ユーティリティ スポットライト

Office Web Apps

Lance Whitney

今年 Microsoft Office 2010 が発売されるのに伴い、マイクロソフトは、Office 2010 スイートの新しいオンライン エディションを Web サイトで公開する予定です。Microsoft Office Web Apps では、Microsoft Office Word、Microsoft Office Excel、および Microsoft Office PowerPoint のデスクトップ バージョンに対応する Web ベースのバージョンが提供されます。また、最終的には Microsoft Office OneNote の Web ベースのバージョンもサポートされる予定です。オンラインで Office ドキュメントを編集、保存、および共有するツールを必要としている組織であれば、Office Web Apps は間違いなく導入を検討する価値のあるユーティリティです。

Web 上で Office ドキュメントを保存および共有するのは、厳密には新しい機能ではありません。Microsoft Office Live Workspace を使用すれば、オンラインでドキュメントを保存および管理することが可能でしたが、その一歩先を行く Office Web Apps では、ブラウザー内で実際にドキュメントを作成および編集できます。最終的に、Office Web Apps は Office Live Workspace の後継サービスとなる予定です。

Office Web Apps の編集機能は、デスクトップ バージョンの完全な機能と比較すると基本的なものしかありませんが、それでも、Office Live Workspace よりも、簡単に複数のユーザーが、同じドキュメントを更新したり、同じドキュメントで共同作業をしたりすることができます。

このオンラインのドキュメントはどこに保存されるのでしょうか。個人ユーザーは、マイクロソフトが無償で提供しているオンラインの記憶域、Windows Live SkyDrive サービスにドキュメントを保存できます。Microsoft Office SharePoint Server を使用している企業では、SharePoint サーバーにドキュメントのリポジトリを作成して、ドキュメントを社内に保存できます。Microsoft Office SharePoint Online など、特定の Microsoft Online Services を使用する企業では、クラウドにドキュメントを保存することが可能です。

Office 2010 と同様に、現在 Office Web Apps はベータ版またはテクニカル プレビュー版が提供されていますが、どちらも今年の前半に最終版がリリースされる予定です。ベータ版では、約束されたすべての機能が提供されているわけではありませんが、Office Web Apps 自体の機能を試すには十分です。

Office Web Apps にアクセスするには、Microsoft Office 2010 の Web サイトから Office 2010 ベータ版をダウンロードしてインストールする必要があります。

Office 2010 をインストールしたら、Word、Excel、または PowerPoint を起動して、Office Web Apps を実際に使用してみることができます。ここでは、試しに Word を使用します。Word でドキュメントを作成または開いて、[ファイル] メニューをクリックし、Backstage にアクセスします。Office 2010 に新しく追加された Backstage を使用すると、ドキュメントをすばやく保存したり開いたりすることが可能で、他のよく使用するコマンドもすばやく実行できます。Backstage で [共有] をクリックして、[SkyDrive に保存] をクリックします。[サインイン] をクリックすると、Windows Live アカウントで SkyDrive にログインすることを求めるメッセージが表示されます。

[写真]、[ビデオ]、[公開] および [マイ ドキュメント] という、4 つの既定のフォルダーが表示されます。最初の 3 つのフォルダーには、自分だけが参照するアイテムを保存し、[公開] フォルダーには、他のユーザーと共有するアイテムを保存します。たとえば、[マイ ドキュメント] フォルダーをダブルクリックすると、おなじみの [名前を付けて保存] ダイアログ ボックスが表示されるので、名前とファイル形式を指定して、ドキュメントを保存します。

 

図 1 Excel ドキュメントをオンラインで編集できる Excel Web App

初めて SkyDrive にドキュメントを保存したときには、ブラウザーで SkyDrive アカウントに直接ログインして、Office Web Apps の使用許諾契約書に同意する必要があります。SkyDrive で、ドキュメントを保存したフォルダーを開き、ドキュメントを選択したら [表示] コマンドをクリックします。使用許諾契約書が表示され、同意すると、ブラウザーでドキュメントが表示されます。一度使用許諾契約書に同意すると、その後は、オンラインのドキュメントをよりスムーズに保存および開けるようになります。

社内で SharePoint を運用していて、オンラインのドキュメントを、セキュリティで保護された安全な状態で保存し社外に公開しない場合は、Office Web Apps リポジトリとして SharePoint ワークスペースを使用することをお勧めします。もちろん、これまでも SharePoint を使用して Office ドキュメントなどのファイルを保存または共有することは可能でしたが、Office Web Apps では、SharePoint (特に SharePoint 2010) との統合が強化されることが約束されており、管理者だけでなく、他のユーザーもドキュメントを作成および編集できるようになります。マイクロソフトでは、SharePoint の管理者向けに、Office Web Apps を導入する方法について説明している技術文書 (英語) を公開しています。

ワークスペースをセットアップしたら、保存先が SkyDrive と SharePoint のどちらでも、ドキュメントにアクセスするのに Office 2010 がローカルにインストールされている必要はありません。ブラウザー上で、ドキュメントの作成、編集、表示、削除、コピー、移動、名前の変更、およびダウンロードを行えます。現在は、Excel と PowerPoint の編集機能のみが使用できます。Word のオンラインでの編集機能は、ベータ版ではまだ機能しませんが、最終リリース版では使用できるようになる予定です。

Office Web Apps で他のユーザーとドキュメントを共有するには、Office Live Workspace と同じように、ドキュメントへのリンクを各ユーザーに電子メールで通知する必要がありますが、Office Web Apps には強化された点があります。Windows Live アカウントを持っているユーザーまたは SharePoint サーバーにアクセスできるユーザーは、共有ドキュメントをオンラインで表示および編集できます。

Office Web Apps を使用する際には、ベータ版であることに留意してください。使用が制限されている機能や、使いにくい機能がまだいくつかあります。また、Word ドキュメントを編集する機能など、使用できない機能もあります。ですが、製品が完成に近づくにつれて、使いやすくなり、すべての機能を試せるようになります。

Office Web Apps は、Windows、Linux、Mac において、Internet Explorer 7 および 8、または Firefox 3.5 以上で実行できます。また Mac では、Safari 4.0 以上でも実行できます。Office Web Apps の詳細については、マイクロソフトの Web サイトを参照してください。

Lance Whitney は、IT コンサルタントであり、トレーナーであり、テクニカル ライターでもあります。Windows のワークステーションおよびサーバーをカスタマイズする作業に数えきれないほどの時間を費やしてきました。元々はジャーナリストでしたが、15 年前、IT 業界への転向を実現しました。

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