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SharePoint Online: SharePoint Online 入門

SharePoint の共同作業機能がクラウド対応になったので、展開と管理が簡略化されます。

Joshua Hoffman

現代ではアイデアが経済を動かしています。情報化の幕開けを経て、情報化時代が本格的に到来しました。従来の産業経済の多くの遺物 (20 年間に渡って 9 時から 17 時まで単調に働く生活、物理的な製品の製造など) は、表舞台から姿を消しました。データがビジネスの通貨となり、共同作業が基盤となりました。

複数のオフィス、タイム ゾーン、大陸をまたぐ共同作業は、必ずしも容易ではありません。SharePoint は、長い間、重要度が高まる共同作業を実現できる第一線のプラットフォームとして君臨してきました。SharePoint により、ニュースや情報の共有、ドキュメント、スプレッドシートなどの構造化されたビジネス データの共有、パートナー、サプライヤー、および顧客との新しい通信チャネルの推進が容易になります。

ただし、企業がクラウド ベースのサービスの利点に目を向けるようになっているので、IT インフラストラクチャの展望は日々変化しています。共有および仮想化されたリソースを使用することで実現するコスト削減、オンデマンドのスケール機能、物理的および地理的な冗長性に適応できるというクラウドの性質は魅力的です。

SharePoint Online を使用すると、ユーザー コミュニティは、クラウド経由で SharePoint 2010 にアクセスできるようになります。SharePoint Online は Microsoft Office 365 スイートの一部です。クラウド ベースのサービスを利用して、従来の "オンプレミス" のインストールを強化および拡張できます。特に、展開に関する考慮事項、ユーザーとサイトの作成方法と管理方法において、SharePoint Online の管理は、オンプレミスのインストールとは明らかに異なります。

はじめに

SharePoint Online は Office 365 スイートの一部なので、アカウントを登録れば使用を開始できます。アカウントを登録するには、Office 365 サイトにアクセスして、サブスクリプションを購入します。

Office 365 には、プロフェッショナルと小規模な企業を対象とした "プラン P" (最大 50 人のユーザーをサポートします) から、エンタープライズのニーズに合わせて調整された "プラン E" まで、さまざまなニーズを満たす数多くのプランが用意されています。これらのプランでは、より多くの容量が提供されるだけでなく、追加の機能も提供されます。適切なプランを選択するガイドについては、SharePoint チームのブログ (英語) を参照してください。

登録が完了したら、Office 365 ポータルの [管理者の概要] ページにアクセスします (図 1 参照)。

Office 365 ポータルの [管理者の概要] ページ

図 1 Office 365 ポータルの [管理者の概要] ページ

[管理者の概要] ページは、Office 365 に関連するすべての主要な管理タスクを行う場所です。たとえば、ユーザーとドメイン、Lync Online、Exchange Online などの統合通信サービス、SharePoint Online インフラストラクチャの管理などです。また、この管理用ポータルでは、Office 365 サービスのサブスクリプションとライセンスを管理できます。

より広範なインフラストラクチャで、組織に SharePoint Online を展開する計画について考えてみてください。SharePoint Online によって、オンプレミスのインストールの一部が取って代わられたり、拡張されたりしますか。どのユーザーが SharePoint Online サイトとデータにアクセスする必要がありますか。どれくらいの量の既存のデータが、新しい SharePoint Online インストールに移行されますか (そのデータの移行元やデータの種類は何ですか)。他のユーザーに管理者特権を付与しますか。以上の質問に対する回答が用意できたら、SharePoint Online をユーザーに展開しやすくなります。

ドメインを追加する

既に固有のドメイン名がある場合は、SharePoint Online などの Office 365 サービスで、その名前を使用することができます。カスタム ドメインを追加するには、[管理者の概要] ページのサイドバーで [管理] セクションの [ドメイン] をクリックします。表示されたページで、[ドメインの追加] をクリックすると、使用するドメイン名の入力を求めるメッセージが表示されます (図 2 参照)。

Office 365 にカスタム ドメインを追加する

図 2 Office 365 にカスタム ドメインを追加する

入力した情報が適切であることを確認したら、[次へ] をクリックします。次に、ドメインの所有者であることを確認する必要があります (これを行うには、レジストラーで TXT レコードまたは MX DNS レコードのいずれかを作成します)。通常、確認プロセスは 15 ~ 30 分で完了します。DNS システムによっては、最大で 72 時間かかる場合があります。ドメインの所有者であることが確認されると、Office 365 に指定する DNS レコードの残りの構成を行うための指示が表示されます。

ユーザーを追加および管理する

SharePoint Online には、ユーザー ID を追加および管理したり、管理モデルをより細かく設定したりできる、完全な機能を備えたフレームワークが用意されています。新しいユーザーを追加する 1 つ目の方法は、[管理者の概要] ページの [ユーザー] セクションにあります。ここでは新しいユーザー ID を手動で追加できます (図 3 参照)。

SharePoint Online には、組織のニーズを適切に満たすように強化できる既定のユーザー属性も用意されています。ユーザー プロファイルの属性をカスタマイズする方法の詳細については、「ユーザー プロファイルまたは組織プロファイルのプロパティを追加、編集、または削除する」を参照してください (注: 既定で用意されていないユーザー プロファイルのカスタム属性を作成するには、"プラン E" のサブスクリプションが必要です)。

Office 365 に新しいユーザーを追加する

図 3 Office 365 に新しいユーザーを追加する

また、すべてのユーザー情報をまとめた CSV ファイルをインポートして、ユーザーを一括で追加することもできます。[管理者の概要] ページのユーザーの一括追加ウィザードには、サンプルの CSV ファイルが用意されています。

組織で、エンタープライズ レベルの "プラン E" のサブスクリプションを購入した場合、Active Directory 同期が使用できます。この機能では、既存の Active Directory ドメイン サービス (AD DS) インフラストラクチャを使用して、SharePoint Online リソースへのアクセス許可を付与できます。

また、シングル サインオン (SSO) 機能を有効にすることも可能です。これは、Active Directory フェデレーション サービス (AD FS) により機能しています。SSO が使用できることで、ユーザーは資格情報を再入力することなく、SharePoint Online リソースにシームレスにアクセスしたり、また、追加の機能も利用できるようになります。一元管理された Active Directory 管理ツールを使用して、アカウント ポリシーやアクセス制限を管理できます。

SSO には、いくつかの使用要件があり、これらの要件はあらかじめ把握しておく必要があります。

以上の要件を満たしたら、[管理者の概要] ページで SSO と Active Directory 同期を構成できます。詳細な手順については、「シングル サインオンを準備する」および「Active Directory 同期: ロードマップ」を参照してください。追加の詳細なガイドとして、「Office 365 で Active Directory を使用する (英語)」でオンラインのプレゼンテーションを閲覧することもできます。

SharePoint Online では、共同作業をさらに容易に行えるようにするため、セキュリティで保護された SharePoint Online サイトでホストされているリソースへのアクセス許可を外部ユーザーに付与します。これは、ドキュメントや情報の共有を簡略化することを目的としていますが、一般的な企業が抱える完全なエクストラネット ソリューションの要件は満たしていません。

外部ユーザーが SharePoint Online サイトにアクセスできるようにするには、SharePoint Online 管理センターで、[設定]、[外部ユーザーの管理] を順にクリックして、アクセスを有効にする必要があります (図 4 参照)。

SharePoint Online で外部ユーザーのアクセスを有効にする

図 4 SharePoint Online で外部ユーザーのアクセスを有効にする

この設定により、環境内のすべてのサイト コレクションの管理者は、サイトで外部共有を行えるようになります。また、サイト コレクションの管理者は、コレクションに対して外部ユーザーの招待を有効にすることができます (図 5 参照)。これで、サイトの所有者とサイト デザイナーは、外部ユーザーに電子メールによる招待を送信して、外部ユーザーがサイトにアクセスできるようにすることが可能になります。

SharePoint Online で外部ユーザーの招待を有効にする

図 5 SharePoint Online で外部ユーザーの招待を有効にする

アクセス許可を構成する

ユーザーを追加したら、どのようにして SharePoint Online インフラストラクチャに対するアクセス許可を付与するのかを検討する必要があります。SharePoint Online のアクセス許可レベルは、オンプレミスの SharePoint のインストールと同じように、ユーザーが特定のタスクを実行できるようにするアクセス許可の集合を表します。たとえば、読み取りアクセス許可レベルの権限には、アイテムの表示、アイテムを開く、ページの表示、バージョンの表示などが含まれます。これらはすべて、SharePoint Online のページ、ドキュメント、およびアイテムを閲覧するために必要です。

アクセス許可は、複数のアクセス許可レベルの一部になります。アクセス許可は継承されるので、ユーザーやユーザー グループに付与するアクセス許可について吟味することが重要です。

アクセス許可は、個々のユーザーに直接割り当てないことをお勧めします。直接割り当てると、サイトにアクセスできるユーザーを追跡および管理するのが困難になります。アクセス許可はグループに割り当てた方が効率的に管理できます。グループにアクセス許可を割り当てたら、個々のユーザーを適切なグループに追加します。

SharePoint Online では、[管理者の概要] ページでセキュリティ グループを作成できます。Active Directory と同期する場合、既存のセキュリティ グループも使用できます。必要なセキュリティ グループを追加したら、SharePoint Online 管理コンソールで [サイトの設定]、[ユーザーとグループ] を順にクリックして、セキュリティ グループにアクセス許可を割り当てることができます (図 6 参照)。

SharePoint Online でアクセス許可を付与する

図 6 SharePoint Online でアクセス許可を付与する

カスタム ソリューション

SharePoint Online では、カスタム アプリケーション ソリューションをアップロードすることもできます。アップロードしたソリューションは、Microsoft SharePoint 名前空間のサブセットを使用して、サイト コレクション レベルで実行できます。SharePoint Online では、Visual Studio 2010 および SharePoint Designer 2010 で開発したカスタム ソリューションをサポートしています。

Office 365 サブスクリプションを展開し、ドメインを構成して、ユーザーとグループを追加すると、SharePoint Online を使用できるようになります。SharePoint Online でも、ドキュメント ライブラリ、予定表、ブログ、Wiki、ディスカッション グループなど、SharePoint の使い慣れた機能をご利用いただけます。

Joshua Hoffman

Joshua Hoffman は、TechNet マガジンの前の編集長です。現在は、フリーランスで執筆活動とコンサルティングを行っており、クライアントにテクノロジとそれぞれのクライアントに合ったマーケティング手法に関するアドバイスをしています。また、市場調査の分野の成長と強化に注力している ResearchAccess.com (英語) で編集長を務めています。現在、ニューヨーク市に住んでいます。

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