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仮想化: ハードウェアの統合

仮想化を使用して適切にサーバー ハードウェアを統合すると、単にハードウェアのコストを削減できるだけでなく、はるかに多くのメリットを得ることができます。

Thomas Olzak

出典: 『Microsoft Virtualization』(Syngress、2010 年)

統合に関する従来の発想では、単純にデータセンターのサーバー数を削減することが考えられてきました。以来、統合は、単にハードウェアのフットプリントを削減するだけではなく、それ以上のことを実現できるものだと認識されるようになりました。

本当の意味でハードウェアを統合することについて検討を始める前に、ワークロードの統合とハードウェアの最適化について検討することをお勧めします。ここでは、この点を既に認識しており、新しい動的なデータセンターで統合の使用を検討していることを前提としています。

製品サポートが終了したハードウェアのサポート期間を延長するためのコストを支払う方が、新たな装置に置き換えるよりも、現実的な場合があります。この考え方を理解するのは難しいかもしれませんが、すぐに理解する人もいるでしょう。必要なのは、単に、期待、コスト、およびテクノロジのバランスを取り、最適な組み合わせを見つけることです。

サポートか、それとも置き換えか

影響の少ない開発用サーバーの仮想化ファームについて考えてみましょう。たとえば、次のような例です。開発スタッフが、新しいアプリケーションをテストするために仮想サーバー ファームを構築する必要があります。このファームでは、運用環境のユーザーをサポートしません。また、24 時間、年中無休で利用できてオンラインであることは期待されません。一方で、最近、製品サポートの終了により、ブレード サーバーを格納したシャーシの廃棄が確定したところです。

ブレード シャーシのサポート期間の延長にかかるコストを計算したところ、経営陣が、限られたサポートを受けるために支払ってもかまわないと考える額をはるかに超えていることが判明しました。この古くなったブレード シャーシは、ドライブのデータを消去し、有償で業者に廃棄してもらうことになります。これは非常にありふれた事例です。IT プロフェッショナルが行動を起こし、追加コストをほぼかけることなく、会社で使用する追加のワークスペースを提供できるのは、まさにこのような状況です。

適宜ワークロードを統合して、ハードウェアを最適化していれば、製品サポートが終了した余分なハードウェアが発生することは避けられません。このようなハードウェアは、廃棄物リストに含められる典型的なものです。

しかし、新しいテクノロジとプロセスを使用することで、こうしたハードウェアを会社に真の利益をもたらす形で引き続き利用することは可能です。それでは、ハードウェアのサポート期間を延長するためのコストを支払うことなく、古くなったブレード シャーシと格納されているサーバーを使用して、信頼できる開発プラットフォームを提供するためには、どうすればよいのでしょうか。これにはいくつかのアプローチがあります。たとえば、ブレード サーバーを 14 台搭載できるシャーシがあり、マルチサーバー開発プラットフォームが必要だとします。この場合に使用できる統合アプローチは 2 つあります。

アプローチ 1: クラスタリング

このアプローチでは、ブレード シャーシを用意し、複数のハードウェア プラットフォームを使用して、サーバー環境をクラスター化します。12 台のブレード サーバーを使用して、4 つのサーバー OS を構成します。各 OS は 3 枚のサーバー ブレードを使用してクラスター化し、そのうち 2 枚はオフラインのままにし、"スペア" と名前を付けます。

このアプローチでは、3 台のサーバーのうち 1 台で障害が発生しても、OS を実行し続けることができます。この場合、障害が発生したブレードを修復または交換するまでの間、障害が発生していない 2 枚のスペア ブレードのうち 1 枚を代わりに使用できます。この考え方は特に新しいものではありません。

マイクロソフトのクラスタリング テクノロジは、Windows Server 2003 で大きく改良されました。多くのサードパーティ ベンダーでも、長期に渡って、クラスタリング ソリューションを提供しています。クラスタリングにより、必要なワークスペースが得られると共に、1 つの OS を複数のハードウェア プラットフォームで使用することで、ハードウェアで障害が発生するリスクを減らせます。

アプローチ 2: クラスタリングと仮想化の併用

2 つ目の理論的なアプローチは、1 つ目のアプローチをベースとしています。3 枚のハードウェア ブレードに加えて、シャーシ全体を保護する層を 1 つ追加します。過剰だと考える方もいらっしゃるかもしれませんが、リソースがあるなら採用する価値はあります。

極端に古いハードウェアを、きわめて重要な環境で使用することを計画している場合、このアプローチは過剰ではなく必要なものになります。保護の層を追加することで、サーバーの台数も 4 台から 8 台に増えます。仮想化により、スナップショットを使用して簡単に OS のバックアップを作成し、クラスター間の移行をシームレスに行えます。

クラスタリングと仮想化の併用は、ハードウェアのサポート期間の延長コストを支払い続けることなく追加のワークスペースが必要な場合に適しています。選択するテクノロジによっては、追加のライセンス コストを考慮しなければならない場合があります。廃棄するところだったハードウェアの使用を継続できることを考えれば、追加のコストも正当化できるでしょう。

何よりも、ハードウェアの統合は必ずしも複雑ではありません。古くなったブレード シャーシを使用してクラスタリングした仮想化ファームを構築する場合も、単に開発エンジニアに、現在のデスクトップ プラットフォームよりパフォーマンスの高い、古いハードウェア サーバー プラットフォームを提供する場合も、ハードウェアを統合していることに変わりはありません。最も単純なアイディアが、最も本質的で、最大の利益をもたらすこともあります。

Thomas Olzak

Thomas Olzak は、HCR ManorCare の情報セキュリティの責任者です。HCR ManorCare は、米国オハイオ州に本社を構える、短期および長期のリハビリ サービスと医療サービスを提供する企業で、米国内 32 の州に 500 以上の施設を持っています。この記事と出典元の書籍の執筆には、Jason BoomerRobert Keefer、および James Sabovik も貢献しています。

©2011 Elsevier Inc. All rights reserved.Syngress (Elsevier の事業部) の許可を得て掲載しています。Copyright 2011. 『Microsoft Virtualization』(Thomas Olzak 著) この書籍と類似書籍の詳細については、elsevierdirect.com (英語) を参照してください。

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