監査コレクション サービスの容量計画

 

適用対象: System Center 2012 R2 Operations Manager,System Center 2012 - Operations Manager,System Center 2012 SP1 - Operations Manager

監査ポリシーを使用して、大量のデータを生成できます。System Center 2012 – Operations Manager では、パフォーマンスの向上を図ることを目的に、監査コレクション サービス (ACS) コレクターの設定を変更して実際の監査負荷に合わせて調整することができます。 ACS コレクターは、ACS データベースへの書き込み準備が整っているイベントを格納するために、キューを使用します。キューは、生成されるセキュリティ イベントの量が急増したときに、ACS の処理能力に多大な影響を及ぼします。 ACS コレクターの RAM 容量に合わせてキューの容量のバランスを図ると、ACS のパフォーマンスが向上します。

ACS コレクターのキュー

ACS フォワーダーからイベントを受信し、それらのイベントを ACS データベースに送信する前に、ACS コレクターのキューが使用されます。 キューに格納されるイベントの数は、監査トラフィックが高まった場合や、ACS データベースが新たなイベントを受け入れることができない場合 (データベースの削除中など) に増加します。 これらのキューが最大容量にまで至りそうになったときの ACS コレクターの対処方法は、3 つのレジストリ値を使用して制御します。

次の表に、各レジストリ エントリとその既定値の一覧を示します。 表に示すすべてのレジストリ エントリは、HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Services\AdtServer\Parameters キーにあります。

エントリ名

既定値

説明

MaximumQueueLength

0x40000

データベースを待機している間にメモリのキューに格納できるイベントの最大数です。 平均して、キューのエントリごとに 512 バイトのメモリを使用します。

BackOffThreshold

75

ACS コレクターがどの程度の容量になったら ACS フォワーダーからの新しい接続を拒否するかを指定します。 この値は、MaximumQueueLength の割合として表されます。

DisconnectThreshold

90

ACS コレクターがどの程度の容量になったら ACS フォワーダーの切断を開始するかを指定します。 この値は、MaximumQueueLength の割合として表されます。 優先順位の最も低い ACS フォワーダーが、最初に切断されます。

使用環境に応じて、前述のレジストリ エントリの値を調整できます。 最良の結果を得るには、1 つのエントリの値を変更することによって他のエントリにどのような影響を及ぼすかについて、検討する必要があります。 たとえば、BackOffThreshold の値は、必ず、DisconnectThreshold よりも小さい値でなければなりません。このように設定することで、ACS データベースが要求に応じることができなくなったときに、ACS コレクターはパフォーマンスを低下させることができます。

ACS コレクターのメモリ

ACS コレクターのメモリは、ACS データベースに書き込む必要のある ACS イベントをキャッシュするために使用されます。 ACS コレクターが必要とするメモリの容量は、接続されている ACS フォワーダーの数と、監査ポリシーによって生成されるイベントの数によって異なります。 次の数式を使用して、予想されるトラフィックに基づいて、より高い ACS パフォーマンスを得るためにより多くのメモリが必要であるかどうかを計算できます。

推奨されるメモリ容量 = (M x .5)+(50 x N)+(S x .5)+(P x .1)

次の表に、数式の変数を定義します。

変数

定義

レジストリ キー

エントリ名

M

ACS コレクターのメモリのキューに格納されるイベントの最大数。

HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Services\AdtServer\Parameters

MaximumQueueLength

N

ACS コレクターに接続されるフォワーダーの数。

(レジストリ設定はありません)

N/A

S

ACS は、以前に挿入された文字列 (イベント パラメーター) の文字列キャッシュを使用して、ACS データベースの dtString テーブルに対する不要なクエリの実行を回避します。

ACS コレクターの文字列キャッシュのサイズは、キャッシュが保持できるエントリの最大数で示されます。 平均して、キューのエントリごとに 512 バイトのメモリを使用します。 このキャッシュは、イベント レコード データに使用されます。

HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Services\AdtServer\Parameters

StringCacheSize

P

ACS コレクターのプリンシパル キャッシュのサイズは、キャッシュが保持できるエントリの最大数で示されます。 このキャッシュは、ACS コンポーネントへのアクセス権を持つユーザーおよびコンピューターのアカウントに関連するデータに使用されます。

HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Services\AdtServer\Parameters

PrincipalCacheSize

ACS データベースに関する推奨事項

ACS を通常どおりに運用している場合は、キューの長さが BackOffThreshold 値に達することはめったにありません。 キューの長さがこのしきい値に到達することが頻繁に生じる場合は、データベースで処理可能な数よりも多くのイベントが発生しているか、データベース ハードウェアのアップグレードが必要であることが考えられます。

ACS データベースに書き込むイベントの数を少なくするには、監査ポリシーを変更して生成するイベントの数を減らします。または、ACS コレクターにフィルターを適用して不要なイベントを破棄し、ACS データベースに保存する対象から外します。 また、それぞれの ACS コレクターが対応する ACS フォワーダーの数が少なくなるように、ACS コレクターと ACS データベースを追加して展開し、ACS データベースにイベントを送信する ACS フォワーダーの数を減らすこともできます。

フィルターの詳細については、「AdtAdmin.exe /SetQuery」を参照してください。 ACS コレクターがサポートできる ACS フォワーダーの数の詳細については、「Operations Manager の監査コレクション サービスを使用してセキュリティ イベントを収集する」を参照してください。

UNIX と Linux に関する考慮事項

ACS を UNIX および Linux コンピューターに展開する際のパフォーマンスは、データセットが 10,000 レコードを超えると低下します。

参照

Operations Manager の監査コレクション サービスを使用してセキュリティ イベントを収集する
ACS コレクターをフォワーダー用の証明書を構成する方法
監査コレクション サービスのセキュリティ
監査コレクション サービスのパフォーマンス カウンター
監査コレクション サービス (ACS) フォワーダーを展開する方法
Solaris および AIX コンピューターでイベント ログおよび ACS ルールを有効にする方法
UNIX および Linux コンピューターで ACS イベントをフィルターする方法
監査コレクション サービスのパフォーマンス監視
監査コレクション サービス (ACS)を削除する方法
監査コレクション サービスの管理 (AdtAdmin.exe)