ソーシャル タグの概要 (SharePoint Server 2010)

 

適用先: SharePoint Server 2010

トピックの最終更新日: 2011-06-20

"タグ" は、情報を構成する小さな要素を一連の属性または条件に従って識別する単語または語句です。タグを使用すると、特定の対象物またはタスクに関する情報の検索と共有が容易になります。

ソーシャル タグを使用すると、ユーザーは自分にとって意味のある方法で情報を分類できます。ソーシャル タグは、特定のタグについてフィルター処理することで検索結果の質を高め、情報の共有を望んでいるユーザーを似た関心を持つ他のユーザーに接続することもできます。

ここでは、Microsoft SharePoint Server 2010 のソーシャル タグ機能の概要について説明します。ソーシャル タグ機能を構成する方法については説明しません。また、ソーシャル タグ機能を企業のソーシャル メディア戦略全般の一部として実装する方法についても説明しません。詳細については、「ソーシャル タグのプライバシーとセキュリティへの影響 (SharePoint Server 2010)」を参照してください。

この記事の内容

  • ソーシャル タグ機能について

  • ソーシャル タグ機能

  • ソーシャル タグの使用と利点

  • ソーシャル タグの影響

ソーシャル タグ機能について

ソーシャル タグ機能は、より高い効率で情報を共有し、関連する高品質のコンテンツを取得するのに役立ちます。このような情報共有によって、グループ作業が活性化され、情報と支援を提供できる特定の分野の専門家と連絡を取ることが可能になります。企業では、SharePoint Server 2010 のソーシャル タグ機能を使用して業界また行政上の規制に準拠したり、監査または電子情報開示に備えたりすることもできます。詳細については、「電子情報開示の計画 (SharePoint Server 2010)」を参照してください。

ソーシャル タグ機能

SharePoint Server 2010 には、以下のソーシャル タグ機能があります。

  • ソーシャル タグ。興味のあるアイテムを保存したり、プロジェクトのすべての情報を整理したり、興味の対象が共通する他のユーザーと連絡を取ったりすることを可能にします。

  • メモ掲示板。Web ページ、ドキュメント、およびライブラリ アイテムに関するコメントを追加して、一元管理できます。

  • 評価。コンテンツの価値を等級 (星 1 ~ 5 個など) で評価できるソーシャル タグです。

  • ブックマークレット。SharePoint 環境の外部にあるページにタグおよびメモを追加できます。たとえば、インターネット上の Web サイトのページにタグを追加した場合、それらのタグとメモを個人用サイトの [タグとメモ] タブに表示できます。

ソーシャル タグ、メモ掲示板、および評価は、User Profile Service のソーシャル機能の使用権限によって制御されます。

ソーシャル タグ

ソーシャル タグは、情報を構成する小さな要素を表すためにユーザーによって生成される単語または語句です。正規の分類法の一部ではなく、SharePoint Server で Managed Metadata Service アプリケーションに関連付けられる用語ストア内のエンタープライズ キーワードや、特定の診断を表すために医療機関で使用される ICD (International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems) コードなどとは無関係です。ソーシャル タグは、特定の情報の構成要素に対するユーザーの主観的な経験に基づいて作成できます。

ソーシャル タグは、ユーザー ID、アイテムの URL、およびタグ自体から構成されます。ソーシャル タグは、User Profile Service の一部であるソーシャル タグ データベースに保存されます。既定で、すべての認証済みのユーザーはソーシャル タグをドキュメントやその他の SharePoint アイテムに追加できます。ソーシャル データの管理権限を持つユーザーはタグを削除できます。

タグ クラウドは、ユーザーのグループが同じ情報の構成要素に適用したタグの集計ビューを提供します。SharePoint Server 2010 には、既定で個人用サイトに表示されるタグ クラウド Web パーツがあります。管理者とユーザーは、タグ クラウドをフィルター処理して、個人用サイトの所有者、特定のグループ、または個人用サイトを閲覧できるすべてのユーザーによって使用されるタグを表示できます。この表示は、日付と言語に基づいてフィルター処理することもできます。頻繁に使用されるタグは大きな太字のテキストで表示され、使用頻度の低いタグはそれよりも小さなテキストで表示されます。各タグには、適用された回数を示す数字を関連付けて表示できます。

メモ掲示板

メモ掲示板は、SharePoint Server 2010 サイトに即席のコメントを残すことができる Web パーツです。また、メモ掲示板のコメントは、自分自身または他のユーザーの個人用プロファイル ページに残すこともできます。匿名ユーザーは、メモを追加できません。

メモ掲示板を使用すると、電子メール、インスタント メッセージング、または電話に切り替えなくても、現時点での自分の考えを即座に表現できます。たとえば、閲覧している Web ページについてのコメントをそのページから移動しないで残すことができます。他のユーザーは、そのコメントと Web ページへのリンクを見ることができ、興味があれば、そのリンクをクリックして Web ページに移動できます。この機能によって、個人用サイトと個人用プロファイル ページは、公開された対話を一元管理する場所に瞬時に変わることができます。

評価

SharePoint Server 2010 の評価機能は、コンテンツが特定の条件をどの程度満たすかを等級で評価または分類する機能です。評価では、平均スコアを 1 ~ 100 の範囲で示し、そのスコアの追加情報をポップアップ ウィンドウに表示します。SharePoint リスト、ドキュメント ライブラリ、個別の Web ページに含まれるアイテムを評価できます。アイテムを評価するために、そのアイテムへの書き込みの権限を持つ必要はありません。

評価は、ユーザー ID、アイテムの URL、および評価自体から構成されます。また、評価が適用された日付と時刻も含まれます。評価は、ソーシャル タグが格納されるデータベース内のテーブルに保存されます。

既定で、評価のサポートはファーム全体で有効になっています。ただし、評価を特定のサイト コレクションで使用するには、最初に評価をそのサイト コレクションに対して有効にする必要があります。評価のサポートがファームで有効になっていれば、評価をサイト テンプレートに対して有効にすることができます。既定で、評価機能は、発行ポータルのサイト テンプレートに対して有効になっています。

ブックマークレット

ブックマークレットは、ブラウザー内でブックマークとして保存できる JavaScript コントロールです。ブックマークレットを使用すると、SharePoint 環境からインターネット上の Web サイトなどの SharePoint 環境外の Web サイトにあるアイテムにタグ、メモ、または評価を与え、それらのタグ、メモ、または評価をチームや仕事仲間と共有できます。

注意

タグ自体は常に公開されますが、特定のアイテムにタグを付けたことが他のユーザーにわからないように設定することはできます。メモは常に公開されます。

外部 Web サイトにタグを付けるときは、個人用プロファイル内に http://my/_layouts ページが表示されます。このページで入力したすべてのタグとメモは、ユーザーの個人用サイトの [タグとメモ] タブとユーザーのプロファイル ページの両方に表示され、ユーザーのチームや仕事仲間はここで閲覧できます。

ブックマークレットは、ユーザー ID、単語または語句、およびタグを付けたコンテンツへの URL から構成されます。ユーザーは、自分のプロファイル ページの [タグとメモ] タブでブックマークレットを非公開に設定できます。また、ブックマークレットを削除することもできます。

ソーシャル タグの使用と利点

ソーシャル タグは、企業のビジネス組織と IT 組織の両方にとって利点があります。

ビジネス上の利点

SharePoint Server 2010 のソーシャル タグ機能は、グループ作業を強化し、ビジネス情報の検出を容易にすることにより、ビジネスに役立ちます。

グループ作業を強化して技術革新を促進する

ユーザー プロファイルは、ユーザー自身の識別と専門家の特定に役立ちます。メモ掲示板のコメントを基に、特定のトピックに関心を持つユーザーのグループを識別できます。ユーザーの [個人用の仕事仲間] リスト向けの候補は、これらのソーシャルな間柄に基づいて提案されます。

ビジネス情報の検出を容易にする

ソーシャル タグ機能は、高品質のコンテンツの可視性を向上し、コンテンツの最新バージョンを識別するのに役立ちます。たとえば、個人用サイトのフィードは、ユーザー プロファイルに追加されているタグが Web ページに付けられると、そのことをユーザーに通知できます。また、これらの機能をビジネス インテリジェンス アプリケーションに統合すると、ユーザーは SharePoint 環境を離れることなく業務に必要なエンタープライズ データにアクセスできます。

IT 上の利点

SharePoint Server 2010 のソーシャル タグ機能は、IT 組織に以下の利点を提供します。

  1. グループの活動を制御すると同時にユーザーが一定の設定を任意に管理することを許可するポリシーを設定できるので、ソーシャル タグを使用する活動に関する日々の管理に対する IT の関与を減らすことができます。

  2. 制限された読み取り専用の権限を匿名ユーザーに付与して、アクセスを特定の選択されたサイト コレクションに限定できます。

  3. 段階的なロールアウトを有効にし、ユーザーの増加に応じて容量を追加するために、SharePoint Server 2010 の拡張可能なアーキテクチャを使用することを事前に計画できます。

  4. ソーシャル タグ機能をサーバーの全体管理レベル、サイト コレクション レベル、またはサイト レベルで管理できます。IT 管理者は、ユーザーをサイト コレクションまたはサイトの管理者に任命して、サイト コレクションまたはサイトに対するソーシャル データの管理権限を与えることができます。このように管理責任を分散すると、IT リソースを効率よく利用できます。

  5. ソーシャル コンピューティング機能を使用して IT スタッフのサポート活動の負担を軽減できます。たとえば、ホストされているエンタープライズ Wiki はヒントやコツをユーザー間で共有するのに役立ち、RSS フィードはサポートの更新を送信できます。

  6. 新しいツールを既存のアプリケーションに統合して、ユーザー エクスペリエンスの一貫性を維持できます。これは、新しいツールを受け入れやすくし、トレーニング コストを最小限にします。

ソーシャル タグの影響

ソーシャル タグには多くの利点がありますが、それにはリスクも伴います。コンテンツのセキュリティとユーザーのプライバシーは、ソーシャル タグを実装した環境で主に懸念されることです。また、パフォーマンスと容量の問題も、ソーシャル タグ機能を長期間にわたって適切に利用するには重要な課題です。

セキュリティとプライバシー

適切な防止策を適用しない限り、ユーザーのプライバシーが侵害されたり、秘匿する必要があるコンテンツが公開されたりする可能性があります。SharePoint Server 2010 では、管理者がポリシーを設定して、プライバシーを保護しながらソーシャル機能の使用に関してはユーザーの裁量を認めることができます。詳細については、「ユーザー プロファイルのポリシーを計画する (SharePoint Server 2010) (現在不使用)」を参照してください。また、SharePoint Server 2010 では、機密性の高いコンテンツを保護できます。たとえば、管理者は、サイト URL を除外サイト リストに追加してそのサイトとサブサイトにタグを付けることを禁止できます。

ユーザーは、ソーシャル タグ機能に実装されているセキュリティとプライバシーのしくみを理解する必要があります。たとえば、だれかがサイトまたはドキュメントにタグを付けると、そのサイトまたはドキュメントのタイトルと URL が、そのユーザーを個人用サイトで仕事仲間としてリストに加えた他のユーザーと、そのタグを興味の対象としてユーザー プロファイルに追加した他のユーザーに向けてブロードキャストされることを理解する必要があります。詳細については、「ソーシャル タグのプライバシーとセキュリティへの影響 (SharePoint Server 2010)」を参照してください。

パフォーマンスと容量

パフォーマンスと容量の問題が、ソーシャル タグの使用をユーザーにためらわせる可能性があります。1 つのタグ、評価、ブックマークレット、またはコメントが必要とする記憶域はわずかですが、積み重なるとプロファイル データベース、ターム ストア、およびソーシャル タグ データベースのサイズに影響を及ぼします。ソーシャル タグの利用が急伸しているので、多数の新規ユーザーに対応するためにスケール アウトできる設計が必要となります。

See Also

Concepts

ソーシャル コンピューティングとグループ作業を計画する (SharePoint Server 2010)
個人用サイトを計画する (SharePoint Server 2010)