ファイル サービスおよび記憶域サービスの概要

 

対象: Windows Server 2012 R2、Windows Server 2012

このトピックでは、Windows Server 2012 R2 および Windows Server 2012 でのファイル サービスおよび記憶域サービスのサーバーの役割について説明し、新機能、役割サービスの一覧、評価と展開に関する情報の参照先などを紹介します。

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以下のリソースも参照してください。

役割の説明

ファイル サービスおよび記憶域サービスには、1 台以上のファイル サーバーの設定および管理を支援するテクノロジが備わっています。ファイル サーバーとは、ファイルを保存したり、ユーザーと共有したりできる、ネットワーク上の中心的な場所です。 ユーザーが同じファイルおよびアプリケーションにアクセスする必要がある場合、または一元化されたバックアップとファイル管理が組織にとって重要である場合、ファイル サービスおよび記憶域サービスの役割と適切な役割サービスをインストールして、1 台以上のサーバーをファイル サーバーとして設定する必要があります。

既定では、ファイル サービスおよび記憶域サービスの役割と、記憶域サービスの役割サービスがインストールされますが、他の役割サービスはインストールされません。 この基本的な機能を使用すると、サーバー マネージャーまたは Windows PowerShell を使用してサーバーの記憶域機能を管理できます。 ただし、ファイル サーバーを設定または管理するには、サーバー マネージャーの役割と機能の追加ウィザード、または Install-WindowsFeature Windows PowerShell コマンドレットを使って、ファイル サービスおよび記憶域サービスの役割サービス (このトピックで説明されている役割サービスなど) を追加でインストールする必要があります。

実際の適用例

管理者はファイル サービスおよび記憶域サービスの役割を使うことで、サーバー マネージャーまたは Windows PowerShell によって、複数のファイル サーバーとその記憶域の機能を設定および管理できます。 具体的には、次のような適用例があります。

  • 作業フォルダー ユーザーが会社の PC のほか、個人の PC およびデバイスに作業ファイルを保存し、そのファイルにアクセスできるようにするときに使用します。 ユーザーは、任意の場所に作業ファイルを保存し、そのファイルにはどこからでもアクセスできます。 組織は、一元管理されたファイル サーバーにファイルを格納し、必要に応じてユーザーのデバイス ポリシー (暗号化とロック画面のパスワードなど) を指定することで、企業のデータを管理します。 作業フォルダーは、Windows Server 2012 R2 の新しい役割サービスです。

  • データ重複除去 ファイルが必要とするディスク領域を削減し、記憶域のコストを節約するときに使用します。

  • iSCSI ターゲット サーバー 記憶域ネットワーク (SAN) に、ソフトウェア ベースでハードウェアに依存しない一元的な iSCSI ディスク サブシステムを作成するときに使用します。

  • 記憶域スペース 費用対効果の高い業界標準のディスクを利用して、復元力と拡張性の高い高可用性記憶域を展開するときに使用します。

  • サーバー マネージャー 複数のファイル サーバーを 1 つのウィンドウからリモートで管理するときに使用します。

  • Windows PowerShell ファイル サーバーの大部分の管理タスクの管理を自動化するときに使用します。

新機能と変更された機能

Windows Server 2016 Technical Preview のファイル サービスおよび記憶域サービスの新機能については、Windows Server Technical Preview のファイル サービスおよび記憶域サービスの新機能に関するページを参照してください。

次の表では、Windows Server 2012 R2 で使用できるファイル サービスおよび記憶域サービス機能の主な変更点について説明します。

機能 新規/更新 説明
作業フォルダー 新規 ユーザーが個人のコンピューターまたはデバイスから、一貫した方法で作業ファイルにアクセスできるようにします。 詳細については、「作業フォルダー」を参照してください。
サーバー メッセージ ブロック 更新済み スケールアウト ファイル サーバー クライアントの自動再分配、SMB ダイレクトのパフォーマンスの向上、強化された SMB イベント メッセージなどの機能強化が行われました。 詳細については、「SMB の新機能」を参照してください。
記憶域 更新済み SSD および HDD 記憶域階層、SSD ベースのライトバック キャッシュ、フェールオーバー クラスターに対するパリティ スペースのサポート、デュアル パリティのサポート、記憶域再構築の時間の大幅短縮などの機能強化が行われました。 詳細については、「記憶域スペースの新機能」を参照してください。
DFS レプリケーション 更新済み 初期同期中のパフォーマンスを大幅に向上させるためのデータベース複製、DFS レプリケーション用の Windows PowerShell モジュール、新しい DFS レプリケーション WMI プロバイダー、高帯域幅接続での高速レプリケーション、競合および既存のデータ回復、予期しないデータ損失なしでの破損データベース再構築のサポートなどの機能強化が行われました。 詳細については、「DFS レプリケーションと DFS 名前空間の新機能」を参照してください。
iSCSI ターゲット サーバー 更新済み 仮想ディスクの強化、ホスト型クラウドまたはプライベート クラウドの管理の容易性の強化、ディスクレベルのキャッシュによる最適化の向上などの更新が行われました。 詳細については、「iSCSI ターゲット サーバーの新機能」を参照してください。

次の表では、Windows Server 2012 で使用できるファイル サービスおよび記憶域サービス機能の主な変更点について説明します。

機能 新規/更新 説明
データ重複除去 新規 ボリューム上の同一のデータについて単一のコピーを保存することにより、ディスク領域を節約します。
iSCSI ターゲット サーバー 新規 インターネット SCSI (iSCSI) 標準を使って、ネットワーク上の他のサーバーおよびアプリケーションにブロック記憶域を提供します。
記憶域スペースと記憶域プール 新規 業界標準のディスクを記憶域プールにグループ化し、記憶域プールの利用可能な容量から記憶域スペースを作成することで、記憶域を仮想化できます。
サーバー マネージャーのファイル サービスおよび記憶域サービスによる統合リモート管理 新規 複数のファイル サーバーを、その役割サービスと記憶域も含めて、1 つのウィンドウからリモートで管理できます。
ファイル サービスおよび記憶域サービス用の Windows PowerShell コマンドレット 新規 ファイルおよび記憶域サーバーの大部分の管理タスクを実行するための Windows PowerShell コマンドレットを提供します。

ファイル サービスおよび記憶域サービスのその他の新機能と関連するテクノロジの詳細については、次のトピックを参照してください。

データ重複除去

データ重複除去役割サービスを使って、記憶域内の多数の重複するデータ ブロックを削減することで、一定量の記憶域容量に、単一インスタンス記憶域 (SIS) または NTFS ファイル システム圧縮を使っていた以前のリリースのときよりも大幅に多くのデータを格納できます。 汎用のファイル サーバーは、通常、記憶域容量使用率を 2:1 の割合で削減できます (たとえば、使用量が 1 TB だったファイルのセットが、データ重複除去後には 500 GB になります)。 仮想データ (VHD ファイルなど) をホストしているサーバーは、多くの場合、記憶域容量使用率を 20:1 の割合で削減でき、1 TB のデータが 50 GB になります。

データ重複除去は、高いスケーラビリティとリソース効率を実現し、データに悪影響を及ぼしません。 データ重複除去は、サーバー上の他のワークロードに影響を及ぼすことなく、大量のプライマリ データに対して同時に実行できます。 使用される CPU リソースとメモリ リソースを調整することにより、サーバー ワークロードに与える影響を低く抑えることができます。 データ重複除去ジョブを使うと、データ重複除去を実行する時間のスケジュール、複製するリソースの指定、ファイルの選択の調整などができます。 データの整合性と回復性は、チェックサムとその他のアルゴリズムを通じて選択的な冗長性で最大化されます。

BranchCache との結合により、WAN を介してブランチ オフィスに送信されるデータに対して同じ最適化手法が適用されます。 これにより、ファイルのダウンロード時間が短縮され、帯域幅の消費が減ります。

この変更の利点

データ重複除去では、可変サイズのチャンキングと圧縮が使用されます。この両方によって、一般のファイル サーバーでは 2:1、仮想化データでは最大 20:1 の記憶域最適化比が実現されます。

動作の相違点

Windows Server 2012 には、データ重複除去が、サーバー マネージャーや Windows PowerShell コマンドレットでインストールおよび管理できる役割サービスとして含まれています。 既定の設定で、データに使われている記憶域容量を迅速に削減できます。 設定を調整して、さらに削減できるかどうかを試したり、Windows PowerShell コマンドレットを使って、記憶域の最適化を任意のときと場所で実行するスクリプトを作成したりもできます。

詳細については、「データ重複除去」を参照してください。

iSCSI ターゲット サーバー

iSCSI ターゲット サーバーは、インターネット SCSI (iSCSI) 標準を使って、ネットワーク上の他のサーバーおよびアプリケーションにブロック記憶域を提供します。Windows Server 2012 の他の継続使用可能テクノロジと iSCSI ターゲット サーバーを組み合わせると、以前であれば高価なハイエンドの記憶域ネットワーク (SAN) デバイスでしか利用できなかった、継続的に使用可能な記憶域を実現できます。

この変更の利点

  • ネットワークまたはディスクなしのブート ブートに対応したネットワーク アダプターまたはソフトウェア ローダーを使用することで、数百台のディスクなしのサーバーを展開できます。 iSCSI ターゲット サーバーを使用すると、すばやい展開が可能です (マイクロソフトのテストでは、256 台のコンピューターを 34 分で展開できました)。 差分仮想ハード ディスクを使用すると、オペレーティング システム イメージ用の記憶域スペースを最大 90% 節約できます。 これは、Hyper-V や高性能コンピューティング (HPC) クラスターを実行しているサーバー ファームのように、同じオペレーティング システム イメージを大規模に展開する場合に適しています。

  • サーバー アプリケーション記憶域 一部のアプリケーション (Hyper-V や Exchange Server など) は、ブロック記憶域を必要とします。ブロック記憶域は、アプリケーションからは未フォーマットのディスクと認識され、アプリケーションが直接管理できる状態になっている、生の記憶域です。 iSCSI ターゲット サーバーは、このようなアプリケーションに継続的に使用可能なブロック記憶域を提供できます。 記憶域にはリモートでアクセスできるため、本社または支部にあるブロック記憶域を統合することもできます。

  • 異種記憶域 iSCSI ターゲット サーバーでは、Windows 以外のオペレーティング システムの iSCSI イニシエーターがサポートされているため、異種環境でも記憶域を簡単に共有することができます。

  • 開発、テスト、およびデモ ラボ環境 iSCSI ターゲット サーバーを使うと、Windows Server 2012 を実行している任意のコンピューターを、ネットワークからアクセス可能なブロック記憶装置にすることができます。 これは、SAN 記憶装置に展開する前にアプリケーションをテストする場合に便利です。

動作の相違点

Windows Server 2012 では、iSCSI ターゲット サーバー管理機能が、個別のダウンロードから Windows Server オペレーティング システムの内部に移されています。 サーバー マネージャーまたは Windows PowerShell コマンドレットを使って、iSCSI ターゲット サーバーのセットアップ、構成、および管理を行うことができます。Windows Server 2012 では、クラスタリング リソース モデルが変更され、スケーラビリティが向上したため、より多くのイニシエーターをターゲット サーバーに接続できるようになりました。

詳細については、「iSCSI Target Server」を参照してください。

記憶域スペースと記憶域プール

記憶域スペースは、Windows に含まれている記憶域サブシステムです。これにより、業界標準のディスク (Serial ATA、Serial Attached SCSI ディスクなど) を 1 つまたは複数の記憶域プールにグループ化して、記憶域プールの利用可能な容量から仮想ディスク (記憶域スペース) を作成できます。 記憶域スペースは、スケーラブルなマルチノード サーバーの展開など、ビジネス クリティカルな仮想展開または物理展開のための、回復力がある記憶域仮想化機能を提供します。

物理ディスクを記憶域プールにグループ化した後、利用可能な容量から仮想ディスクを作成できます。その際、各物理ディスクを個別に管理する必要はありません。 このようにディスクを集約することによって、ディスク容量をより有効に利用したり、ユーザーに影響を与えずに記憶域を簡単に追加したり、記憶域の管理を委任したりできるようになります。 Windows Server では、記憶域スペースまたは非 Microsoft 記憶域サブシステム (SMI-S 標準を使うサブシステムを含む) で記憶域プールを使用できます。

この変更の利点

記憶域スペースと記憶域プールは、管理者が記憶域のプロビジョニングにかける時間を短縮することによって、管理コストを削減します。 また、管理タスクを簡略化して、記憶域の専門家ではない管理者が回復力のある高可用性記憶域をセットアップおよび管理できるようにします。 記憶域スペースでは、回復力のある高可用性の記憶域に業界標準のディスクを使うことで、ハードウェア コストも節約できます。

動作の相違点

記憶域プールでは、各ディスクを個別に管理するのではなく、物理ディスクを 1 つまたは複数のプールに追加し、利用可能な容量から仮想ディスクを作成します。 次に、仮想ディスク上で、物理ディスクと同じように、ボリュームを作成します。 プール内の利用可能な容量が残り少なくなったら、単純に仮想ディスクをさらに作成します。

仮想ディスクでは、仮想プロビジョニングも行います。つまり、作成した仮想ディスクのサイズではなく、仮想ディスクにコピーするファイルのサイズのみに従って、プールの容量が使用されます。 たとえば、まだディスクに多数のファイルをコピーしていなければ、10 TB の仮想ディスクが 100 MB のプール容量しか使わない場合もあります。

詳細については、「記憶域」と「記憶域の管理」を参照してください。

サーバー マネージャーのファイル サービスおよび記憶域サービスによる統合リモート管理

サーバー マネージャーのファイル サービスおよび記憶域サービスの役割を使うと、複数のファイル サーバーを、役割サービスと記憶域も含めて、Windows Server 2012 の 1 つのウィンドウからリモートで管理できます。 サーバー マネージャーの [ファイル サービスおよび記憶域サービス] ページには、次のセクションがあり、サーバー マネージャーに追加された Windows Server 2012 を実行するすべてのサーバーを管理できます。

  • サーバー Windows Server 2012、Windows Server 2008 R2、または Windows Server 2008 を実行するサーバーで、基本的なサーバー機能を管理します。[サーバー] ページを使用すると、サーバーの再起動や管理ツールの起動などのタスクを実行できます。

  • 記憶域プール プールの構成要素である物理ディスクと、プールの利用可能な容量から作成された仮想ディスクも含めて、記憶域プールを管理します。

  • ボリューム ファイル システム エラーのスキャン、ボリュームの拡張、データ重複除去の構成など、ボリュームの管理を行います。

  • 共有 新しい共有の作成、クォータのセットアップなど、SMB および NFS 共有の管理を行います。

  • iSCSI 仮想ディスク 新しい iSCSI 仮想ディスクとターゲットの作成など、iSCSI 仮想ディスクの管理を行います。

この変更の利点

複数のファイル サーバーとファイル サーバー テクノロジを単一のサーバー マネージャー ウィンドウから管理できることで、管理者はより効率的に作業でき、管理しているサーバーの全体像を把握しやすくなります。そのため、複数のサーバーの管理も、1 つのサーバーの管理と同じくらい簡単になります。

動作の相違点

Windows Server 2012 より前のバージョンでは、複数のファイル サーバーを管理するには、リモート デスクトップを使って各サーバーに接続するか、管理コンソールの複数のインスタンス (サーバーごとに 1 つずつ) を開かなければなりませんでした。Windows Server 2012 では、サーバー マネージャーを使い、次のスタンドアロン管理コンソールによって提供される多くの機能を実行できます。

  • ディスクの管理

  • 共有と記憶域の管理

  • ファイル サーバー リソース マネージャー (クォータと、ファイル共有へのフォルダー管理プロパティの割り当て)

  • Microsoft iSCSI Software Target (Windows Server 2012 では利用できません)

  • SAN 用記憶域マネージャー (Windows Server 2012 では利用できません)

統合された機能のほかにも、サーバー マネージャーの [ツール] メニューを使って、DFS の管理、ファイル サーバー リソース マネージャー、NFS 用サービスなどの管理ツールを、任意の管理対象サーバーで起動できます。

注意

サーバー マネージャーのファイル サービスおよび記憶域サービスの役割では、Windows Server 2008 R2 または Windows Server 2008 を実行するサーバーの完全な管理はサポートされていませんが、これらのサーバーをサーバー マネージャーに追加して、[サーバー] ページおよび [すべてのサーバー] ページを使用すると、サーバーの詳細を表示し、管理ツールを起動することができます。 詳細については、Windows Server 2012 のサーバー マネージャーによるダウンレベルの Windows ベース サーバーの管理に関するブログを参照してください。

ファイル サービスおよび記憶域サービス用の Windows PowerShell コマンドレット

Windows Server 2012 には、ファイルおよび記憶域サーバーの大部分の管理タスクを実行するための Windows PowerShell コマンドレットが用意されています。

この変更の利点

豊富な Windows PowerShell コマンドレットを Windows PowerShell スクリプトで使うと、管理者は一般的な管理タスクを自動化できます。

動作の相違点

管理者は、各種のスナップインや個別のコマンドライン ユーティリティを使う代わりに、Windows PowerShell コマンドレットとスクリプトを使って、サーバーを管理できます。Windows Server 2012 R2 および Windows Server 2012 には、次のファイルおよび記憶域テクノロジを管理するための Windows PowerShell コマンドレットが用意されています。

他にもファイルおよび記憶域ワークロードのための便利な Windows PowerShell コマンドレットが多数あります。 たとえば、ベスト プラクティス アナライザー (BPA) コマンドレットを使うと、ファイル サービスおよび記憶域サービスの役割に関する既知のベスト プラクティスのセットでサーバーを検証できます。

ファイル サービスと記憶域サービスの最も一般的に使用されるコマンドレットを含むリファレンス カードについては、ファイル サービスと記憶域サービスの Windows PowerShell リファレンス カードをダウンロードしてください。

削除された機能または推奨されなくなった機能

以下の機能は Windows Server 2012 に含まれていますが、段階的に廃止され、Windows Server の将来のバージョンでは完全に削除されます。

推奨されなくなった機能 代替機能
DFS 名前空間のコマンドライン ツール: Dfscmd DFS 名前空間用の Windows PowerShell コマンドレット
ファイル レプリケーション サービス (FRS) DFS レプリケーション
ファイル サーバー リソース マネージャーのコマンド ライン ツール: Dirquota、Filescrn、Storrept ファイル サーバー リソース マネージャーの Windows PowerShell コマンドレット
共有と記憶域の管理スナップイン サーバー マネージャーのファイル サービスおよび記憶域サービスの役割
共有フォルダー スナップイン サーバー マネージャーのファイル サービスおよび記憶域サービスの役割
仮想ディスク サービス (VDS) プロバイダー Storage Management API と記憶域プロバイダー、または SMI-S 標準と準拠する記憶域プロバイダー

Windows Server 2012 に存在しない機能は次のとおりです。

推奨されなくなった機能 代替機能
SAN 用記憶域マネージャー スナップイン サーバー マネージャーのファイル サービスおよび記憶域サービスの役割と、記憶域管理 Windows PowerShell コマンドレット
SCSIport ホスト バス アダプター ドライバー Storport ドライバー、または他のホスト バス アダプター

Windows Server 2012 の推奨されなくなった機能の一覧については、「Windows Server 2012 で削除された機能または推奨されなくなった機能」を参照してください。

Windows Server 2012 と Windows Server 2008 R2 でのファイル レプリケーション サービス (FRS) サポートの詳細については、Windows Server 2008 R2 で推奨されなくなったファイル レプリケーション サービス (FRS) に関するページを参照してください。

ファイル サービスおよび記憶域サービスを実行するための要件

ファイル サービスおよび記憶域サービスの実行には、特別なハードウェアまたはソフトウェアの要件はありません。 ただし、ファイル サーバー リソース マネージャーと DFS レプリケーションでは、NTFS ファイル システムでフォーマットされたボリュームのみがサポートされます。つまり、Resilient File System (ReFS) および FAT ファイル システムはサポートされていません。

次のセクションでは、ファイル サービスおよび記憶域サービスの要件に関する一般的な質問について説明します。

この役割をマルチサーバー環境に展開して構成する方法

役割と適切な役割サービスをそれぞれ適切なサーバーにインストールして、ファイル サービスおよび記憶域サービスの機能を複数のサーバーに分割できます。 その後、すべてのサーバーをサーバー マネージャーに追加して一元管理することも、Windows PowerShell スクリプトを使用して複数のサーバーを同時に管理することもできます。

この役割は仮想マシン上で実行できますか。

対応 ファイル サービスおよび記憶域サービスとその役割サービスすべてを、Hyper-V 仮想マシンで実行できます。

重要

SYSVOL フォルダー以外のすべてのデータのレプリケーションのために DFS レプリケーションを実行しているサーバーの復元に Hyper-V スナップショットを使用すると、DFS レプリケーションが失敗します。この場合、特別なデータベース回復手順が必要になります。 詳細については、Microsoft サポート技術情報の記事 2517913 を参照してください。

この役割はクラスター環境で実行できますか。

対応 ファイル サービスおよび記憶域サービスのすべての役割サービスは、クラスター環境で実行できます。 ただし、DFS レプリケーションではクラスターの共有ボリュームに保存されているコンテンツはレプリケートできません。

この役割のリモート管理に関する注意事項

次のツールを使用して、ファイル サービスおよび記憶域サービスをリモートで管理できます。

  • サーバー マネージャー

  • Windows PowerShell コマンドレット

  • DFS 管理

  • ファイル サーバー リソース マネージャー

  • NFS 用サービス

  • DFS コマンド ライン ユーティリティ

特別な注意事項は必要ありません。

この役割を Server Core インストール オプション上で管理するための注意事項

ファイル サービスおよび記憶域サービスは、Windows Server 2012 の Server Core インストール オプションまたは最小サーバー インターフェイスでインストールして実行できます。 サーバー マネージャーおよび管理コンソールは、Server Core インストール オプションでは機能しませんが、最小サーバー インターフェイスで使用できます。 また、Server Core オプションを使用するサーバーをリモートで管理するときにも使用できます。

サーバー マネージャー情報

ファイル サービスおよび記憶域サービスのサーバーの役割と共にインストールできる役割サービスは次のとおりです。

注意

Windows Server 2008 R2、Windows Server 2008、および Windows Server 2003 を実行しているサーバーに、サーバー マネージャーで役割および機能を追加することはできません。 詳細については、リモートのマルチサーバー管理: シナリオの概要 [柱となるシナリオ] に関するページを参照してください。 また、Windows Server 2003 を実行しているサーバーからは、サーバー マネージャーはオンラインまたはオフラインの状態のみを受信できます。

役割サービス 説明
ファイル サービス ファイル サーバーに関連した一連の役割サービスを提供します。この役割サービスは何もインストールしません。
ファイル サーバー ファイル共有を管理し、ユーザーがネットワークからこのコンピューターのファイルにアクセスできるようにします。 サーバー メッセージ ブロック (SMB) プロトコルを使うファイル共有の詳細については、「Server Message Block」を参照してください。
ネットワーク ファイル用 BranchCache ブランチ オフィスのコンピューターで、BranchCache が有効になっているファイル共有からよくダウンロードされるファイルをキャッシュし、ブランチ オフィスの他のコンピューターにそれらのファイルを提供できるようにします。 これにより、ネットワーク帯域幅の使用が減少し、ファイルへのアクセスが高速になります。 BranchCache の詳細については、「BranchCache」を参照してください。
データ重複除去 ボリューム上の同一のデータについて単一のコピーを保存することにより、ディスク領域を節約します。 データ重複除去の詳細については、「データ重複除去」を参照してください。
DFS 名前空間 異なる複数のサーバー上にあるファイル共有をグループ化して、論理的に構造化された 1 つ以上の名前空間にすることができます。 ユーザーには、各名前空間が一連のサブフォルダーを含む 1 つのファイル共有のように見えます。 ただし、実際には、複数のサイトのさまざまなサーバーに配置された多数のファイル共有から、名前空間の基礎となる構造が構成されます。 ファイル共有の基となる構造はユーザーには見えないため、DFS 名前空間内の 1 つのフォルダーを、複数のサーバー上の複数のファイル共有に対応させることができます。 この構造により、フォールト トレランスが実現し、ローカルのファイル共有を使用できる場合は、ユーザーをワイド エリア ネットワーク (WAN) 接続を介してルーティングする代わりに、ローカルのファイル共有に自動的に接続することができます。 詳細については、「DFS 名前空間と DFS レプリケーション」を参照してください。
DFS レプリケーション 限られた帯域幅のネットワーク接続およびローカル エリア ネットワーク接続を経由して、複数のサーバー間でデータをレプリケートします。 Remote Differential Compression (RDC) プロトコルを使用して、ファイルのうち最後のレプリケーション以降に変更された部分だけを更新するのは、マルチマスター レプリケーション エンジンです。 DFS レプリケーションは、DFS 名前空間と組み合わせて使用することも、単体で使用することもできます。 詳細については、「DFS 名前空間と DFS レプリケーション」を参照してください。
ファイル サーバー リソース マネージャー ファイル管理タスクや記憶域レポートのスケジュール設定、ファイルやフォルダーの分類、フォルダーのクォータの構成、およびファイル スクリーン処理ポリシーの定義を行うことにより、ファイル サーバー上のファイルやフォルダーを管理および把握することができます。 詳細については、「File Server Resource Manager」を参照してください。
ファイル サーバー VSS エージェント サービス このファイル サーバー上にデータ ファイルを保存するアプリケーションのボリューム シャドウ コピーを作成できます。
iSCSI ターゲット サーバー iSCSI ターゲット用の管理ツールを提供します。 詳細については、「iSCSI Target Server」を参照してください。
ネットワーク ファイル システム (NFS) 用サーバー このコンピューターで UNIX ベースのコンピューターや、ネットワーク ファイル システム (NFS) プロトコルを使用するその他のコンピューターとファイルを共有できるようにします。
記憶域サービス 記憶域スペースおよび記憶域プールを含む、常にインストールされる記憶域管理機能を提供します。

関連項目

関連情報については、次のリソースを参照してください。

コンテンツの種類 参考資料
製品評価 データ重複除去 | DFS 名前空間と DFS レプリケーション | サーバー アプリケーション対応の高パフォーマンスで継続的に使用可能なファイル共有記憶域 (テクニカル プレビュー) | iSCSI Target Server | ネットワーク ファイル システム | Windows オフロード データ転送 | Resilient File System | Increasing Server, Storage, and Network Availability | Scenario: Get Insight into Your Data by Using Classification | Scenario: Implement Retention of Information on File Servers | Server Message Block | SMI-S の概要 | 記憶域の管理 | 記憶域 | 信頼性の高いファイル サービスと記憶域によるインフォメーション ワーカーのサポート | 仮想プロビジョニングと記憶域のトリム
展開 データ重複除去の展開計画 | ネットワーク ファイル システムを展開します。 | アプリケーション データに対応するスケールアウト ファイル サーバーの概要 | Windows Server "8" Beta の記憶域スペースおよびプールの概要とトラブルシューティング
運用 iSCSI ターゲット ブロック記憶域: 操作方法 | ファイル サービスと記憶域サービスの Windows PowerShell リファレンス カード
ツールと設定 BranchCache コマンドレット | Deduplication コマンドレット | DFS 名前空間コマンドレット | DFS レプリケーション コマンドレット | ファイル サーバー リソース マネージャー コマンドレット | iSCSI コマンドレット | iSCSI ターゲット コマンドレット | マルチパス I/O (MPIO) コマンドレット | NFS サーバー コマンドレット | SMB 共有コマンドレット | SMB 監視コマンドレット | SMI-S コマンドレット | 記憶域コマンドレット | Storage Management API クラス | 同期共有 (作業フォルダー) コマンドレット
トラブルシューティング Windows Server 2012 のファイル サービスおよび記憶域サービスに関する既知の問題
コミュニティ リソース ファイル サービスと記憶域に関する TechNet フォーラム | Storage Team at Microsoft File Cabinet ブログ | Ask the Directory Services Team ブログ | Jose Barreto のブログ | Windows Storage Team ブログ | DFS レプリケーション サバイバル ガイド (TechNet Wiki) | Twitter の Windows Server Information Experience
関連テクノロジ フォルダー リダイレクト、オフライン ファイル、移動ユーザー プロファイル | フェールオーバー クラスタリング