Lync 2010 の新機能

 

トピックの最終更新日: 2012-10-13

このトピックでは、Microsoft Office Communicator 2007 R2 のリリース以降に行われた Microsoft Lync 2010 の変更と機能拡張について説明します。

Microsoft Office Communications Server 2007 から移行する場合は、Microsoft Office Communications Server 2007 R2 のドキュメントの「新しいクライアントの機能」(https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=169718&clcid=0x411) も参照してください。

新しいユーザー インターフェイス

Lync 2010 では、新しい UI が採用されているほか、同僚と活発にコミュニケーションし、緊急の会議や会話をスムーズに行うことができるよう、操作性が改善され、新機能が追加されています。

  • 連絡先リストにカスタマイズと検索の機能が追加され、拡張されています (詳細については、このトピックで後に説明する「連絡先の機能拡張」を参照してください)。

  • 会話リストには、ユーザーの現在の会話と最近の会話が表示されます。 複数の会話が進行中の場合は、リスト中の会話をクリックすれば、1 つの会話ウィンドウから別のウィンドウに切り替えることができます。Lync は、Microsoft Exchange Server から会話履歴を取得して [会話] リストに表示します。このため、過去の会話を表示したり続行したりすることができます。

  • アクティビティ フィード リストで、自分の連絡先リストに含まれる人のメモと状態の更新を確認できます。 ユーザーは、お互いの最新のアクティビティ (投稿された会社移転や新しい個人写真、最新の状態メモの履歴など) を簡単に確認できます。 連絡先に家族および友人、ワークグループ、同僚、または外部連絡先プライバシー関係を割り当てられていれば、お互いの更新内容を確認できます。

  • [電話] ビューには、発信のためのダイヤル パッド、ボイス メール メッセージのリスト、および通話品質テストのための [チェック] ボタンがあります。

"自分" 領域

Lync のユーザー インターフェイスの一番上で、連絡先に対して自分がどのように表示されるかを確認できるため、自分の状態とその他の情報を簡単に更新できます。

  • 新しい個人写真機能では、組織内で自分の写真を相手に表示したり、相手の写真を確認したりすることができます。 自分の写真や相手の写真を表示するかどうかは制御できます。 表示を有効にすると、ユーザーは自分の写真を、Active Directory ドメイン サービスに格納されている既定の写真から、Microsoft SharePoint サービスまたは公共の Web サイトにあるカスタム写真に変更することもできます。

  • Lync では、ユーザーの状態 (会議中、電話中、離席中など) を表示することで、ユーザーの空き状況を追跡できます。 赤色、黄色、および緑色のインジケーターにより、連絡先の状態が一目で分かります。 新しい "業務時間外" テータスも用意されています。

  • Lync では、新しい場所機能を使用して、ユーザーの通勤時にその場所を検出できます。このため、緊急時に Enhanced 9-1-1 (E9-1-1) サービスがユーザーをより簡単に見つけることができます。 また、ユーザーはこの機能を使用して、自分が移動中であったり別のビルにいたりすることを、連絡先に知らせることができます。

連絡先の機能拡張

新しい連絡先リストおよび連絡先カードにより、人物の位置確認や連絡先の追跡を簡単に行うことができます。

  • Lync では、連絡先のビューがさらにカスタマイズしやすくなっています。 グループ、空き状態、プライバシーのレベル、写真の有無などによって連絡先を表示できます。また、連絡先をポイントすることで連絡先リストから会話と会議を開始できます。 さらに、連絡先の情報も簡単に編集できます。

  • よくやり取りする連絡先グループには、最もよく会話する連絡先 (最近会話した連絡先とは限りません) が 10 個表示されます。Lync では、ユーザーのチーム メンバーを含むグループが自動的に設定されます。 お気に入りの連絡先や重要な連絡先は、よくやり取りする連絡先グループの一番上に設定できます。

  • スキル検索を実行できるため、より信頼性の高い連絡先の検索が可能です。 この機能を使用すると、SharePoint に表示されているプロパティ (たとえば、名前、電子メール、スキル、専門分野など) を使用して、組織の人物を検索できます。この機能は、システム管理者が SharePoint を展開して Lync と SharePoint の統合をオンにしている場合にのみ使用できます。

  • 新しく拡張された連絡先カードには、会社のディレクトリから収集された静的情報、カスタマイズされた電話番号、およびプレゼンス、場所、タイム ゾーン情報などの詳しい情報が表示されます。 Exchange Server からの、予定表の空き時間情報も表示されます。 連絡先カードの [組織] タブでは、その人物の組織構造の中の所属先が表示され、その階層に移動できます。

  • 組織が Microsoft Exchange Server 2010 を展開していれば、Lync、Microsoft Outlook のメッセージングおよびコラボレーション クライアント、およびその他のエンドポイント間で連絡先の連絡先ストアが 1 つに統合されるため、複数の連絡先リストを持つ必要がなくなり、複数のプログラム間で一貫した操作を行うことが可能です。

プライバシー機能

新しいプライバシー機能によって、自分の情報にアクセスできる人をより細かく制御できます。

  • アクセス レベルは、プライバシー関係と呼ばれるようになりました。 ユーザーは、相手ユーザーとの関係に応じて、異なるプライバシー関係 (家族やワークグループなど) を自分の連絡先に割り当てることができます。 また、組織外部の人のために、信頼されているドメインを追加することもできます。

  • 拡張プレゼンスのプライバシーは、新しいオプションです。 拡張プレゼンスのプライバシーを使用すると、連絡先リスト内の連絡先に対しては自分のプレゼンスが表示されますが、組織内のその他の人に対しては表示されません。

Office と Windows 7 の統合

Lync は、Microsoft Office および Windows 7 オペレーティング システムとの相互運用性が向上しているため、Office および Windows から Lync の機能にアクセスできます。

  • Microsoft Office 2010 製品を Lync で実行する場合、Lync で実行できる操作の多くは Office プログラムで実行できます。インスタント メッセージの送信、ドキュメントの共有などの Lync の機能は、Outlook、Microsoft Word ワードプロセッシング プログラム、Microsoft PowerPoint プレゼンテーション グラフィックス プログラム、および Microsoft Excel スプレッドシート ソフトウェアなどの Office 2010 製品で使用できます。 この機能は SharePoint サービスでも使用できます。

  • Lync の連絡先は Outlook に表示されます。 Lync に切り替えずに、Office アプリケーションからインスタント メッセージング (IM) または電話での会話を開始できます。 また、Outlook 電子メール メッセージを Lync から直接送信できるようになっています。

  • Lync の機能は、Windows 7 のタスク バーから利用できます。

プログラム共有、デスクトップ共有、およびコラボレーション機能

Lync の共有およびコラボレーション機能は、デスクトップ共有が拡張され、プログラム共有、ホワイトボード、コメント ツール、ポーリング、および PowerPoint プレゼンテーションが含まれるようになりました。

  • オンラインの会話または会議の間に、PowerPoint プレゼンテーションのアップロード、プレゼンテーション内の移動、プレゼンテーションへのコメントの追加が可能です。 提供されるファイルは、会議の参加者全員に送信され、参加者は自分のコンピューターにそのファイルを保存できます。 PowerPoint プレゼンテーションが共有されていない場合、PowerPoint プレゼンテーションを使用できるかどうかを参加者の役割 (開催者、発表者、全員) に応じて制限できます。

  • ホワイトボードとは、テキスト、インク、図形、イメージなどのツールを利用した共同作業に使用できる空のスクリーンです。 ホワイトボード上に作成されるコメントは、すべての参加者が見ることになります。 ホワイトボード機能により、会議の参加者がディスカッション、ブレインストーミング、メモ取りなどを行うことができるようになり、コラボレーションが強化されます。

  • PowerPoint スライド プレゼンテーションおよびホワイトボード セッション中に、レーザー ポインター ツールを使用できます。

  • ファイルを添付ファイルとしてアップロードして、会議参加者と共有できます。 会議の間、参加者は添付ファイルをダウンロードできます。 添付ファイルを使用できるかどうかは、会議参加者の役割 (開催者、発表者、全員) に応じて制限できます。

  • ポーリング機能により、発表者が迅速に参加者の意向を判断できるため、コラボレーションが強化されます。 オンラインの会議または会話中に、発表者はポーリングを使用して参加者から匿名の応答を収集できます。 すべての発表者が結果を見ることができ、結果は非表示にすることもすべての参加者に対して表示することもできます。

レコーディングと再生

  • 管理者がレコーディング機能を有効にすると、開催者と発表者は会議の参加者、音声とビデオ、および IM 会話、プログラム共有セッション、PowerPoint プレゼンテーション、配布資料、ホワイトボードのコンテンツなど、Lync セッションのすべての内容を記録できます。

  • レコーディング内容は、開催者または発表者のコンピューターに保存されますが、それ以外の人が使用できる場所に公開することもできます。

会議の参加に関する操作性の向上

Lync では、より迅速に会議に参加し、より簡単にスケジュール設定することができます。

  • Microsoft Lync 2010 用オンライン ミーティング アドイン と会議のユーザー インターフェイスが改善されたことで、Outlook で会議のスケジュール設定をしたり、会議前または会議中に他のユーザーを招待したりすることが簡単になりました。

  • Lync に付属の参加測定基準を使用して、参加する際のパフォーマンスを測定できます。この測定基準は、Lync のインストール時に、2 秒未満に設定されています。

  • 会議情報が利用可能な場合は、会議参加用のエントリ ポイントが表示されます。これにより、検出機能が向上し、ユーザーがプログラムを切り替えなくても会議に参加できます。

  • 会議の URL が簡単に覚えやすくなったため、伝えやすくなっています。 https:// の URL を短くして含めるようにしたため、出席依頼が簡素化されました。開催者は、出席依頼の言語を別の言語から英語に変更したり、Lync が利用できないときにオンライン会議をスケジュールしたりすることもできます。

  • 不適切なアクセス制御の構成や会議直前の出席者の変更によって発生する、認証に関する参加のエラーを防止できます。 匿名ユーザーおよび認証に失敗した参加者は、ロビーと呼ばれる待機場所に転送されます。 発表者は、ロビーに転送されたユーザーの会議への参加を承認するかまたは拒否できます。

  • 携帯電話ユーザーは、出席依頼を 1 回クリックすれば、電話会議に参加できます。

PSTN ダイヤルインおよびダイヤルアウト会議

PSTN 通話経由で会議に参加する人が使いやすくなるよう、多くの機能が強化されています。

  • Microsoft Lync Server 2010 では、通話への参加時にユーザーが応答する簡単なメッセージの数を最小限にしています。

  • 通話に応答する人がいない場合でも、発信者が切断されることはなくなります。 ただし、ユーザーはロビーで待機することになります。Lync Server 2010 では、開催者はロビーで待機している任意の発信者の参加を拒否できます。

  • 発信者は、デュアルトーン多重周波数 (DTMF) コマンドを [ヘルプ] メニューから使用できます。

  • 通話が記録される場合は、発信者にその旨通知されます。

  • ダイヤルイン設定は、オーディオ会議用に自動構成されます。 オーディオ会議プロバイダーによる構成は不要です。

  • 会議ダイヤルアウトは、ユーザーが PSTN 番号を使用して会議のオーディオ部分に参加できるようにするオプション機能です。 Lync Server 音声ビデオ会議サービスはダイヤルアウト番号を使用してユーザーに電話をかけ、ユーザーはその電話に応答して会議に参加します。

ビデオ通話の機能強化

Lync のビデオに関する機能では、ビデオ制御と全画面表示が改善されています。会議でのパノラマ ビデオのほか、マルチポイント ビデオ、サブスクリプション ビデオ、および VGA ビデオ会議がサポートされています。

マネージャー/代理人の拡張

Lync には、このトピックの「通話処理: 代理人と応答グループの機能拡張」で後述する機能のほか、代理人機能のサポートも追加されています。このため、代理人は Lync と Microsoft Lync 2010 Attendant のコンソールを切り替える必要はありません。 Lync には、ユーザーが他のユーザーの代理人として追加されたときの通知機能、マネージャーに代わって電話をかける機能、およびユーザーが代理人となっている人を含める自動連絡先グループ機能などがあります。 Lync では、代理人が複数のマネージャーをサポートし、Lync 2010 Attendant がサポートしていないプログラム共有やファイル転送などのコラボレーション ツールを利用できます。

コール パークと取得

管理者は、コール パーク機能を有効にできます。ユーザーはこの機能を使用して通話を保留し、その後自分で取るか、または他のユーザーに (IM などで) 通知して、そのユーザーの電話や共通領域電話で取ってもらいます。

通話品質確認および診断

Lync は、通話中にデバイス、ネットワーク、またはコンピューターの問題を検出すると、通話品質の改善方法についてユーザーに通知します。

  • ネットワークの正常性インジケーターは、ネットワークの品質を定期的に監視します。 ネットワーク品質が良くない場合は、ユーザーに対して、必要な種類の通話品質が十分であることを確認するためのテスト通話を推奨するメッセージが送信されます。

  • 発生する可能性のある約 12 の音声に関する問題が診断されます。たとえば、エコー、声が小さすぎる、帯域幅が狭いなどの問題です。 音声の問題は、ネットワーク、コンピューター、デバイス、または複数の問題の同時発生が原因である場合があります。

  • [通話品質の確認] ボタンを使用すると、Lync でテスト通話を実行して、通話の音声品質を確認できます。 テストでは、ユーザーの声が実際の通話でどのように聞こえるかを確認できます。 テスト通話を実行すると、音声テスト サービスによって、ビープ音の後に音声サンプルを録音するよう指示されます。 サンプルは事前に定義された時間 (10 秒間など) 録音され、ユーザーに対して再生されます。 ネットワークの状態が最適ではない場合やデバイスのセットアップが適切でない場合は、録音の再生から判断できます。

  • 通話中にデバイスのセットアップが原因でさらに音質が低下している場合 (エコー、ノイズなど) は、Lync からユーザーおよび通話相手に対して、音質低下の原因となるデバイスを使用していることが通知されます。 通話内の他の人物に送信される情報は、それらの人物が通話品質を改善するのに役立ちます。 たとえば、ユーザーが通話を聞いているだけの場合は、発表者がユーザーの回線をミュートできます。

強化されたオーディオ デバイス処理

強化されたオーディオ デバイス処理は、複数のオーディオ デバイスのインストールと識別を簡単にします。 1 回クリックするだけで会話中にデバイスを切り替えることができます。 管理者はユーザーに対して Lync に最適なデバイスを使用することを指示し、サポート チームの Web サイトへのリンクを教えることができます。 デバイスのチューニング設定は、[Lync - オプション] ダイアログ ボックスにあります。

位置および緊急サービスのサポート (E9-1-1)

このサービスを有効にすると、緊急サービスのサービス プロバイダーは、緊急サービス番号 (米国の 911 など) がダイヤルされた場合に Lync が場所情報を緊急サービスの応答者に送信することを許可します。

  • 緊急サービスの応答者に送信される場所情報は、管理者がユーザーの位置 (ユーザーのオフィスの番号など) に割り当て、場所データベースに入力した場所の情報 (そのような場所を利用できない場合は、ユーザーが [場所] フィールドに手動で入力した場所の情報) です。

  • 管理者は 2 つのポリシーを使用できます。 1 つは位置を知らせずに無条件で E9-1-1 を利用可能にするポリシー、もう 1 つはユーザーが位置を通知しないことを選択している場合に、ユーザーの物理的な位置を緊急サービスの応答者には知らせないという免責事項をユーザーが承諾するという要件の下、E9-1-1 を利用可能にするというポリシーです。 E9-1-1 に関連する通知はすべて、組織の法律上のポリシーに合わせてカスタマイズ可能です。

  • ユーザーの地理的な場所データは、ユーザーが場所を手動で入力するか、Lync Server 場所情報サービスが場所データを Lync に提供することによって決定されます。 また、ユーザーのタイム ゾーンは Windows から取得されます。

通話処理: 代理人と応答グループの機能拡張

Lync は、通話代理人と応答グループの機能拡張を含んでいます。

  • Lync Server では、回線共有 (マネージャーの代理で通話の発信と受信を行う機能)、マネージャーへの常時の直接アクセス、マネージャーへの迅速な通話転送のような委任機能をサポートしているので、代理人はより効率的に通話を管理できます。

  • 応答グループの通話処理は、エージェントが匿名で通話に応答できるよう拡張されているため、直通電話をかけた発信者がワークフローを迂回することはありません。

  • 管理者は、Microsoft Exchange の予定表の代理人による Lync Server との同期をセットアップできます。 Exchange の予定表の代理人を有効にすると、適切なユーザー権限とアクセス許可 (Nonediting Author アクセス許可以上) を持つ予定表の代理人が、Lync でのユーザーの代理人として自動的に追加されます。

拡張された電話の操作性

Lync は、従来の構内交換機 (PBX) システムのすべての機能と有用な生産性機能を含む、拡張された電話機能を提供します。

  • [電話] ビューには、ボイスメール メッセージと通話履歴の一覧が表示されます。また、画面上に表示されるダイヤル パッドが含まれます。

  • 音声品質を確認するためのテスト通話を迅速に実行できます。

  • ユーザーは、ログの収集機能により Lync のログを収集できるため、ユーザーの音声、ビデオ、または接続の問題をマイクロソフトが調査できます。 エンタープライズ管理者の指示に従い、ログを手動でアップロードする必要があります。 エンタープライズ管理者は、トラブルシューティングのためにこのログをマイクロソフトに送信します。

  • 発信者が保留にしている間、お気に入りの歌やその他の録音したアナウンスを選んで再生できます。