Office 2010 でのドキュメントの変換を計画する

OMPM コンポーネント

OMPM には次のコンポーネントが含まれます。

• ファイル スキャナー   OMPM ファイル スキャナー (Offscan.exe) は、クライアント上のファイル、ファイル サーバー上のファイル、および WebDAV を使用してアクセスできるドキュメント リポジトリ上のファイルに変換の問題がないかどうかをスキャンするコマンドライン ツールです。OMPM は 2 種類のスキャンを提供します。

  • ディープ スキャン。Office ドキュメントに対して実行し、変換の問題が発生する可能性のあるドキュメントのプロパティをクロールします。これが既定のスキャンです。

  • ライト スキャン。ユーザーのコンピューターまたはネットワーク ファイル システムにある Office ドキュメントをすばやく確認します。

• データベース サポート   OMPM は、OMPM ファイル スキャナーによって生成される XML ログ ファイルをインポートするのに使用できる一連のバッチ ファイルを提供します。OMPM がサポートするデータベースについては、「管理用コンピューターの要件」を参照してください。

• レポート   OMPM は、分析用のさまざまなレポートを生成する Microsoft Access 2010 ベースのレポート ソリューションを提供します。このソリューションを使用して、自動化されたプロセスで使用するファイル セットを定義できます。

• 一括変換   OMPM には、Office ファイル コンバーター (OFC) が含まれます。これは、特定のファイルを Office 2010 ファイル形式に一括変換するコマンドライン ツールです。

• バージョン抽出   OMPM には、バージョン抽出ツール (VET) が含まれます。これは、複数のバージョンが保存された Word 97 ～ 2003 形式の 1 つのドキュメントを Office 2010 の個々のバージョンのファイルに抽出するコマンドライン ツールです。

OMPM 2010 の機能向上

OMPM は、Office 2010 用に更新されて、次の機能が向上しました。

• 一括マクロ互換性スキャン   この機能には、Office Code Compatibility Inspector (OCCI) ツールのロジックが組み込まれており、オブジェクト モデルの変更によって生じる可能性のある VBA の問題の数が生成されます。このスキャンは、offscan.ini ファイルの新しいオプションによって有効になります。

• 一括 64 ビット互換性スキャン   この機能には、OCCI のロジックが組み込まれており、64 ビット版 Office の使用によって生じる可能性のある 64 ビット (宣言) VBA の問題の数が生成されます。このスキャンは、offscan.ini ファイルの新しいオプションによって有効になります。

• スキャンの日付フィルター   この機能を使用して、指定した期間内にアクセスまたは変更のなかったファイルのスキャンを除外できます。

• SQL Server 2008 と SQL Server 2008 R2 のサポート   SQL Server 2008 R2 の使用に関するその他の要件については、「管理用コンピューターの要件」を参照してください。

OMPM を選択する際の考慮事項

OMPM の使用を検討する場合は、OMPM に関する以下の詳細情報を確認して、このツールを使用するか、またはサード パーティの変換ツールに投資するかの決定に役立ててください。

OMPM を使用して、スキャンするファイルの特定と優先順位付けを行う

ビジネス グループの所有者と連携し、OMPM を使用してスキャンするクライアント、サーバー、およびドキュメント リポジトリを決定します。ビジネス グループは各ファイル セットに優先順位または重要度を割り当てる必要もあります。これにより、スキャンするファイル セットの順序を決定できます。優先順位の低いファイル セットは、時間が許す限り、後でスキャンするか、スキャンしないこともできます。また、スキャン プロセスをユーザーに伝えて、変換が不可欠なファイルを特定するように依頼することもできます。ユーザーに直接依頼することで、これから実行する変換についてユーザーに認識してもらうことができ、スキャンするファイルの数を減らすことができます。

すべてのファイルをスキャンした後に OMPM の結果を使用してファイルに適切な優先順位を容易に設定できる場合があります。OMPM の一般的な使用法は、ファイルの量、場所、Office ファイル変換に関する潜在的な問題、および最終変更日時を評価することです。Office ファイルの最終更新日時プロパティは意思決定者にとって特に役立つ可能性があります。ほとんどの Office ファイルが非常に長い期間にわたってアクセスされていないことを確認できる場合があるためです。これにより、それらのファイルを保持するビジネス上の理由がなくなる場合があります。このような場合は、期限切れの Office ファイルをアーカイブすることでネットワーク共有をクリーンアップし、ディスクの空き容量を大幅に増やすことができます。

変換されたファイルを使ってユーザーがすぐに作業できるようにする

Microsoft は、エンドユーザーが Office 2010 の新しいユーザー インターフェイスと機能を学習するのに役立ついくつかのリソースを提供します。次のリソースを使用して、エンドユーザーの準備を行います。

• トレーニング リソース   TechNet の「ユーザー準備とトレーニング リソース センター」(https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=202000\&clcid=0x411) には、対話的なガイド、Office リボン ガイド、E ラーニング コースなど、最新のトレーニング リソース一覧が含まれます。

• "方法" に関する記事   Office 2010 リソース キット のトピック「Excel 2010、PowerPoint 2010、Word 2010 のドキュメントの互換性に関する参考資料」では、Excel 2013、PowerPoint 2013、および Word 2010 のエンドユーザー向けに書かれた記事へのリンクが示されています。説明されているトピックは次のとおりです。

  • 互換モードを有効にする

  • ファイルを Office 2010 形式に変換する (互換モードを終了する)

  • 互換性チェックの実行

  • 以前のバージョンの Office で Office 2010 ファイルを開いたときに異なる機能

OMPM を使用して大量のファイルをスキャンするためのヒント

記事「Office 2010 用の Office Migration Planning Manager (OMPM)」は、実際のファイル スキャン プロセスを開始するための出発点を提供します。数百万のファイルをスキャンする場合は、次のガイダンスがスキャン プロセスの簡素化に役立ちます。

• スキャンの前に古いファイルをクリーンアップする。これは、ファイル共有とドキュメントの拡散をクリーンアップするいい機会です。

• 最近の 6 ～ 12 か月間に変更されなかったファイルはスキャンしない。   OMPM 2010 では、指定した期間にアクセスまたは変更のなかったファイルを除外できます。ビジネス グループと連携して、古いファイルのスキャンが必要かどうかを決定します。必要でない場合は、スキャンと変換の対象からそのようなファイルを除外します。Office 2010 への移行が完了した後で、古いファイル形式のドキュメントを削除またはバックアップする計画を作成します。

• 業務上不可欠なファイルに集中する。特に、複雑なドキュメントを作成するグループが所有するファイルに集中する。 ビジネス グループと連携して、業務上不可欠と考えられるドキュメントや、法律上またはコンプライアンス上の理由で変換が必要なドキュメントを決定します。必要に応じて、ドキュメントの複雑さをファイル スキャンの優先順位を設定するための基準として使用します。たとえば、財務部門など、特定のビジネス グループには、通常、慎重な確認とテストを必要とするより複雑なドキュメントがあります。

• 最初に、共有フォルダーをスキャンする。   共有フォルダーのファイルは集中管理されているため、その結果は適切なサンプルになる可能性があります。このサンプルを使用して、追加のスキャンが必要かどうかを決定できます。たとえば、共有フォルダー内のファイルが 1 年以上経過している場合、そのファイルを変換しないように決定できます。

• offscan.exe の複数のインスタンスを実行する。   スキャンごとに一意の RunID (offscan.ini ファイルに設定する) を使用し、スキャナーの複数のインスタンスを実行 (してスケール アウト) することをお勧めします。ただし、大量 (数万) のファイルに対して実行するには、offscan.exe の 1 つのインスタンスのみをセットアップすることをお勧めします。

• フォルダー構造別にスキャンする。   スキャンするファイルの論理ユニットとしてフォルダー構造を使用します。たとえば、共有フォルダーに最上位フォルダーとサブフォルダーがある場合、共有フォルダー全体に対してスキャナーを実行するのではなく、サブフォルダーに対して個別のスキャンを実行します。

• offscan.exe を複数のクライアントで実行する。   同時スキャンの数をスケール アウトするには、offscan.exe を複数のクライアントで実行します。すべての共有フォルダーの場所へのアクセス許可を持つ IT 管理者はいない可能性があるため、この方法は優れています。この方法を使用すると、数百万の Office ファイルを数日でスキャンできます。

• OMPM を実行するために、サーバーを使用してスケール アップしない。   Offscan.exe の設計では、より強力なハードウェアの使用など、スケール アップはサポートされません。

• System Center Configuration Manager (SCCM) を使用してクライアントをスキャンする。   OMPM ユーザー ガイドには、SCCM を使用して offscan.exe を展開し、スキャンを実行して、スキャン ログの XML ファイルを収集する方法についての詳細が説明されています。詳細については、「Office 2010 の Office Migration Planning Manager ファイル スキャナーを実行する」を参照してください。

数百万の OMPM スキャン結果を処理するためのヒント

初回の OMPM 評価で数百万ものファイルが検出される場合がありますが、OMPM を使用する顧客は、変換の問題が発生する可能性があるとしてフラグが付けられるのは、通常、それらのファイルの 1 ～ 2% のみであると述べます。ここでは、結果を管理しやすくするためのヒントについて説明します。追加の情報については、「Office 2010 の Office Migration Planning Manager レポートを分析する」を参照してください。

• プロジェクト計画で、OMPM の結果を分析するのに十分な期間を確保する。   結果を確認するときは、OMPM レポートは潜在的な問題に関する "最悪のケースのシナリオ" であり、ほとんどの警告は変換を回避するほど深刻でないことを認識する必要があります。

• Access ベースのレポート ツールで表示できるのは、100 万レコード以下のデータベースのみである。   これ以上のファイルがある場合は、以下の回避策をお勧めします (優先順位の高い順に示されています)。

  • スキャンを複数の小さいスキャンに分割します。

  • OMPM スキャン データを 1 つの大きなデータベースにインポートして、Access ベースのレポートを使用する代わりに、そのデータベースに対してクエリを直接実行します。

  • 1 つの大きいスキャンを実行し、ファイルをいくつかのサブセットに分割して別々のデータベースにインポートします。

• レポートでは重複が確認されない。   したがって、重複するファイルの除外を試みて、記録のファイルまたはマスター ファイルを確認します。

• 大きい Excel ファイルと古い Access ファイルを分析する。   これらのファイルで Excel と Access Services の新しい機能を使用できますか? これらのファイルを SQL Server に移行する必要がありますか?

• リンク (および子ファイル) を含むファイルに、さらなる注意を払う。  他のドキュメントへのリンクはファイルが変換された後に壊れる可能性があります。変換プロセスの一環として、ファイル名拡張子が変わるためです。

• 組織で SharePoint Server を使用している場合は、サードパーティ ベンダーと連携し、業務上不可欠なファイルを SharePoint サイトに移行するための支援を受けることを検討する。   ドキュメントを電子メール メッセージで送信する代わりに SharePoint サイトでドキュメントを共有することを開始するように、ベンダーの支援を受けてユーザーを教育することもできます。