラーを使用して、Outlook 2013 32 ビット版をインストールします。Outlook 2013 32 ビット版は既定のオプションです。

全般的な機能後退

互換性に影響する可能性のある以下の機能後退があります。

  • Microsoft Access   レプリケーション競合ビューアーは、Office 2010 の 32 ビット版と 64 ビット版の両方から削除されました。必要であれば、この機能は ReplicationConflictFunction プロパティを使用して実装できます。ReplicationConflictFunction は、実行中のデータベース内の Microsoft Visual Basic for Applications (VBA) ルーチンの 1 つであり、同期の競合を解決するために使用できます。詳細については、「How to: Set Properties of Data Access Objects in Visual Basic (英語)」(https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=150854\&clcid=0x411) (英語) を参照してください。

  • Publisher   Microsoft Works データベース コンバーター (wdbimp.dll) は、Office 2010 の 32 ビット版と 64 ビット版の両方から削除されました。このコンバーターは、Microsoft Works で作成されたデータ ソースへ接続するために差し込み印刷機能で使用されていました。

  • Word   Microsoft Office Document Imaging (MODI) とそれに関連するすべてのコンポーネントは、Office 2010 の 32 ビット版と 64 ビット版の両方で非推奨となりました。レガシーの数式エディターは 64 ビット版の Office 2010 ではサポートされませんが、32 ビット版の Office 2010 インストール (WOW64) ではサポートされます。

    WLL (Word アドイン ライブラリ)   WLL ファイルは、32 ビット版の Office 2010 では非推奨であり、64 ビット版の Office 2010 ではサポートされていません。

Outlook アプリケーションに関する考慮事項

Outlook 用の 32 ビット版のメッセージング アプリケーション プログラミング インターフェイス (MAPI) アプリケーション、アドイン、マクロを開発してある場合、64 ビット プラットフォームで実行するには、32 ビット版のアプリケーションを変更して再ビルドする必要があります。

Office 2010 以降の Outlook では、32 ビット版アプリケーションと 64 ビット版アプリケーションの両方を使用できます。どちらのバージョン (ビット) の Outlook を選択するかは、Windows オペレーティング システム (32 ビットまたは 64 ビット) と、Office が既にコンピューターにインストールされている場合は Office 2010 のエディション (32 ビットまたは 64 ビット) で決定されます。

Outlook の 32 ビット版または 64 ビット版のインストールが可能かどうかは、以下の要素によって左右されます。

  • 32 ビット版の Office 2010 と 32 ビット版の Microsoft Outlook 2010 は、サポートされる 32 ビット版または 64 ビット版の Windows オペレーティング システムにインストールできます。64 ビット版の Office 2010 と 64 ビット版の Outlook 2013 は、サポートされる 64 ビット版のオペレーティング システムのみにインストールできます。

  • 64 ビット版の Windows オペレーティング システムで既定でインストールされる Office 2010 は、32 ビット版の Office 2010 です。

  • インストールされているバージョンの Outlook のビットは、同じコンピューターに Office をインストールした場合、常に Office 2010 のビットと一致します。つまり、32 ビット版の Outlook 2013 は、64 ビット版の Microsoft Word 2010、64 ビット版の Microsoft Excel 2010 など、他の Office 2010 アプリケーションの 64 ビット版が既にインストールされているコンピューターにインストールできません。同様に、64 ビット版の Outlook 2013 は、他の Office アプリケーションの 32 ビット版が既にインストールされているコンピューターにインストールできません。

MAPI アプリケーションには、Microsoft Lync、MFCMAPI といったスタンドアロン アプリケーションや、アドレス帳プロバイダー、ストア プロバイダー、トランスポート プロバイダーといったサービス プロバイダーもあります。MAPI のメソッドや関数の呼び出しが MAPI アプリケーション内で動作するためには (ただし、簡易 MAPI 関数 MAPISendMail だけは除く)、MAPI アプリケーションのビットが、アプリケーションの実行対象であるコンピューターの MAPI サブシステムのビットと同じでなければなりません。MAPI サブシステムのビットは、インストールされているバージョンの Outlook のビットによって決定され、常にそれと同じになります。Outlook アプリケーションを 32 ビット版および 64 ビット版のプラットフォーム用に準備する方法については、「Building MAPI Applications on 32-bit and 64-bit Platforms (英語)」(https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=165489\&clcid=0x411) (英語) および「Developing Outlook 2010 Solutions for 32-Bit and 64-Bit Systems (英語)」(https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=208699\&clcid=0x411) (英語) を参照してください。

Office (64 ビット版) のインストールをブロックするアプリケーションとブロックしないアプリケーション

32 ビット版の Office アプリケーションがコンピューターにインストールされている場合、既定で 64 ビット版の Office 2010 インストールはブロックされます。次のセクション (「Office 2010 (64 ビット版) のインストールをブロックするアプリケーション」) に、Office 2010 (64 ビット版) のインストールをブロックするアプリケーションのリストを示します。その次のセクション (「Office 2010 (64 ビット版) のインストールをブロックしないアプリケーション」) に、その例外、つまり、インストールをブロックしないアプリケーションのリストを示します。このリストに記載した 32 ビットのアプリケーションがコンピューターにインストールされていても、Office (64 ビット版) のインストールは進行します。

Office 2010 (64 ビット版) のインストールをブロックするアプリケーション

以下のアプリケーションは、64 ビット版の Office 2010 のインストールをブロックします。

  • Microsoft Office Excel Viewer

  • Microsoft Access 2010 の Access データベース エンジン

  • Microsoft Office 2010 (クイック実行)

  • 2007 Office system 用の互換機能パック

Office 2010 (64 ビット版) のインストールをブロックしないアプリケーション

以下のアプリケーションは、64 ビット版の Office 2010 のインストールをブロックしません。

  • Microsoft Visual Studio Web Authoring Component 2007

  • 2007 Microsoft Office system の 64 ビット コンポーネント

  • Microsoft Office 2010 (OEM プレインストール版)

  • Microsoft Office 2003 Web Components

  • Expressions Web Designer

  • Microsoft Office XP Web Components

  • Microsoft Expression Web 1

  • Microsoft Expression Web 1 Language Pack

  • Microsoft Expression Web 2

  • Microsoft Expression Web 2 Language Pack

  • Visual Basic for Applications 6.4 SDK

  • Visual Basic for Applications 6.4 SDK International Components

セットアップ プロセス

ここでは、64 ビット版 Office クライアント アプリケーションのセットアップ手順について説明します。

前に説明したように、Office 2010 のインストール DVD には、32 ビット版と 64 ビット版の両方の Office 2010 が含まれ、アーキテクチャに固有の 2 つのフォルダー (32 ビット版用と 64 ビット版用) があります。どちらのアーキテクチャのフォルダーにも、特定のプラットフォーム用の Setup.exe ファイルが含まれます。また、ルート フォルダーにも Setup.exe ファイルがあります。これはプラットフォームを選択するためのものです。次の図にフォルダーの構造を示します。

64 ビット版 Office 2010 クライアント DVD

セットアップ手順は、32 ビット版の標準 Office クライアントのインストール手順に、64 ビット版の Office 2010 向けに実行される固有のチェック手順を加えたものに相当します。

次の図は、64 ビット版のインストール時にセットアップによって実行されるチェックを示しています。

Office 2010 セットアップの確認

次の図は、Office 2010 の 32 ビット版と 64 ビット版の両方が含まれるメディア ソース (DVD) のルートからセットアップを実行したときに、Office 2010 の 32 ビット版と 64 ビット版のどちらをインストールするかが何を基準に決定されるかを示しています。

Office 2010 セットアップの選択

次のセクションでは、セットアップの一連のイベントについて概要を説明します。

  1. セットアップでは、64 ビット版の Office 2010 の前提条件がチェックされます。

    Setup.exe を x64 フォルダーから実行した場合、セットアップでは、32 ビット版の Office アプリケーションがインストールされているかどうかが確認されます。32 ビット版の Office アプリケーションがインストールされている場合は、64 ビット版の Office 2010 のインストールを続行するにはすべての 32 ビット版 Office アプリケーションを最初にアンインストールする必要があることを通知するメッセージが表示されます。このエラー メッセージには、インストールされている 32 ビット版 Office アプリケーションのリストも含まれます。セットアップで 32 ビット版 Office アプリケーションが検出されない場合は、64 ビット版の Office 2010 がインストールされます。

    注意

    Setup.exe を x86 フォルダーから実行した場合、セットアップでは、64 ビット版の Office 2010 アプリケーションがインストールされているかどうかが確認されます。64 ビット版の Office 2010 アプリケーションがインストールされている場合は、エラー メッセージが表示され、セットアップの実行がブロックされます。64 ビット版の Office 2010 が検出されない場合は、32 ビット版の Office 2010 がインストールされます。
    Office Professional Plus 2010 と Microsoft Office Professional 2010 も、Office 2010 の 32 ビット版 と 64 ビット版の両方を含む複合リリース (DVD メディア) として使用できます。Office 2010 の 32 ビット版 と 64 ビット版の両方を含む Office 2010 DVD のルート フォルダーからセットアップを実行すると、以下の手順でセットアップによってインストールが実行されます。

    • サポートされる 32 ビット版の Windows が実行されるコンピューターでは、セットアップによって 32 ビット版の Office 2010 がインストールされます。

    • サポートされる 64 ビット版の Windows が実行されるコンピューターでは、64 ビット版の Office アプリケーションがインストールされているかどうかがチェックされた後で、以下の操作が行われます。

      • 64 ビット版の Office アプリケーションがコンピューターにインストールされていない場合は、セットアップによって 32 ビット版の Office 2010 がインストールされます。32 ビット版の Office 2010 は、64 ビット版の Windows オペレーティング システムでの既定のインストールです (WOW を使用)。これは、管理者が既存の 32 ビット版の Office インストールをアップグレードする場合も同じです。

      • 64 ビット版の Office アプリケーションがインストールされている場合は、64 ビット版の Office 2010 がインストールされます。

  2. XML データが読み取られます。

  3. 機能ツリーが構築されます。

  4. ローカル インストール ソースが作成されます。

  5. Office 2010 がインストールされます。

  6. 64 ビット版の OCT カスタマイズ .msp ファイルが適用されます。

  7. ソフトウェア更新プログラムが適用されます。

セットアップ手順の詳細については、「Office 2010 のセットアップのアーキテクチャの概要」の「セットアップのプロセス」を参照してください。

アプリケーションの互換性に関する現在の環境の評価

Office 2010 で提供されている次の新しいアプリケーション互換性ツールを使用すると、アプリケーションの互換性の問題を評価できます。

  • Office Environment Assessment Tool (OEAT)   Office 2010 を展開する前に既存の環境を評価できるツールです。OEAT を使用すると、アドインの種類、および環境での Microsoft Office アプリケーション用アドインの使用範囲を調べることができます。OEAT は、Microsoft Office 2000、Microsoft Office XP、Microsoft Office 2003、および 2007 Microsoft Office system に関するアドイン情報を収集して報告します。また、(COM を使用して) Office 2010 とやりとりを行うアプリケーションを特定し、スキャンされたシステムの全般的な状態の概要を提供します。詳細については、「Office Environment Assessment Tool (OEAT) ユーザー ガイド (Office 2010 用)」を参照してください。

  • Microsoft Office Code Compatibility Inspector   Excel 2013、PowerPoint 2013、Word 2010、および Microsoft Visual Studio 2008 で使用できる、Microsoft Visual Basic for Application (VBA) のマクロとアドインに関する問題のトラブルシューティングを行うためのツールです。このツールは、コードで互換性に関する既知の問題をスキャンし、何らかの変更が行われたオブジェクト モデルまたは削除されたオブジェクト モデルのアイテムがコード内に見つかると、それをユーザーに通知します。コード検査ツールは、Office 2010 のオブジェクト モデルにおける変更と廃止に基づいて、互換性のないコードを見つけ出します。また、検査ツールを使用すると、コードをスキャンして Declare ステートメントを探し出し、64 ビット版の Office 2010 との互換性が確保されるようにそれらのステートメントを更新できます。詳細については、「Microsoft Office Code Compatibility Inspector ユーザー ガイド」を参照してください。

  • Office Migration Planning Manager (OMPM)   2007 Office system 用のツールで、2007 Office system と Office 2010 の両方に共通する変換の問題を検出するために使用できます。詳細については、「Office 2010 用の Office Migration Planning Manager の概要」を参照してください。OMPM の Office 2010 用の新しいバージョンは、製品のリリース後しばらくしてから使用できるようになります。

詳細については、「Office 2010 アプリケーション互換性ガイド」を参照してください。

64 ビット版 Office 2010 の発表に合わせて、32 ビットと 64 ビットの両方のアプリケーションで使用できる Microsoft Visual Basic for Applications 7.0 (VBA 7) がリリースされます。詳細については、「Office 2010 の 32 ビット バージョンと 64 ビット バージョンとの互換性」(https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=179546\&clcid=0x411) を参照してください。この記事では、64 ビット版 Office 2010 での変更点、新しい VBA 7 コード ベースの概要、および 32 ビット版と 64 ビット版の Office 2010 の間での互換性に関する問題と推奨される解決策が説明されています。