共有 SMTP 名前空間と分割 SMTP 名前空間について

 

適用先: Exchange Server 2010 SP1, Exchange Server 2010 SP2

社内 Exchange 組織とクラウドベース組織間のハイブリッド展開を構成する際には、共有または分割 SMTP 名前空間のどちらか 1 つを構成できます。

共有 SMTP 名前空間

共有 SMTP 名前空間 (別称: "共有ドメイン" あるいは "共有アドレス空間") を設定することによって、既存の社内 Exchange 組織とクラウドベース組織の両方で同じ電子メール ドメイン アドレスを使用できるようになります。クラウドベース組織内にメールボックスがあるユーザーは、使用する電子メール アドレスに社内 Exchange 組織のユーザーと同じドメインを指定できます。たとえば、社内ユーザーが chris@contoso.com という電子メールアドレスを持ち、クラウドベース ユーザーも david@contoso.com という電子メールアドレスを持つことが可能です。

社内 Exchange 組織とクラウドベース組織間のハイブリッド展開を構成する場合は、共有名前空間が既定の構成となります。選択した名前空間を承認済みドメインとしてクラウドベースのテナントに追加する際は、社内 Exchange 組織とクラウドベース組織間で共有される SMTP 名前空間を選択してください。その電子メール アドレス ドメインが、社内 Exchange 組織とクラウドベース組織のユーザーによって共有されることになります。

社内アドレス ポリシーの構成

ほとんどの Exchange 組織が電子メール アドレス ポリシーを使用し、電子メールが作成された時点で既定でメールボックスおよび他の受信者に適用される電子メール アドレスを定義しています。プライマリ電子メール アドレス ドメインは、ある受信者宛てのすべての返信が送信されるドメインです。この方法は、ハイブリッド組織の場合と同じです。

ハイブリッド組織では、社内 Exchange 組織の電子メール アドレス ポリシーに、別の電子メール アドレス ドメインを追加する必要があります。この電子メール アドレスのドメインは、クラウドベース組織の SMTP 名前空間です。この追加のアドレスは、社内メールボックスに対しては使用されません。ただし、メールボックスがクラウドベース組織内に作成された場合や、クラウドベース組織に移動された場合、この SMTP 名前空間が、社内 Exchange 組織における対象メールボックスのターゲット配信アドレスとして使用されます。このチェックリストの例では、クラウドベース組織の SMTP アドレスとして service.contoso.com を使用しています。

重要

クラウドベースの組織の SMTP アドレスとして、サービス テナントの FQDN (contoso.onmicrosoft.com など) を使用しないでください。

共有名前空間のメッセージ ルーティング

共有 SMTP 名前空間を使用している場合は、受信者が社内組織またはクラウドベース組織にいるかに関係なく、共有名前空間宛てのすべての電子メールが社内組織で受信されます。社内のハイブリッド サーバー (あるいは構成によっては別のハブ トランスポート サーバー) が、受信者の場所に応じてメッセージのルーティング先を決定します。この方法は、いずれの組織においてもすべての受信者に適用されるジャーナリング、トランスポート ルール、スパム対策またはウイルス対策のポリシーを構成する場合に便利です。

社内のハイブリッド サーバーは、電子メール メッセージを受信すると、メッセージの受信者電子メール アドレスを受信者オブジェクトに解決します。受信者オブジェクトが社内組織メールボックスまたは配布グループである場合、その受信者にメッセージが配信されます。受信者オブジェクトがクラウドベース組織内のメールボックスに関連付けられているメール ユーザーである場合、Exchange によってメール ユーザーの配信先アドレスが確認され、クラウドベース組織にメッセージがリダイレクトされます。メッセージはクラウドベース組織に配信された後、クラウドベースのメールボックスに配信されます。メッセージ フローの例については、次の図を参照してください。

共有名前空間による受信メール フロー

受信メール フロー、共有名前空間

詳細情報:トランスポートのオプションについて

分割 SMTP 名前空間

分割 SMTP 名前空間では、社内組織が使用する SMTP 名前空間またはドメインは、クラウドベースのテナントに使用されている名前空間とは異なります。組織ごとに、メールボックスの電子メール アドレスに使用されるドメインがそれぞれ異なります。たとえば、電子メール アドレスは、社内ユーザーなら chris@contoso.com、クラウドベース ユーザーなら david@service.contoso.com のようになります。

先に述べたように、ハイブリッド展開では既定で共有名前空間を使用します。分割名前空間を使用する場合は、各メールボックスを手動で構成する必要があります。

社内アドレス ポリシーの構成

ほとんどの Exchange 組織が電子メール アドレス ポリシーを使用し、電子メールが作成された時点で既定でメールボックスおよび他の受信者に適用される電子メール アドレスを定義しています。プライマリ電子メール アドレス ドメインは、ある受信者宛てのすべての返信が送信されるドメインです。

組織において共有名前空間を使用する場合と同様に、社内 Exchange 組織の電子メール アドレス ポリシーに、別途の電子メール アドレス ドメインを追加する必要があります。この電子メール アドレスのドメインは、クラウドベース組織の SMTP 名前空間です。この追加のアドレスは、社内メールボックスに対しては使用されません。ただし、メールボックスがクラウドベース組織内に作成された場合や、クラウドベース組織に移動された場合、この SMTP 名前空間が、社内 Exchange 組織における対象メールボックスのターゲット配信アドレスとして使用されます。

組織において共有名前空間を使用する場合とは異なり、社内の SMTP 名前空間を手動で削除して、クラウドベース組織の SMTP 名前空間をメールボックスのプライマリ SMTP 名前空間として設定する必要があります。

分割名前空間のメッセージ ルーティング

分割名前空間を使用している場合、社内の SMTP 名前空間に送信されたメッセージは社内 Exchange 組織に送信され、クラウドベースの SMTP 名前空間に送信されたメッセージはクラウドベース組織に送信されます。同一のメッセージに両方の組織の受信者アドレスが指定されている場合でも、クラウドベース組織宛てのメッセージは、社内組織を介してルーティングされることはありません。メッセージ フローの例については、次の図を参照してください。

分割名前空間による受信メール フロー

受信メール フロー、分割名前空間

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