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Duet Enterprise のレポート機能を計画する

 

適用先: Duet Enterprise for Microsoft SharePoint and SAP

トピックの最終更新日: 2011-08-05

この記事では、SharePoint Server サイトの Duet Enterprise レポート機能を理解、計画、および展開するために役立つガイダンスを示します。Duet Enterprise for Microsoft SharePoint and SAP のレポート機能を使用すると、SAP ERP システムや SAP Business Warehouse システムの SAP レポートを Duet Enterprise for Microsoft SharePoint and SAP サイトに統合できます。レポートは、使用可能なレポートの一覧から要求できます。権限のあるユーザーがレポートを要求すると、SAP システムでレポートが生成され、SharePoint Server のレポート サイトにある適切なレポート ライブラリに配信されます。

この記事の内容

  • Duet Enterprise レポート機能の概要

  • Web アプリケーションでレポート機能を構成する

  • レポート機能を Web サイトに統合する

  • レポート機能のシナリオ

Duet Enterprise レポート機能の概要

Duet Enterprise レポート機能は、SAP のレポート生成機能を SharePoint のドキュメント管理機能と組み合わせたものです。この機能を使用すると、エンド ユーザーは SharePoint Server サイト内から SAP レポートを要求できます。要求したレポートは SAP システムで生成され、SharePoint Server 2010 ドキュメント ライブラリに適切に配信されて保存され、権限のあるユーザーが表示できるようになります。

Duet Enterprise レポート機能は SharePoint Server 2010 の機能として実装され、サイト コレクション レベルとサイト レベルで有効にすることができます。特定のサイト コレクションでレポート機能を有効にすると、サイト所有者はサイト コレクション内の任意のサイトでこの機能を有効にすることができます。これにより、サイト ユーザーは SAP ERP システムや SAP Business Intelligence システムに SAP レポートを要求し、SharePoint ドキュメント ライブラリにレポートを配信できるようになります。SAP レポートは、必要な権限を持つすべてのサイト ユーザーが要求できます (既定では、これらの機能は Duet Enterprise サイトに含まれています)。使用できるレポート、およびレポートを表示するための権限は、SAP 環境で管理される SAP レポート カタログに基づいて定義されます。SAP システムでレポートを構成する方法の詳細については、『Duet Enterprise SAP Deployment Guide』の「Configuring Reporting」を参照してください。

Duet Enterprise に基づくソリューションでは、レポート機能を必要な数のサイトに統合できます。特定の Web アプリケーション内のサイトのレポートは、すべて OBAFileReceiver Web サービスによってその Web アプリケーションの適切なライブラリに配信されます。OBAFileReceiver Web サービスは、Web アプリケーションでレポート機能を構成するときに Web アプリケーションに接続されます。このアーキテクチャを示したのが次の図です。SAP システムでは、SAP Document Publisher によって各レポートが非同期に処理され、SharePoint Web アプリケーションに関連付けられたポート経由でその Web アプリケーションに配信されます。

Duet Enterprise レポートの概要

Duet Enterprise レポートに含まれるビジネス データは SAP システムで保護されており、権限のあるユーザーまたはロールだけがレポートを要求または表示できます。レポートは、レポート テンプレートに応じて特定のユーザーまたは SAP ロールに割り当てることができます。レポートの配信時に、SAP システムは外部コンテンツ タイプのプロパティを使用して、レポートを表示できるユーザーまたはロールの一覧を SharePoint Server に渡します。レポートが対象のサイトとライブラリに配信されるときに、SAP システムから送信された権限の情報を反映するようにレポートの権限が構成されます。

次の図は、ユーザーがレポートを要求してから、レポートが適切なサイトとライブラリに配信されるまでの処理の流れを示しています。

Duet Enterprise レポートのワークフロー

  1. [レポート] ページで、ユーザーが [レポートの実行] をクリックします。

  2. [レポートの実行] アクションが Business Data Connectivity Service でレポートの外部コンテンツ タイプに関連付けられます。レポートを最終的に適切な場所に配信するために必要なすべてのメタデータが要求に含まれます。

  3. Duet Enterprise に含まれる SAP Web サービスがレポート要求を受信します。

  4. SAP システムでレポートが非同期に処理されます。要求はキューに入れられ、ジョブで処理されます。

  5. レポートが生成されると、権限やその他のデータと共に SAP Document Publisher に渡され、配信のスケジュールが設定されます。

  6. レポートがプロパティと共に OBAFileReceiver Web サービスに配信されます。

  7. OBAFileReceiver Web サービスは、レポートを適切なドキュメント ライブラリとフォルダーに移動し、レポートの権限を設定します。

  8. 権限のあるユーザーがレポートを表示またはダウンロードできるようになります。

Web アプリケーションでレポート機能を構成する

OBAFileReceiver Web サービスは SAP システムからレポートを受信し、各レポートのメタデータに基づいて適切なレポート ライブラリに配信します。Web アプリケーションでレポート機能を利用するには、サーバー ファームで OBAFileReceiver Web サービスを実行し、このサービスを利用できるように Web アプリケーションを構成する必要があります。

OBAFileReceiver Web サービスを利用できるようにするには、サービスを安全に実行できる追加のゾーンを作成して、サービスを使用する Web アプリケーションを拡張します。このゾーンは次の特性を備えている必要があります。

  • Secure Sockets Layer (SSL) を使用する

  • クレーム認証を使用する

  • Windows 認証と基本認証を使用する

  • SAP システムで信頼された証明書にバインドされている

Web サービスを実行する新しいゾーンを作成して構成したら、サイト コレクションを作成し、DuetConfig.exe ユーティリティを使用して、OBAFileReceiver Web サービスに接続するように Web アプリケーションを構成します。Web アプリケーションでレポート機能を構成するときに、SAP システムが OBAFileReceiver Web サービスとの通信に使用するアカウント名 (SAP Document Publisher がレポートを発行するときにこのアカウント名が使用されます) を、Web サービスに接続するために作成したゾーンのルート Web サイトの URL と共に指定します。Web アプリケーションでレポート機能を構成する方法の詳細については、「Web アプリケーションでレポートを受信できるようにする (Duet Enterprise)」(https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=191895&clcid=0x411) を参照してください。

重要

  • Duet Enterprise レポート機能では、Business Data Connectivity Service にレポート モデルをインポートする必要があります。これは製品の展開時に行うことができます。詳細については、「モデルをインポートする (Duet Enterprise)」(https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=205813&clcid=0x411) を参照してください。

  • レポートの公開サイトが実行されている Web アプリケーション用のアプリケーション プール アカウントには、SAPRoles 外部コンテンツ タイプの Specific Finder メソッドに対する実行アクセス許可が必要です。ロールが存在するかどうかを判断するクエリ (ロール検索) が SAP システム内で動作できるようにするためには、このアクセス許可が必要になります。同じアプリケーション プール アカウントに、検索を実行するための SAP システムに対するアクセス許可も必要です。アプリケーション プール アカウントは、Duet Enterprise展開ワークシート (https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=205392&clcid=0x411) の表 3 の「Duet Enterprise サイトの Web アプリケーション用のサービス アカウント」に記載されているものと同じです。

レポート機能を Web サイトに統合する

SAP レポートを Duet Enterprise ソリューションの Web サイトに統合するには、次の 2 つの方法があります。

  • Duet Enterprise Starter Services を構成するときに、レポート機能が一連のサイトに自動的に統合され、必要なすべての機能が有効になります。

  • レポート ライブラリを既存のサイトに追加します。これを行うには、次の機能を有効にする必要があります。

    • レポートを含めるサイト コレクションのルート サイトで、Duet Enterprise レポート コンテンツ タイプ機能を有効にし、SharePoint Server Standard サイト コレクション機能が有効になっていることを確認します。

    • レポートを含めるサイトで、Duet Enterprise レポート機能を有効にします。この機能を有効にすると、サイトですべてのレポート機能を利用できるようになります。

レポート機能のシナリオ

このセクションのシナリオでは、次の登場人物を使用します。

  • Naoki Sato は、Contoso, Ltd. 社の SharePoint Server 2010 システム管理者です。

  • Michel Pereira は、Contoso, Ltd. 社の営業課長です。

  • Tali Roth は、Contoso, Ltd. 社の営業部長で、Michel の上司です。

  • David Longmuir は、Contoso, Ltd. 社の営業サイト管理者で、主に営業部門と連携して仕事をしています。また、顧客エンティティ センター サイトのサイト管理者でもあります。

シナリオ 1: 新しい Duet Enterprise レポート機能を構成する

Michael Periera の営業チームが使用しているコラボレーション Web サイトは、Duet Enterprise が展開されているサーバー ファーム上にあります。現在、Michael のチーム メンバーは、アクセス権があるレポートを SAP システム上で直接表示しています。Michael は、Duet Enterprise による SharePoint Server 2010 と SAP システムとの統合を利用して、レポートを自分たちのコラボレーション サイトに配信しようと考えます。彼らは、サイトでレポート機能をサポートするための構成を IT 部門に依頼します。依頼は最終的に Naoki Sato の手元に届きます。

ファーム管理者の Naoki は、営業チームのコラボレーション サイトを実行している Web アプリケーションが、まだ SAP システムと安全に通信するために拡張されていないことを確認します。SharePoint Server 2010 サーバーの全体管理を使用して、彼は Web アプリケーションを見つけ、Secure Sockets Layer (SSL) とクレーム認証を使用するように構成された追加のゾーンを作成して Web アプリケーションを拡張します。次に、サイト コレクションを作成し、DuetConfig.exe ユーティリティを使用して OBAFileReceiver Web サービスに接続します。これで、Web アプリケーションはレポートを受信するようにセットアップされました。Naoki は、営業チームのコラボレーション サイトのサイト コレクション管理者である David Longmuir に電子メールを送ります。

Naoki から送られた指示に基づいて、David はレポートを受信するようにサイト コレクションを構成します。レポートを含めるサイト コレクションのルート サイトで、彼は Duet Enterprise レポート コンテンツ タイプ機能を有効にし、SharePoint Server Standard サイト コレクション機能が有効になっていることを確認します。次に、彼はサイト コレクションのルートから 1 レベル下にあるコラボレーション サイトに移動し、Duet Enterprise レポート機能を有効にします。そして、サイトにレポート ライブラリが作成されていることを確認します。これで、Contoso 営業チーム サイトのユーザーは、コラボレーション Web サイトから SAP レポートを要求、受信、および表示できるようになります。

シナリオ 2: Duet Enterprise レポートのコラボレーション

David は、Contoso, Ltd. 社におけるもう 1 つの職務として、管理している顧客エンティティ センター サイトの関連するレポートを構成しています。David は、Contoso, Ltd. 社の特定の顧客に焦点を当てた Duet Enterprise レポートを営業チームで使用できるようにしたいと考えます。彼は、Contoso 営業チーム サイトでレポート機能をセットアップしたときと同じような手順を使用して、顧客エンティティ センター サイトでコラボレーション用の Duet Enterprise レポート機能を有効にします。David は、顧客エンティティ センター インスタンス サイト テンプレートをカスタマイズして、レポート機能を有効にしようと考えます。彼は顧客エンティティ インスタンス マスター テンプレートを使用してテスト サイトを作成し、Duet Enterprise レポート機能を有効にしてサイトをカスタマイズします。次に、関連するレポートと、顧客エンティティ コンテキストからのパラメーター マッピングを構成し、Tali と Michel がレポートの生成ごとにこの情報を再入力せずに済むようにします。Web パーツとページをカスタマイズし、インスタンス サイトで Duet Enterprise レポートを有効にした後、David は他のインスタンス サイトで使用できるサイト テンプレートとしてカスタマイズ内容を保存し、サイト テンプレートで利用できるようにするレポート ビューを再作成します。これによって、新しい顧客インスタンス サイトごとに Duet Enterprise レポートが自動的に有効になります。

Tali は、新規顧客営業案件に関するレポートを Michel と共有しています。Tali は、この新規顧客営業案件にすばやく対応したいと考え、コラボレーション機能を使用して顧客のコラボレーション コンテキストを作成することにします。サイトが作成されると、Tali はランディング ページで関連するレポートを表示し、営業案件の概要レポートを実行します。レポートが生成されて配信されると、彼女は関連するドキュメントで新しいドキュメントとしてレポートを表示できます。彼女は、Michel を含む営業課長全員にフィードバックを求めることにします。Tali は、このレポートをチームの営業課長全員と共有し、それに応じた権限を設定します。次に、Tali はフィードバックを求める電子メールを送信します。これによって、Michel はコラボレーション コンテキスト (ランディング ページ) からレポートを表示し、すぐに Tali にフィードバックを返せるようになり、営業課長全員がそれを表示できるようになります。