ツールボックス: IT プロフェッショナル向けの新製品

今月のツールボックス コラムで紹介するツールを使用すると、記憶域ネットワーク (SAN) を作成したり、Microsoft Excel ブックを比較したり、スクリプトをすばやく作成したりできます。

Greg Steen

StarWind iSCSI SAN Software

これまで記憶域ネットワーク (SAN) の構成や保守は悪夢のような作業でした。最近では、管理、アップグレード、およびセグメント化の作業が非常に簡単になりましたが、導入には依然として膨大なコストがかかります。サーバー インフラストラクチャの仮想化が進んだ結果、SAN は珍しいものではなくなっています。

そこで、低コストの代替案として、StarWind Software iSCSI SAN Software を紹介します。StarWind 社のソリューションでは、Windows の従来のサーバー インフラストラクチャを使用して iSCSI SAN を作成します。このソフトウェアは、VMware ESX サーバー、Microsoft Hyper-V など、仮想化したサーバーの記憶域のバックエンドとして機能します。また、Microsoft Exchange Server、SQL Server などネットワーク記憶域を必要とする一般的なサーバー アプリケーションの記憶域のバックエンドとしても機能します。

このソフトウェアでは iSCSI 記憶域プロトコルを使用するので、既存の IP やイーサネット ネットワークをバックボーンとして使用できます。大規模なインストールでは、複数のリソースで帯域幅とバックプレーンを使用しないように専用の記憶域ネットワークを使用することをお勧めします。このようにすると全体的なパフォーマンスが向上します。

この手法には、数多くの高性能な SAN で使用されるファイバー チャネル インフラストラクチャの追加コストがかからないという特徴もあります。わずか数分で、新しい記憶域の場所を追加したり、ネットワークを指定したりできます。エイリアスを選択し、必要に応じて対象の iSCSI 名をカスタマイズして、対象のメディアの種類 (物理ハード ディスク、仮想ハード ディスク、光学式ドライブ、またはテープ デバイス) を選択し、アクセス モードを選択します。最後に、同時接続を許可するかどうかを指定します。

仮想ハード ディスクを選択した場合は、RAM ディスクまたはイメージ ファイルを指定する単一の基本的な仮想ディスクを作成できます。また、ミラー化されたスナップショットである Continuous Data Protection (継続的なデータ保護) や、このソフトウェアの可用性の高い構成をサポートするスナップショットを作成することができます。光学式ドライブまたはテープ デバイスを選択した場合は、物理デバイスと仮想デバイスの両方がサポートされるため、独自の記憶域のニーズを満たすように簡単に調整できます。

iSCSI SAN ソフトウェアには、SAN にとって重要な機能が数多く用意されています。セキュリティで保護された認証を目的としたチャレンジ ハンドシェイク認証プロトコル (CHAP)、増加したスループットに対応するためのマルチパス I/O (MPIO)、レプリケーション用のリモート ターゲットとのトンネリングおよび接続のための IPSec、データのスナップショットを取得するための Microsoft ボリューム シャドウ コピー サービス (VSS) を完全にサポートしています。iSCSI SAN Software には、他にもすばらしい機能があります。たとえば、2 つのノードで構成された記憶域のクラスターにおける同期データ レプリケーション、フェールオーバー時に元のシステムを復元できる "高速な同期" フェールバック、ワイド エリア ネットワークの (非同期/リモート) レプリケーション、特定の時点のデータの複製やスナップショット作成などがあります。

StarWind Software iSCSI SAN Software の最低価格は 995 ドルですが、同期のミラーリング、リモート レプリケーション、自動フェールオーバーなど、大容量および高可用性を実現するオプションをサポートしているバージョンが必要な場合は価格が高くなります。

StarWind iSCSI SAN Software

StarWind Software iSCSI SAN Software

Workshare Compare for Excel

おそらく 2 つの CSV ファイルまたは Excel ファイルを比較して、違いを確認しなければならないという状況に直面したことはあると思います。CSV ファイルであれば単純に行単位で比較できますが、Excel ファイルではそうは行きません。値の有効桁数を変更するだけで、すべての行に表示される値が変化します。サイズの大きいファイルでは、値の有効桁数が変更された理由を確認するのは非常に困難です。

Workshare Inc. が提供する Workshare Compare for Excel を使用すると、Excel ファイルを簡単に比較できるようになります。マージ ツールや差分ツールのように、比較する 2 つのファイルを選択するだけで簡単に比較結果を作成できます。比較を実行すると、上部のパネルに 2 つの Excel ブックが並べて表示されます。2 つのファイル間で値が異なるセルは、確認された違いを示す特定の色で強調表示されます。

Workshare Compare for Excel では、入力された値、計算された値、数式、シートの構成、名前、マクロ、データ接続など、数多くの種類の項目を表示できます。画面下部には、すべての違いが色分けされた状態で一覧にまとめられたパネルが表示されます。特定の項目をクリックすると、上部のパネルの該当する行やセルに移動するので、違いをすばやく確認できます。さまざまな比較のオプションの有効/無効を切り替えて、不要な比較結果を表示しないようにすることもできます。

画面下部にはもう 1 つパネルがあり、検出された各種の違いの数を示す棒グラフが表示されています。その他の比較のオプションでは、挿入および削除された行や列を処理するかどうか、システムによって生成された変更を比較結果に含めるかどうかなどを指定できます。

Workshare Compare for Excel は、1 ライセンスにつき 145 ドルです。Workshare Compare には、Word、PowerPoint、および PDF ファイルを比較する同様の製品が用意されています。

Workshare Compare for Excel

Workshare Compare for Excel

FastTrack Scripting Host

自動化はシステム管理を適切に行ううえで重要な要素です。スクリプトを 1 行記述して対応できる処理のために、どうして一連の手順を学習する必要があるのでしょうか。世の中には、Windows PowerShell、VBScript などの強力なスクリプト作成ツールが数多く存在しますが、このようなツールの使い方を習得するのは容易ではありません。

FastTrack Software の FastTrack Scripting Host は、スクリプトを簡単に作成できるようにすることを目的としています。このアプリケーションは、"1 回の操作でスクリプトを 1 行作成できる" ことを売りにしています。プログラミング スキルではなく高度な自動化によって簡単に利用できるようにすることが目的なので、開発ではなく管理に専念できます。

パッケージには、FSH.exe スクリプト実行ホストと FastTrack Script Editor (FastTrack スクリプト エディター) の 2 つの主要なコンポーネントが用意されています。後者は、FastTrack スクリプトを作成、編集、構成、およびデバッグするための IDE (統合開発環境) です。IDE エディターの既定のレイアウトはなじみがある外観になっています。ツールまたはスクリプト要素が左側のウィンドウに、色分けされたスクリプト エディターが中央のウィンドウに、[Properties] (プロパティ) ビューが右側のウィンドウに表示されます。

スクリプトを作成するには、ツールのウィンドウ ([Engine Browser] (エンジン ブラウザー) と呼ばれています) から、エディターのウィンドウに操作をドラッグします。スクリプト言語では、一般的な条件ステートメントとループ ステートメントをサポートしています。スクリプトは、簡単にフローを作成できる Visual Basic のように使用できます。エディターでは、Visual Studio の Microsoft IntelliSense と同じような、型の認識機能がサポートされているため、すべてのコマンドの詳細を覚える必要はありません。これで開発時間が大幅に短縮できます。

[Engine Browser] (エンジン ブラウザー) では、Active Directory の操作から印刷や圧縮の操作まで、50 個以上のカテゴリの操作を選択できます。環境変数を設定したり、ファイルを暗号化または暗号化解除したり、他のアプリケーションやバッチ ファイルを実行したりする操作が用意されています。自動化されたインストールを実行したり、ユーザーの権限を借用したり、共有の設定を変更したりすることができます。このようなタスクはすべて自動化に適しています。

また、FastTrack Scripting Host を使用して、グループ ポリシーを割り当てたり、ログオン スクリプト、スタートアップ スクリプト、シャットダウン スクリプト、またはログオフ スクリプトを作成したり、プライバシー通知に会社のロゴを表示することで法令遵守に一役買ったり、Web に接続して XML 情報を取得したり処理したりすることもできます。スクリプトには、ドラッグ アンド ドロップの操作に対応したコンポーネントを使用できる、ほぼ自動化されたグラフィック インターフェイスが用意されており、スプラッシュ スクリーン、メニュー、入力、複数の入力、および条件付き UI コンポーネントをドラッグして、スクリプトをすばやく作成できます。

FastTrack Scripting Host は、デバイス単位でライセンスが付与されます。25 台のデバイス (ホストを実行しているコンピューター) で使用する場合のライセンス料は、およそ 450 ドルになります。ライセンスを付与する台数が増えると、ボリューム ディスカウントが適用されます。Web サイトから、すべての機能を備えた 45 日間限定の評価版をダウンロードできます。製品の Web サイトには、この製品を簡単に構成して実行するのに役立つ、たくさんのガイドや事例が用意されています。

FastTrack Scripting Host

FastTrack Scripting Host

Greg Steen

Greg Steen は技術プロフェッショナルであり、企業家でもあります。また、新製品のファンであるとも言えます。より簡単な操作、品質保証、および開発に役立つ IT プロフェッショナルのための新しいツールを日夜追い求めています。

関連コンテンツ