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サーバーの役割

 

トピックの最終更新日: 2012-08-22

Microsoft Lync Server 2010 を実行する各サーバーでは、1 つ以上のサーバーの役割を実行します。サーバーの役割は、そのサーバーで提供される Lync Server 2010 機能の定義済みセットです。ネットワークで使用できるサーバーの役割をすべて展開する必要はありません。必要な機能が含まれているサーバーの役割のみをインストールします。

Lync Server のサーバーの役割に精通していない場合でも、Microsoft Lync Server 2010、計画ツールを使用すると、必要な機能に基づいて、展開するサーバーに最適なソリューションを見つけることができます。ここでは、サーバーの役割の概要とその役割が提供する一般的な機能について説明します。

  • フロント エンド サーバーおよびバック エンド サーバー

  • 音声ビデオ会議サーバー

  • エッジ サーバー

  • 仲介サーバー

  • 監視サーバー

  • アーカイブ サーバー

  • ディレクター

important重要:
フェデレーション、外部ユーザー アクセス、モビリティ機能など、外部ユーザー接続を計画している場合、Standard Edition サーバーおよびフロントエンド サーバーまたはフロントエンド プールは、エッジ サーバーを使用する必要があります。Standard Edition サーバーおよびフロントエンド サーバーまたはフロントエンド プールには、外部ユーザーが内部展開にアクセスできるようにするためのコンポーネントがありません。モビリティを含めて、内部ユーザーと共同作業や通信を行う外部ユーザーが含まれるすべてのシナリオに対して、少なくとも 1 つのエッジ サーバーと 1 つのリバース プロキシを展開する必要があります。

多くのサーバーの役割では、すべてが同じサーバーの役割を実行する複数のサーバーのプールを展開して、スケーラビリティと高可用性を実現できます。プール内の各サーバーは同じサーバーの役割を実行する必要があります。Lync Server のプール タイプによっては、ロード バランサーを展開して、プール内の各サーバー間でトラフィックを分散する必要があります。

Standard Edition サーバー

Standard Edition サーバーは、小規模な組織や、大規模な組織のパイロット プロジェクトを対象としています。Standard Edition サーバーを使用することで、Lync Server 2010 の多くの機能 (必要なデータベースを含む) を 1 つのサーバーで実行できるようになります。これにより、Lync Server の機能を低価格で実現できますが、完全な高可用性ソリューションは提供されません。

Standard Edition サーバーでは、インスタント メッセージング (IM)、プレゼンス、会議、およびエンタープライズ VoIP をすべて 1 つのサーバーで実行して使用できます。1 つの Standard Edition サーバーで 5,000 ユーザーまでサポートできます。

高可用性ソリューションを実現するには、Lync Server 2010 Enterprise Edition を使用します。

フロント エンド サーバーおよびバック エンド サーバー

フロント エンド サーバーは主要なサーバーの役割で、多くの基本的な Lync Server 機能を実行します。どの Lync Server Enterprise Edition の展開でも必要になるサーバーの役割は、フロント エンド サーバーと、データベースを提供するバック エンド サーバーのみです。

フロント エンド プールは、まったく同じように構成されたフロント エンド サーバーのセットです。これらは連携して共通のユーザー グループにサービスを提供します。プールでは、ユーザーにスケーラビリティとフェールオーバー機能を提供します。

フロント エンド サーバーには次の機能があります。

  • ユーザーの認証および登録

  • プレゼンス情報および連絡先カードの交換

  • アドレス帳サービスおよび配布リスト展開

  • IM 機能 (マルチパーティ IM 会議など)

  • Web 会議およびアプリケーション共有 (展開されている場合)

  • Lync Server に付属するアプリケーション (会議アテンダントや応答グループ アプリケーションなど) とサードパーティのアプリケーションの両方に対応するアプリケーション ホスト サービス

さらに、展開の 1 つのフロント エンド プールでは中央管理サーバーも実行されます。中央管理サーバーでは、基本構成データを管理したり、Lync Server 2010 を実行しているすべてのサーバーに基本構成データを展開したりします。また、中央管理サーバーは Lync Server 管理シェルやファイル転送機能も備えています。

バック エンド サーバーは、Microsoft SQL Server を実行しているデータベース サーバーで、フロント エンド プールにデータベース サービスを提供します。バック エンド サーバーは 1 つでも問題ありませんが、フェールオーバーできるように複数のサーバーでクラスターを構成することをお勧めします。バック エンド サーバーでは Lync Server ソフトウェアは実行されません。他のアプリケーションに使用している SQL Server クラスターが既にある場合、パフォーマンスに問題がなければこのクラスターを Lync Server 2010 に使用できます。

important重要:
Lync Server データベースを他のデータベースと併置する場合、可用性とパフォーマンスに影響する可能性のあるすべての要因を評価するだけでなく、1 つのノードで障害が発生した場合に残りのノードで負荷を処理できることを確認することを強くお勧めします。フェールオーバー機能を検証する場合は、すべてのフェールオーバー シナリオをテストすることをお勧めします。

バック エンド サーバーのデータベースには、プレゼンス情報、ユーザーの連絡先リスト、会議データ (現在のすべての会議の状態に関する固定データなど)、および会議のスケジュール データなどの情報が格納されています。

フロント エンド サーバーのスケーラビリティ

フロント エンド プールでは、プールに所属する 10,000 ユーザーごとに 1 つのフロント エンド サーバーを用意する必要があります。さらに、1 つのサーバーが使用できなくなっても高いパフォーマンスを発揮できるように追加のフロント エンド サーバーを用意する必要があります。1 つのフロント エンド プールの最大ユーザー数は 80,000 です。サイトに 80,000 を超えるユーザーが存在する場合、複数のフロント エンド プールを展開できます。

フロント エンド サーバーを追加すれば、1 つのサーバーが使用できなくなっても高いパフォーマンスを確保できます。アクティブなサーバーが使用できなくなると、その接続はプール内にある他のサーバーに自動的に転送されます。たとえば、ユーザー数が 30,000 でフロント エンド サーバーが 3 つである場合、1 つのサーバーが使用できなくなると、10,000 ユーザーの接続を他の 2 つのサーバーに転送する必要があります (各サーバーで平均 5,000 ユーザーに対応)。30,000 ユーザーに対して 4 つのフロント エンド サーバーで開始した場合、1 つのサーバーが使用できなくなると、合計 7,500 ユーザーが他の 3 つのサーバーに移動します (各サーバーで平均 2,500 ユーザーに対応)。この方がはるかに管理しやすい負荷になります。

音声ビデオ会議サーバー

音声ビデオ会議サーバーにより、展開で音声ビデオ会議機能が使用できるようになります。音声ビデオ会議サーバーは、フロント エンド サーバーと併置することも、1 つのサーバーまたは音声ビデオ会議サーバー プールとして個別に展開することもできます。

詳細については、「計画」のドキュメントの「Web 会議と音声ビデオ会議」を参照してください。

音声ビデオ会議サーバーのスケーラビリティ

音声ビデオ会議サーバーを個別に展開する場合、サイトには 20,000 ユーザーごとに 1 つの音声ビデオ会議サーバーが必要になります。高可用性を実現するために 2 つ以上の音声ビデオ会議サーバーを用意することをお勧めします。

エッジ サーバー

エッジ サーバーを使用すると、ユーザーは組織のファイアウォールの外側にいるユーザーと通信や共同作業を行うことができます。このような外部ユーザーには、現在オフサイトで作業している組織のユーザー、フェデレーション パートナー組織のユーザー、および Lync Server の展開でホストされる会議に参加するように招待された外部ユーザーが含まれます。また、エッジ サーバーでは、パブリック IM 接続サービス (Windows Live、AOL、Yahoo! など) に接続できます。

詳細については、「計画」のドキュメントの「外部ユーザー アクセスの計画」を参照してください。

エッジ サーバーのスケーラビリティ

パフォーマンス上の理由から、リモートからサイトにアクセスすることが予想される 15,000 ユーザーごとに 1 つのエッジ サーバーを展開する必要があります。高可用性を実現するために 2 つ以上のエッジ サーバーを用意することをお勧めします。

仲介サーバー

仲介サーバーは、エンタープライズ VoIP とダイヤルイン会議を実装するために必要なコンポーネントです。仲介サーバーは、内部の Lync Server インフラストラクチャと、公衆交換電話網 (PSTN) ゲートウェイ、IP-PBX、またはセッション開始プロトコル (SIP) トランク間で信号とメディア (一部の構成の場合) を変換します。

詳細については、「計画」のドキュメントの「仲介サーバー コンポーネント」を参照してください。

仲介サーバーのスケーラビリティ

仲介サーバーのスケーラビリティの詳細については、「計画」のドキュメントの「音声の利用状況とトラフィックの予測」を参照してください。

監視サーバー

監視サーバーでは、エンタープライズ VoIP 通話と音声ビデオ会議の両方のネットワーク メディアの品質に関するデータが収集されます。この情報は、最高レベルのメディア環境をユーザーに提供するのに役立ちます。監視サーバーでは、失敗した通話のトラブルシューティングに使用できる通話エラー記録 (CER) も収集されます。また、さまざまな Lync Server 機能に関する使用状況の情報が通話詳細記録 (CDR) として収集されるため、展開の投資収益率を計算算し、展開の将来の拡張を計画できます。

詳細については、「計画」のドキュメントの「監視の計画」を参照してください。

監視サーバーのスケーラビリティ

アーカイブ サーバーと併置しなければ 1 つの監視サーバーで 250,000 ユーザーまでサポートできます。併置する場合は、100,000 ユーザーまでサポートできます。

アーカイブ サーバー

アーカイブ サーバーでは、コンプライアンスに準拠するために IM 通信および会議の内容をアーカイブできます。コンプライアンス準拠の問題がなければ、アーカイブ サーバーを展開する必要はありません。

詳細については、「計画」のドキュメントの「アーカイブの計画」を参照してください。

アーカイブ サーバーのスケーラビリティ

監視サーバーと併置しなければ 1 つのアーカイブ サーバーで 500,000 ユーザーまでサポートできます。併置する場合は、100,000 ユーザーまでサポートできます。

ディレクター

ディレクターでは、Lync Server ユーザーの要求を認証できますが、ユーザー アカウントを配置したり、プレゼンスまたは会議サービスを提供したりしません。ディレクターは、外部ユーザー アクセスが有効になっている展開で非常に役立ちます。この場合、内部サーバーに要求を送信する前にディレクターで認証ができます。また、複数のフロント エンド プールを使用している組織の場合、ディレクターを使用するとパフォーマンスが向上する可能性があります。詳細については、「計画」のドキュメントの「ディレクター」を参照してください。

ディレクターのスケーラビリティ

パフォーマンス上の理由から、リモートからサイトにアクセスする 15,000 ユーザーごとに 1 つのディレクターを展開する必要があります。高可用性を実現するために 2 つ以上のディレクターを用意することをお勧めします。