何でも屋: 電気の無駄使いを止めると 1 台のコンピューターにつき年間 50 ドル節約できる

コンピューターのスリープ状態をスケジュールで制御することでコストを削減し、電力消費量の削減に貢献できます。ですが、そのためには微妙なバランスを取る必要があります。

Greg Shields

至る所で緊縮財政が行われています。企業はコストを削減する方法を絶えず捜し求めています。また、支出は、これまでにないほど抑えられています。比較的控えめで多くの払い戻しが見込めるコスト削減方法は、毎月の電気代を抑えることです。

当然のことながら、電気代は莫大な金額になることがあります。先日、電源管理ツールを使用して電気代を試算したところ、コンピューターの電源を入れたままにしておくと、年間で 50 ドルもの無駄なコストがかかることが判明しました。この 50 ドルは簡単に節約できます。ですが、この金額を 100 台のコンピューターについて支払うことになれば、莫大な金額になります。

電源管理機能は、Windows が誕生したときから備わっていると言っても過言ではありません。ですが、以前は、この電源管理機能を使用するのが恐ろしく困難な作業で、当時、私が望むような方法でコンピューターの電源を切ることはできませんでした。

通常の業務時間中、数分後にモニターの電源が切れても、ユーザーが、その動作を問題視することはありませんでした。ですが、コンピューターがすぐスリープ状態になることについては好ましく思っていませんでした。と言うのも、コンピューターのスリープ状態が解除されるまでには数秒かかるため、業務に支障をきたしたからです。その結果、ユーザーからは多数の苦情が寄せられました。

年間 50 ドル節約するには、いくらかの巧妙なスケジューリングが必要になります。通常の業務時間中は、非アクティブな状態が 4 時間続いたらコンピューターをスリープ状態にし、業務時間後は、非アクティブな状態が 15 分続いたらコンピューターをスリープ状態にしたいと考えました。また、Windows Server Update Services (WSUS) によって、業務時間外に行われるコンピューターの更新に影響しないようにする必要もありました。

電源プラン

電源プランを作成する

図 1 電源プランを作成する

[コンピューターの構成]、[基本設定]、[コントロール パネルの設定]、[電源オプション] を順に展開します。[新規作成] をポイントし、[電源プラン (Windows Vista およびそれ以降)] をクリックして、新しい電源プランを作成します (図 1 参照)。

コントロール パネルには、既定で、"バランス"、"高パフォーマンス"、および "省電力" という 3 つの電源プランのオプションが用意されています。多くの場合、電源プランの種類は、ほぼ常に "高パフォーマンス" に設定されています。私と同じような考えの持ち主であっても、追加のバッテリーを持って行かずに、長時間のフライトでバッテリーを長持ちさせるために、設定を "省電力" に変更するくらいでしょう。

この 2 つの電源プランの間には大きなパフォーマンスの違いがあります。これらの設定は、スリープ状態のタイムアウトを構成するのにも使用できます。通常の業務時間中は、"高パフォーマンス" に設定し、パフォーマンスを重視して、ユーザーの作業を中断することを極力抑えます。業務時間後は、"省電力" に変更し、パフォーマンスが最も低く、使用電力が最も少なく、コンピューターがすぐにスリープ状態になるようにします。

業務時間後にお勧めな "省電力" 電源プラン

図 2 業務時間後にお勧めな "省電力" 電源プラン

図 2 に、この種類の電源プランのスケジュールを構成する第一歩を示します。電源プランを "省電力" に変更し、スリープ状態に移行するまでの時間を 15 分に設定します。ハイブリッド スリープも有効にします。この設定を有効にすると、コンピューターがスリープ状態の間に電源を完全に失った場合にユーザー データに対する保護を提供できます。この設定は、外部で停電が発生したときにユーザー データを保持するのに役立ちます。

図 2 の [現在使用されている電源プランとして設定] チェック ボックスは重要な設定です。このチェック ボックスをオンにすると、"省電力" がアクティブなプランとして構成されます。このチェック ボックスをオンにしないと、コンピューターには、構成した他の省電力の設定が適用されません。

[OK] をクリックして新しいプランを作成し、わかりやすい名前に変更します。たとえば、「業務時間後の電源プラン」という名前を付けます。その後、業務時間中用の設定を構成した別のプランを作成します。私の場合、この 2 つ目のプランは "高パフォーマンス" に設定し、スリープ状態に移行するまでの時間を 240 分に設定しています。

電源のスケジューリング

最初の手順は簡単でした。困難なのは、2 つのプランを適用する日時をスケジューリングする作業です。グループ ポリシーの基本設定 (GPP) が導入されるまで、サードパーティ製のユーティリティを使用しなければ、2 つのプランをスケジューリングするのは非常に困難でした。GPP を使用しても、この作業は一筋縄では行きません。

ネイティブな GPP を使用してスケジューリングする方法は、次のとおりです (管理作業を簡略化するためのサードパーティ製のユーティリティは現在も提供されていることに注意してください)。この時点で、GPO には 2 つの電源プランがあります。1 つ目は、業務時間中に "高パフォーマンス" に設定するプランです。もう 1 つは、それ以外の時間帯に "省電力" に設定するプランです。通常の業務時間中のプランのプロパティ ダイアログ ボックスの [共通] タブをクリックし、[項目レベルで対象化する] チェック ボックスをオンにして、[対象化] を選択します。

GPP のターゲット エディターでは、GPP がユーザーやコンピューターに適用されるタイミングを定義します。まず、GPP の GPO を、ユーザーやコンピューターが所属している Active Directory の組織単位にアタッチする必要があります。GPO をアタッチすると、ターゲット エディターの項目によって、GPP が適用されるタイミングがさらに制限されます。

通常の業務時間中の電源プランの対象化

図 3 通常の業務時間中の電源プランの対象化

私の業務時間中の電源プランの対象化の構成は、図 3 のとおりです。ブール演算子によって、月曜 ~ 金曜の 8:00 a.m. ~ 5:00 p.m. の間は、このプランが適用されます。1 週間のうち 5 日は、true と評価されるコレクションに含まれています。また、各曜日は OR 演算子で分けられています。時間に関する項目の前には AND 演算子が配置されています。この設定により、このプランは、いずれかの曜日の項目が true と評価され、現在の時刻が構成の範囲内にある場合にのみ適用されます。

業務時間後の電源プランの対象化

図 4 業務時間後の電源プランの対象化

業務時間後の電源プランは、月曜 ~ 金曜の 5:00 p.m. から 8:00 a.m. までと週末に適用されます。図 4 は、このスケジュールの対象化を構成する方法の一例です。

これまで、夜間のメンテナンスを考慮して、コンピューターをスリープ状態にすることを避けてきました。と言うのも、以前は、重要な修正プログラムや他の更新プログラムをインストールするために、コンピューターのスリープ状態を解除するのが困難だったからです。最近は、WSUS や Windows Update エージェントの機能が強化されは、スリープ状態のコンピューターの電源状態を適宜調整して、修正プログラムをインストールできるようになりました。さらに重要なのは、更新が終わると、Windows Update エージェントがコンピューターをすぐスリープ状態に戻せるようになったことです。

コンピューターのスリープを解除する WSUS のグループ ポリシー

図 5 コンピューターのスリープを解除する WSUS のグループ ポリシー

電源プランでコンピューターを管理する場合も、WSUS にコンピューターのスリープ状態を管理する権限を与えることをお勧めします。この権限は、グループ ポリシーの設定を調整するだけで付与できます (このグループ ポリシーの設定には、[コンピューターの構成]、[管理用テンプレート]、[Windows コンポーネント]、[Windows Upadate] を順に展開してアクセスできます)。このポリシーの設定には "Windows Update の電源管理を有効にして、システムのスリープ状態が自動的に解除され、スケジュールされた更新がインストールされるようにする" という長い名前が付いています。この設定は図 5 のとおりです。このポリシーの設定を "有効" に設定すると、予定された更新のためにコンピューターのスリープ状態を解除するよう WSUS に指示します。

図 5 に表示されているヘルプ テキストを注意して見てください。このポリシーは、長い年月をかけて進化しました。以前のバージョンでは、このポリシーの設定で、コンピューターのスリープ状態を解除できましたが、電源がバッテリーの場合は、すぐにコンピューターをシャットダウンできませんでした。そのため、電源にバッテリーを使用しているコンピューターのスリープ状態を解除することは可能でしたが、コンピューターをすぐスリープ状態に戻すことはできませんでした。この動作により、バッテリーが消耗するという現象が往々にして見られました。

このようなコンピューターは、長い間 OA バッグに入れたまま電源がオンになっていると、過熱することがありました。図 5 の更新された新しいポリシーでは、コンピューターの電源がバッテリーの場合、2 分後にコンピューターをスリープ状態に戻します。

50 ドルは 50 ドル

企業はコストを削減する必要があります。もともと浪費していたコストであれば、そのコストを削減する必要はさらに高いと言えます。また、このようなコストは削減しても、どこにも影響することがありません。このような電源管理ポリシーを使用すると、1 台のコンピューターあたり年間 50 ドルのコストを削減できます。

削減できる金額をご自分で確かめてみたいと思いませんか。ツールはいくつかありますが、http://www2.scriptlogic.com/energycalc (英語) では、サイト上で直接計算できるツールがあります。このツールは、最終的な収益と環境保護に、電源管理プランが与える影響を数値化します。

Greg Shields

Greg Shields (MVP) は、Concentrated Technology の共同経営者です。何でも屋である IT プロフェッショナル向けのヒントとテクニックについては、ConcentratedTech.com (英語) を参照してください。

 

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—G.S.

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