お客様事例: グラクソ・スミスクラインが Microsoft Online Services でシステムを標準化

発行日: 2009 年 2 月

Microsoft Online のサービス プログラム マネージャーをしております、Erik Gunvaldson です。近々、19 の国と 4 つの言語に対し、新たにアップグレード版の Microsoft Online Services の提供を開始することとなりました。このアップグレードにおいては、Office Communications Online にはインスタント メッセージングおよびプレゼンス情報が、Deskless Worker Suite には効率的かつ低コストの電子メールおよびコラボレーション機能がそれぞれ盛り込まれています。

この世界規模のアップグレードに関連し、私は、当社の新規顧客であるグラクソ・スミスクライン社から寄せられたコメントを紹介したいと考えました。世界各国に総勢 10 万人超の従業員を抱える同社は Microsoft Online Services による標準化を決断しました。グラクソ・スミスクラインの情報技術戦略担当副社長である Ingo Elfering 氏は以下のコメントで、プラットフォームの変更を決定した経緯について述べ、同様のプロセスを検討中の他の会社に助言を行っています。GSK のような業界トップの企業、そして Ingo 氏のような GSK の IT 部門において国際的に重要な役割を担うリーダーからこのような展望についてお話を伺うことは大変興味深いことであると考えます。

- Erik

お客様の声
Ingo Elfering
情報技術戦略担当副社長

グラクソ・スミスクライン

Ingo Elfering

※本件に関するより詳細な情報をデータシートにまとめてあります。以下のファイルをダウンロードしてご覧ください。

GSK Case Study.doc (Word ファイル、368 KB)

多様な IT 環境

グラクソ・スミスクラインは、今日の多数の大企業と同じく、2001 年にグラクソ・ウェルカム社とスミスクライン・ビーチャム社が合併して誕生しました。このような合併は、私たちのような IT 部門にとっては、いくつかの難しい決断を必要とする複数システムの複雑な結合を意味します。研究開発プロセスをサポートする Notes アプリケーションへの投資を理由に、グラクソで使用されていた Exchange プラットフォームの代わりに、スミスクラインで使用されていた Notes プラットフォームが選択されました。新しいイントラネットである GSK ポータルは、2001 年に、グローバルな単一のコミュニケーション チャネルと B2E プラットフォームを提供する Plumtree Software 上に実装されました。私たちは、複数の社内開発ソリューションを使用してコラボレーションに対応し、Lotus Sametime をグローバルに展開しました。

2007 年には戦略的な IT サービス レビューの一環として、いくつかの問題を特定しました。その 1 つとして、外部パートナー企業とのコラボレーション機能が挙げられます。また、米国および英国以外での市場の拡大にいかに効率良く対応できるかということも問題の 1 つでした。さらに、最も重要な問題として、これらすべての技術プラットフォームの生産終了が迫っているという事実の認識と、3 年以内の対処および再投資を必要とする更新計画がありました。

私たちは、以下の目標を達成するためには、システムの変更が必要であると判断しました。

  • 内部および外部とのコラボレーションの向上
  • 100 か国以上の 10 万を超えるユーザーによる世界的なユーザー コミュニティに対するサービスの強化と、コミュニティの生産性の向上
  • 環境の簡素化と、カスタマイズされたソリューションからの脱却
  • 運用および投資コストの削減

意思決定プロセス

取り組みの一環として、どのような選択肢があるかをより詳細に把握するため、プロジェクト チームが結成されました。このチームは、さまざまなグローバル IT 組織と、各事業単位および主な成長市場におけるパートナー企業の代表者で構成された、部門連携チームとなりました。このチームでは、世界中でどのようなサービスがどのサービス レベルで提供されているか、既存のテクノロジがアプリケーション プラットフォームとしてどのように使用されているか、そして、さまざまなツールが現在および今後どのように連携して、統合されたコラボレーション環境を構築するかについて、細部にわたって検討しました。チームが検討した主な問題として、他に以下のものが挙げられます。1) 今後のコラボレーション プラットフォームによって、GSK はどのように、変化する一連のユーザー プロファイル、デバイス、および新しいソフトウェア機能を活用できるようになるか。2) 他のサービス領域で IT をさらに簡素化するための機会をどうすれば最大限利用できるか。

私たちは、2008 年の 3 月に、チームは業界トップの IT ベンダーに対する提案依頼書 (RFP) プロセスを開始し、2008 年の夏に、当社のプラットフォーム向けに Exchange Online、SharePoint Online、Office Communications Online、Office Live Meeting を含む Microsoft Online Services を選択しました。Microsoft Online Services を選択した理由としては、主に以下の 3 つが挙げられます。

  • コスト: Online Services により、現状の約 30%、IT 運用コストを削減することができます。また、これらのテクノロジに対するさまざまなコスト サブスクリプション モデルを導入できるので、製薬業界における変革の際に、必要に応じて投資をより迅速に拡大あるいは売却することができます。
  • お客様の声: 数種類のユーザー調査が実施され、マイクロソフトを選択していることが確認されました。
  • 取り組み対象: チームは、社内 IT 部門が、コミュニケーションおよびコラボレーションにかかわる技術革新についてはマイクロソフトに委ねたうえで、市場において GSK を他社と差別化するさらなる技術革新の推進に重点的に取り組むようにしたいと考えていました。これにより、私たちは中核技術に重点を置くだけでなく、最新技術をクラウド経由で常に自在に使用できる、‘不朽の’ IT 戦略を実現することができます。

困難な作業が始まりました。移行は難問であり、導入を成功させるために、私たちはすべての IT サービスをまとめ、1 つのチームに再編成しました。そして、変更管理プログラムを開始しました。このプログラムが進むにつれ、このプロセスに関する詳細な情報を得ることになるでしょう。

学んだ事柄

このプロセスを通じて、私たちは、その過程でこれまでに得た知識を皆さんと共有したいと考えました。

  • コラボレーション サービスの実際の総保有コストを把握する - このコストは、思っている以上に高額になることが多いものです。
  • 実際に提供されるサービス、サービス レベル、提供場所を把握する。
  • 顧客の実際の希望と懸案事項を把握する。
  • 長期的なビジネス戦略と、それが IT に及ぼす影響について十分理解する。
  • ユーザー (実際に使用されている機能とその使用方法) について把握し、実際に必要とされている以上の機能を導入するのではなく、ニーズを満たすサービスを提供する。
  • IT 環境の複雑さを考慮し、その複雑さを緩和するための戦略的な方策の実施方法を検討する。
  • 移行対象とそれ以外を現実的に判断する。
  • ビジネス変更管理に対する取り組みを軽視しない。
  • 組織の成功のための準備を整え、適切なチーム、スポンサー、リーダーを用意する。
  • IT およびビジネスの周辺で、変更によりもたらされるチャンスと技術革新を探る。
  • 現在そして将来にわたって顧客に提供できる技術革新をどうすれば促進できるかを検討する。

Ingo Elfering
情報技術戦略担当副社長
グラクソ・スミスクライン