パフォーマンスと容量のテスト (FAST Search Server 2010 for SharePoint)

 

適用先: FAST Search Server 2010

トピックの最終更新日: 2016-11-29

Microsoft FAST Search Server 2010 for SharePoint 展開のパフォーマンスと容量をテストする際には、以下の点を考慮します。

  • テストの目標を測定する方法を理解する

    検索パフォーマンスを測定する場合は、クロール時間、ドキュメントのインデックス作成速度、クエリ照合速度を測定します。

  • テスト コンテンツを特定する

    クロールするテスト コンテンツ ソースを決定し、それらのクロールに必要なユーザー アカウントとネットワーク アクセスが存在することを確認します。

    特定のテスト コンテンツを作成する場合は、必ず固有のコンテンツを使用するようにします。よくある間違いは、同じドキュメントを何百回、何千回と異なるドキュメント ライブラリに毎回別の名前でアップロードすることです。この場合、実際のコンテンツを使用する運用環境では行う必要がない重複データの検出にクエリ プロセッサが時間を費やすので、検索パフォーマンスに影響する可能性があります。

  • 検索キーワードおよび語句のサンプルの適切なセットを特定する

Microsoft SharePoint Server 2010 のパフォーマンスと容量を一般的にテストする方法の詳細については、「SharePoint Server 2010 のパフォーマンス テスト」を参照してください。

FAST Search Server 2010 for SharePoint はストレージ サブシステムを多用します。未加工の I/O パフォーマンスをテストすると、パフォーマンスが十分かどうかを早期に確認できます。詳細については、次のセクションを参照してください。

未加工の I/O パフォーマンスの分析

未加工の I/O パフォーマンスは、SQLIO (https://www.microsoft.com/downloads/details.aspx?familyid=9a8b005b-84e4-4f24-8d65-cb53442d9e19&displaylang=en (英語)) というツールを使用して分析できます。

SQLIO をインストールした後、最初の手順は、適切なテスト ファイルの取得または生成です。以降のテストには、書き込み操作が含まれます。そのため、このファイルの内容は部分的に上書きされます。ファイルのサイズは、キャッシュの影響を抑えるために使用可能なシステム メモリよりも十分に大きくする (10 倍以上) 必要があります。テスト ファイルは SQLIO でも生成できますが、非常に大きなサイズのものは直接作成できません。ここでは、"sqlio.exe -t32 -s1 -b256 1g" というコマンドを使用して 1 GB のファイルを生成することをお勧めします。このコマンドは、"1g" という名前のファイルを現在のディレクトリに作成します。次に、"copy 1g+1g+1g+…..+1g testfile" というコマンドによって、このファイルを連結して十分に大きなファイル (たとえば 256 GB) にします。このテスト ファイルを用意する際のキャッシュ処理が結果に影響しないように、テストを続行する前にサーバーを再起動する必要があります。

以下のコマンド群は、FAST Search Server 2010 for SharePoint におけるパフォーマンス上非常に重要なディスク動作を表しています。

テスト番号 範囲 コマンド

1

1 KB の読み取り [IOPS]

sqlio.exe -kR -t4 -o25 -b1 -frandom -s300 testfile

2

32 KB の読み取り [IOPS]

sqlio.exe -kR -t4 -o25 -b32 -frandom -s300 testfile

3

32 KB の書き込み [IOPS]

sqlio.exe -kW -t4 -o25 -b32 -frandom -s300 testfile

4

100 MB の読み取り [MB/s]

sqlio.exe -kR -t1 -o1 -b100000 -frandom -s300 testfile

5

100 MB の書き込み [MB/s]

sqlio.exe -kW -t1 -o1 -b100000 -frandom -s300 testfile

すべてのコマンドは、ファイル "testfile" が現在のディレクトリに存在することを前提としたものです。このディレクトリは、FAST Search Server 2010 for SharePoint をホストすることになるディスク上に設定する必要があります。それぞれのテストは、300 秒間実行されます。最初のテストは、小規模な読み取り転送で 1 秒あたりの I/O 操作の最大数を測定します。2 番目と 3 番目のテストは、中規模のランダム アクセスでのパフォーマンスを測定します。最後の 2 つのテストは、大規模な転送での読み取りと書き込みのスループットを測定します。以下の表に、サンプルの結果を示します。一番上の行は、通常の操作での最小限の推奨値です。

ディスクのレイアウト テスト番号 1 テスト番号 2 テスト番号 3 テスト番号 4 テスト番号 5

推奨最小値

2000

1800

900

500

250

16 台の SAS 10k RPM 2.5 インチ ドライブによる RAID50 (2 つのパリティ グループ)

2952

2342

959

568

277

22 台の SAS 10k RPM 2.5 インチ ドライブによる RAID50 (2 つのパリティ グループ)

4326

3587

1638

1359

266

22 台の SAS 10k RPM 2.5 インチ ドライブによる RAID50 (2 つのパリティ グループ、ドライブに障害あり)

3144

2588

1155

770

257

12 台の SAS 7200 RPM 3.5 インチ ドライブによる RAID50 (2 つのパリティ グループ)

1844

1315

518

677

780

12 台の SAS 7200 RPM 3.5 インチ ドライブによる RAID50 (2 つのパリティ グループ、ドライブに障害あり)

1424

982

531

220

477

12 台の SAS 7200 RPM 3.5 インチ ドライブによる RAID10

1682

1134

1169

762

692

12 台の SAS 7200 RPM 3.5 インチ ドライブによる RAID10 (ドライブに障害あり)

1431

925

1154

213

220

12 台の SAS 15k RPM 3.5 インチ ドライブによる RAID50 (2 つのパリティ グループ)

4533

3665

848

501

235

2 台の ZeusIOPS 400GB MLC 2.5 インチ ドライブによる RAID0

52709

14253

27171

360

122

1 台の ioDrive 640 GB MLC

83545

21875

17687

676

533

1 台の ioDrive Duo 1280 GB MLC

160663

42647

32574

1309

664

3 台の ioDrive Duo 1280 GB MLC による RAID0

162317

83661

44420

2382

1412

3 台の ioDrive Duo 1280 GB MLC による RAID0 (既定でないオプション: 4kB ブロック サイズ)

1815932

86396

47423

2340

1631

3 台の ioDrive Duo 1280 GB MLC による RAID5

188284

87270

11800

2459

545

3 台の ioDrive Duo 1280 GB MLC による RAID5 (カードに障害あり)

126469

48564

10961

716

202

1これは標準的な 300 秒のテスト時間での平均 IOPS です。開始時は ~ 3500 IOPS ですが、3 ~ 4 分後には ~ 1700 IOPS まで低下してこの状態が持続します。

2異なるブロック サイズでフォーマットされているため、テストは 4 KB ブロックの読み取りで行われました。

注意

これらの結果は、使用されたディスク コントローラーとスピンドル数に大きく依存しています。また、この表の数値は、テスト ファイルを追加する前にディスク サブシステムの容量の少なくとも 50 % が使用されているという展開を反映したものです。ただし、空のディスクでテストを行う場合は、テスト ファイルがすべてのスピンドルにわたって最適なトラックに配置される (アクセス時間が短くなる) ため、より良好な結果が得られる可能性があります。この場合、パフォーマンスは 2 ~ 3 倍になることがあります。また、太字で強調された行の数値は、強制的にドライブ障害を発生させて測定したものです。

RAID50 は、小規模な書き込みを除くほとんどのテストで通常の動作時のパフォーマンスが RAID10 よりも優れています。RAID10 は、ドライブに障害が発生してもパフォーマンスがあまり低下しません。5 つのテストのうち 32 KB の書き込みは重要性が最も低いので、ほとんどの展開では RAID50 の使用をお勧めします。RAID50 は、同じディスク数の RAID10 に比べて 2 倍近くのストレージ容量を提供します。バックアップ インデクサーを展開している場合は、32 KB の書き込みの頻度が高くなります。これは、大量のインデックス作成前ストレージ ファイル (FiXML) がプライマリ インデクサー コンポーネントからバックアップ インデクサー コンポーネントに渡されるからです。そのため、特定の場合については RAID 10 の使用がパフォーマンスの向上につながる可能性があります。

See Also

Concepts

パフォーマンスと容量の管理 (FAST Search Server 2010 for SharePoint)
パフォーマンスと容量の計画 (FAST Search Server 2010 for SharePoint)
パフォーマンスと容量の監視 (FAST Search Server 2010 for SharePoint)
パフォーマンスと容量のチューニング (FAST Search Server 2010 for SharePoint)