仮想化を計画する (SharePoint Foundation 2010)
適用先: SharePoint Foundation 2010
この記事では、Microsoft SharePoint Foundation 2010 を仮想環境内で展開するために従う計画プロセスについて説明します。計画プロセスの各手順には、該当のドキュメントへのリンクが示されています。仮想環境内で展開する SharePoint Foundation 2010 ソリューションが決定されていることが前提です。表面的には、仮想マシン上での SharePoint Foundation 2010 ファームの展開は、物理サーバー上でのファームの展開と同じです。ただし、仮想環境内での展開の場合、Windows Server 2008 Hyper-V テクノロジの特性に加えて、仮想マシン、仮想ネットワーク アダプター、および仮想ハード ディスクの仮想化サーバー上での実装方法を考慮した、異なるレベルの計画を伴います。
仮想化計画の作成を開始する前に、「Hyper-V の計画および展開ガイド」(https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=187964&clcid=0x411) を参照することをお勧めします。
以下の項目の詳細については、この記事では説明しません。別の記事に説明があります。
容量管理
高可用性
仮想環境の使用
セキュリティ要件
障害復旧
ビジネス継続性計画
仮想環境は、物理と仮想という相互に関連する 2 つのレイヤーで構成されます。一方のレイヤー内での構成の変更は、他方のレイヤー内のサーバーに影響します。この相互関係は、仮想環境内で SharePoint Foundation 2010 を計画、展開、および使用するときに明らかになります。
仮想環境内で SharePoint Foundation 2010 を展開する計画を作成する
仮想ファームの計画は、物理ファームの計画と同じように行います。物理サーバーへの SharePoint Foundation 2010 の展開で生じる問題および要件の、すべてではないにしてもそのほとんどは、仮想マシンにも等しく適用されます。プロセッサやメモリーの最小要件といった決定は、必要な仮想化ホストの数に加えて、ファーム用に識別した仮想マシンを適切にサポートする機能にも直接影響します。
物理ファームの計画が終了すると、仮想化アーキテクチャを設計するのに必要なすべての情報が得られます。このアーキテクチャが、運用環境に移す最終的な仮想化ソリューションに限りなく近いものであることが理想です。現実には、システムのライフサイクルの展開フェーズを進める中で、アーキテクチャは変更される可能性があります。実際、いくつかのファーム サーバー ロールが仮想化の候補に適さないと判断されることがあります。
重要な計画の手順、タスク、および参照先を、以下に示します。
仮想化計画を作成するには
仮想化の範囲を決定します。
範囲の決定は、仮想化プロジェクトを実装、管理、および評価する際の重要な要因です。ほとんどのソリューションには、さまざまなファーム コンポーネントが含まれる点を考慮してください。たとえば、インターネットに接続された Web ポータルは、通常、公開用のファーム、オーサリング ファーム、およびテストや品質保証用のファームを持ちます。範囲を決定する際は、ソリューション インフラストラクチャの一部を仮想するのか、すべてを仮想化するのかを決定する必要があります。
以下のタスク リストを使用して、仮想化の範囲を決定します。
タスク 1: ソリューションを実装するのに必要なすべてのファームを識別します。
タスク 2: 各ファームについて、必要なサーバー数と、ファーム内での各サーバーのロールを決定します。
タスク 3: 仮想環境内で展開するファームを識別します。
ソリューションの範囲決定により展開の範囲が絞り込まれ、実装と管理が簡単になります。詳細については、「サイトおよびソリューションの計画 (SharePoint Foundation 2010)」を参照してください。また、ソリューションは共通の要素を共有しますが、各ソリューションには独自の要件があります。詳細については、「基本的なサイトの計画 (SharePoint Foundation 2010)」を参照してください。記事では、一般的なソリューションの 1 つを示します。
ソリューションの目標、要件、または業務部門に応じて範囲を絞り込みます。
仮想化するサーバーを識別します。
仮想化に適した候補であるサーバーを識別します。技術的および Microsoft サポートの観点からは、すべての SharePoint サーバーを仮想化できます。仮想化する特定のファーム サーバーの決定は、以下の項目に基づきます。
企業のコンプライアンス ポリシー (法律上、技術上など)。
消費電力の削減、物理的なスペース要件など、サーバー統合によって得られるメリット。詳細については、「Server virtualization」(https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=187965&clcid=0x411) を参照してください。
容量要件 (次の計画手順を参照)。
各ファーム サーバーの容量要件を識別します。
物理サーバーの場合と同様に、各ファーム サーバーのリソース要件を決定します。エンタープライズ検索コンポーネントのホストなど、特別なサーバー ロールを考慮します。以下の各サーバー コンポーネントで必要なリソースの量を指定する必要があります。
メモリ
プロセッサ数と最小クロック速度
ハード ディスクの数とサイズ
ネットワーク アダプターの数と要求されるスループット速度
注意
物理サーバーと仮想マシンに対して、ピーク負荷を計画し、負荷の急激な増大の処理方法を決定します。
仮想マシンが物理要件を満たすかどうかを判断します。
手順 2. で識別した各仮想マシンが、対応する物理サーバーの容量要件を満たすかどうかを判断する必要があります。少なくとも、以下のタスクを実行します。
タスク 1: 使用可能な仮想化ホスト容量のコンテキストで、メモリ要件を評価します。
タスク 2: プロセッサ要件を評価します。Hyper-V には、1 台の仮想マシンにつき 4 つの仮想プロセッサというハードウェア上の制限があります。物理ファーム サーバーで 8 個のプロセッサが必要な場合、ファーム内の仮想マシンの数をスケール アウトすることによってこの要件を満たすことができるかどうかを判断します。
タスク 3: ローカル物理記憶域または SAN のコンテキストで、仮想マシンの記憶域要件を評価します。
仮想化ホスト要件を決定します。
最小ホスト要件 (メモリ、コア数、ローカル ハード ドライブの数とサイズ、ネットワーク アダプター数) を決定します。以下についても考慮して、計画します。
スケーラビリティ: CPU、メモリ、ハード ディスク、およびネットワーク アダプターをホスト コンピューターにさらに追加できるかどうかを決定します。
重要
メーカーやコンピューター モデルによっては、容量を増やせない可能性があります。サーバーを使用または購入する前に、この情報を入手する必要があります。
追加のホスト容量: 既存の仮想マシンをスケール アップまたは追加できる容量を、ホストが持つかどうかを決定します。Hyper-V のフェールオーバー クラスタリング、クイック マイグレーション、またはライブ マイグレーションを使用する予定の場合、これは非常に重要です。
重要
ピーク負荷を計画し、急激な負荷の増大の処理方法を決定します。
仮想化アーキテクチャを設計します。
ソリューションの成功には、適切に設計されたアーキテクチャが必要です。SharePoint Foundation 2010 では、基本の 3 層トポロジが、すべてのソリューションの基盤を提供します。以下の要素が、推奨される基盤トポロジに基づく適切な設計を形成します。
全体的なパフォーマンスの高さ
メンテナンスとアップグレードの容易さ
柔軟性
スケーラビリティ
高可用性
仮想化アーキテクチャ モデルは、ファーム トポロジを形成する仮想化ホストと仮想マシンで構成されています。このモデルにより、展開を計画する仮想化環境を視覚化できます。
注意
計画プロセスを進める中で、アーキテクチャの調整に備えてください。以下の手順では、アーキテクチャへの変更が指示されることがあります。
記憶域要件を識別します。
構成ファイル、仮想ハード ディスク (VHD)、スナップショットなど、Hyper-V 関連の記憶域にとって必要な、ローカル物理記憶域または SAN 記憶域の量を決定します。
バックアップと復元の要件を識別します。
ファーム サーバーに加えて、ファームの全体または一部のバックアップと復元を計画する必要があります。詳細については、「バックアップと復旧 (SharePoint Foundation 2010)」を参照してください。
高可用性の要件を決定し、ソリューションを設計します。
Web サーバー、アプリケーション サーバー、およびデータベースの高可用性を実現するための方法を識別します。一般的な方法には、以下のものがあります。
冗長なハードウェアとサーバー。
ホット スワップ可能なコンポーネント。
仮想サーバーと物理サーバーのフェールオーバー クラスタリング。詳細については、「Hyper-V: Using Hyper-V and Failover Clustering (英語)」(https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=187967&clcid=0x411) (英語) を参照してください。
データベース サーバーのクラスタリングまたはミラーリング。
仮想環境を監視するための正常性と容量のインジケーターを識別します。
これまでの手順で得られた主要なインジケーターと、SharePoint Foundation 2010 に対して行った計画を組み合わせます。詳細については、「サーバー ファームと環境の計画 (SharePoint Foundation 2010)」を参照してください。仮想環境内の以下のオブジェクトから測定値を収集するために、すべての正常性および容量のインジケーターを決定する必要があります。
SharePoint Foundation 2010 がインストールされている仮想マシン
ファイアウォール サーバーなど、ファームに含まれていない仮想マシン
仮想化ホスト
ネットワーク コンポーネント
仮想環境からデータの収集を開始すると、展開時、およびファームが運用環境に移された後で、仮想環境を評価および調整するために使用できるベースラインを作成できます。
システムのライフサイクルの展開フェーズの展開計画を作成します。
詳細については、「技術ダイアグラム (SharePoint Foundation 2010)」に記載されている SharePoint 2010 製品の展開モデルを参照してください。
メンテナンス計画を作成します。
パスワード変更を実装したり、ソフトウェア更新プログラム、サービス パック、および修正プログラムを適用したりできる、メンテナンス計画を作成します。この計画には、仮想マシンと仮想化ホストを含める必要があります。