Exchange を Online 化しよう

発行日: 2008 年 12 月

Microsoft Online のサービス担当部長をしております、Arvind Suthar です。マイクロソフトではコミュニティーに対する取り組みを強化してきており、このたび稼動になったサービスをお客様に提供できることを大変喜ばしく思っております。今後は、チームの紹介、一連の技術的トピックの詳しい解説、そして Microsoft Online を皆様にとってより価値のあるものにするための情報を掲載した投稿を順次行っていく予定です。

お客様が Microsoft Online に移行する際のベータ プログラムや技術採用プログラムの使用において、マイクロソフトはお客様と緊密な協力を行ってまいりました。このプロセスの際、移行に関してよく寄せられる質問がいくつかあることがわかりました。Erik Ashby は、Microsoft Online への移行の簡略化に取り組んでいる Microsoft Online チームのシニア プログラム マネージャです。私は、これらのよく寄せられる質問への回答を投稿するよう Erik に依頼しました。- Arvind

Microsoft Exchange を運用していて、Exchange Online への移行に興味を持っているお客様からは、Microsoft Exchange を Exchange Online に移行する方法についてよく聞かれます。Exchange Online では、いくつかの移行モデルがサポートされており、移行を容易にするツール セットも用意されています。ここでは、社内の Microsoft Exchange 環境から Exchange Online への移行に関してよく寄せられる質問のいくつかにお答えします。以下に述べるプロセスの詳しい手順は、『 Microsoft Online Services への移行 』にすべて記述されています。

何から始めれば良いですか?

サブスクリプションを購入するか、Microsoft Online の 30 日無料の試用版に ここ からサインアップしてください。お客様がサービスをテスト運用するための、完全に機能するサンプル ドメインをマイクロソフトが作成します。このサンプル ドメインでは、電子メールの送受信を行ったり、すべての移行ステップを実行したりすることができます。ドメイン名は、「yourdomain1.microsoftonline.com」のようになります。または、永続的ドメイン名の所有権をお持ちの場合は、ドメイン名を「yourdomain1.com」のようにして使用することもできます。

Exchange 環境から Microsoft Online への移行は複雑ですか?

それほど難しくはありません。移行では 3 つの基本ステップを実行する必要があります。各ステップは Microsoft Online 管理コンソールによって詳しく案内され、複雑な作業はほとんどツールによって実行されます。以下が、Microsoft Online に移行するための 3 つのステップです。

  1. Microsoft Online に電子メールが送信されるように Exchange を構成する: メール トラフィックを Microsoft Online に流すには、TLS (Transport Layer Security) を構成して SMTP コネクタ を作成し、Exchange サーバー上の選択したアカウントから Microsoft Online アカウントに電子メールの転送を開始します。後で、すべてのユーザーのメールボックスが Microsoft Online に作成された時点で、すべての電子メール トラフィックを Microsoft Online に直接リダイレクトすることができます。これを行うには、次の値をポイントするように MX レコードを設定します。

    mail.global.frontbridge.com

  2. Microsoft Online ディレクトリ同期ツールをインストールして実行する: 社内のトポロジーで実行されるこのツールは、ユーザー アカウント、電子メールが有効な連絡先、電子メールが有効なグループについて、ローカルの Active Directory から Microsoft Online への標準の一方向の同期を行います。これにより、社内の Exchange のユーザーと Exchange Online のユーザーが GAL 参照でお互いを見ることができます。また、GAL アカウントを Microsoft Online にコピーした後は、そのアカウントを Microsoft Online 内でアクティブ化することができます。

  3. Microsoft Online 移行ツールをインストールして実行する: このツールは、Exchange メールボックスの内容を Microsoft Online に一括移行して、メール転送を確立します。これにより、新しいメールがすべて Microsoft Online に配信されるようになります。

Microsoft Online への段階的な移行は可能ですか?

お客様が直面する最初の疑問の 1 つは、Microsoft Online への移行にどのくらいの期間をかけるかというものです。大きく分けると、次の 2 つのアプローチがあります。

  1. すべてのメールボックスを一度に移行する、一括大規模移行を行う (別名、ビッグバン型の移行)、または

  2. 一定の期間をかけて移行を段階的に行う

Microsoft Online が提供するツールでは、どちらの方法もサポートされています。ビッグバン型の移行に対しては、簡単な操作で Exchange メールボックスを一括移行できる移行ウィザードが Microsoft Online 移行ツールに用意されています。この操作は、 PoweShell で完全に自動化することができます。(リンク先は英語である可能性があります。) 一定の期間をかけて段階的に行う移行に対しては、ローカルの Active Directory から Microsoft Online への一方向のディレクトリ同期を使用できます。これにより、Microsoft Online に移行済みのユーザーも、まだ社内の Exchange を使用しているユーザーも、同期された GAL とユニファイド メッセージング環境を共有することができます。これを「 電子メールの共存」と呼びます。

共存期間中、社内のメールボックスと Microsoft Online メールボックスの間では、空き時間情報の参照や代理人アクセスは実行できないことに注意してください。また、共存期間中に、ユーザーが社内の Exchange メールボックスと Microsoft Online メールボックスの両方を持っている場合、移行後にこれらのメールボックスの同期が失われる可能性があります。移行を行うと、メールボックスの内容が Microsoft Online にコピーされ、メール転送が確立されます。これにより、新しいメールは Microsoft Online に配信されますが、移行後に一方のメールボックスに対して行われた変更は、もう一方のメールボックスには反映されません。ほとんどのユーザーは、移行後にどちらかのメールボックスのみを使用するか、社内のメールボックスを削除するため、通常、これは問題にはなりません。

お客様によってビッグバン型の移行と段階的な移行のいずれの方法も採用されてきましたが、現時点では、ビッグバン型の移行がほとんどのお客様に選択されています。従業員数が 1,000 名を超える企業でビッグバン型の移行が成功を収めている例もあります。

試用中に電子メールの共存を使用することはできますか?

はい、できます。ビッグバン型の移行を計画している場合でも、共存ツールを使用して、何人かのユーザーに Microsoft Online サービスを体験してもらうことができます。共存ツールを使用すると、何人かのユーザーがメールボックスを Microsoft Online に置きながら、まだ社内の Exchange 上にいる他のユーザーと同じ GAL とメッセージング環境を共有することができます。この場合も、空き時間の参照と代理人アクセスに対する制約は受けます。また、最終的に移行しないことを選択した場合は、前述のようにメールボックスが同期しなくなるため、Microsoft Online アカウントのメールをローカルの PST にコピーする必要があります。

Exchange メールボックスと Microsoft Online メールボックスとの間の同期の問題に対処するために、社内の Exchange 環境と Microsoft Online との間でメールボックスの完全な双方向同期を行うツールの 15 日間の無料試用版が、Microsoft パートナーである Cemaphore 社から提供されています。 MailShadow® for Exchange Online を使用すると、社内の Exchange サーバーから Microsoft Online へのメールボックスの同期が継続的に行われます。(リンク先は英語である可能性があります。) これによって、Microsoft Online の試用が更に簡単になります。

メール メッセージを PST にエクスポートして、Microsoft Online にインポートできますか?

Outlook はコンテンツ移行の 1 つの選択肢ですが、Exchange メールボックスの移行に使用することはお勧めしません。PST ファイルには、ローカルの電子メールの宛先と送信者が Active Directory への参照を使用して保存されます。Active Directory サーバーが変更されると、これらの参照は有効ではなくなります。Microsoft Online 移行ツールは、メッセージを Microsoft Online に移行する際に必要な変換を行います。Outlook は、ファイルやデータベースなどの非標準ソースから、コンテンツを Microsoft Online に送るための優れた汎用ツールですが、Exchange メールボックスの移行には移行ツールを使用してください。

要約すると、組織は異なるモデルを使用して Exchange から Microsoft Online に既に移行しつつあります。そして、移行を簡単で手間をかけないものにするために、Microsoft Online の共存ツールや移行ツールが活用されています。

Erik Ashby

シニア プログラム マネージャ

Microsoft Online