クラウド コンピューティング: クラウドに移行する

クラウド コンピューティングは、大きな将来性と可能性を秘めていますが、適切な準備を行うと、さらに多くのものを手に入れることができます。

Andy Cordial

多くのユーザーにとって、クラウドは魅力的な選択肢です。クラウドは、一見制限のないストレージ オプションを提供し、データセンターのストレージに必要な高価な領域を削減する方法を模索している企業にコスト削減の手段を提供し、インターネット経由でデータとアプリケーションを共有できるので効率化をもたらします。

ただし、多くの企業は、クラウド アプリケーションのセキュリティとアクセスの制御について多くの疑問を持っています。企業が、この進化するリソースを最大限に活用して、企業のデータを安全な状態で維持するにはどうしたら良いのでしょうか。

飛行機に搭乗すると、シートベルトを締めて、安全のしおりに記載されている内容についての説明に耳を傾けることが求められます。データをクラウドに移行する前にも同様のことが必要なのではないでしょうか。では、クラウドにデータを移行する前に行う安全確認には、どのようなものを含めるべきでしょうか。

荷造りはしっかりと

飛行機に搭乗したことがある場合は、ご存じだと思いますが、機内の空間は限られています。荷物の大半は、貨物室または頭上のロッカーに納める必要があります。そのため、荷造りをするとき、貴重品は手荷物に入れるようにする必要があります。企業のデータについても、それほど大きな違いはありません。

クラウドに移行するデータの準備をする前に、データを仕分けして分類する必要があります。すべての企業のデータが、貨物室 (クラウド) に格納するのに適しているわけではありません。漏洩した場合に企業の評判を落とすおそれのある顧客に関する機密情報が含まれている場合は、そのデータを本当にクラウドに格納する必要があるかどうかを自分自身に問いかけてみる必要があります。おそらく、そのようなデータはクラウドに格納すべきではありません。機密性の低いデータは、クラウド プロバイダーに格納し、重要な機密データは会社の本社で保管できます。

パスポートを見せてください

搭乗口まで行ったり、荷物を貨物室に預けるには、厳重なセキュリティ チェックに合格する必要があります。当局は、パスポートや政府が発行した ID カードを確認する必要があります。問題のない旅行者であれば、適切な書類を携帯しているので、審査を通過できます。適切な書類を携帯していない旅行者は特定され、それ以上先に進むことができません。その結果、損害がもたらされることを回避できます。

クラウドにデータを格納する場合、"パスポート" 審査が同じような効果を発揮するようにする必要があります。つまり、セキュリティ アクセス制御です。許可されているユーザーのみがデータにアクセスできて、ユーザーがアクセス許可のあるデータにのみアクセスできるようにする必要があります。

セキュリティ ポリシーとアクセス ポリシーが厳しすぎるか、時間がかかりすぎる場合、適切なアクセス許可を持っているユーザーがデータにアクセスできなくなる可能性があります。一方、ポリシーが単純すぎる場合は、だれでもデータにアクセスできるため、データが侵害される可能性があります。

柔軟なアクセスを提供するということには、ユーザーが社外で個人所有のデバイスを使用できるようにすることも含まれるかもしれません。管理とアクセス制御の観点では、このようなことを可能にすると、いろいろな問題を引き起こすおそれがあります。社外のデバイスは、ウイルスやマルウェアに感染している可能性があり、データやアプリケーションのセキュリティを危険にさらすおそれがあります。

物理的な世界では、パスワードでデータを保護します。仮想化環境では、より強固な予防措置が必要になります。クラウドのセキュリティが快適で効果的なデータ セキュリティ計画を提供しているかどうかを自分自身に問いかける必要があります。データのセキュリティを確保できない場合は、クラウドへの移行を再検討する必要があります。

シートベルトを締めて、テーブルを元の位置に戻してください

安全な空の旅を過ごすには、シートベルトは不可欠です。クラウドにデータを移行する場合にも同じことが当てはまります。新しい暗号化ソフトウェアは、クラウドに格納されたデータを保護するように設計されています。物理環境では、AES の 256 ビット暗号化が、最も安全なオプションとして認識されています。ですから、仮想環境では、これより安全性の低いものを使用すべきではありません。

最初の段階で、クラウド ストレージ プロバイダーの安全性を確認する必要があります。安全性に疑問を感じる場合は、別のプロバイダーと比較検討することをお勧めします。

到着したら

計画どおりに物事が進まなかった休暇もあるでしょう。乗り換えがうまくいかなかったり、天候に恵まれなかったりしたことがあると思います。クラウドへの移行についても同じです。クラウドは、すべての物やユーザーに適しているわけではありません。効率向上とコスト削減というクラウドのメリットを最大限に活用するには、入念な検討と計画を行って、適切なアプリケーションとデータを移行する必要があります。

ダウンロードの速度も考慮する必要があります。帯域幅が、クラウド サービス プロバイダーを選定するときの唯一の考慮事項であってはなりませんが、帯域幅は重要な考慮事項です。帯域幅と、サポートの品質、価格、機能、および信頼性のバランスを総合的に判断する必要があります。

最後に、クラウドにデータを移行する計画を立てるときには、技術的またはビジネス上の観点から、クラウド サービス プロバイダーで問題が発生した場合に、その状況から抜け出すための信頼できるルートを確保する必要があります。致命的な状態に陥った場合、どのようにデータを取り戻しますか。一定期間、身動きが取れなくなりますか。そのプロバイダーは、あなたのアカウントとデータを別のプロバイダーに移管する作業を支援してくれますか。

おそらく、クラウド環境は、そう遠くない未来に危険にさらされることになるでしょう。Gartner Inc. の IT アナリストは、企業に対して、クラウド プロバイダーと密接に連携して、潜在的なセキュリティの問題に注意し、問題が表面化する前に対処するようにアドバイスしています。

パフォーマンスやコスト削減という将来性に目をくらまされないようにしてください。安全が侵害されると、このメリットは簡単に消えてなくなります。深刻な侵害は、企業に致命的な打撃を与えることがあります。ですから、クラウドにデータを移行する準備は入念に行ってください。

Andy Cordial

Andy Cordial は、Origin Storage の最高経営責任者です。彼のコンピューター業界におけるキャリアは、Everex Systems というテープ メーカーから始まりました。その後、1989 年にコンピューター販売に転向し、自身初のコンピューター会社 XL Distribution を設立しました。2003 年には、Origin Storage に投資し、コンピューター販売ビジネスで成功を収めています。

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