ツールボックス

IT プロフェッショナル向けの新製品

Greg Steen

このコラムで示した意見は著者の意見であり、マイクロソフトの意見を反映しているとは限りません。すべての価格はこのコラムの執筆時点のものであり、変更される可能性があります。

Input Director
Web サイト: http://www.inputdirector.com/downloads.html (英語)

IT プロフェッショナルとして、1 日中複数のシステムの間を飛び回っていたりしませんか。これは特に品質保証を担当している IT プロフェッショナルに言えることです。このような IT プロフェッショナルは、ユーザーが共有する必要がある特定のワークステーションにライセンス付与されたアプリケーションを含む環境や異なるプラットフォームで、アプリケーションをテストする必要があります。このようにテストしなければならない各システムに必要なキーボードとマウスが散乱したデスクをすっきりさせるには、無償で利用できる Input Director ツールの使用を検討することをお勧めします。

Input Director を使用すると、1 つのキーボードとマウスで複数の Windows システムを制御できます。このツールは、Windows 2000 SP4 から Windows Server 2008、Windows 7 までの、ほとんどのバージョンの Windows で機能します。各コンピューターにツールをインストールすると、1 台のコンピューターをマスター システム、残りをスレーブ システムとして構成できます。

このツールでは、Windows ファイアウォールに (マスターとスレーブの間の通信を可能にするための) 規則を追加するという厄介な作業が自動的に行われるので、この問題を解決できます。そして、スレーブの各システムには、マスターで管理できるようにするためのいくつかの設定を構成します。この操作を行うには、ホスト名と IP アドレスの組み合わせまたは IP アドレスの範囲のいずれかを明示的に指定して、マスターとなるコンピューターを定義します。必要に応じて、マスターとスレーブ間のデータ通信で AES 暗号化 (128 ビット、192 ビット、または 256 ビットの強度) を有効にできます。また、希望があれば、マスターからのシャットダウン コマンドを、スレーブで無視するように設定できます。これは、複数のユーザーで共有しているテスト システムで非常に役立つ機能です。

マスター コンピューターでは、接続するスレーブ コンピューターとその接続方法を指定して、マルチモニター システムでは画面のレイアウトを決定します。必要な設定を構成すると、マウスを画面の端に移動するだけで、システムを切り替えられます。画面ではスレーブが順次表示されますが、マスターの設定オプションを構成している場合は、スレーブが一巡すると画面に再度マスターが表示されます。また、必要に応じて、ホット キーの組み合わせ、画面の端のダブルクリック、一定時間のポイント操作を、システムを切り替える操作として定義できます。現在のタスクに必要ないスレーブをスキップすることができるオプションもあります。このように設定したスレーブの設定は、所定のホット キーの組み合わせを押して有効にすることもできます。

他のマスターの設定オプションでは、スレーブのマウスとキーボードのオプション (ボタンの設定、キーボード レイアウトなど) を、システムの切り替え時にマスターに転送するかどうかを指定できます。また、Ctrl キー、Alt キー、および Delete キーを同時に押して Windows をロックする操作を、違うキーの組み合わせに置き換えることもできます。

全般的な設定では、Windows を起動したときに Input Director を自動的に開始して、コンピューターをスレーブまたはマスターとして自動的に設定することができます (この設定は、マウスとキーボードが既に取り外されているスレーブのシステムを再起動するときに便利です)。また、システム間でクリップボードやファイルのデータを共有することも可能です。

テスト用のシステムに役立つ機能もいくつかあります。特定のアプリケーションのすべての通信をマスター コンピューターの NIC 経由でルーティングする場合、各システムで既定で使用するインターフェイスを選択できます。既定の通信ポートが使用できない場合は、別の通信ポートを指定できます。また、Input Director には 1 回のクリック操作で、すべてのシステムを一度にシャットダウンできる機能があります。これもテスト用のシステムに役立つ優れた機能の 1 つです。

また、スレーブのシステムで一連の繰り返しの手順を実行するのに使用できる簡単なキーストロークのマクロ レコーダーもあります。たとえば、コマンド プロンプトを開き、アプリケーションを起動して、フォーカスがあるフォームにデータを入力するマクロを作成できます。もちろん、この機能ではキーストロークのみを記録するので、Windows キーと R キーの組み合わせを同時に押して、[ファイル名を指定して実行] ダイアログ ボックスを表示する必要があります。

システム間を行ったり来たりするのにうんざりしていたり、複数のキーボードとマウスの山を一掃したい場合は、便利かつ無償で利用できる Input Director の使用を検討することをお勧めします。

IPNetInfo
Web サイト: http://nirsoft.net/utils/ipnetinfo.html (英語)

Web サイト、メール サーバー、FTP サイトなど、外部から自由にアクセスできるサービスを利用している場合、それらのログを見ると、ボットやユーザーがサービスのセキュリティを試したことで発生した問題のあるアクティビティが明らかになります。

このようなボットやユーザーは身元を盗用している可能性がありますが、Whois サーバーと IP アドレスから、サービスに対して行われた不審な要求の出所について非常に多くの情報を入手できます。ただし、アドレスの割り当てを行っている機関によっては、そのアドレスの詳細情報を入手するには、複数の異なるサイトにアクセスする必要があります。また、おそらく、詳細を知りたいアドレスは 1 つではなく、複数存在するでしょう。

NirSoft が提供する IPNetInfo は、このプロセスを高速化するツールです。この使いやすいユーティリティを使用すると、複数の Whois サーバーをクエリし、一連の IP アドレスについて必要な情報を入手できます。このツールでは、レジストリを設定したり、システムにファイルをインストールする必要はありません。そのため、簡単に管理ユーティリティの USB キーや CD に追加して、システム間を移動するときに持ち運ぶことができます。このツールを起動すると、テキスト ボックスが表示されるので、そこにターゲット システムのホスト名、IP アドレス、またはその組み合わせを貼り付けたり入力できます。

また、電子メールのメッセージ ヘッダーを貼り付けることもできます。このツールでは、メッセージ ヘッダーに含まれるすべての IP アドレスとホスト名を解析します。これは、電子メールの差出人と配信経路を、すばやく追跡するのに非常に便利です。一定の時間内にあまりに多くの要求を行うと、一部の Whois サーバーは動作が少し不安定になります。サーバーへの接続が切断される可能性を減らすために、特定の数の要求を行った後には、要求の送信を一定の時間 (秒単位) 一時停止するように設定できます。

一連の IP アドレスを入力して [OK] をクリックすると、このツールでは Whois サーバーに対してアドレスの詳細情報についての要求を開始します。結果は、2 つに分かれたメイン ウィンドウに表示されます。上部には表形式ビューで結果が表示され、下部には詳細ウィンドウが表示されます。上部に表示される概要では、表示する列を指定できます。この概要には、ネットワークと所有者の名前、割り当てられたアドレス範囲、連絡先と所在地、悪意のある電子メール アドレス、(入手できる場合は) 電話番号と FAX 番号、登録されている会社の国名など、登録の詳細情報が表示されます。

インジケーターには、要求が正常に完了したかどうかと、情報を提供した Whois ソース サーバー (ARIN、APNIC など) が表示されます。また、可能であれば、IP アドレスから解決された名前までを含む、検索結果を入手できます。詳細ウィンドウには、Whois サーバーからの応答が未加工まま標準の応答形式で表示されます。

IPNetInfo では、テキスト ファイルや HTML ファイルに結果を保存できます。また、詳細ウィンドウに表示された Whois サーバーからの応答の内容をファイルに保存することもできます。今度、IP アドレス (または IP アドレスに対応するホスト名) の詳細情報を知りたいと思ったときには、ぜひ IPNetInfo をお試しください。特に無償で使用できるところがお勧めです。

QweryBuilder
Web サイト: http://werysoft.com/ (英語)

お使いの環境で複数の種類のデータベース サーバーを管理する必要がある場合、すべてのデータベースを 1 つのツールで集中管理できると便利です。Werysoft が提供する QweryBuilder は、まさにそのような管理を目的としたツールです。このツールを使用すると、同じ GUI で Microsoft SQL Server、Sybase ASE、SQL Anywhere、および Oracle のインスタンスに接続して、データベース スクリプト、スキーマ オブジェクト、およびデータを確認、作成、更新、削除することができます。

本質的に、QweryBuilder は、サーバー管理ツールというよりも、SQL スクリプト ツールです。作業を開始するには、まず、接続するサーバー インスタンスを登録する必要があります。登録されたサーバーは、UI の左側のウィンドウのツリー ビューに表示されます。右側のメイン ウィンドウ (ここで作業を行います) にある複数のタブには、異なるクエリや他のツールの結果が表示されます。スキーマ オブジェクトのコンテンツは、ツリー ビューを参照し、オブジェクトをクリックするだけで確認できます。テーブルをクリックすると、テーブル定義と適用される可能性がある制約が生成されます。また、ストアド プロシージャ、関数、トリガー、およびビューには drop ステートメントが用意されているので、オブジェクトを簡単に更新できます。

QweryBuilder には、仕事の効率化に役立つ、興味深いツールとショートカットが多数用意されています。Visual Difference ショートカットでは、データベースにある 2 つのオブジェクトをポイントすると、その差異を表示します。このショートカットでは、WinMerge と呼ばれる別の無償ツールを使用しています (私がこのツールを調査したのは 2006 年でしたが、今でもまだ http://winmerge.org で人気を集めています)。Auto Format ツールを使用すると、不完全な形式で大文字と小文字が混在している SQL ステートメントを、わかりやすい標準の形式に変換できます。

Database Search ツールでは、特定の文字列または文字列のセットのアイテムを、対象のデータベースのすべてのオブジェクトで検索して、簡単に参照を検出できます。繰り返し使用する SQL ステートメントを入力する手間を省く方法を探している場合は、My Autocomplete がお勧めです。これを使用すると、完全な SQL ステートメントのスニペットを構成する短い文字列を定義できます。独自の SQL テンプレートを追加することもできます (これは、特定の形式またはドキュメントのヘッダーを定義に追加する場合に便利です)。

複数の種類のデータベース サーバーを管理する単一のツールを探している場合は、QweryBuilder の使用を検討することをお勧めします。このツールは、インストールしたインスタンスごとに、75 ドルの使用料がかかります。サイト ライセンスは 1,500 ドルで購入できます。また、フル機能の無料の試用版は、製品の Web サイトから直接使用できます。

Greg Steen は、技術プロフェッショナルであり、起業家でもあります。また、新製品のファンであるとも言えます。より簡単な操作、品質保証、および開発に役立つ IT プロフェッショナルのための新しいツールを日夜追い求めています。

 

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