ユーティリティ スポットライト: Microsoft Office Environment Assessment Tool

Lance Whitney

Microsoft Office 2010 への移行を検討してる場合は、今月のコラムで紹介する無料ユーティリティ Microsoft Office Environment Assessment Tool (OEAT) の使用を検討することをお勧めします。このユーティリティでは、コンピューター全般の設定をチェックし、Office 2010 のアップグレード要件を満たしているかどうかを確認します。メモリ、ディスク領域などの項目に関するレポートだけでなく、現在のバージョンの Office にインストールされているすべてのアドインをスキャンして、Office と連動している他のマイクロソフトまたはサードパーティ製のアプリケーションに関する詳細情報も提供します。

OEAT は、Microsoft ダウンロード センター (英語) からダウンロードしてご利用いただけます。自己解凍ファイル Office14EnvAssessment.exe をダウンロードして実行します。インストール時には、このユーティリティに付属する次の 2 つのファイルの格納場所を指定する必要があります。

  • READ_ME.htm: 『クイック スタート ガイド (英語)』と『ユーザー マニュアル (英語)』へのリンクがあります。
  • OEAT.exe: スキャンを開始する実行可能ファイルです。

OEAT.exe を起動すると、ユーティリティのメイン画面が表示されます (図 1 参照)。ご使用のコンピューターでユーティリティを試してみるには、1 つ目のオプションを使用して、システムをスキャンします。OEAT には、クイック スキャンおよびパッシブ スキャンという 2 種類のスキャンのオプションがあります。この違いを説明しましょう。クイック スキャンでは、アドインの既定のフォルダーとレジストリ キーをチェックし、数秒でスキャンが完了します。パッシブ スキャンでは、アプリケーションで Office API を呼び出すときに作成または変更される特定のレジストリ キーを監視します。このスキャンは、メモリ内でサイレント モードで実行され、最低 1 時間はかかります。

Office Environment Assessment Tool のメイン画面
図 1 Office Environment Assessment Tool のメイン画面

パッシブ スキャンを効率的に行うには、スキャンの実行中に、Word、Excel、PowerPoint、Outlook、さまざまなサードパーティ製のアプリケーションを実行します。このようにすると、OEAT では、どのアプリケーションで Office API が呼び出されるのかを監視できます。ですが、まずは、クイック スキャンを実行することをお勧めします。後からパッシブ スキャンを実行して、追加の情報があるかどうかを確認できます。

スキャンでは、関連データをキャプチャして、2 つの XML ファイルに保存します。1 つには、スキャンの設定を保存し、もう 1 つにはスキャンの結果を保存します。スキャンが完了したら、メイン画面で [Compile Results] (結果をコンパイルする) をクリックすると、データは Excel ブックのワークシートに編成され、自動的に Excel で表示されます (図 2 参照)。

Office Environment Assessment Tool でコンパイルされて Excel で自動的に表示された結果
図 2 Office Environment Assessment Tool でコンパイルされて Excel で自動的に表示された結果

1 つ目のシート (SummaryReport) には、ハード ディスクの空き容量、メモリ、プロセッサの種類など、コンピューターに関する情報が表示されます。Windows と Office のバージョンだけでなく、ウイルス対策ソフトウェアの詳細情報も含まれます。

2 つ目のワークシート (AllInstalledAddins) には、Office と連動するアドインのレジストリ キーが表示されます。たとえば、私が行ったスキャンでは、Adobe PDF Maker、Dragon NaturallySpeaking、Nuance PaperPort スキャン ソフトウェアで Office アドインのキーが表示されました。このシートには、マイクロソフトが提供している Office アドインも含まれます。

3 つ目のワークシート (AddinsNotShippedWithOffice) には、Office に同梱されていないアドインが表示されます。4 つ目以降のシート (Average Disk Space、32bit vs. 64bit、Antivirus Status など) には、他のワークシートに含まれるデータが円グラフなどを使用して視覚的に表示されます。最後のシート (RawData) には、他のワークシートの情報を総括し、コンピューター名、IP アドレス、ユーザー アカウント、ドメイン名などの詳細が追加されています。

このユーティリティでは、OEAT Report.xlsx という名前で Excel ブックが自動的に保存されます。この xlsx ファイルと XML ファイルは、OEAT.exe ファイルと READ_ME ファイルを展開したのと同じフォルダーに保存されます。スキャンの実行中に問題が発生すると、エラー ログが生成されます。

このスキャンを使ってみる

組織全体に Office 2010 を展開する計画を立てている場合は、自動スクリプトを使用して、すべてのクライアント コンピューターで OEAT を実行することをお勧めします。スクリプトを設定するには、メイン画面で [Run Wizard] (ウィザードを実行する) をクリックします。スキャンは、クイック スキャンおよびパッシブ スキャンという 2 種類から選択できます。クイック スキャンをサイレント モードで実行するようにすることもできます (パッシブ スキャンは、自動的にサイレント モードで実行されます)。パッシブ スキャンについては、1 時間 ~ 23 日の間で実行期間を指定できます。

最後に、クライアントのスキャンで生成された XML ファイルを保存する場所を割り当てられたドライブまたは UNC パスで指定する必要があります。クライアント コンピューターのユーザーは、この場所に対して、読み取り、書き込み、および実行のアクセス許可が必要です。また、ユーザーは、コンピューターのローカル Administrators グループのメンバーになっていて、OEAT で適切なレジストリ キーを監査できる必要があります。ただし、マイクロソフトでは、ユーザーにローカル管理者の権限を与えられない場合の回避策を用意しています。

ウィザードの手順が完了すると、OEAT.exe があるフォルダーに settings.xml ファイルが書き込まれます。このファイルには、指定したすべてのオプションの情報が格納されます。このファイルは、XML リーダーで開いて、いつでも設定を確認できます。

次は、ログイン スクリプト、グループ ポリシーなどの手段を使用して、すべてのワークステーションで実行する OEAT スクリプトを作成します。このスクリプトのパラメーターを確認するには、OEAT のメイン画面で [Command Line Help] (コマンド ライン ヘルプ) をクリックします。指示は単純明快です。OEAT.exe ファイルと settings.xml ファイルを同じネットワーク フォルダーに格納します。スクリプトでは、oeat -scan という単純な文字列を使用します。

ユーザーがスクリプトを実行すると、OEAT により、指定のネットワークの場所には、コンピューターごとに作成された XML ファイルが格納されます。すべて、または多くの結果が収集できたら、OEAT を使用して、データを Excel ブックにコンパイルします。データをコンパイルするには、コマンド プロンプトを開き、指定のネットワークの場所に移動し、「oeat -compile」と入力します。

Excel ブックには、1 台のコンピューターでスキャンを実行したときと同じデータが含まれますが、各シートには、複数のコンピューターに関する詳細情報が含まれています。組織内にあるコンピューターの台数によっては、ワークシートに何万行ものデータが含まれることがあります。ワークステーションの名前、IP アドレス、ドメイン名などの詳細情報が含まれているので、Excel ブックのデータは並べ替えたり、フィルター処理したりして、適宜編成できます。

スキャン結果では、ユーザーがインストールしている Office アドインを確認できます。検出されたアドインを調査して、そのアドインに Office 2010 との互換性があるかどうかを確認します。各アドインのデータには、製造元とバージョン番号の情報が含まれているので、調査をするうえで役立ちます。

OEAT では、過去のいくつかのバージョンの Microsoft Office をスキャンできます (対応バージョンは、Office 97、Office 2000、Office XP、Office 2003、および Office 2007 です)。レポートは、Excel ブック形式で生成されるので、スキャン結果のコンパイルには Excel (できれば、Excel 2007 または Excel 2010) が必要です。

Lance Whitney は、ライターであり、IT コンサルタントであり、ソフトウェア トレーナーでもあります。Windows のワークステーションとサーバーをカスタマイズすることに数えきれないほどの時間を費やしてきました。元々はジャーナリストでしたが、1990 年代前半に、IT 業界に転向しました。

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