SQL Server をストレージ オプションとして SMB ファイル共有にインストールする

SQL Server 2012 以降では、システム データベース (Master、Model、MSDB、および TempDB) とデータベース エンジン ユーザー データベースをストレージ オプションとしてサーバー メッセージ ブロック (SMB) ファイル サーバーにインストールできます。 これは、SQL Server スタンドアロン インストールと SQL Server フェールオーバー クラスター インストール (FCI) の両方に当てはまります。

注意

Filestream は現在、SMB ファイル共有ではサポートされていません。

インストールに関する注意点

SMB ファイル共有の形式:

SMB ファイル共有を指定する際にスタンドアロンおよび FCI データベースでサポートされる汎用名前付け規則 (SMB) パスの形式を次に示します。

  • \\ServerName\ShareName\

  • \\ServerName\ShareName

汎用名前付け規則の詳細については、「UNC」(https://go.microsoft.com/fwlink/?LinkId=245534) を参照してください。

ループバック UNC パス (サーバー名が localhost、127.0.0.1、またはローカル コンピューター名である UNC パス) はサポートされません。 特別なケースとして、SQL Server と同じノードでホストされたファイル サーバー クラスターを使用している SQL Server もサポートされません。 この状況を避けるため、SQL Server とファイル サーバー クラスターは、別個の Windows クラスターに作成することをお勧めします。

次の UNC パス形式はサポートされていません。

  • ループバック パス (\\localhost\... など) \ または \\127.0.0.1\... \

  • 管理用共有 (\\servername\x$ など)

  • その他の形式の UNC パス (\\? \x:\ など)

  • 割り当て済みのネットワーク ドライブ

サポートされるデータ定義言語 (DDL) ステートメント

次に示す Transact-SQL DDL ステートメントおよびデータベース エンジン ストアド プロシージャで SMB ファイル共有がサポートされます。

  1. CREATE DATABASE (Transact-SQL)

  2. ALTER DATABASE (Transact-SQL)

  3. RESTORE (Transact-SQL)

  4. BACKUP (Transact-SQL)

  5. sp_attach_db (Transact-SQL)

  6. sp_attach_single_file_db (Transact-SQL)

インストール オプション

  • セットアップの [データベース エンジンの構成] ページの [データ ディレクトリ] タブで、[データ ルート ディレクトリ] パラメーターを "\\fileserver1\share1\" に設定します。

  • コマンド プロンプトでインストールする場合、"/INSTALLSQLDATADIR" に "\\fileserver1\share1\" を指定します。

    次に、SMB ファイル共有オプションを使ってスタンドアロン サーバーに SQL Server をインストールする構文のサンプルを示します。

    Setup.exe /q /ACTION=Install /FEATURES=SQL /INSTANCENAME=MSSQLSERVER /SQLSVCACCOUNT="<DomainName\UserName>" /SQLSVCPASSWORD="<StrongPassword>" /SQLSYSADMINACCOUNTS="<DomainName\UserName>" /AGTSVCACCOUNT="<DomainName\UserName>" /AGTSVCPASSWORD="<StrongPassword>" /INSTALLSQLDATADIR="\\FileServer\Share1\" /IACCEPTSQLSERVERLICENSETERMS
    

    データベース エンジンおよび Analysis Services が配置された単一ノードの SQL Server フェールオーバー クラスター インスタンスを既定のインスタンスとしてインストールするには

    setup.exe /q /ACTION=InstallFailoverCluster /InstanceName=MSSQLSERVER /INDICATEPROGRESS /ASSYSADMINACCOUNTS="<DomainName\UserName>" /ASDATADIR=<Drive>:\OLAP\Data /ASLOGDIR=<Drive>:\OLAP\Log /ASBACKUPDIR=<Drive>:\OLAP\Backup /ASCONFIGDIR=<Drive>:\OLAP\Config /ASTEMPDIR=<Drive>:\OLAP\Temp /FAILOVERCLUSTERDISKS="<Cluster Disk Resource Name - for example, 'Disk S:'" /FAILOVERCLUSTERNETWORKNAME="<Insert Network Name>" /FAILOVERCLUSTERIPADDRESSES="IPv4;xx.xxx.xx.xx;Cluster Network;xxx.xxx.xxx.x" /FAILOVERCLUSTERGROUP="MSSQLSERVER" /Features=AS,SQL /ASSVCACCOUNT="<DomainName\UserName>" /ASSVCPASSWORD="xxxxxxxxxxx" /AGTSVCACCOUNT="<DomainName\UserName>" /AGTSVCPASSWORD="xxxxxxxxxxx" /INSTALLSQLDATADIR="\\FileServer\Share1\" /SQLCOLLATION="SQL_Latin1_General_CP1_CS_AS" /SQLSVCACCOUNT="<DomainName\UserName>" /SQLSVCPASSWORD="xxxxxxxxxxx" /SQLSYSADMINACCOUNTS="<DomainName\UserName> /IACCEPTSQLSERVERLICENSETERMS
    

    SQL Server 2012 におけるさまざまなコマンド ライン パラメーター オプションの使用方法については、「コマンド プロンプトからの SQL Server 2012 のインストール」を参照してください。

オペレーティング システムに関する注意事項 (SMB プロトコルとSQL Server)

Windows オペレーティング システムのバージョンによって SMB プロトコルのバージョンも異なりますが、SQL Server は、どのバージョンの SMB プロトコルにも対応します。 SMB プロトコルの各バージョンによって、SQL Server 2012 に対するメリットも異なっています。

オペレーティング システム

SMB2 プロトコルのバージョン

SQL Server に対するメリット

Windows Server 2008

2.0

  • 従来のバージョンの SMB よりもパフォーマンスに優れています。

  • 持続性が高いため、一時的なネットワーク障害もスムーズに復旧できます。

Windows Server 2008 R2

2.1

  • 大きい MTU をサポートするため、SQL のバックアップや復元など、大規模なデータ転送が高速化されます。 この機能を使用するには、ユーザーが機能を有効にする必要があります。 この機能の詳細については、「SMB の新機能」(https://go.microsoft.com/fwlink/?LinkID=237319) を参照してください。

  • 大幅なパフォーマンス向上。特に、SQL OLTP スタイルのワークロードに対して効果的です。 パフォーマンスを向上するには、修正プログラムを適用する必要があります。 修正プログラムの詳細については、この Web ページ (https://go.microsoft.com/fwlink/?LinkId=237320) を参照してください。

Windows Server 2012

3.0

  • ファイル サーバー クラスター構成の SQL DBA またはファイル サーバー管理者に必要な、ファイル共有の透過的フェールオーバー (管理者の操作が不要でダウンタイムが発生しないフェールオーバー) をサポートします。

  • 複数のネットワーク インターフェイスを同時使用する IO をサポートします。また、ネットワーク インターフェイスの障害に対する耐性も優れています。

  • RDMA 機能を備えたネットワーク インターフェイスをサポートします。

  • これらの機能およびサーバー メッセージ ブロックの詳細については、「サーバー メッセージ ブロックの概要」(https://go.microsoft.com/fwlink/?LinkId=253174) を参照してください。

  • スケール アウト ファイル サーバー (SoFS) の継続的使用をサポートします。

Windows Server 2012 R2

3.02

  • ファイル サーバー クラスター構成の SQL DBA またはファイル サーバー管理者に必要な、ファイル共有の透過的フェールオーバー (管理者の操作が不要でダウンタイムが発生しないフェールオーバー) をサポートします。

  • 複数のネットワーク インターフェイスを同時使用する IO をサポートします。また、SMB マルチチャネルを使用して、ネットワーク インターフェイスの障害に対する耐性も優れています。

  • SMB ダイレクトを使用して、RDMA 機能を備えたネットワーク インターフェイスをサポートします。

  • これらの機能およびサーバー メッセージ ブロックの詳細については、「サーバー メッセージ ブロックの概要」(https://go.microsoft.com/fwlink/?LinkId=253174) を参照してください。

  • スケール アウト ファイル サーバー (SoFS) の継続的使用をサポートします。

  • SQL Server OLTP で一般的なサイズの小さいランダム読み書き I/O 向けに最適化されています。

  • MTU (Maximum Transmission Unit) が既定でオンになり、SQL Server データ ウェアハウスやデータベースのバックアップと復元のような大量の連続転送時の性能が大幅に向上します。

セキュリティに関する注意点

  • SQL Server サービス アカウントと SQL Server エージェント サービス アカウントには、SMB 共有フォルダーに対するフル コントロールの共有権限と NTFS 権限が必要です。 SMB ファイル サーバーを使用する場合、ドメイン アカウントまたはシステム アカウントを SQL Server サービス アカウントにすることができます。 共有および NTFS 権限の詳細については、「ファイル サーバーの共有アクセス許可と NTFS アクセス許可 (https://go.microsoft.com/fwlink/?LinkId=245535) を参照してください。

    注意

    SMB 共有フォルダーに対するフル コントロールの共有権限と NTFS 権限は、SQL Server サービス アカウント、SQL Server エージェント サービス アカウント、および管理サーバー ロールを持つ Windows ユーザーに制限する必要があります。

    ドメイン アカウントを SQL Server サービス アカウントとして使用することをお勧めします。 システム アカウントをサービス アカウントとして使用した場合、コンピューター アカウントの権限を <domain_name>\<computer_name>$ という形式で指定できます。

    注意
    • SQL Server セットアップで、ストレージ オプションとして SMB ファイル共有を指定した場合は、ドメイン アカウントをサービス アカウントとして指定する必要があります。 SMB ファイル共有を使用する場合、システム アカウントは SQL Server のインストール後にのみサービス アカウントとして指定することができます。

    • 仮想アカウントでは、リモートの場所へアクセスすることはできません。 どの仮想アカウントも、コンピューター アカウントの権限を使用します。 <domain_name>\<computer_name>$ の形式でコンピューター アカウントを準備してください。

  • SQL Server のインストールに使用するアカウントには、クラスター セットアップの際にデータ ディレクトリとして使用される、SMB ファイル共有フォルダーおよび他のすべてのデータ フォルダー (ユーザー データベース ディレクトリ、ユーザー データベース ログ ディレクトリ、TempDB ディレクトリ、TempDB ログ ディレクトリ、バックアップ ディレクトリ) に対して、フル コントロール権限が必要です。

  • SQL Server のインストールに使用するアカウントには、SMB ファイル サーバーに対する SeSecurityPrivilege 特権を付与する必要があります。 この特権を付与するには、ファイル サーバーで [ローカル セキュリティ ポリシー] コンソールを使用して、監査とセキュリティ ログの管理ポリシーに SQL Server セットアップ アカウントを追加します。 この設定は、[ローカル セキュリティ ポリシー] コンソールの [ローカル ポリシー] にある [ユーザー権利の割り当て] セクションで行うことができます。

既知の問題

  • ネットワークにアタッチされたストレージ上に存在する SQL Server 2012 データベースをデタッチした後で、その SQL Server データベースを再アタッチしようとすると、データベース権限の問題が発生する場合があります。 この問題については、サポート技術情報の資料 (https://go.microsoft.com/fwlink/?LinkId=237321) を参照してください。 この問題を回避するには、このサポート技術情報の「詳細」を参照してください。

  • SQL Server のクラスター化されたインスタンスのストレージ オプションとして SMB ファイル共有が使用されている場合、SQL Server Resource DLL にはこのファイル共有に対する読み取り/書き込み権限がないため、既定では、SQL Server フェールオーバー クラスター診断ログをファイル共有に書き込むことができません。 この問題を解決するには、次のいずれかの方法を試してください。

    1. ファイル共有に対する読み取り/書き込み権限をクラスター内のすべてのコンピューター オブジェクトに付与する。

    2. 診断ログの場所をローカル ファイル パスに設定する。 次の例を参照してください。

      ALTER SERVER CONFIGURATION
      SET DIAGNOSTICS LOG PATH = 'C:\logs';
      

関連項目

参照

Windows サービス アカウントと権限の構成

概念

SQL Server のインストール計画

その他の技術情報

インストール方法に関するトピック