Windows Phone 7: 企業での採用が進む Windows Phone 7

Windows Phone 7 は、プライベートと仕事で必要な機能が 1 つのモバイル デバイスに統合された魅力的なプラットフォームです。

Joshua Hoffman

このように早い段階で、Windows Phone 7 が、これほど大きな成功を収めた理由は明快です。それは、Windows Phone 7 では、なじみのある Windows エクスペリエンス、強力な開発プラットフォーム、堅牢なセキュリティ ツールや展開ツールが提供され、エンタープライズ IT ソリューション (Exchange Server や SharePoint など) との密接に統合されているからです。好評を博した前身の Windows Mobile に引き続き、Windows Phone 7 は今もエンタープライズ モバイル デバイスの有力な候補として君臨しています。

Windows Phone 7 により、新たな歴史が幕を開けました。完全な設計の見直しが行われた結果、新しいレベルのモバイル コンピューティングを実現します。また、Windows Phone 7 は、これ以上ない最適なタイミングでリリースされました。今後数年の間に、企業ユーザーの約 73% がモバイル ユーザーになることが予想されます。今や、強力で豊富な機能と安定した接続を備えたモバイル コンピューターは、贅沢品ではなく必需品になっています。

この記事では、Windows Phone 7 プラットフォームの新機能をいくつか紹介します。また、中小企業、大企業、および IT プロフェッショナル個人にとって Windows Phone 7 が、魅力的なソリューションである理由を説明します。

すべてのユーザーに適したデバイス

仕事の生産性を向上するために持ち歩くデバイスとプライベートな用途に使用するために持ち歩くデバイスは、区別されなくなってきています。IT の消費者化現象により、すべての用途に対応するデバイスが求められるようになったのは当然の結果です。専門家は、仕事の生産性を維持するためにネットワークへの接続を必要としますが、魅力的なユーザー エクスペリエンスも必要としています。

Windows Phone 7 では、UI が一新され、統一されたスタート画面が実現されました (図 1 参照)。スタート画面では、重要な情報を一目で確認できます。Live Tile と呼ばれる新しいインターフェイス要素では、新しいメッセージ、保留になっている予定、ニュース、天気予報などの更新情報がアニメーションで表示されます。これらの情報は、デバイスのワイヤレス接続経由で自動的に提供されます。

Windows Phone 7 のスタート画面

図 1 Windows Phone 7 のスタート画面

Windows Phone 7 には、ハブと呼ばれる一連の機能が用意されています。

  • People ハブ: 友達や連絡先にアクセスできます (Facebook と連動しています)。
  • Pictures ハブ: 画像をキャプチャ、共有、および公開できます。
  • Music & Videos ハブ: 音楽、ビデオ、ポッドキャストを再生するエンターテイメント機能にアクセスできます。
  • Games ハブ: Xbox LIVE に直接接続できることを特徴としたポータブルなゲームセンターです。
  • Marketplace ハブ: 1 回のクリック操作でアプリケーション、ゲーム、および音楽にアクセスできます。
  • Office ハブ: モバイル版の Word、Excel、PowerPoint、および OneNote がまとめられており、SharePoint インフラストラクチャに簡単にアクセスできます。

前代未聞の生産性

モバイル コンピューティングにおいて重要なのは、生産性を維持するために、必要な情報にすぐアクセスできることです。Windows Phone 7 では、Outlook Mobile により電子メール機能が提供されます。また、統合された予定表や連絡先の同期機能も備わっているので、同僚やクライアントといつでも連絡を取ることができます。

Windows Phone 7 では、電子メール、予定表、および連絡先情報を Exchange Server と同期する機能として Exchange ActiveSync (EAS) がサポートされています。また、EAS をサポートする他のサービス (Windows Live Hotmail、Google Gmail など) と同期することもできます。Windows Phone 7 には、EAS Version 14.0 が組み込まれているので、複数の EAS アカウントを構成できます。People ハブでは、複数のアカウントの連絡先情報が統合されます。また、複数のアカウントの予定表に登録されている情報が 1 つのビューに表示されます (各予定表の情報は色で区別されます)。

電子メールは、指で簡単にフィルター処理できるので、未読のメッセージ、重要度が "高" に設定されているメッセージ、またはフラグが設定されたメッセージを簡単に見つけられます (図 2 参照)。また、インスタント検索機能も用意されているので、必要なメッセージをすぐに見つけることができます。電子メールと予定表の機能は密接に統合されているので、会議出席依頼にすぐ応答したり、競合を特定したりすることができます。

Windows Phone 7 の Outlook Mobile の受信トレイ

図 2 Windows Phone 7 の Outlook Mobile の受信トレイ

EAS により、IT 管理者は、Windows Phone 7 のアカウントとユーザーを高いレベルで制御できます。IT 管理者は、ポリシーを使用して、パスワードの長さ、履歴、複雑さ、およびデバイス上にあるデータが削除される前に許容する無効なパスワードの入力試行回数を制御できます。

また、証明書に基づいた認証によって、Windows Phone 7 デバイスと EAS の接続をセキュリティで保護できます。Windows Phone 7 デバイスでは、デジタル証明書がサポートされているので、パスワードが侵害されたり、デバイスを紛失した場合に、保護されたリソースに悪意のあるユーザーがアクセスすることを回避するのに役立ちます。Windows Phone 7 にデジタル証明書を展開する方法の詳細については、「Windows Phone 7 and Certificates (英語)」を参照してください。

Windows Phone 7 でサポートされている Exchange Server のバージョンは、次のとおりです。

  • Exchange Server 2003 SP2
  • Exchange Server 2007 (サービス パックのバージョンは任意)
  • Exchange Server 2010 (サービス パックのバージョンは任意)
  • Small Business Server 2008 (サービス パックのバージョンは任意)
  • Microsoft Office 365 (旧称、Business Productivity Online Suite [BPOS])

ただし、グローバル アドレス一覧の参照、添付ファイルのダウンロード、ユーザーによるリモート ワイプなど、一部の機能は、新しいバージョンの Exchange Server でしかサポートされていません。Windows Phone 7 では、POP/IMAP ベースの電子メール アカウントもサポートされています。Windows Phone 7 と EAS の統合に関する詳細については、「Windows Phone 7 and Microsoft Exchange Server」を参照してください。

手軽に持ち運べる Office

Windows Phone 7 には、Office Mobile 2010 がインストールされています。インストールされている製品は、SharePoint Workspace Mobile、Word Mobile、Excel Mobile、PowerPoint Mobile、および OneNote Mobile です。これらの Office アプリケーションには、Office ハブからアクセスできます (図 3 参照)。また、最近使用したドキュメントを開いたり、SharePoint サイトにアクセスしたり、新しいメモを作成するなど、さまざまな操作を行えます。

Windows Phone 7 の Office ハブ

図 3 Windows Phone 7 の Office ハブ

SharePoint Workspace Mobile を使用すると、SharePoint サイト、ライブラリ、およびリストを閲覧できます。また、ドキュメントを表示して更新したり、ドキュメントをオフラインにして編集または変更し、ネットワークに接続したときに更新したドキュメントを SharePoint に保存することもできます。SharePoint Workspace Mobile には、OneNote ノートブックを開く、共有、および同期するサポートも用意されています。

Word Mobile を使用すると、Windows Phone デバイスで、直接リッチ テキスト形式の文書を作成して編集できます。アウトライン表示により、文書を簡単に閲覧できるようになります。この機能を使用すると、文書内をセクション単位で簡単に移動できます。また、文書内のコメントを確認、追加、および削除する校正機能も組み込みで用意されています。文書を校正してコメントを追加しても、文書の編集内容と元の書式 (表や SmartArt など) は維持されます。

Excel Mobile を使用すると、以前よりも高い精度で Excel ブックを表示、作成、および編集できます。Word Mobile と同様に、アウトライン表示とコメント機能が用意されています。Excel Mobile では、グラフやピボット テーブルなど、リッチ コンテンツ要素も維持されます。また、Windows Phone 7 デバイス上で、114 個の数式を直接実行することもできます。

PowerPoint Mobile では、プレゼンテーションを表示して編集することが可能で、リッチ コンテンツ要素も維持されるので、最終チェック時にプレゼンテーションを簡単に更新できます。また、発表者のノートを追加/編集したり、オンラインでブロードキャストされているプレゼンテーションを表示したりすることもできます。

OneNote Mobile には、メモを取るための豊富な機能が用意されています。複数のモバイル アプリケーションのメモを検索してアクセスしたり、テキスト、写真、および音声の録音を保存できます。また、SharePoint に格納されている OneNote ノートブックを使用して、他のモバイル デバイスと連携することもできます。変更はワイヤレス ネットワーク経由でシームレスに同期されるので、コンピューターに直接接続する必要はありません。

Windows Phone 対応のアプリケーションを開発する

Windows Phone 7 に対応しているさまざまなアプリケーションには、Marketplace ハブからアクセスできます (図 4 参照)。Twitter などのソーシャル メディアを管理したり、PDF ファイルの読み取り/共有を行ったり、インスタント メッセージングで連絡を取ったり、最新の旅行情報を入手するアプリケーションがあります。

Windows Phone 7 の Marketplace ハブ

図 4 Windows Phone 7 の Marketplace ハブ

Windows Phone 7 プラットフォームに対応した独自のアプリケーションは、比較的簡単に開発できます。Microsoft Visual Studio、XNA Framework、Silverlight など、なじみのある開発ツールを使用して独自のアプリケーションを開発できます。Windows Phone 7 に対応したアプリケーションの開発に取り組むうえで必要になる情報については、「Windows Phone 7 Developer Training Kit (英語)」を参照してください。

多くのビジネス ユーザーにとって、外出先でコンピューターを使用できることは当たり前のことになっています。仕事用とプライベート用に別のデバイスを持ち歩く必要はありません (詳細については、「Windows Phone 7 for Business (英語)」を参照してください)。Windows Phone 7 は、今日のエンタープライズにとって理想的なモバイル コンピューティング プラットフォームを提供します。音楽や Facebook からドキュメントの編集や仕事上のコミュニケーションを行うのに必要なものに至るまで、あらゆるものにアクセスできます。

Joshua Hoffman

Joshua Hoffman は、TechNet マガジンの前の編集長です。現在は、フリーランスで執筆活動とコンサルティングを行っており、クライアントにテクノロジとそれぞれのクライアントに合ったマーケティング手法に関するアドバイスをしています。また、市場調査の分野の成長と強化に注力している ResearchAccess.com (英語) で編集長を務めています。現在、ニューヨーク市に住んでいます。

 

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