ソフトウェア ライセンス: MAP Toolkit 5.0 を使用してソフトウェアの使用状況を追跡する

大規模な企業でソフトウェアの使用状況を追跡するのは容易な作業ではありません。ですが、この新しいツールを使用すると、より正確に状況を追跡できるようになります。

Peter Larsen

多くの場合、マイクロソフトの製品を多数使用している企業は、ソフトウェアの使用状況やライセンスの義務についてより詳しく理解する必要があります。ライセンスの購入状況や社内の使用状況を長期間追跡する以外に、デバイス ベースのライセンスとユーザー ベースのライセンスのどちらを選択するかという問題を抱えています。ユーザーの行動によって、効率的に使用できるライセンスは異なります。

このことは、特に Enterprise Agreement に当てはまります。マイクロソフトと Enterprise Agreement 契約企業は、マイクロソフトに対する支払い額を算定するために、契約期間満了時に "調整" を行います。マイクロソフトと契約企業は、契約企業のインベントリと社内の展開状況を調査します。最近では、この調査は科学というよりも芸術です。というのも、ほとんどのエンタープライズ ソフトウェアには、ソフトウェアの使用状況を分析する便利な機能が用意されていないからです。

評価精度の向上

この問題に対処するために、マイクロソフトのライセンスは Solution Accelerator チームにゆだねられました。Solution Accelerator チームが開発した Microsoft Assessment and Planning (MAP) Toolkit というツールは、使用状況の追跡プラットフォームとして有望視されています。このため、Solution Accelerator チームは、今年 7 月に MAP Toolkit 5.0 の一部として Microsoft Solution Accelerator ページ (英語) で Software Usage Tracker 機能の無償ダウンロードの提供を開始しました。

MAP Toolkit の Software Usage Tracker 機能は、Windows Server、Exchange Server、SharePoint、SQL Server、および System Center Configuration Manager の使用状況の追跡に重点を置いています。この機能の目的は、ご使用の環境における、これらの製品の過去 90 日間の使用状況に関する情報を提供することです。

このツールでは、90 日以上かけて使用状況を測定します。ライセンスは、再割り当てが可能になるまで、ユーザーまたはデバイスに少なくとも 90 日は割り当てておく必要があるからです。MAP Toolkit では、1 台のデバイスを使用している 1 人のユーザーからサーバー製品への一意のアクセスを調べます。つまり、特定の環境内のすべてのコンピューター (サーバーとクライアント)、各ユーザーとその行動を調べます。あるユーザーが同じ SharePoint Web ページに 2 回アクセスしても、アクセスは 1 回とカウントされます。ただし、同じユーザーが別のラップトップからそのページにアクセスした場合は、Software Usage Tracker ツールでは、デバイス ベースのデータとユーザー ベースのデータの両方を考慮するので、2 回とカウントされます。

マイクロソフトのサーバー製品がカウントを行って連携するならば、この処理は簡単です。いつか実現すると思いますが、今はまだ実現していません。代わりに、Software Usage Tracker が、使用状況の証拠を入手するために、サーバー製品ごとに異なる戦略を適用する必要があります。そもそも、Software Usage Tracker では、ネットワーク内のコンピューターとデータをどのように調べるのでしょうか。少し時間を取って MAP Toolkit の動作を簡単に調べてみましょう。

MAP Toolkit について

MAP Toolkit は、ネットワークに接続しているコンピューターからさまざまな種類のデータを収集するように設計されています。ネットワークに接続しているすべてのコンピューターを特定し、Active Directory サーバーから、または指定したコンピューターから直接、特定のデータを収集するように指示できます。Windows 7 のアップグレード評価などの多くの問題について、対象のプラットフォームを現状のままアップグレードできるかどうかを確認するために、Windows Management Instrumentation (WMI) を使用して MAP Toolkit で収集する必要があるのは、既存のハードウェアとインストール済みのソフトウェアに関する特定の事実のみです。

MAP Toolkit では、他の多くの種類のデータ収集もサポートしています。MAP Toolkit では、検出したデータに基づいて、IT の変更に関するステップ バイ ステップ ガイドを含む提案ドキュメントを生成します。このようにして、IT 組織は大規模な展開による影響の全体像を把握できます。

ユーザーの行動を追跡するには、MAP Toolkit で新たな方法を使用する必要があります。Windows Server では、Windows イベント ログにすべてのログオン イベントを記録できます。SQL Server も同じように構成できます。SharePoint には IIS がインストールされているので、Web アクセス ログを生成できます。

System Center Configuration Manager と Exchange Server は、若干異なります。これらの 2 つの製品に関して、MAP Toolkit では、ログは調べず、インベントリのみを調べます。さまざまな理由がありますが、使用状況の追跡のためにログを収集して解析することは複雑な作業です。既定のログ記録の構成で、必ずしも必要な情報を得られるわけではありません。場合によって、ログ記録機能が無効になっていることがあります。MAP Toolkit では、IIS ログの新たなフィールドが必要になり、Windows イベント ログに SQL Server のログオン イベントを転送することが必要になります。この機能は、個別に構成する必要があります。

環境の設定がすべて完了したら、MAP Toolkit によって、ネットワークに接続しているすべてのコンピューターを特定するためにインベントリが実行されます (図 1 参照)。その後、MAP Toolkit は待機します。ログにイベントが蓄積される必要があり、蓄積されたイベントをネットワーク上の任意の場所で使用できるようにする必要があります。

図 1 ネットワーク上のコンピューターとアプリケーションのインベントリを実行し、使用パターンを追跡する Microsoft Assessment and Planning (MAP) Toolkit

次に、MAP Toolkit に、ネットワーク共有でログを調べ、時間をかけて (最大 90 日間) ログを解析するように指示できます。これは、かなりのデータ量になることがあります。この処理中、MAP Toolkit コンソールには、サーバー上にあるファイルの解析の進行状況が表示され、さまざまなマイクロソフト サーバー製品のカウントが増加し始めます。

最終集計

使用状況に関するデータを数週間にわたって収集したら、環境内で検出された使用状況に関する詳細なレポートと提案ドキュメントを生成できます。このレポートとドキュメントから、環境に最も適したライセンス方法を判断できます。この作業が難しいと思われる場合は、役立つツールを使用せずに、この作業を行う方法を検討してください (おそらく、そのような方法は、もっと難しいと思います)。このプロセスがコンピューターの台数をカウントする方法からユーザーの行動を入念に調べる方法に変わったように、マイクロソフトは、使用状況の説明という課題を軽減するように努力しています。

MAP Toolkit の Software Usage Tracker レポートは、最適なライセンス戦略の決定をサポートする目的で作成された一連の新しいマイクロソフト ライセンス管理ホワイト ペーパーと併せて使用すると、最大の効果を発揮します。これらのホワイト ペーパーでは、ライセンスの契約に関する情報と、MAP Toolkit によって提供される詳細なレポートを解釈する方法について説明しています。ホワイト ペーパーは、今後、数か月にわたって徐々に公開される予定です。まず、Windows Server のライセンスの評価に関するホワイト ペーパー (英語) の提供を開始しました。

組織にソフトウェア資産管理担当者がいる場合、その担当者は新しいツールとホワイト ペーパーを確認することをお勧めします。MAP Toolkit は、他の多くの目的にも使用可能で、ほとんどの場合、処理は数日かかることはなく数分で完了します。Microsoft Solution Accelerator ページ (英語) にアクセスして、IT プロフェッショナルに不可欠なツールである無償の MAP Toolkit をダウンロードしてご利用ください。

Iqbal Kahn

Peter Skjøtt Larsen は、Microsoft Solution Accelerator チームの上級開発者です。Unix とデータベースの移行から Office サーバー製品に至るまで、ツールとのガイド作成に従事しています。最近では、MAP Toolkit を担当しました。また、ワイヤレス キャリア、航空機メーカー、株トレーダー、およびモデル デザイナー用のソフトウェアを開発した経験があります。もともとはデンマーク出身ですが、ここ 17 年間はシアトルを故郷だと言っています。

 

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