Web Platform Installer 2.0 に関する問題のトラブルシューティング

公開日: 2009 年 3 月 18 日 (作業者: iisteam (英語))

更新日: 2009 年 10 月 7 日 (作業者: iisteam (英語))

はじめに

Microsoft Web Platform Installer (Web PI) 2.0 を使用すると、Microsoft Web Platform の最新コンポーネント (IIS、SQL Server Express、ASP.NET MVC、Visual Web Developer など) を簡単にダウンロードしインストールできます。 また、WordPress、DasBlog、SilverStripe、その他多くの人気 Web アプリケーションもインストールできます。 ここでは、Microsoft Web Platform Installer 2.0 で発生する可能性のある問題と、その解決方法について説明します。

Web PI の必要条件

Web PI のオペレーティング システム要件は次のとおりです。

Windows XP Professional Edition、Service Pack 2 以降

  • 問題点: Web Platform Installer 2.0  は Windows XP Home Edition にインストールできますが、これは不具合です。 Windows XP Home には IIS が搭載されていないため、Web Platform Installer 2.0 は XP Home Edition ではサポートされません。

Windows Server 2003 Service Pack 1 以降

Windows Vista 以降 (Business Edition および Ultimate Edition)

上記は執筆時点でのOSをリストしています。最新のOS 要件はダウンロードのページでご確認ください。

ベスト プラクティス

Web PI を使用する際にエラーやインストールの問題が起こらないようにするには、以下のベスト プラクティスに従ってください。

すべてのプログラムを閉じてコンピューターを再起動する

Web PI では、選択したアプリケーションのセットアップが 1 つずつ順に実行されます。 これらのセットアップ プログラムは "サイレント" で実行されます。つまり、ユーザー インターフェイスは表示されません。 特定のアプリケーションが実行されている場合などは、セットアップ プログラムによってインストールが停止されることがあります。この理由から、すべてのアプリケーションを閉じるか停止しておくことが必要です。 簡単な方法としては、コンピューターを再起動します。 Windows の起動時にアプリケーションが起動するように構成されている場合は、そのアプリケーションを手動で閉じる必要があります。

再起動が推奨される理由

Web PI では、再起動待ちによる問題が発生することがあります。 再起動は特定の操作、 たとえば、システムの更新や修正プログラムのインストールによってシステムの DLL が置き換えられる場合などに必要です。 この再起動待ちのため、セットアップ プログラムではインストールが停止されることがあります。

Windows を最新の状態に保つ

オペレーティング システムと、インストール済みアプリケーションまたはコンポーネントが最新の状態であることを確認します。 Web PI テスト チームがテストしていない古いソフトウェアは、問題の原因となることがあります。

プレリリース版のアプリケーションおよびコンポーネントをアンインストールする

ベータ版ではリリース版と同じリソースが多く使用されており、インストーラーの障害となることがよくあります。 このため、多くのセットアップ プログラムでは、コンピューター上にプレリリース版が見つかった場合、アプリケーションのインストールが停止されます。

Web PI によるインストール中は他の操作を行わない

Web PI によるアプリケーションのインストール中は、コンピューターの使用とアプリケーションの起動を控えてください。 インストールの進行中にコンピューターの状態が変わると、インストールが失敗することがあります。たとえば、セットアップ プログラムでは起動時に、アプリケーションのインストールに必要なハード ディスクの空きが十分にあるかどうかが判定されます。インストール中にアプリケーションを実行したり他のタスクを行ったりすると、ハード ディスクの空きが減少し、インストールが失敗する原因となることがあります。

Web PI のタスク

Web PI のタスクは次の 3 つのフェーズに分けることができます。

**起動フェーズ
**Web PI では、最新の製品カタログが取得され、カタログ コンポーネントと現在インストールされている製品が比較されます。

製品選択フェーズ
Web PI では、インストールを選択した製品の依存関係が確認され、インストールする必要のある依存製品の一覧が作成されます。

**インストール フェーズ
**Web PI では、次の 3 つのうち 1 つのテクノロジによって製品がインストールされます。

  • Windows オペレーティング システム コンポーネント (IIS など) のインストールには、SYSOCMGR (英語)PKGMGR(英語) のような、Windows オペレーティング システムのツールとインターフェイスが使用されます。
  • オペレーティング システムではないプラットフォーム コンポーネント (SQL Server Express など) のインストールには、MSI として知られる Windows インストーラー テクノロジが使用されます。
  • WordPress、SilverStripe、DasBlog などの Web アプリケーションのインストールには、Microsoft Web 配置ツールが使用されます。

Web PI の起動フェーズで発生する問題のトラブルシューティング

Web PI の起動フェーズで発生する問題のうち最も多いのは、接続に関する問題です。 Web PI では Microsoft Web サイトから最新の製品カタログをダウンロードする必要がありますが、 これが失敗した場合、次のようなエラー メッセージが表示されます。

Ee890804.604-troubleshooting_fig1(ja-jp,TechNet.10).jpg

この問題を最適にトラブルシューティングするには、エラー メッセージで示される URL を Web ブラウザーに入力してみてください。 接続できない場合は、記事「Internet Explorer のネットワーク接続の問題のトラブルシューティング方法」に示される手順に従って、問題を解決できます。

URL に Internet Explorer でアクセスできても Web PI からアクセスできない場合は、"Fiddler" を使用して問題を確認します。 Fiddler は、コンピューターからどの HTTP 要求が送信されるかを監視する Web デバッガーです。 Fiddler は、Fiddler Web デバッガーのページ (英語) からダウンロードできます。

Web PI の製品選択フェーズで発生する問題のトラブルシューティング

製品カタログがダウンロードされると、Web PI のユーザー インターフェイスにさまざまな製品が表示されます。 製品が選択されると、Web PI では事前にインストールする必要のある依存製品があるかどうかが確認されます。 製品に依存製品がある場合、Web PI ではその製品がインストール一覧に追加されます。 ただし一部の依存製品は、一覧に追加してインストールできない場合があります。その場合 Web PI では、ユーザーに対してそのような依存製品を手動でインストールするようにメッセージが表示されます。 次に例を示します。

MySQL

MySQL は、Web アプリケーション ギャラリーの一部の Web アプリケーションに必要です。 依存製品が見つからない場合、次のエラー メッセージが表示されます。

Ee890804.604-troubleshooting_fig2(ja-jp,TechNet.10).jpg

MySQL は http://www.mysql.com/ からインストールできます。MySQL のインストール後は、このメッセージは表示されません。

この記事の原文執筆以降、アプリケーションによっては MySQL が依存関係で表示できるようになったものもあります。

Web PI のインストール フェーズで発生する問題のトラブルシューティング

Web PI では製品がサイレント インストールされ、インストールの失敗はログ ファイルに書き込まれます。 Web PI では多様なセットアップ テクノロジとプラットフォームがサポートされているため、多くのログ ファイルを読む必要が生じます。

セットアップ テクノロジは次の対象ごとに分類できます。

  • オペレーティング システム コンポーネント
  • Windows インストーラー (MSI) テクノロジによってインストールされる製品
  • Microsoft Web 配置ツールの配置テクノロジを使用する Web アプリケーション

オペレーティング システム コンポーネント

IIS のようなオペレーティング システム コンポーネントのインストールには、Windows セットアップ テクノロジが使用されます。セットアップ ログ ファイルの場所は以下のとおりです。

Windows Vista、Windows 7、Windows Server 2008、Windows Server 2008 R2 の場合

Windows Vista、Windows 7、Windows Server 2008、および Windows Server 2008 R2 のオペレーティング システム コンポーネントは、"コンポーネント ベースのセットアップ" と呼ばれるテクノロジによってインストールされます。 オペレーティング システム コンポーネントのログ ファイルは、%windir%\logs\cbs ディレクトリに保存されます。 このファイルを開くには次のコマンドを使用します。

notepad %windir%\logs\cbs\cbs.log

このセットアップ テクノロジの詳細については、https://technet.microsoft.com/ja-jp/library/cc732334.aspx(英語) を参照してください。

IIS 7.0 (Windows Vista および Windows Server 2008) と IIS 7.5 (Windows 7 および Windows Server 2008 R2) のセットアップでは、単独のセットアップ ログ ファイルが %windir% ディレクトリに作成されます。 このファイルを開くには次のコマンドを使用します。

notepad %windir%\iis7.log

Windows XP および Windows Server 2003 の場合

Windows XP および Windows Server 2003 の場合、セットアップ ログ ファイルは %systemroot% ディレクトリに保存されます。 Windows セットアップ ログ ファイルは setuperr.log という名前です。このファイルを開くには次のコマンドを使用します。

notepad %systemroot%\setuperr.log

IIS セットアップ ログは iis6.log または iis51.log という名前です。このファイルを開くには次のコマンドを使用します。

notepad %wsystemroot%\iis6.log

Windows インストーラー (MSI) テクノロジによってインストールされる製品

Windows インストーラー テクノロジ (英語) は、Web Platform のコンポーネントである SQL Server、Visual Web Developer、およびその他多くの製品に使用されます。 Web PI では、Windows インストーラー テクノロジで作成されるすべてのログ ファイルが次の場所に保存されます。 ログを参照するには、エクスプローラーを開いてアドレス バーにこの場所を入力します。

%localappdata%\Microsoft\Web Platform Installer\logs

このディレクトリとすべての下位ディレクトリに、Web PI によってインストールされたすべての製品のインストール ログが保存されています。 Web PI の要約画面には、失敗したインストールのログ ファイルへのリンクも表示されます。 Windows インストーラーのエラー コードの詳細については、「Windows インストーラーのエラー メッセージ (英語)」を参照してください。

Microsoft Web 配置ツールによってインストールされる製品

Web 配置ツールは、WordPress、DasBlog、SilverStripe、Subtext などの Web アプリケーションを Web PI のエコシステムに組み込む画期的なツールです。 既存の zip パッケージに数個のマニフェスト ファイルを追加するだけで、Web アプリケーションを Web PI に統合できます。 マニフェスト ファイルを追加すると、Web Platform Installer で Web 配置ツールが呼び出され、IIS Web サイトに Web アプリケーションがインストールされます。

Web 配置ツール テクノロジは、次の図のように、Windows Web アプリケーション ギャラリーに含まれるすべての Web アプリケーションに使用されます。

Web 配置ツールでは、そのすべての情報が x86_msdeploy.txt (32 ビット Windows システムの場合) または x64_msdeploy.txt (64 ビット Windows システムの場合) という名前のログ ファイルに記録されます。

確認済みの問題

共有構成が有効になっている場合、WebPI では追加の IIS コンポーネントをインストールできない: IIS 7.0 が "共有構成" で構成されている場合、Web PI では大半の 追加 IIS コンポーネントをインストールできません。 詳細については、記事「IIS 7.0 でコンポーネントをインストールまたはアンインストールできない」を参照してください。

Web PI によるアプリケーションのインストール中に発生する問題

アプリケーションを新しいサイトにインストールする際、Web PI では自動的に物理ディレクトリが作成されない: ディレクトリを手動で作成するか、物理パスのテキスト ボックスの横にある [...] ボタンを使用して新しいフォルダーを作成してください。

Web PI のパスワード欄を空白にできず、パスワードを入力する必要がある: アプリケーションで空白のパスワードが許可されていても、Web PI によるインストールではパスワードを空白にできません。

アプリケーションのインストール中に発生する Microsoft SQL Server の問題

SQL に "混合モード認証" を使用しないとアプリケーションが動作しない: ほとんどの Web アプリケーションでは、データベースにアクセスするために SQL ユーザー アカウントが必要です。 SQL に統合認証または Windows 認証だけを選択した場合、ギャラリーに含まれる一部のアプリケーションはインストールできません。

強力なパスワードの要件を満たしていない SQL パスワードを使用できない: ただし、Web PI では強力かどうかやその他の基準に基づいたパスワードの検証は行われません。アプリケーションをインストールするときに、強力でないパスワードを使用してアカウントを作成しようとすると操作に失敗し、インストールが失敗します。https://msdn.microsoft.com/ja-jp/library/ms161959.aspx に定義されている SQL ポリシーに従って、強力なパスワードを使用してください。

17 文字以上の SQL ユーザー名を使用できない: ただし、Web PI では長さまたはその他の基準に基づいたユーザー フィールドの検証は行われません。 アプリケーションをインストールするときに、17 文字以上のユーザー名を使用してアカウントを作成しようとすると操作に失敗し、インストールが失敗します。 16 文字以内のユーザー名を使用してください。

"Existing db" を選択する際、sa アカウントを使用すると失敗する: "Existing db" を選択する際、実行されるスクリプトではデータベースへの sa の追加が試行されるため、sa アカウントは使用できません。 sa は、一部の操作では使用できない特別なアカウントです。 sa ではない既存のユーザー名を使用してください。

Microsoft SQL Server に関するその他の問題 : これまでに挙げた推奨事項を実行しても問題が解決されない場合は、次のディレクトリにある SQL Server のログ ファイルで詳細を確認することをお勧めします。

"%programfiles%\microsoft sql server\100\setup bootstrap\log"

アプリケーション固有の問題

DasBlog では、https://localhost/dasblog のようなアプリケーション URL を設定する必要があります。 正しく設定しない場合、画像または CSS がいずれも適切に表示されません。 たとえば、ポート 81 で動作するサイトにインストールを実行する場合は、URL として「https://localhost:81/dasblog」を入力する必要があります。

Subtext の管理メニューは、IE6 では表示されません。この問題は、Windows 2003 やブラウザーが更新されていないその他のオペレーティング システムで起こることがあります。管理メニューを表示するには、IE を最新バージョンにアップグレードしてください。

Umbraco はサイト ルートにのみインストールできます。サイトのサブディレクトリに置くことはできません。

その他のトラブルシューティングのツールとヒント

Web PI で Microsoft Web Platform のコンポーネントをインストールする際に問題が発生した場合は、以下もヒントとして使用できます。

Fiddler

Web PI では、HTTP 要求によって製品カタログと製品パッケージがダウンロードされます。 これらの要求が成功したかどうかや、要求したリソースが引き続き利用可能かどうかを確認するには、Web デバッガーである Fiddler が役に立ちます。 Fiddler では、Web PI を実行する Windows コンピューターから送信されるすべての HTTP 要求が監視されます。Fiddler は、Fiddler Web デバッガーのページ (英語) からダウンロードできます。

Process Monitor

Process Monitor は、Windows のファイル システム、レジストリ、およびプロセス/スレッドの動きをリアルタイムで表示する、高度な監視ツールです。 Web PI では、インストール プログラムの動作を監視するために Process Monitor を使用できます。 Process Monitor は、Process Monitor のページからダウンロードできます。

Windows イベント ログ

Microsoft Windows では、エラー、情報メッセージ、警告が、Windows イベント ログと呼ばれる中央の場所に集められます。 イベント ログは見過ごされがちですが、多くの問題について解決策を示していることがありますので、 諦める前にぜひ確認してください。 イベント ログを起動するには、[ファイル名を指定して実行] メニューまたはコマンド ラインに次のコマンドを入力します。

eventvwr.msc 

Web PI のトレース機能

Web PI には追加のトレース メカニズムが組み込まれています。 次の構成ファイルを webplatforminstaller.exe.config という名前で "%programfiles%\Microsoft\Web Platform Installer" ディレクトリに保存することで、トレースをアクティブにできます。

                      <?xml version='1.0' encoding='UTF-8' ?>
<configuration>
  <system.diagnostics>
    <trace autoflush='true' />
    <sources>
      <source name='DownloadManager'>
        <listeners>
          <add name='TextFile'/>
        </listeners>
      </source>
    </sources>
    <sharedListeners>
      <add name="TextFile"
           type="System.Diagnostics.TextWriterTraceListener"
           initializeData="WebPI.log"/>
    </sharedListeners>
    <switches>
      <add name='mySwitch' value='Verbose' />
    </switches>
  </system.diagnostics>
</configuration> 
                    

"%programfiles%\Microsoft\Web Platform Installer" ディレクトリには、WebPI.log という名前のトレース ファイルも書き込まれます。

Web PI キャッシュのクリア

Web PI では、起動の高速化のために、製品カタログとその他のファイルがキャッシュされます。 製品カタログが古いか Web PI に間違ったデータが表示される場合は、キャッシュを削除することをお勧めします。 コマンドは次のとおりです。

del /q "%localappdata%\Microsoft\web platform installer\*"

問題が解決しない場合

この記事に示したトラブルシューティングのヒントをすべて試しても、Web PI の問題の原因がわからない場合は、http://iis.net/ (英語) の Web Platform Installer フォーラムをご利用ください。 https://forums.iis.net/1155.aspx (英語) をクリックすると直接このページに移動できます。

日本語のご質問は Internet Information Services フォーラムをご利用ください。

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