Windows 7: MAP Toolkit を使用する

Microsoft Assessment and Planning Toolkit 4.0 を使用して、OS の展開前にインベントリと評価を行うと、スムーズに展開を進めることができます。

Jorge Orchilles

出典: 『Microsoft Windows 7 Administrator’s Reference』(Syngress、2010 年)

OS の展開を計画するときには、まず、ハードウェアからソフトウェアに至るまで、現在配置されているものをインベントリする必要があります。資産を把握することが重要です。

マイクロソフトでは、Windows 7 の展開を計画するときに使用できる無料のツールを提供しています。Microsoft Assessment and Planning (MAP) Toolkit 4.0 は、インベントリ、評価、およびレポートの作成を実行するエージェントのインストールが不要なツールで、Windows 7 の展開を計画するプロセスを簡略化するのに役立ちます。MAP Toolkit では、Windows 2000、Windows XP、Windows Vista、および Windows 7 を実行しているワークステーションと Windows Server 2000、Windows Server 2003、Windows Server 2008、および Windows Server 2008 R2 を実行しているサーバーを評価します。

MAP Toolkit 4.0 をインストールする

MAP Toolkit 4.0 は、インベントリするシステムに接続しているコンピューターにインストールする必要があります。セットアップ ウィザードでは、MAP Toolkit と SQL Server 2008 Express Edition のインストール プロセスが提示されます。MAP Toolkit を実行するコンピューターでは、レポートを生成して表示するために、Word 2007 と Excel 2007 (または Word 2003 SP2 と Excel 2003 SP2) がインストールされている必要があります。

MAP Toolkit では、収集したデータを Microsoft SQL Server 2008 Express Edition に格納しています。SQL Server 2008 Express Edition がインストールされていない場合は、インストーラーによって、自動的にダウンロードおよび構成されます。MAP Tookit の初回起動時には、インベントリ用のデータベースを作成する必要があるので、好きな名前を入力して、[OK] をクリックします。

ネットワーク コンピューターを検出する

MAP Toolkit では、さまざまな方法を使用してネットワーク コンピューターを検出できます。

  • Active Directory ドメイン サービス (AD DS)
  • ネットワーク プロトコル
  • IP (インターネット プロトコル) アドレス範囲のスキャン
  • コンピューター名の手動入力
  • ファイルからコンピューター名をインポート

AD DS を使用すると、ドメイン、コンテナー、または組織単位でスキャンするコンピューターをカスタマイズできます。この方法では、ドメインに参加しているすべてのコンピューターが検出されます。また、一度に最大 120,000 台のコンピューターをスキャンできます。

NetBIOS を使用するネットワーク プロトコルを使用して、ネットワーク上に存在するコンピューターを検出することもできます。すべてのコンピューターでは、コンピューター ブラウザー サービスが実行されている必要があります。このサービスが実行されていないコンピューターは検出されません。この方法では、一度にスキャンできるコンピューターの台数に制限はありません。ただし、スキャンするコンピューターの台数が増えると、スキャンの完了にかかる時間が長くなります。AD DS とネットワーク プロトコルを同時に使用してスキャンを実行することはできません。

IP アドレスの範囲に基づいてコンピューターをスキャンすることもできます。この方法を使用した場合も、一度にスキャンできるコンピューターの台数に制限はありません。ただし、スキャンするコンピューターの台数が増えると、スキャンの完了にかかる時間が長くなります。

ある特定のコンピューター名を指定することも、スキャンする複数のコンピューター名を含むファイルをインポートすることもできます (後者の場合、ファイルに含められるコンピューター名は最大 120,000 件です)。コンピューター名、NetBIOS 名、または完全修飾ドメイン名 (FQDN) を使用できます。コンピューター名は 1 行に 1 件記載し、区切り文字は使用しないようにする必要があります。

MAP Toolkit では、Windows Management Instrumentation (WMI) など、スキャンしたコンピューターから情報を収集するのにさまざまな方法を使用します。WMI では、リモート コンピューターからハードウェア、ソフトウェア、およびデバイスの情報を収集します。また、リモート レジストリ サービスを使用することもできます。このサービスでは、サーバーにインストールされている役割に関する情報を収集します。

WMI については、いくつか把握しておくべき注意事項があります。

  • WMI で正常に情報を収集するには、リモート コンピューターのローカル アカウントにパスワードが設定されている必要があります。
  • Windows ファイアウォールが有効になっている場合は、(TCP ポート 135 で) リモート管理の例外が有効になっている必要があります。
  • Windows ファイアウォールが有効になっている場合、(TCP ポート 137 と 445、UDP ポート 137 と 138) でファイルとプリンターの共有の例外が有効になっている必要があります。
  • コンピューターがワークグループに参加している場合は、"ネットワーク アクセス: ローカル アカウントの共有とセキュリティ モデル" ポリシーが [クラシック] に設定されている必要があります。

MAP Toolkit をインストールして起動すると、[Discovery and Readiness] (検出と対応状況) ノードが表示されます。まず、[Inventory and Assessment Wizard] (インベントリと評価のウィザード) をクリックして、ウィザードを起動します。コンピューターの検出方法を選択して、WMI の資格情報を指定する必要があります。選択した検出方法によっては、AD DS の資格情報、IP アドレス、またはコンピューター名も指定する必要があります。

スキャンを開始すると、スキャンが完了したコンピューターの台数、正常にスキャンが完了した台数、接続に失敗した台数などが表示されます。

MAP Toolkit のデータを分析する

スキャンが完了したら、今度は、データを分析する必要があります。まず、左ペインで [Discovery and Readiness] (検出と対応状況) ノードを展開し、[Windows 7 Readiness Assessment] (Windows 7 への対応状況の評価) を選択します。ここではインベントリの概要、ハードウェアをアップグレードしなくても Windows 7 に対応しているコンピューター、ハードウェアをアップグレードすると Windows 7 に対応できるようになるコンピューター、デバイスと互換性の一覧が表示されます。

右ペインで [Generate report/proposal] (レポート/提案書の生成) をクリックすると、詳細なレポートが表示されます。この操作により、収集したインベントリ データの詳細情報を含む Word 文書と Excel ブックが生成されます。この情報は、収集したすべてのデータを分析するのに役立ちます。

Jorge Orchilles

Jorge Orchilles は、勤め先の私立学校でネットワーク管理を担当したときからネットワークに携わってします。現在は、セキュリティ運用センターのアナリストとして活動しており、最近、フロリダ国際大学で管理情報システムの理学修士号を取得しました。

©2011 Elsevier Inc. All rights reserved. Syngress (Elsevier の事業部) の許可を得て掲載しています。Copyright 2011. 『Microsoft Windows 7 Administrator's Reference』(Jorge Orchilles 著) この書籍と類似書籍の詳細については、elsevierdirect.com (英語) を参照してください。

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